「内戦」状態の韓国

2006年06月11日 | 支那朝鮮関連
■■ Japan On the Globe(449)■ 国際派日本人養成講座 ■■■■

 韓国は、親北朝鮮勢力と自由民主主義勢力
とが激突する内戦状態に陥っている。

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■1.韓国の「深刻な危機」■

 2004(平成16)年9月9日、5人の元国会議長、7人の元国
務総理をはじめとする1千人以上の国家を代表する人士が「大
韓民国の自由と民主主義守護のための時局宣言文」を発表した。
そこにはこんな文言がある。

 ・・・大韓民国がいま政治、経済、安保、社会、文化す
べての領域で深刻な危機を迎えている。国のアイデンティ
ティと国家理念が重大な挑戦を受けている。[1,p14]

 10月3日には、ソウル市庁前広場で、この宣言を支持する
大集会が開催され、平日の午後にもかかわらず、20万人を超
える国民が集まった。

「深刻な危機」とは何か。西岡力(つとむ)・東京基督教大学
教授は、著書『韓国分裂』の中で、こう語っている。

 もはや朝鮮半島の最前線は三十八度線ではなく、韓国の
国内にある。いまの韓国はいわば「内戦」状態だ。

 盧武鉉大統領の周辺は一部の秘書官を含めて「親北朝鮮」
の左翼学生運動や市民運動出身者でほとんどを占められ、
大統領官邸はもはや北朝鮮の手に陥(おち)た。いまや大
統領周辺だけでなく、与党、テレビ局なども含めて韓国の
半分近くは、安全保障・自由主義経済の基軸である韓米日
同盟から抜けて、北の金正日政権に近づこうとしている。
[1,p15]

■2.金大中の「太陽政策」と対北違法送金■

「大統領官邸はもはや北朝鮮の手に陥(おち)た」というのは、
たとえば、次のような事実を見れば明らかだろう。

 まず1998年に大統領に就任した金大中は、北朝鮮に対して、
「太陽政策」と称する融和的な姿勢を打ち出した。2000年には
平壌で金正日との南北首脳会談を実現させ、これが評価されて、
2000年のノーベル平和賞を受賞した。

 しかし、南北会談の直前には、現代財閥に5億ドルもの資金
を違法に北朝鮮に送金させている。現代財閥の北朝鮮での事業
の利権と引き替えに、ということだが、送金の見返りとして北
朝鮮が首脳会談開催に乗ったという見方が有力である。

 この違法送金については、特別検事による捜査が開始された
が、次の盧武鉉大統領が捜査延長を許可しなかったことにより、
うやむやにされてしまった。

■3.拉致問題を黙殺■

 また、この首脳会談の結果、韓国で逮捕されていた北朝鮮工
作員63人を北朝鮮に送還した。その中には、1890年に大阪の
中華料理店コック原敕晁さんを拉致し、原さんになりすまして
工作活動をしていた辛光洙も含まれている。

 北朝鮮に拉致され、帰国できないでいる韓国人は、韓国政府
が認定しただけでも486人に上る。朝鮮戦争中に拉致された
人数に至っては8万2959人である。

 工作員たちが北朝鮮に送還された時、拉致被害者の家族会は
「なぜ一方的に韓国で捕まった北朝鮮工作員を帰し、北朝鮮が
拉致した韓国人被害者は帰ってこないのか」と訴えた。これが
テレビや新聞でも報道され。金大中大統領もテレビ記者会見で
拉致問題の存在を認めたが、工作員送還は「韓国軍捕虜や拉致
被害者についての問題を解決する助けになるはずです」と述べ
るに留まった。

 拉致問題でも北への「太陽政策」をとったわけであるが、こ
の姿勢は現・盧武鉉大統領も継承している。本年5月15日に、
横田滋さんが訪韓し、めぐみさんの夫である可能性が高いとさ
れた韓国人拉致被害者・金英男の家族と面会した。

 この時も、副首相格の李・統一相は「(横田さんに)会う必
要はない」「訪韓の意味もよくわからない」と語り、さらにこ
れまで金正日総書記が日本人拉致を認めたことなど北朝鮮の対
応について「日本は過小評価している」と日本を批判した。[2]

■4.米韓同盟の危機■

 金大中の後継者、盧武鉉大統領は2004年11月に、ロサンゼ
ルスで講演し、「北朝鮮が核とミサイルで外部の脅威から自国
を守ると主張しているのは、一理ある面もある」と、核開発を
容認する発言を行った。さらに「北朝鮮がテロ組織と連携して
いるという証拠はない」、アメリカの対北政策に対し「封鎖政
策ではだめであり、対話こそが唯一の方法」、「北朝鮮の体制
保証のため、アメリカの新しい措置が必要だ」と述べた。まる
で北朝鮮の代弁者である。

