人権擁護職員大量解雇 3万人抗議
アルゼンチン
アルゼンチンのミレイ政権が新たな緊縮措置として、人権関連機関職員の大量解雇を狙っていることが明らかになり、公務員労組や、軍政時代(1976~83年)の軍による弾圧・人権侵害を追及してきた団体などによる抗議の行動が広がっています。
現地からの報道によると、政府は今月末で期限が切れる契約職員について契約更新を抑制する方針で、国家公務員組合(ATE)は、司法省だけで2000人以上が雇い止めされるとみています。
軍政反対の活動家や市民が多数収容され、拷問された首都ブエノスアイレス市内の旧海軍工科学校(ESMA)は現在、軍政の人権侵害を告発する「記憶の博物館」となっています。館内に置かれている司法省管轄の全国人権擁護局の職員も400人が削減対象となっています。
ATEや人権団体は27日、大量解雇に抗議し、人権擁護職員に連帯する集会を「記憶の博物館」前で開催。約3万人の参加者は、「働く人がいなければ記憶もなくなる」などと声を上げ、人権侵害の事実を後世に伝えることも否定するミレイ政権のやり方に強く抗議しました。
ATEのアギアル書記長は、政府の大量解雇方針について、たくさんの家族を路頭に迷わせるだけでなく、人権侵害の記憶を引き継ぐ公的政策も解体するものだと批判しました。
軍政によって拉致された子どもの行方や真相究明を求めてきた人権団体「五月広場の母親たち」のタティ・アルメイダさんは、自分たちの体験や思いを若い世代に伝えてきた活動を振り返りつつ、「団結した人民は決して打ち破れないことを示さなければならない」と訴えました。
集会参加者からは、大量解雇撤回を求める「ゼネストを」の叫びも上がりました。これを受けて、ATE首都支部のカタラノ書記長は、ゼネストも必要との考えに理解を示しつつ、「この問題は1日のストで解決はしない」と指摘し、粘り強い闘いと労働組合の組織強化の必要性を訴えました。
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