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賃貸アパート首位、大東建託に吹きつける逆風 「サブリース商法」が槍玉に

2019-12-20 17:14:51 | 日記

 

2019年03月04日 13:37

賃貸アパート首位、大東建託に吹きつける逆風 「サブリース商法」が槍玉に(前)

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アパート賃貸業界の「サブリース」商法に強烈な逆風が吹きつける。レオパレス21の次は、業界最大手の大東建託の契約トラブルが表面化した。大東建託は賃貸住宅を地主に提案し、一括買い上げ(サブリース)、賃貸仲介から管理、家賃保証までを一貫して手掛ける事業モデルが特徴だ。

消費者機構、大東建託の情報提供を求める

 共同通信(2月27日付)が配信した記事を各紙が掲載した。

 〈賃貸住宅建設大手の大東建託(東京)が募集するアパートの契約をめぐり、解約時に申込金の返金を受けられないなどのトラブルが起きているとして、特定適格消費者団体「消費者機構日本」は27日、実態を把握するため、同様のトラブルを抱える人に情報提供を呼び掛けた。

 一方、大東建託の担当者は取材に「過去の約款では返金はできないとしていたが、指摘を受けて変更し、現在は返金対応を行った」と話している。

 大東建託は、土地の所有者らにアパート建設を提案。建設工事の契約を結ぶ前の段階で「地質調査費」として30万円の申込金を請求した。契約した際は一時金として平均約200万円を請求していた。しかし、2016~18年の約款では、契約に至らなかったり、解約したりしても返金できないと記載していた。

 消費者機構日本の指摘を受け、18年に約款を変更したとしている。〉

消費者機構日本は提訴の権限をもつ

 この記事のポイントは、消費者機構日本(COJ、 東京都千代田区)が大東建託の「サブリース商法」を問題ありとみなした点にある。説明が必要だろう。

 消費者機構日本は2004年に設立された消費者被害の未然防止・拡大防止・集団的被害回復を進める団体。悪徳商法の被害者に代わって不利な勧誘行為などの差し止めを請求できたが、損害賠償は請求できなかった。
 被害者個人で請求する場合は訴訟費用などの負担が重く、泣き寝入りしがちだった。そこで、悪徳商法の被害者らに代わり、消費者団体が金銭面の被害回復を求めて訴訟を起こせる新制度を16年10月に施行。消費者庁は16年12月、消費者機構日本を提訴の権限がある「特定適格消費者団体」に認定した。この制度での認定は初。

 特定適格消費者団体が多数の被害を確認した場合、業者を相手に、賠償金を支払う義務があることを求めて提訴。裁判所が支払い義務を認めれば、団体は訴訟に参加する被害者を募り、裁判所が被害者ごとの支払額を確定する。

 上記の消費者機構日本が大東建託との契約トラブルを抱える人に情報提供を求めたという記事は、大東建託を相手取り、訴訟を起こす準備段階にあることを示している。大東建託は「サブリース商法」の根幹にかかわる問題を孕んでいるのだ。

『週刊ダイヤモンド』が大東建託を告発

 レオパレス21の商法を告発したのは、テレビ東京の経済情報番組「ガイアの夜明け」だったが、大東建託は『週刊ダイヤモンド』が告発した。2017年6月24日号で「相続・副業の欲望に付け込む 不動産投資の甘い罠」を特集。「サブリース商法」に切り込んだ。

 2015年1月、相続税が増税になった。これまでの基礎控除から4割減となったことで、相続税の課税対象者が倍増。アパート建設など、相続税の節税効果が最も高い収益性を活用した節税策がブームと化した。同誌は、こうした収益不動産への投資は、事業者が提案するように本当に利益が出るのかを検証している。

 ポイントは2つ。1つ目は、提案で多く見られる35年にわたって満室が続き、家賃が下がらないというもの。新築から数年間は提案通りの果実が得られるが、年月を経るごとに劣化が進み、近隣に新しい物件ができるなどして予定が狂う。

