日本共産党が3、4の両日開いた第6回中央委員会総会で採択した決議は次の通りです。
一、日本の政治の歴史的岐路と日本共産党のかけがえのない役割
参議院選挙の結果、一方で、自民党と公明党の少数への転落、他方で、危険な逆流の台頭という事態が生まれた。いま、日本の政治は重大な歴史的岐路にある。日本共産党の果たすべき役割はかけがえのないものとなっている。
自民党の混迷と危機――自公過半数割れに追い込んだ日本共産党のがんばり時
(1)自民党と公明党を、昨年の総選挙に続いて、参議院でも少数に追い込んだことは、それ自体としては、日本の政治にとって大きな前向きの変化である。
自民党への審判は、裏金問題への無反省、物価高騰に対する無為無策、アメリカ言いなりの大軍拡など、自民党の政治姿勢と政治路線が国民から拒否された結果だった。そのことへの反省もないまま、醜い権力争いに終始し、政権運営の見通しすら示せない姿は、文字通り末期的であり、この党に日本の政治のかじ取りをする資格はない。
(2)ここまで自民党を追い詰めるうえで、日本共産党の果たした役割は、きわめて大きなものがある。裏金問題の暴露と追及は、衆参での自民党の連続大敗の決定的な引き金となった。物価高や平和の問題など国民の切実な要求実現と一体に、財界中心・対米従属という自民党政治の「二つのゆがみ」の転換を求める先駆的論戦にとりくむとともに、「市民と野党の共闘」に力をそそぎ、1人区でこれまでで最多の12選挙区での勝利をかちとったことは、新しい情勢を開くうえでの大きな貢献となった。
いま自民党がおちいっている深刻な混迷と危機は、自民党内での「政権たらいまわし」によっても、一部の「野党」をとりこんでの延命策によっても、決して打開できるものではない。この状況を国民の利益にかなう方向で打開する出口は、自民党政治そのものを終わらせること以外にない。わが党はそのたたかいの先頭に立つとともに、切実な国民要求実現のためにあらゆる可能性を追求して奮闘する。自公を過半数割れに追い込むうえで大きな役割を果たした日本共産党が、いまがんばらずしてどうするか――まさに、わが党のがんばり時の情勢である。
“反動ブロック”の危険に正面から対決する“新しい国民的・民主的共同”をつくろう
(1)選挙戦で、自民党の補完勢力である国民民主党と、極右・排外主義の立場に立つ参政党などが伸長したことは、日本の政治の前途にとってきわめて重大な結果となった。自民党・公明党と、維新の会、国民民主党、参政党などによる“反動ブロック”が形成され、社会保障など国民生活の破壊、大軍拡の暴走、憲法と民主主義の蹂躙(じゅうりん)、ジェンダー平等への逆流など、日本の政治に深刻な逆行をもたらす危険が生まれている。
こうした情勢のもと、自民党政治の「二つのゆがみ」を根本から変える改革を推進すること、極右・排外主義とのたたかいを断固としてすすめること――こうした「二重の役割」を堂々と果たせるのは、日本共産党をおいてほかにない。わが党は、「時流に流されず正論を貫く党」としての役割を存分に発揮して奮闘する。
日本共産党は、こうした党独自の仕事をしっかりと行うとともに、日本の政治の歴史的岐路にあたって、市民と野党の共闘の発展のためにともに力をあわせてきたみなさん、そして国民のみなさんに心から呼びかける。思想・信条の違い、政党支持の違いを超えて、自民・公明、補完勢力、極右・排外主義勢力による“反動ブロック”の危険に正面から対決し、暮らし、平和、民主主義を擁護・発展させる、“新しい国民的・民主的共同”をつくろうではないか。地域・職場・学園など草の根からこの共同を大きく広げよう。
