ダライ・ラマ「求めるのは自治」 対中交渉、早期再開を期待

2006年11月14日 | news
 チベット仏教の指導者、ダライ・ラマ14世は12日、日本での公式日程を終えて、離日する。ダライ・ラマは10月29日からの滞在中、東京や広島で仏教講話を行うなどした。しかし、今年秋に行われる予定だったチベットの自治をめぐる中国側との交渉の日程が遅れていることに懸念を表明。「われわれは独立ではなく自治を求めている」などとして、中国政府との交渉の早期再開に強い期待感をにじませた。

 ダライ・ラマは広島市内での記者会見で、自分の中国訪問について「チベット自治区の中国人を含めて、チベット人の95%が私の帰還を望んでいる」と強調し、訪問を認めようとしない中国政府を暗に批判した。

 ダライ・ラマは1959年3月、中国統治に反対して起こったチベット動乱で、ラサを脱出しインドに亡命して以来、中国を訪れていない。

 ダライ・ラマは、現在の心境について「私がチベット(自治区)を離れたときは23歳の時だった。すでに47年間がたち親族も老いており、会いたい気持ちに変わりはない」などと語った。

 ダライ・ラマによると、中国政府との交渉は、2002年9月から今年2月まで5回行われ、今年秋に6回目の交渉を行う予定だった。そのうえでいまだに中国側の返事がない理由について、「胡錦濤政権はわれわれが独立を求めていると警戒しているようだ。われわれは(高度な)自治を求めているが、独立は必要ない」と強調した。

 また、ダライ・ラマは交渉が遅れているのは上海を中心とする汚職事件の処理など、胡錦濤政権の内政上の事情が絡んでいるとの見方を示した。

 一方、ダライ・ラマは、胡錦濤政権について「法治国家の確立に向けて努力しており、草の根レベルの民主的な動きもみられ、変革の過程にある」と評価しており、これらの動きが今後の対中交渉再開に良い影響をもたらすことに強い期待感を表明した。(相馬勝)
(産経新聞) - 11月12日8時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061112-00000006-san-int



【中国】ダライ・ラマ14世 チベットの経済発展に一定の評価

 来日中のチベット仏教の指導者、ダライ・ラマ14世はこのほど、広島市内で記者会見し、今年7月に青蔵鉄道が開通し、チベット自治区のラサと上海、北京など大都市を結ぶことで、「チベットの経済発展が促進される」と述べて、同自治区の経済開発に一定の評価をみせた。また、ダライ・ラマは歴代の中国共産党指導者の中でも、トウ小平氏について触れ、「中国の改革・開放を推進し、現在の経済繁栄の基礎を築いた」などと語り、その経済運営の手腕を高く評価した。ダライ・ラマが中国の経済発展を肯定的に評価するのは異例。(相馬勝)

 ダライ・ラマは青蔵鉄道の建設によって、「環境や生態系の破壊に通じる」などとして、「慎重な開発が必要」との見方を示したものの、「レストランや店舗が多数、建設され、チベットも経済的に豊かになっていくのは悪いことではない」と指摘した。

 しかし、その一方で、同自治区内の政治的な環境が厳しくなっていると主張。ダライ・ラマが独自に入手した情報では、「チベット仏教の僧や尼僧が強制的に政治学習を強いられているほか、報道の自由も厳しく抑制されている」ことを明らかにした。

 また、あるチベット人が喫茶店で「鉄道が開通して、漢族(中国人)が多数流入すれば大変なことになる」などと話していただけで、外に出たらすぐに身柄を拘束された例があるという。

 ダライ・ラマは「このような人権抑圧をやめさせるためにも、チベット人が経済や宗教、文化、教育を管轄するという一定の自治が必要だ」との持論を力説した。

 ダライ・ラマはチベットの経済、政治状況に関連して、1949年の新中国建国後の時代を4つに分け、その時々の最高指導者について論評した。

 まず、毛沢東主席について、「イデオロギーの時代であり、政治的な運動が激しい時期だった」と述べた。次のトウ小平氏については「改革・開放路線を推進し、現在の経済繁栄の基礎を築いた。国民の所得も飛躍的に増えて、中産階級が1億5000万人に達するなど、極めて発展のスピードが高い時期だった」と高く評価した。

 江沢民時代は「資本階級を共産党に入れるなど、トウ小平時代に続いて、経済発展を軌道に乗せた」と主張。

 現在の胡錦濤政権については「かつての孤立的な態度はすっかり変わった。中国国民はより国際社会に加わろうとしているし、政府も法治国家の確立に向けて努力している。草の根レベルでは民主的な動きも見られる」と前置きして、「経済発展も著しいほか、政治的にも変革の過程にある」と述べて、今後のダライ・ラマ側と中国政府との交渉にもよい影響が出ることに強い期待感を込めた。

