
『ロード・トゥ・パーディション』
"Road To Perdition"
監督:サム・メンデス
脚本:デイヴィッド・セルフ
2002年・米
++++
1931年の冬。
イリノイ州、ロックアイランド。
マフィアのボス、ジョン・ルーニーは、優秀な部下であるマイケル・サリヴァンとその家族を、我が家族のように愛していた。
ルーニーの実の息子であるコナーは、そんなサリヴァンに激しく嫉妬。
ついに、サリヴァンの留守宅を訪ね、サリヴァンの妻と次男を殺害してしまう。
辛くも逃げのびたサリヴァン&長男は、各地を転々としながらも、コナーへの復讐を誓う。
しかし、その頃、コナーが捨てた凶器の銃が下水管に引っ掛かり、ルーニー邸の便器が詰まり始めていた・・・。
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【ネタバレ注意報】
1930年代のマフィア物という時点で、点が甘くなってしまう。
フランク・ニッティー(アル・カポネの組織幹部で、後の後継者。1888-1943)出てくるし。
意外とあんまし映画には出てこない気がするね、ニッティーは。
でも、よく、こんなオーソドックスなストーリーを、まあまあ観れる映画に仕上げたよね。
理由は簡単で、119分もあんのに無駄なシーンがワンカットも無いの。
2002年当時、監督のサム・メンデスがこう言っていた。(よー覚えとんな、俺・・・)
「最初の45分、主人公サリヴァン(トム・ハンクス)のクローズ・アップは1度きりだ。
が、それ以降は主人公の長男がだんだん彼に心を寄せていくようにそれも多くなる。
カメラは物語を語る鏡でないとね」
恐れいりました。
確かに観ているこちらと、サリヴァンの距離が縮まるんですよ、その辺から。
これで、監督2作目っていうんだから・・・ゴイスー。
(メンデスは監督デビュー作の『アメリカン・ビューティー』(1999)でアカデミー作品賞、監督賞を含む5冠)
あのラストシーンは、映画の途中から、観客全員が1mmもたがわずに完全に予想できるんだけど。
でも、ストーリーの先が見えることって、別に映画が台無しになるのと必ずしもイコールじゃないんだよね、父さん。
物語は、サリヴァンが、ルーニーからの和解の使者を、その人自身は単なるメッセンジャーだと十分知りつつ、それでも射殺するシーンからドライブし始める。
シカゴのフランク・ニッティーを頼り、支援を断られると、サリヴァンは急速に子連れ狼化する。
(言うまでもなく、この映画は日本の『子連れ狼』をモチーフにしているので)
ルーニーの依頼によりフランク・ニッティーが放ったサリヴァンへの刺客であるジュード・ロー。
彼が、サリヴァンとの銃撃戦で顔に怪我をし、最後のシーンで再登場するとき、その顔がどれくらいホラーになってるか!
・・・を皆が期待するんだけど、そこは結構、たいした事ないというオチで。
このへんはコンラッド・L・ホール(撮影監督)の美しすぎる映像も一長一短というところか。
でも、俺にとっての問題はむしろ、息子のマイケル・サリヴァン・Jr(タイラー・ホークリン)の顔が、あんまし好きくない事のほうだねッ。
アカデミー撮影賞は100%納得。
(コンラッド・L・ホールは残念ながら本作が遺作となり、授賞式には息子が出席)
しかし、作品賞にはノミネートさえされなかったのは、結構な謎だね。
サリヴァンに射殺されるルーニーの護衛たちの使えなさ加減は、驚嘆に値する。
<尼損>
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