(2)歴史的岐路を、逆行でなく、進歩の方向で打開する条件は大いにある。それは、自民・公明はもとより、選挙で伸長した補完勢力や極右・排外主義勢力と、国民多数の願いとの間には、深い矛盾があるということである。参院選で、補完勢力や極右勢力に投票した人々の多くは、暮らしの苦しさや不安から、自民党政治に批判と不満をつのらせ、「自民党政治を変えてほしい」という思いをもっている。その願いと思いを受け止め、政治を変える希望は、「二つのゆがみ」を変える方向にこそあることを伝えるならば、事態を前向きに打開することはできる。
わが党は、昨年の総選挙の結果をうけて今年1月に開催した4中総で、「国民が自民党政治に代わる新しい政治を模索・探求する『新しい政治プロセス』が始まった。日本の政治は、大きな激動が予想される流動的局面に入った」と情勢を見定めたが、いま目の前に展開している情勢は、大局的にいえば、「新しい政治プロセス」の一断面であり、それは決して固定的なものではない。日本の政治の歴史的岐路にあって、暗黒政治への逆行を許すのか、希望ある政治への前進を実現するのかは、日本共産党の奮闘にかかっていることを、肝に銘じて、意気高く奮闘しよう。
二、参議院選挙の総括と教訓について
参議院選挙の日本共産党の結果について
参議院選挙で、日本共産党は、比例代表選挙で「650万票、10%以上、5議席獲得」を目標にたたかったが、得票で286万4千票、得票率4・84%にとどまり、改選4議席から2議席への後退となった。比例の得票数・得票率は、前回参院選の361万8千票(6・82%)、昨年の総選挙の336万2千票(6・16%)から、後退する結果となった。選挙区選挙では、東京選挙区で、都議選での全国的な支援も力として、激戦を制して勝利した。しかし、埼玉選挙区、京都選挙区で現職の議席を失った。沖縄選挙区ではオール沖縄の議席を守り抜いた。
わが党の結果はたいへんに厳しく重大な結果であり、党中央として、その責任を痛感している。支持していただいた全国の有権者のみなさん、猛暑のなか奮闘された支持者、後援会員、サポーター、読者、党員のみなさんに心から感謝を申し上げるとともに、選挙結果から総括と教訓を引き出し、次の機会には必ず前進へ転じる決意を表明する。
なぜ後退したか――三つの角度からの教訓
なぜ日本共産党が悔しい後退をきっしたか。三つの角度から参院選のたたかいをふりかえり、教訓を引き出したい。
(1)第一は、客観的な難しさがある選挙だったということである。
選挙後、候補者や党員のみなさんから、「排外主義とのたたかいは大事だった。ただ党の『メイン』の訴え――消費税、賃上げ、社会保障、大軍拡と平和などの訴えが弱くなってしまったのではないか。もっと訴えたかった」などの感想が共通して寄せられた。
わが党は、この選挙で、物価高から暮らしをどう守るか、アメリカ言いなりの大軍拡でいいのかなどの大問題を問いかけ、自民党政治の「二つのゆがみ」を正そうという太い筋を訴えて、選挙戦を始めた。党の論戦は、全体をリードし、自公を追い詰めていった。選挙戦で問われた本当の争点はここにあった。
ところが、公示直前に参政党が党首討論への参加資格を獲得し、「外国人が不当に優遇されている」などのデマにもとづいて排外主義をあおり立てるもとで、多くのメディアによって「外国人問題」が選挙戦の争点であるかのような報道がなされ、さらに極右・排外主義の勢力を「新興政党」と美化して、「既成政党対新興政党」といった偽りの対決構図が喧伝(けんでん)された。これらの「突風」は、選挙戦の真の争点を覆い隠すとともに、わが党の前進を妨げる大きな圧力となって作用した。
こうした状況のもとで、わが党は、5中総決定にもとづいて、自民党政治の「二つのゆがみ」を正す「メイン」の論戦を中心にすえつつ、極右・排外主義と正面からたたかうという論戦にとりくんだ。複雑な「突風」が吹くもとで、わが党は、「メイン」の論戦でも、極右・排外主義とのたたかいにおいても、全体として正確な論戦を展開して健闘したといえる。わが党が、突然もちこまれた排外主義とのたたかいでも、すべての人間の人権と尊厳を守りぬくという党創立以来の断固たる立場を貫いたことが、新しい方々の共感と信頼を広げたことも重要である。