 2つ目は、35年間の一括借り上げ(サブリース)があるので安心というもの。確かに、借り上げはしてくれるが、当初の家賃を35年間にわたって保証してくれるわけではない。

 同誌は、アパート建設やワンルームマンションなどの投資物件のシミュレーションを行った。結論は、非常に厳しいものになった。
本来、不動産投資はミドルリスク・ミドルリターン。35年の一括借り上げ、家賃保証の「サブリース商法」は、やがて破裂する時限爆弾のようなものだと警鐘を鳴らした。

飛び込み訪問一本槍の営業

 『週刊ダイヤモンド』オンライン(17年7月10日付)は第2弾として「大東建託現役社員が『経営陣の総入れ替えを』と悲痛な叫び」を報じた。
 大東建託は地元不動産会社などを通じて地主の情報を調べ上げ、全国の支店の建築営業課に属する営業マンが飛び込みで地主を訪問、相続税対策や遊休地の活用などで木造アパート建築を提案するというビジネスモデルで成長を遂げてきた。

 先祖代々の土地をもつ地主は、相続時に土地を手放したくないのに加え、高い相続税も払いたくないと考えがちだ。そこで大東が提案するアパートを建築すれば節税となる上、「35年一括借り上げ」のサブリースによって家賃収入が保証される。そのため、とくに人口が少なく、入居者募集に苦戦する地方や都市郊外の地主にもてはやされてきた。

 〈ところがリーマン・ショック以降、そんな顧客層に異変が生じている。新規顧客とリピーター顧客の比率が逆転し、今では65%以上がリピーター頼りになっているのだ。大東が主戦場とする人口減少の激しい地方でアパート建築の新規需要が落ち込んでいることが大きな理由だ。そのため、かつて同社が建てた、老朽化したアパートの建替えの需要に依存している様子が鮮明に浮かび上がっている。〉(週刊ダイヤモンドオンライン)

 受注を回復させるため、大東建託は営業方針を打ち出した。「午前は新規開拓訪問の時間を徹底確保させ、午後は見込み候補顧客見極め訪問実施、追客の徹底をさせる」というものだ。この営業方針に、社員のこんな声を載せている。

 〈新規営業がとれないのは営業スタンスが時代遅れだから。昔ながらの飛び込み訪問の一本槍が、当社のイメージダウンにつながっているのは疑いようがありません。同じ地主のところに朝・昼・晩と3人の違う営業マンが3回も行くのだから、嫌われるのは当たり前ですよね。〉(同)

 大東建託といえば、営業力によって賃貸住宅部門でシェア1位を達成した会社だ。

 〈月に1棟売れば月収は約200万円となる。それで年収数千万円を稼ぐスーパー営業マンもいるが、それはほんの一握り。1棟も売れず、わずか3カ月で辞めてしまう営業マンも後を絶たないという〉(同)

 営業マンの営業力が落ち込み、ビジネスモデルの屋台骨が揺らいでいるのだ。

(つづく)
【森村 和男】

2019年03月05日 07:03

賃貸アパート首位、大東建託に吹きつける逆風 「サブリース商法」が槍玉に(後)

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創業者が会社を売却へ

 大東建託のビジネスモデルは、創業者、多田勝美氏が構築した。多田氏は1945年、三重県の生まれ。県立四日市工業高校を卒業し、小糸製作所に入社。10年間働いた後に独立。1974年6月、名古屋市で大東産業(現・大東建託)を設立した。

 先発の住宅会社と同じことをやったのでは勝ち目はない。目をつけたのは農家。農地に貸倉庫、貸工場を建てて賃貸するサイドビジネスを農家に勧めた。現金収入は農家に喜ばれたが、倉庫や工場では汎用性がない。それを賃貸住宅に変え、一括借り上げ(サブリース)、家賃保証を採り入れたことで急成長した。大東建託が成功したビジネスモデルだ。

