紫苑Sの声を聞くと、秋の訪れを感じる。もちろん秋のGⅠシーズンであり、暑かろうが涼しかろうが、馬キチの秋がここから始まるのだ。
今年は、めずらしく春の好走馬が出走してきた。オークス2着馬スタニングローズや2歳女王サークルオブライフの参戦で、俄然、力が入る。昔は本番につながらないトライアルと揶揄されていたが、近年、ようやく同レースからヴィブロス、ディアドラ、カレンブーケドール、昨年の覇者ファインルージュなど秋華賞好走馬が出ているだけに、注目のトライアルになった。
当然、狙いはスタニングローズと言いたいところだが、ここは大穴を狙う。ライラックだ。桜花賞16着、オークス11着と春クラは論外だった。ではなぜ狙うのか。一つは父オルフェーブル、母父キンカメというぱっと見走って不思議ない血統、もうひとつマイル戦とはいえ中山で重賞勝ちした点だ。とくに、勝ったフェアリーステークスは二冠馬スターズオンアースに土をつけたのだから、春クラ惨敗と言っても無視できない。もともとポテンシャルは高いのだ。3歳牝馬のトップステージでの苦い経験を糧に、充実の夏を過ごし、大人になったと信じたい。鞍上が乗れてる戸崎、中山はこの夏勝ちまくった新潟よりもさらに信頼できるだけに、ライラックをいきなり秋の主役に導く。
もちろん、相手はスターニングローズ、サークルオブライフ、ドゥラメンテ産駒の上り馬サンカルバ、同産駒の春の実績馬サウンドビバーチェ、逃げたらしぶとそうなニシノラブウィンクまで。