ただ、複雑な「突風」が吹くという情勢のもとで、わが党の主張を広い有権者に伝えることは、たいへんに力のいる仕事だった。そしてこの仕事をやりぬくには、党の力が質量ともにあまりに不足していた。どんな状況が展開しても、党を前進させる力を質量ともにつけることを、最大の教訓としたい。
(2)第二は、「比例を軸に」を貫くうえでの弱点である。わが党は、党大会決定、4中総決定、5中総決定にもとづいて、選挙戦のなかで「比例を軸に」を貫く努力をはらってきた。日本共産党の値打ちの押し出しと一体に、比例代表で「5人全員勝利」をかちとることが国民にとっていかに大切かを訴える新しい努力も行われた。同時に、「比例を軸に」にかかわっての、いくつかの重要な反省点がある。
選挙後、候補者や党員のみなさんから、「今回の選挙で議席を伸ばした党に共通していたのは、比例選挙はもとより、選挙区選挙でも、個人を押し出すのでなく『○○党の○○』などと政党選択を前面に押し出していた。この点で日本共産党のたたかいに弱さがあったのではないか」などの声が率直に寄せられた。「比例を軸に」とは、「政党選択を前面にすえ、日本共産党そのものの支持を広げる」ということであり、指摘されるような弱点があったことは事実であり、抜本的改善が必要である。そのさい、「どういう党か」がインパクトをもって伝わるような訴えの探究・改善をはかっていきたい。
全国からの感想や意見のなかには、4中総決定が、政治論戦の基本に位置づけた、「綱領と科学的社会主義、組織原則、歴史など党の魅力を自分の言葉で語る」とりくみについて、「昨年の総選挙で『共産主義と自由』を語る新しい挑戦をしたことと比べても弱かったのではないか」という声が、少なからず寄せられた。SNSで理念問題を語る新たな挑戦も行われたが、戦略的・系統的にこの問題にとりくむうえで、弱点があったことは否定できない。
比例代表選挙を「自らの選挙」としてたたかう点でどうだったか。5中総決定でも、7月7日の常任幹部会の訴えなどでもこの問題を重視して提起したが、日常的・系統的にその推進をはかるうえで、中央の指導的イニシアチブは十分とはいえなかった。都道府県・地区委員長からのアンケートで、「自らの選挙になっていたか」について多くの反省が語られているが、この反省は、中央自身の反省として受け止めたい。
「比例を軸に」を貫く点でのこれらの弱点が、複雑な「突風」が持ち込まれたときに、党が存在感を発揮して前進することができなかった一つの要因となった。日本共産党ほど、党そのものの値打ちを豊かに語れる党はほかにない。「比例を軸に」の方針を今日の情勢にふさわしく発展させることを、選挙戦から導く大きな教訓としたい。
(3)第三は、質量ともの党建設の後退が打開できていないことである。
県・地区委員長から寄せられたアンケートでは、党の高齢化の問題をはじめとする自力の低下が、党活動や選挙活動に何をもたらしているか、その深刻さや悩みが、リアルに報告されている。私たちは、その一通一通を、胸が痛くなる思いで受け止めた。
この1年半、私たちは党大会決定にもとづいて、世代的継承を中軸とした党づくりの前進のための努力を重ねてきた。そのなかで、後にものべるように、多くの発展の芽も生まれている。しかし、全党的には、質量ともに、党勢を後退から前進へと転換できておらず、党勢の後退と選挙での後退の悪循環から抜け出すにいたっていない。
前向きの発展の芽を生かしつつ、党勢を前進へと転じ、とりわけ青年・学生、労働者、真ん中世代を党へ迎え入れていく事業を、全党の力を結集して何としてもやりとげたい。どんな政治的風波のもとでも勝ち抜くことができる質量ともに強く大きな党を建設することを、参院選の最大の教訓として銘記したい。
「三つの突破点」がどうだったか
4中総で提起した「三つの突破点」――①全有権者規模の大量宣伝、②「要求対話・アンケート」と「担い手づくり」、③SNSの抜本的強化の活動がどうだったか。