 ダライ・ラマが中国経済について一定の評価を加えたことについて、在京チベット関係者は「ダライ・ラマは頻繁に海外を訪問し、さまざまな国々の経済の発展ぶりをじかに見ており、中国経済も客観的に評価できるのではないか」と指摘している。

                  ◇

【プロフィル】ダライ・ラマ

 チベット仏教(ラマ教)の法王で、チベット民族の政治と宗教の精神的指導者。現在のダライ・ラマ14世は、1959年3月、中国の弾圧に遭いインドに亡命、インド北部のダルムサラに亡命政府を樹立し、チベットの独立支持を国際社会に訴え続けている。14世の亡命後、中国政府はチベット自治区を設立し、事実上統治している。14世は、世界平和やチベット亡命政府の平和的な樹立に対する運動が高く評価され、89年にノーベル平和賞を受賞した。
(フジサンケイ ビジネスアイ) - 11月11日8時32分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061111-00000008-fsi-bus_all





広島国際平和会議:閉会 ダライ・ラマ14世ら3人、広島や日本への期待語る /広島

 ◇「寛容と和解の心を」
 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世らノーベル平和賞受賞者3人が出席して中区加古町のアステールプラザで開かれた「広島国際平和会議」は2日、閉会した。同日の座談会ではダライ・ラマが「思いやりと愛情を持とうとするのは、世界中のすべての宗教に共通する。寛容と和解、相手を許す心を持って(民族や宗教、文化などの)違いを乗り越えることが大切だ」と訴えた。
 座談会では、ダライ・ラマと、南アフリカのデズモンド・ツツ元大主教と北アイルランドの平和運動家、ベティ・ウィリアムズさんのノーベル平和賞受賞者3人が、それぞれ広島や日本への期待を発言。「日本で不満を述べるだけでなく、世界に出かけて、一人一人が持つ技術や技能を生かして手助けをして」(ダライ・ラマ)、「原爆投下の不正義を経験した日本だからこそ、世界中の貧困や飢餓などの不正義をなくす先頭に立って」(ツツ元大主教)、「飢えに苦しむ子どもを抱くと『なぜこんなに苦しいの』と目で訴えてくる。経済大国に復興した日本には一人でも多くの子どもを助けてほしい」(ウィリアムズさん)とメッセージを残した。また県被団協の坪井直理事長も壇上に立ち、「3人の生き方や考え方は、私たち被爆者の思いとほぼ同じで力強さを感じた」と3人に感謝を述べ、花束を渡した。最後に3人で共同宣言を読み上げた。
 会議後の会見で、ダライ・ラマは米同時多発テロ以降の世界情勢に触れ、「一人が殺されると周囲の家族や友人らが悲しみを味わい、憎しみも広がりかねない。テロに対する報復活動はやめて非暴力による対話が大切だ」と語った。【吉川雄策】

11月3日朝刊
(毎日新聞) - 11月7日17時22分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061103-00000191-mailo-l34




広島国際平和会議 ダライ・ラマ14世ら原爆慰霊碑に献花


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原爆慰霊碑に献花した(右から)ベティ・ウィリアムズさん、ダライ・ラマ14世、デズモンド・ツツ元大主教=広島市中区の平和記念公園で2日午後4時57分、貝塚太一写す
 
 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世らノーベル平和賞受賞者3人が2日、広島市中区の平和記念公園を訪れ、原爆慰霊碑に献花した。
 他に南アフリカのデズモンド・ツツ元大主教と北アイルランドの平和運動家、ベティ・ウィリアムズさん。3人は、政治や宗教などの壁を超えて平和を模索しようと、広島青年会議所などでつくる実行委が同市で開催した「広島国際平和会議」に出席。「広島の街が核兵器による破壊の後に持った、報復をせずに許すとのメッセージを人類すべてが注目してほしい。あなたのグループ、街、国の中だけでなく世界全体に思いやりを与えてください」などとする共同宣言を読み上げた。【吉川雄策】
(毎日新聞) - 11月3日10時9分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061103-00000003-maip-soci



亡命から47年 ダライ・ラマ14世会見 「自治」で訪中交渉は暗礁

 チベット仏教の指導者、ダライ・ラマ14世(71)は2日、滞在先の広島市内で産経新聞など一部報道機関と会見し、自身の中国訪問をめぐる中国政府との交渉が暗礁に乗り上げていることを明らかにした。ダライ・ラマが求める「チベット人による自治」が最大の対立点だ。インド亡命からすでに47年、このまま異郷で生涯を終えれば、中国側が後継者を擁立する可能性もある。ダライ・ラマは残された時間とも戦っている。(相馬勝)

 ダライ・ラマは会見で自身の中国訪問に関して、特使と中国政府との間で今年秋に第6回交渉を行うことで合意していたが、「いまだに中国側から交渉再開の返答がなく、待っているところだ」と語った。中国側が交渉再開に難色を示している理由について「チベット人の自治」に「中国政府が懐疑的になっている」ことを挙げた。

