
3/4、イングランド・プレミアリーグ第28節。
ニューカッスルのホーム、セント・ジェームズ・パークに乗り込んだマンチェスター・ユナイテッドは2-1でニューカッスルを退けた。
勝つには勝ったが、マンUのゴールキーパー、エドウィン・ファン・デル・サールの1311分間続いていた無失点記録は、この試合で途絶えた。
開始わずか9分、雪の残るピッチで遠目から放たれたホナスのシュートをファン・デル・サールが弾じき、このこぼれ球を、ロベンクランズに押し込まれた。
本当はセンターバックの2人に
「もうちょっとロベンクランズ見とけや、ゴラァ!」
と言いたい気持ちもあったと思うが、手元でワンバウンドする嫌なシュートをキャッチできなかった責任を感じるファン・デル・サールは無言だった。
俺はその昔、アヤックスにいた頃からファン・デル・サールが好きだった。
理由はよく分からないが、このファン・デル・サールというはゴールキーパーは、日本人プレイヤーとも縁深い。
2001年5月9日、セリエAのASローマに所属していた中田英寿が、トッティとの途中交代で出場したユベントス戦で胸のすくようなロングシュートを決め、イタリア中に名を轟かせた日。
この日、ゴールを叩き込まれたのが当時ユベントスのゴールキーパーだったファン・デル・サール。
このゴールを境に、ローマ移籍は失敗だったと言われていた中田の評価は一変した。
逆にファン・デル・サールはシーズン終了時にユベントスをクビになった。
そういえば、去年日本で行われたクラブ・ワールドカップのG大阪VSマンU戦で、遠藤にコロコロPKを決められたのも、ファン・デル・サールだった。
本当は余裕で決めたかった遠藤も、さすがに長身ファン・デル・サールを相手に、いつもより速めのコロコロPKだった。
しかし、俺の中で特に印象深いのが、ファン・デル・サール自身にとっては都落ち的心境で過ごしたであろうイングランドのフラム時代。
03年、当時フラムに所属していたMF稲本潤一は、ホームのミドルズブラ戦で自陣ペナルティ・エリア内でハンドを犯し、PKを与える。
「何やってんねん、イナ・・・」
つい数分前まで稲本の見事なゴール(サアの落としたボールを豪快ボレー!)で狂喜していたスタンド最前列の稲本ギャル(全員日本人)は青ざめた顔で突っ込んでいた。
しかし、敵チーム、クリスティのキックを見事に防いでくれたのが、味方ゴール・キーパー、ファン・デル・サール。
笑顔を爆発させ、たまらずファン・デル・サールに抱きついていた稲本が忘れられない。
ありがとう、ファン・デール・サール。
全然意識してないと思うけど、貴兄は日本人フットボール・プレイヤー躍進の隠れた功労者です。
■サッカー界の人々のこと
・デ・ラ・レッド(スペイン)
・ヨアン・グルキュフ(フランス)
・アルベルト・ザッケローニ(イタリア)
・中村俊輔(日本)
・マイケル・オーウェン(イングランド)
・アルベルト・アクイラーニ(イタリア)
・稲本潤一(日本)
・ウェスレイ・スナイデル(オランダ)
・エドウィン・ファンデルサール(オランダ)
・遠藤保仁(日本)