(1)マイ宣伝カー・マイ宣伝サイクルなどによる「声の宣伝」は、4中総が提起した「100世帯に1カ所」の宣伝を、全国的に公示日までにやりとげた。これは全党の大奮闘による重要なとりくみとなった。
(2)4中総決定で戦略的大方針として打ち出した「要求対話・アンケート」の活動が、大きな力を発揮した。“新しい結びつきができ、若い世代との接点もできた”“従来の一方的な支持のお願いよりも対話が弾み、「担い手」も広がった”“新しい支持者が発見でき、地域の「政治地図」ができた”“職場の労働者とも無理なく政治の話ができた”など、豊かで多面的な党活動の変化をつくりだしたことはきわめて重要である。後援会活動の強化にもつながった。
「要求対話・アンケート」の威力は、全国からの報告でも党員、党組織の共通の確信となっている。同時に、まだ全支部の運動にはなっていないことも報告されている。この戦略的大方針を、文字通り、全党の運動に広げ、継続的に発展させることが重要となっている。
(3)SNSの活用では、SNS講座が全国的にとりくまれ、党公式のショート動画やPVでも、候補者の発信でも、昨年の総選挙と比べて格段に強まった。わが党には、他党の追随を許さない政策の豊かさ、党そのものと候補者の魅力があり、奮闘いかんでは広い有権者に届けられることが示された。同時に、SNSの影響力を駆使して党勢の伸長をはかった政党との力の差は大きい。とりわけ党や候補者の発信を切り抜き、ショート動画をつくり拡散してくれる人の規模には大差がある。SNS強化のとりくみは第一歩を踏み出したところであり、日常的・系統的なとりくみの抜本的強化をはかっていく。
総選挙、統一地方選挙、中間選挙について
(1)解散・総選挙がいつあってもよいように、すべての比例ブロックで現有議席の絶対確保と議席増、全ブロックでの議席獲得に向けて、その準備を開始する。
(2)地方議員は、住民の利益にこたえて地方政治を動かす住民の命綱であるとともに、わが党の自力の中核でもある。地方議員選挙で後退傾向にピリオドを打ち、着実な前進へと転ずることは、いま全党が力をそそいでやりぬかなければならない緊急の死活的課題である。
2027年春の統一地方選挙に向けて、政治目標と候補者決定を急ぐ。参議院選挙の比例得票を出発点として、議席獲得のために必要な得票目標をただちに持ち、「三つの突破点」にもとづく活動をはじめ、その実現のための活動を開始する。候補者決定にあたっては、議員の悩みにこたえて親身な相談を行うことが大切である。地方議員団会議をしっかりともち、よく学び、協力して議員団活動が前進できるよう、党機関が援助をつくすことを訴える。
来年にかけて中間選挙が集中する。沖縄県では26年9月に、県知事選および沖縄統一地方選挙がたたかわれる。一つひとつの中間選挙で、日本共産党が議席や得票を伸ばすために力をつくす。
三、新たな情勢のもとで、要求実現のたたかいと連帯を広げよう
「要求対話・アンケート」にとりくみ、多面的な要求運動を
参議院選挙に向けて戦略的大方針としてとりくんだ「要求対話・アンケート」を、新しい情勢のもとでさらに発展させよう。すべての支部が、消費税、働き方、社会保障、教育、子育て、住まい、米と農業、ジェンダー、平和、気候危機から、地域の身近な要求まで、草の根で語り合い、国民の苦難軽減の立党の精神にたって、要求実現のとりくみをすすめよう。住民アンケートや生活相談も積極的に位置づけよう。
直面するたたかいの課題――新しい条件を生かして
(1)消費税減税・インボイス廃止。参議院選挙の結果、衆参両院で、何らかの形で消費税減税を公約に掲げた政党が多数となる、かつてない状況が生まれた。公約に掲げたすべての政党は、その責任を果たすのかどうかが鋭く問われている。攻めに攻めるたたかいに打って出よう。「消費税減税・インボイス廃止」の国民的な世論と運動を広げる先頭にたって大奮闘しよう。
