
『ブラッド・ダイヤモンド』
"Blood Diamond"
監督:エドワード・ズウィック
脚本:チャールズ・リーヴィット
2006年・米
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内戦に明け暮れるアフリカ西部、シエラレオネ共和国。
家族と共に幸せに暮らしていたソロモン・バンディーは、突如、反政府勢力襲撃を受ける。
村を失い、家族とも生き別れたバンディーは、捕われの身となる。
待ち受けていたのは、ダイヤ採掘場での厳しい強制労働。
しかし、バンディーは労働のさなか、大粒のピンク・ダイヤを見つける・・・。
信じられないほどの大粒のダイヤ・・・。
ほどなく、ダイヤの存在を知った者たちの間で、恐るべき争奪戦が始まる。
だが、バンディーがダイヤを隠すため、一時的にトイレにダイヤを流したことで下水が詰まり、反政府勢力の基地内の便器が次々に詰まり始めていた・・・。
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去年(2010年)1月、アンゴラで開催されたサッカーのアフリカネイションズカップで、トーゴ代表チームの乗ったバスが銃撃されて10人が死傷した時、俺は認めざるを得なかった。
アフリカ大陸を舐めていたことを。
ピッカピカのスター選手であるエマニュエル・アデバヨール(当時マンチェスターC所属)も乗ったバスが、数分間、機関銃で撃ちまくられて、蜂の巣にされとるとです。
ヒロシです。
そのニュース絡みで、さらに世界のサッカーファンが唖然としたのは・・・、
1) 襲撃の後も、普通に大会は実施されたッ。(エジプトが優勝)
2) トーゴは当然ながら代表チームの生き延びた選手たちを引き揚げさせたが、大会側は参加を要請。
勝手に帰国したトーゴ代表を失格処分としたッ。(普通、帰るやろ・・・)
3) っていうか、そもそもW杯イヤーに、何で大陸内の大会開いてんだ、この人たちッ・・・。
要は、色んな意味でまだまだ怖いの、アフリカは。
ダメっ、絶対!(←?)
本作では西アフリカにあるシエラレオネ共和国を舞台に、ダイヤに目がくらんだ悪い子ちゃんたちが、とっても悪いことをいっぱい繰り広げる。
ズンチャカズンチャカと、あのラジカセの音が聞こえてきたら、そう、あなたの背後に死のジープが近づいている。
地平線の向こうまでダッシュで逃げないと、女でも子供でも無抵抗でも、脳天を打たれたり、お手てを切られたり・・・。
こ、怖いッ。
まあ、本作上映の2006年の時点で、ディカプリオのアイドル的な人気はだいぶ沈静化してたとは思うけどさ。
それでも、もしレオ様目当てで観に行った人いたら、映画の前半でちょっと苦しんだだろうね。
いっぱい血ぃ出とるとです。
ヒロシです。
しかし、こーいう役をすすんでやりたがるよね、ディカナルド・レオプリオ・・・。
あと、サッカー・ファンにとって、シエラレオネといえば、モハメド・カロン。
昔はカーロンと表記してた。
1998-99シーズンにセリエA・カリアリでブレイク。
翌年からインテルでプレイ。
めっさキレのある点取り屋だったよね。
そんで、シエラレオネの反乱を武器及び軍事訓練で支援していたのがリベリアなんだけど。
サッカーファンにとって、リベリアと言えば、文句なしにジョージ・ウェア。
リベリアの怪人。
悪徳不動産屋じゃなくて、サッカー選手だってば。
言わずと知れた1995年のバロンドール。
2008年に福島県社会人リーグ3部のバリエンテ郡山の総監督に就任した時は、
日本中のサッカーファンが
「なんでやねん・・・!」
と叫んでズッこけたが、予想どおり
就任会見時しか来日しなかった・・・。
90年代当時、シエラレオネの場所も、リベリアの場所もよく分かってなかった俺に、カーロンやウェアは、興味の窓を開いてくれた。
そして、彼らのようなスター選手を通して、その笑顔と素晴らしいプレーの裏にある、彼らの祖国の厳しすぎる現実を知ったんだ。
本作の中で、紛争ダイヤの密売人である、主人公ダニー・アーチャー(ディカプリオ)は、アフリカを抜け出す為に、最後の仕事として大粒のピンク・ダイヤを追い求める。
しかし、同じくピンク・ダイヤを追い求めるライバル、ポイゾン大尉も言う。
「俺の顔が怖いか。それは地獄にいたからだ。この地獄を抜け出す為、俺にはそのダイヤが必要だ」
誰も彼も皆、アフリカという名の地獄から抜け出す為に、ダイヤを求めている。
カロンや、ジョージ・ウェアはサッカーの天才だった。
そうでもない限り、
血塗られたダイヤだけが、アフリカという底なし沼から這い出る唯一のパスポートだったんだ。
「カシャッ、記録シマシタ」
21世紀にもなって、何を今さらと言われるだろうけど・・・、本作でのジェニファー・コネリーは、なかなか良いと思うんだ。