政争より国民のための政治を
自民党が“石破おろし”に揺れています。続投に意欲を示す石破茂首相に、総裁選の前倒しを求める声が上がる一方、そうした動きをけん制する発言も相次いでいます。しかし、選挙で示された民意は自民党政治そのものの転換です。自民党による悪政が続く以上、誰が総裁になっても、国民の支持は得られません。
■世論は冷ややか
石破退陣論の多くは、自民、公明の与党過半数割れの審判が下された昨年の総選挙や今年7月の参院選の責任をとって石破首相に辞任するよう求めるものです。石破首相は関税交渉などを理由に辞任を拒否しています。
自民党は、旧安倍派や旧茂木派が主導する“石破おろし”を受け、総裁選の前倒しを検討。前倒しを求める意見が過半数に達すれば総裁選実施が決まり、石破首相は事実上の退陣を迫られることになります。総裁選挙管理委員会は、総裁選の前倒しを求める国会議員は要求書面を提出し、都道府県連は機関決定したうえで伝達するとの手続きを決めました。要求書面を提出した議員名などは公表するとしています。
しかし、国民は、こうした自民党内のゴタゴタに冷ややかな視線を向けています。そもそも、総選挙に続き参院選でも自民党が敗北した要因の一つは、裏金事件に象徴される「政治とカネ」の問題に自民党が真摯(しんし)に向き合わず、国民の不信が払拭されていないことにあります。裏金づくりをすすめた議員が何の反省もなく、“石破おろし”をすればするほど、国民の反発も強まります。
8月の報道各社の世論調査では内閣支持率が上昇。「毎日」調査(23、24の両日実施)では、参院選の結果を受けて石破首相は「辞任する必要はない」と答えた人が43%で、「辞任すべきだ」の39%を上回りました。
総裁選の前倒しも自民党内の“内輪もめ”にすぎないことは、すでに見透かされています。民意をよそに、ひたすら権力闘争に明け暮れる自民党の旧態依然とした体質こそ大問題です。
■物価高対策急げ
秋の臨時国会に向けて議論しなければならない政治課題は山積みです。とりわけ国民生活を苦しめる物価高に対しては、早急に有効な対策を示す必要があります。
自民党は参院選で一律2万円の現金給付を公約しましたが、実現の見通しを示せていません。共同通信の世論調査(23、24両日実施)では、参院選で野党が掲げた消費税減税を石破政権は「受け入れるべきだ」が61・5%。「産経」とFNNの合同調査(同)では、「食料品の消費税ゼロ」24・4%、「すべての消費税率5%」32・7%、「消費税廃止」17・7%となるなど、消費税減税を求める声は依然、高いまま推移しています。しかし、消費税減税に向けた議論も進んでいません。
石破首相は「政治空白」をつくらないと居座っていますが、国民が求める政策課題が具体化されないままでは意味がありません。国民不在の権力闘争ではなく、国民のための政治に切り替えることこそ必要です。
※コメント投稿者のブログIDはブログ作成者のみに通知されます