消費税減税が現実的な課題となるもとで、財源をどうするかがいよいよ問われる。日本共産党の財源提案をおおいに語り、「もうかっている大企業と富裕層への減税・優遇をただせ」の声を広げよう。
(2)賃上げと労働時間短縮――労働者への富の分配をもっと増やせ。2025年度の最低賃金の目安は全国加重平均1118円、ドイツ・イギリス・フランスなどの2分の1程度という低水準である。政治の責任で中小企業の賃上げへの直接支援に踏み出すとともに、労働者のなかで「賃上げも時短も」のたたかいを広げよう。
大企業は、この10年間で、利益を2倍に増やし、株主配当も2倍に増えているのに、労働者の賃金はほとんど上がっていない。労働分配率は、51年ぶりの低水準となっている。過去最高の賃上げと言いながら、労働分配率は低下し、搾取がいよいよ過酷になっている。「税と社会保障による富の再分配」とともに、「労働者への富の分配をもっと増やせ」と正面から求めてたたかおう。
(3)医療・介護の危機打開へ、立場の違いを超えた共同を。自民党政治による社会保障費連続削減のもとで、医療、介護の基盤崩壊を打開することは、一刻の猶予も許されない緊急の課題となっている。「医療費大幅削減」「OTC類似薬の保険外し」など、危機に追い打ちをかける冷酷非情な施策を推進しようとしている自民・公明・維新・国民民主・参政の暴走を、国民の世論と運動で包囲しよう。
注目すべきは、医師会・病院会など医療機関、介護施設の事業者、自治体関係者など、保守の方々も含めて、危機打開を求める切実な声があがっており、幅広い共同の条件が広がっていることである。医療・介護の危機を打開するために、立場の違いを超えた幅広い共同をつくるために奮闘しよう。
(4)大軍拡ストップ!「東アジア平和提言」を生かした外交で平和を。トランプ米政権は、世界の平和秩序も経済秩序も根底から壊す勝手放題を続けている。トランプ大統領のアメリカ言いなりを続けていいのかは、いま日本が直面する大問題である。
トランプ政権言いなりの大軍拡が、いよいよ国民との矛盾を広げている。GDP比3・5%以上、年間21兆円の大軍拡が実行に移されれば、暮らしの予算の壊滅的削減だけでなく、途方もない大増税、国家財政の大破綻が必至となる。8月29日、憲法違反の敵基地攻撃ミサイルの配備計画が、地元へのいっさいの説明もなく一方的に発表されたが、日本国民を危険にさらす動きは絶対に容認できない。大軍拡反対の国民的大闘争を起こすことを心から呼びかけるとともに、その先頭に立って奮闘する決意を表明する。
戦争の準備でなく、平和の準備こそ必要である。この間、わが党の「東アジア平和提言」の内容を、中国政府や韓国政府に直接伝えることを含めて内外に広げ、対話によって東アジアに平和をつくる努力をすすめてきたことは重要である。憲法9条を生かした平和外交の実践をさらに発展させるとともに、外交によって平和を創出することを求める草の根からの対話を広げ、国民の世論と運動を広げよう。
「戦争か、平和か」の歴史的岐路――国際連帯の新たな発展を
いま世界は、文字通り、「戦争か、平和か」の歴史的岐路に立っており、世界の平和・進歩勢力の前進と連帯がこんなにも求められているときはない。
核兵器禁止条約を推進し、一刻も早い日本の参加を実現するために全力をつくす。その最大のカギは、「核抑止」論の克服にある。被爆80年の夏、広島市、長崎市で行われた平和記念式典でも、原水爆禁止世界大会でも、「核抑止」論への厳しい批判が行われた。「核抑止」論が、核兵器の非人道性の告発とは両立しえないものであることにくわえて、「安全保障」の見地でも、「核抑止が失敗する可能性があるという事実には疑いの余地がない」(核兵器禁止条約第3回締約国会議への報告)ものであって、その合理化論が成り立たないことを広く明らかにしていくことが重要である。
