吾、未だ、足るを知らず

九十九里地方の出来事や、日常のこと、世間のこと、読書、映画鑑賞などをブログにしたいと思います。

大魔神をみる

2012年04月28日 20時45分58秒 | 読書、映画鑑賞
大魔神」
1966年公開 大映特撮時代劇映画
シリーズ第1作。
• 花房小笹:高田美和
• 花房忠文:青山良彦、
• 猿丸小源太:藤巻潤
日本古来の民話、伝承柳田國男の民俗学やユダヤの伝説「巨人ゴーレム」をもとに取り入れた作品。異色の特撮時代劇作品で「山」「水」「雪」の大魔神三部作があり
独立した物語となっています。
神の存在や祟りを示唆しながら物語は展開をしていきます。
「動と静の対比」が良いと思います。
「静」の山奥深く岩場を背に鎮座する大魔神の崇高な姿は、威厳があり
かたや神の畏れや神の怒る「動」の部分。
「怒れる荒神」であり、善人も悪人も関係ない。
人間は鎮まってくれるのをただ祈るしかない。
内容的には、勧善懲悪の部分もあるが、歴史という複雑さも持っている。本作においても大魔神は、、敵役だけではなく、善人の村人にも危害を与えてしまう存在である。それが歴史なのかもしれない。



時は戦国嵐の時代(風のフジ丸になってしまうな)ここ丹波の国では、ある山里の城下に魔神の伝説があった。
下克上の世の常 謀反が起こった。城主花房忠清夫妻は討たれ、遺児忠文と小笹の二人は近臣猿丸小源太とともに魔神の山の阿羅羯磨(あらかつま)を鎮める小源太の叔母である巫女の信夫の下に身を寄せ、武神像の傍らの洞窟で成長をとげた。一方新領主となった左馬之助は、過酷な労役を領民に課し、
その挙句村の守り神たる魔神像をも破壊しようとしたので、山の神の怒りの恐ろしさを伝え、彼の日常の暴虐なふるまいを戒めたが、話を聞かずタガネを神像の額に打込んだ。傷口から鮮血が滴り落ちると同時に天変地異がおこる。稲妻、雷鳴、地割れが発生をした。軍十郎は物凄い地割れの中にのみこまれた。小笹らは必死に武神像に祈り続け自分の命にかえてもと大滝へ身を投げようとした瞬間、大地は震動して、神像は巨大な魔神の姿となって現われた。(触らぬ神に祟りなしというところか)
城下であばれた魔神は、忠文と小源太の処刑台を紛砕し、左馬之助は魔神の額にささったタガネで城門の柱に釘付けされ息絶えた。しかし魔神の怒りはなおも鎮まらず、領民までもが巻き添えになる。魔神は城下全体の破壊に及ぶかに見えたが、小笹は自らの命と引き換えに、は静まってくれるよう、清い涙を落した。すると魔神の怒りの相は消え、魔神は小笹の涙で消えたのだ。これをみた魔神はその顔を穏やかな武神に変え消えていく。

邪悪な神は、(悪神)で用いることが多く、魔神とか大魔神は、災をもたらす神になるのかな?
大魔神」は、埴輪の武人の姿をした「阿羅羯磨(あらかつま)」の事で通称は、「武神」「荒神様」等。

墨東綺譚

2012年04月24日 10時48分34秒 | 読書、映画鑑賞
墨東綺譚 [DVD]
新藤兼人監督作品
永井荷風原作、『墨東綺譚』と『断腸亭日乗』
同名小説の主人公を荷風自身にして描いた作品。
大学教授の荷風は、年齢も境遇も違うお雪という娼婦と恋仲になり結婚を約束するが、東京大空襲によって引き裂かれる…。戦前戦後を通して女の弱さと強さを温かく描き、作家の創作物のエピソードを交えて、永井の後半生を活写した日本映画の名作である。東向島、当時は「玉ノ井」という。
社会の底辺で生きるがために、切なさや哀しさのある作品ですが、自分の置かれた環境にも負けずに明るく純情で、気さくで親しみやすい綺麗な女性,お雪(墨田ユキ)の演技が素晴らしく、感動をしました。
永井荷風の作品も素晴らしいだけに、映画化も難しいとは思いますが、津川さん墨田ユキさんが良く演じています。そして乙羽さんの存在がすごく素晴らしいと思います、空襲をしぶとく生き延びた、乙羽・墨田コンビは永井と遭遇するシーンがあるが、
永井荷風が初の「文化勲章」受章作家など当然気付く訳もなく、過ぎ去っていく
戦争、空襲による悲劇、そして侘しい最期。
いろいろなテーマが描かれている素晴らしい作品であると思う。