 2007年10月に社長を退いた創業者で筆頭株主の多田勝美会長(当時)が、同社株を売却して引退を表明したことから大騒ぎになった。投資ファンドは多田会長の保有分だけでなく、大東建託の発行済み株式のすべてを取得し、同社の非上場化を提案した。

 07年12月下旬に行われた大東建託の買収入札の結果、米不動産ファンドのエートス・キャピタル、不動産会社の森トラスト、国内投資ファンドのユニゾン・キャピタルの3社連合が、最も高い9,200億円の金額を提示、交渉権を得た。

 エートス連合は、経営陣が買収に賛同することを全株取得の条件にした。だが、多田会長を除く、三鍋伊佐雄社長ら経営陣の多くは「全株買収で上場廃止になれば、経営に支障をきたす」と非上場化に慎重な姿勢を示した。

 エートス連合は金融機関から買収資金を調達する計画だったが、リーマン・ショックによる金融危機で資金を調達できず08年10月、買収を断念。売却問題は塩漬けになった。

規制強化でノーリスクがハイリスクに

 当時、大東建託は賃貸住宅の戸数拡大を追い風に業績は絶好調。無借金経営の優良会社だ。多田氏は62歳。高齢を理由に引退する年齢ではない。なぜ保有株を売却しようとしたのか。

 転機は、06年4月に訪れた。改正保険業法の施行である。賃貸アパート経営の家賃収入は共済制度が支えていた。家賃保証を大東建託が行うのではなく、オーナーから集めた共済金によって保証、大東建託はノーリスクだった。この共済制度が規制の対象になった。

 オーナーが借金して賃貸アパートを建て、家賃保証もオーナーがやる。そんなウマミのあるビジネスは終わり、連結子会社の大東建物管理による一括借り上げ方式に移行した。それは大東建託が家賃保証というリスクを負うものだ。保険業法の改正で近い将来、大東建託に急成長をもたらしたビジネスモデルが崩壊するのは確実。業績が好調な今が売り時と、多田は判断したとされる。

 株式の売却問題を再開。11年3月、多田氏の個人資産管理会社ダイショウが、保有する全株式(議決権比率31.96%)を自己株式のTOB(株式公開買い付け)に応募して売却。筆頭株主から外れた。大東建託の取得額は2,100億円。この自己株式は3月末に消却(資本準備金や剰余金を取り崩して、発行済み株式数から取り除くこと)した。

 今思えば、創業者の多田氏が大東建託を売却したのは、サブリース商法がやがて破綻することを予感していたからではなかろうか。

資本構成上は外資系企業だ

 13年4月、株式問題を決着させた三鍋伊佐雄氏から熊切直美氏に社長が交代。創業者の3分の1相当の株式を買い取り消却したことで、もともと高かった外国人持株比率は57.77%(08年3月期末)と過半数を超えた。事業は日本の会社だが、資本構成上は外資系企業になった。

 社長・熊切氏はROE(自己資本利益率)を重視する経営に舵を切った。18年3月期のROEは30.5%。建設業界のなかで、上位5位にランクインする高いROEを誇る。株主還元策として昨年12月、700万株、868億円の自社株買いを打ち出した。

サブリース問題が決算に影を落とす

 高収益をひた走っていた大東建託に逆風が吹きつける。サブリース問題だ。サブリース契約を使ったシェアハウス「かぼちゃの馬車」の運営会社スマートデイズが倒産して、サブリース契約をめぐるトラブルが頻発しているのを受け、国土交通省が実態調査に乗り出した。

 大東建託の2018年4~12月期連結決算は、売上高は前年同期比1.4%増の1兆1,756億円、営業利益は同5.9%減の1,050億円だった。同期間での営業減益は10年ぶり。地銀などがアパート向け融資を厳格化した影響で、受注キャンセルや着工の遅延が増えた

 消費者機構日本は、契約トラブルをめぐり、集団訴訟の準備に入った。

 4月には熊切直美社長が退任し、小林克満専務が昇格する。サブリース問題にどう向き合うのか。大東建託は最大の試練を迎える。

(了)
【森村 和男】

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