 2005年4月、アメリカは駐韓米軍の費用を6百億ドル削減す
ると発表した。韓国政府が米軍支援予算を削減したので、その
報復措置である。

 米軍の費用削減内容は、米軍基地内で働いている韓国人労働
者1千人の解雇や、有事のための弾薬備蓄の廃止、米軍と韓国
軍の情報共有システムの縮小である。韓国の防衛力を左右する
この重大な決定が、韓国政府に何の相談もないまま、抜き打ち
的に発表されたのである。韓国の対北宥和姿勢は、アメリカの
同盟国としての信用を失わせ、米韓同盟は重大な危機に瀕して
いる。

■5.国内体制革命■

 同時に、盧武鉉政権は国内体制変革を進めている。

 その第一はスパイ侵入など北朝鮮の対南工作取り締まりの根
拠となってきた国家保安法の廃止である。

 第二は言論の統制。朝鮮、東亜、中央の三大保守日刊紙を狙
い撃ちにして、上位3新聞の占有率を合計60%に制限する
「新聞法」、および「言論機関に故意や過失、違法性がない場
合も訂正報道を請求できる」という「言論被害救済法」。後者
に基づいてすでに10億ウォン、20億ウォンという高額の賠償を
求める名誉毀損訴訟が起こされている。

 第三は私学法改正。私立学校の理事の四分の一以上を学外か
ら受け入れる事を義務づけ、韓国版日教組である全国教職員労
働組合(全教組)が私立学校にも入り込み、左翼偏向教育を広
げる道が開かれた。

 第四は、「日帝強制占領下反民族行為の真相糾明に関する特
別法」。これで日本統治下で一定の地位にあった官僚・軍人な
どを「親日派」として断罪し始めた。さらに、この後、こうし
た「反民族行為」を行ったとされる人の子孫の土地や財産を国
が事実上没収する事ができる「親日反民族行為者財産帰属特別
法」が制定された。

■6.韓国版自虐史観■

 前節の第3、第4と通ずるのが、韓国版の自虐史観である。
金星社版『韓国近・現代史』教科書では、次のように南北分裂
が描かれている。

 粘り強い民族解放運動の末、(JOG注:日本帝国主義から
の)独立を迎えたが、南と北に引き裂かれてしまった。南
北分断は民族内部の戦争につながり、以後にもイデオロギ
ーの対立が継続した。[1,p122]

 朝鮮戦争でソ連と中国を後ろ盾として韓国を侵略した金日成
の「戦争責任」はまったく言及されていない。

 分断後の北朝鮮については、近代化された農村、平壌の高層
アパートと地下鉄など、豊かな生活を示す写真とともにこう述
べる。

 北朝鮮社会も多くの変化を経た。独立直後には親日派を
粛正し土地改革を施行するなど、植民地支配を精算するた
めの一連の改革を推進した。この過程で一部社会構成員の
反発を買ったりもした。

「親日派を粛正し」ということで、北朝鮮はすでに「歴史の精
算」を完了していることを示す。金大中、盧武鉉政権が過激な、
反日政策を唱えるたびに、北朝鮮の方が正統的な民族政権であ
る、という歴史観が自国民に植え付けられていく。

■7.「北朝鮮社会もまた我が民族の生きてきた生活の場である」■

 その後の北朝鮮の姿は、次のように描く。

 分断と6・25戦争(JOG注:朝鮮戦争)以後、長期間、
私たちは北朝鮮の歴史を金日成が権力を掌握し、これを維
持するための”粛正の歴史”、金正日に権力を引き継がせ
るための”世襲の歴史”とだけ思っていた。私たちが思い
浮かべる北朝鮮の人々の生活は、徹底した社会統制の中で
息を殺して暮らす姿だった。[1,p127]

 ”粛正の歴史”、”世襲の歴史”は、過去の韓国政府の政治
宣伝に過ぎない、とまで言うようである。

 しかし、北朝鮮社会もまた我が民族の生きてきた生活の
場である。北朝鮮で生きてきた人々も社会の発展のための
努力を継続してきた。ただし、南韓と異なり、社会主義の
道を歩いただけだ。このため南北の人々の間で思考方式や
行動で違いが生じている。[1,p127]

 北朝鮮にはこんな温かい目を注ぎながら、自国の李承晩政権
は「次第に独裁政治と長期執権の道に進んでいった」と評し、
朴正熈政権、全斗煥政権も「軍部政治」「民主化運動を武力で
鎮圧」「独裁政治」などと表現する。