 ダライ・ラマは自治に関し、外交・軍事は中央政府に任せるが、宗教やチベット文化の継承、人権や環境保護などにはチベット人に委ねなければならないと指摘。「中国はわれわれが独立を求めていると疑っている。われわれは現実的な方策を主張しており、独立は求めていない」とし、中国側の態度は「無知にほかならない」と批判した。

 ダライ・ラマは中国の胡錦濤国家主席がチベット自治区のトップを務めた経験があるとして「歴代の中国の最高指導者の中で彼だけがチベットのことを知っている」と評価しつつも「彼は用心深く私を警戒しているようだ」と述べた。

 ダライ・ラマ側は2002年9月から今年2月にかけ中国政府と5回交渉を重ね、2月の交渉で「仏教聖地を訪ねるのと同時に、この目で中国の変化や発展を見てみたい」と提案していた。

 ダライ・ラマは訪中問題が進展しないことについて「すべては中国側の出方次第」とする一方で「ダライ・ラマ個人の問題ではなく、チベット人600万人の問題」と強調し中国との安易な妥協を排する考えを示した。

 ダライ・ラマはこのまま異郷で生涯を閉じれば、チベット仏教第2の指導者で1989年1月に死去したパンチェン・ラマ10世同様、中国がダライ・ラマの後継者を勝手に指名してしまうことを懸念。しかし「中国がそのようなことをすればチベット人の間で大きな論議を呼ぶ問題になる」と述べ、チベット人による暴動再発を示唆するなど中国を強く牽制(けんせい)した。
(産経新聞) - 11月3日8時1分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061103-00000005-san-int




ダライ・ラマ 胡政権は現実的 チベット帰還を楽観視

 インドに亡命中のチベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世が2日午前、訪問中の広島市内で毎日新聞などと会見し、「最近の中国は胡錦濤政権下で民主化が進み、政策が現実的になった」と評価した。自らのチベット帰還の可能性について「私たちは独立を望んでおらず、外交と国防以外の自治を求める現実的な方策を主張しており、(帰還を)楽観している」と述べた。
 ダライ・ラマは胡政権の進める「調和社会」政策について「地方の草の根レベルで民主化が進んでいる」と述べた。だが、チベット自治区の現状に関しては「僧侶は政治学習を強制され、依然、宗教や報道の自由が厳しく制約されている」と人権抑圧を批判した。今年7月の青蔵鉄道のラサ開通についても「中国人(漢族)が大勢来て危険になると喫茶店で話しただけでチベット族が拘束されたとの情報がある」と述べた。情報の真偽は不明。
 ダライ・ラマのチベット帰還などを協議する亡命政府と中国政府との直接交渉は02年9月に再開され、今年2月に北京で5回目の協議が開かれた。だが、中国側にはダライ・ラマがチベット独立を望んでいるのではないかとの警戒があって進展せず、第6回の協議開催を待っている状況だという。ダライ・ラマは「胡政権は用心深い。当局には私を敵視する見方もある。私は政治的地位は何ら望んでいない」と述べた。【吉富裕倫】
(毎日新聞) - 11月2日17時20分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061102-00000025-maip-int




広島国際平和会議:ダライ・ラマ14世ら、ノーベル平和賞受賞者3人出席 /広島

 ◇中区で開幕「世界は一つの家族」
 チベット仏教の最高指導者、ダライ・ラマ14世らノーベル平和賞受賞者3人が出席する「広島国際平和会議」が1日、中区加古町のアステールプラザで始まった。ダライ・ラマは、グローバル化の中でこそ互いに思いやる心を持つ必要性を指摘。「現代の世界を考えると、国や民族などを中心に考えず、世界を一つの家族として考えないといけない時代に入っている。一人一人が普遍的な責任について考えることが大切だ」と訴えた。
 学者や広島青年会議所などでつくる実行委員会の主催で、約1000人が参加。実行委によると、宮島の弥山開創1200年記念法要などに出席するため来広するのに合わせ、ダライ・ラマが「広島を訪れる機会を利用して平和の会議を開きたい」と、いずれもノーベル平和賞受賞者で南アフリカのデズモンド・ツツ元大主教と北アイルランドの平和運動家、ベティ・ウィリアムズさんに呼びかけて実現した。
 ダライ・ラマは「広島は悲惨な体験から人間性を考え直す機会を得て、二度と繰り返さぬようにと世界にメッセージを発信している。この3人が集まって広島で世界平和について話す機会を持つことは特別な意味があり、世界から完全に武器をなくすことにつなげたい」と語った。【吉川雄策】

11月2日朝刊
(毎日新聞) - 11月6日16時26分更新
http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20061102-00000267-mailo-l34

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