 戦後の韓国が達成した経済成長についても、「防毒マスクを
使わなければ勤務できない放射管の作業現場」という写真とと
もに、こう述べる。

 しかし、経済成長の過程でいろいろな副作用が現れた。
輸出競争力の確保のための低賃金と低穀価政策で、労働者
と農民は犠牲を強要された。労働者は低い賃金を受けて劣
悪な環境で働かねばならなかった。工業を主とする経済政
策は相対的に農業の発展を遅くし、その結果、都市と農村
の経済格差が大きくなっていった。[1,p135]

 北朝鮮で3百万規模の餓死者が出た事[a]や、朝鮮戦争後
も5百人近い韓国民を拉致した国家犯罪は教えられず、自国の
欠点ばかりをあげつらうのである。

■8.4万2千人の親北勢力■

 どうしてこのような事態になったのか。鄭亨根・国家安全企
画部元次長は国内に4万2千人の親北勢力がいると見ている。
学生1万8千人、労働者1万人、宗教団体・市民団体5千5百
人、教育・文化・言論界に8千5百人だ。これらの勢力が、過
激な学生運動や、労働スト、反日運動を引き起こし、自虐史観
を広める政治的プロパガンダ活動を展開している。

 学生運動家の中では、「偉首金同」「親指金同」などという
隠語が使われる。「偉大なる首領金日成同志」「親愛なる指導
者金正日同志」という意味である。そして「韓国は親日親米派
らの立てたアメリカの植民地であり、北朝鮮は抗日闘争の民族
正統勢力が立てた朝鮮人民の政府であり国家である。だから韓
国は生まれてはならない国家であり、北朝鮮は祖国統一の基地
である」と信じ込んでいる。

 これらの親北勢力は、北朝鮮から潜入した工作員の支援を受
け、また北朝鮮に送り込まれて教育や訓練を受けている。

 その一つとして、国家安全企画部が公表しているのが李善実
事件である。李善実は朝鮮労働党序列第22位の大物女性工作
員で、1970年代の初めに日本に潜入し、在日朝鮮人と偽って、
特別在留資格を得た。その後、韓国と日本を自由に往来して、
10年以上の間、韓国内の反体制人脈に接触し、各地に朝鮮労
働党の地下組織を作った。そのメンバーの中には金大中の秘書
も入っていた。李は90年10月、ソウル近くの江華島の海岸に
迎えに来た潜水艇で北に帰った。

■9.金日成の秘密教示■

 こうした活動は、金日成が1974年に対南工作員たちに与えた
次のような秘密教示に基づくものと考えられる。

 チリのアジェンデの経験は、選挙を通じても政権が奪取
することができるという十分な可能性を見せてくれた。
・・・南朝鮮人民の反朴正熈感情をうまく誘導して名望あ
る人物を前に立てるなら、国会にいくらでも潜り込むこと
ができる。これからは対国会工作でもフラクチャア(分派)
工作にとどまらず、議席を確保する工作に転換しなければ
ならない。[1,p27]

 1998年に政権をとった金大中政権と、それに続く盧武鉉政権
が、この金日成の秘密教示の結実だと考えれば、その異常な反
日反米・親北姿勢も合点がいく。

 金日成は、その最終目標を次のように幹部たちに語っていた
という。

 連邦制を実施することにより、北と南が自由に行き来し、
自分の制度と思想を宣伝するようになれば、(JOG注:北朝
鮮)共和国は一つの思想で統一された国家であるから、少
しも影響を受けることはない。しかし、南朝鮮は、思想的
に分裂した自由の国であるために、我々が南朝鮮に行って
社会主義の優越性、主体思想の宣伝を大々的に行えば、少
なくとも南朝鮮住民の半分は奪い取ることができる。

 現在、南朝鮮の人口は我々の2倍ある。しかし、連邦制
を実施し、我々が南朝鮮住民の半分を奪取する日には、共
和国の一と、奪取した南朝鮮の住民一を合わせた二が我々
の味方になり、南朝鮮は一になる。このようになれば総選
挙をしても我々が勝つようになり、戦争をしても我々が勝
つようになる。

 金大中・前大統領は6月に再度の訪朝を計画しており、盧武
鉉大統領と結託して、北朝鮮との連邦制に踏み出そうとしてい
るのではないか、と疑われている。一方では保守派の反撃も盛
んだ。野党ハンナラ党は朴正熈の娘・朴槿恵が党首となり、5
月31日の韓国統一地方選で圧勝した。

 現在の韓国は、「連邦制」を通じて北朝鮮に併合させようと
する親北勢力と、日米との連帯を維持して自由民主主義陣営に
踏みとどまろうとする保守派勢力が激突する、まさに「内戦」
状態にある。
(文責:伊勢雅臣)


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