ロシアによるウクライナ侵略を終わらせるための一刻も早い停戦と、国連憲章と国際法にもとづく公正な和平を強く求めてたたかう。イスラエルによるガザでのジェノサイド(集団殺害)を最大の言葉で強く非難するとともに、この恐るべき戦争犯罪を止めるために、国連決議にもとづくイスラエルへの国際的制裁の抜本的強化、日本がパレスチナの国家承認にただちに踏み出すことを強く求める。
極右・排外主義とのたたかいの基本姿勢について
極右・排外主義の台頭は、日本だけの問題ではない。欧米諸国を含め、世界的な逆流として起こっている。同時に、欧米諸国で、左翼・進歩勢力が中心にたって、人権と民主主義を擁護するたたかいが起こっていることは重要である。
極右・排外主義の台頭は、弱肉強食の新自由主義と、それにもとづくグローバリゼーションが、ごく一部の超富裕層と大企業に巨額の富を集中しながら、99%の人々を貧しくし、目のくらむような格差を広げ、無残な破綻に直面していることの、反動的なあらわれにほかならない。
くわえて、日本の極右・排外主義は、日本軍国主義による侵略戦争と植民地支配を美化し、戦前の専制政治への回帰を志向する点で、欧米にない特異な時代逆行性で際立っている。いま日本で私たちが目にしている極右・排外主義の台頭は、社会的・経済的・歴史的な根をもっており、「一過性」のものと軽視することはできない。日本共産党は、次の三つの基本姿勢を貫いて本腰を入れて極右・排外主義とたたかう。
第一は、極右・排外主義の危険性を、事実に基づいて明らかにすることである。たとえば参政党は、「新日本憲法(構想案)」で、天皇を「神聖な存在として侵してはならない」とし、「日本を大切にする心を有する」ことを「国民の要件」とするなど、国民主権も基本的人権も否定し、外国人への差別もあからさまに明記している。また「生活保護で外国人は優遇されている」「外国人が増えたから犯罪が増えた」など、ウソとデマで外国人への憎悪をあおっている。これらを事実にもとづいて一つひとつ国民に伝えていく努力が必要である。
第二は、「政治を変えてほしい」という「願いを共有」し、それを実現する「希望を届ける」ことである。極右・排外主義の政党に一票を投じた有権者の多くは、自民党政治が進めている国民犠牲の政策への怒りからのものである。「この生活苦を何とかしてほしい」という「願いを共有」し、その原因は決して「外国人」にあるのでなく、自民党政治にあることを明らかにし、この政治を変えることにこそ解決の道があるという「希望を届ける」ことが大切である。極右・排外主義の「生みの親」も「育ての親」も自民党であり、自民党政治と正面からたたかい、この政治を変える展望を示すことにこそ、極右・排外主義を克服する最も根本的な道がある。
第三に、極右・排外主義勢力による差別やヘイトに反対し、人権と多様性を大切にする社会をつくりたいと願う運動が、市民のなかに広がっている。自治体関係者や企業の中にも、デマやフェイクで外国人を差別することへの批判が広がっている。差別やヘイトに反対する幅広い市民的連帯をつくりだし、国民の理性と良識の力を結集して危険な潮流を包囲することを心から呼びかける。党は、運動が、市民的モラルを守り、広い人々に共感される方向で発展するよう、積極的役割を果たす。
四、党建設の前進へ――「質量ともに強大な党をつくる集中期間」を呼びかける
第30回党大会の時期について
第30回党大会は、「党大会は……二年または三年のあいだに一回ひらく」との党規約第19条にもとづき、2027年1月に開催することを提案する。規約にもとづく正式な招集、および招集日と議題の提案は、大会開催の3カ月前までに行うこととする。
27年4月の統一地方選挙が行われる都道府県・地区委員会は、原則として現在の機関体制でたたかう。
「質量ともに強大な党をつくる集中期間」の呼びかけ
第6回中央委員会総会は、2025年9月~12月末までを「世代的継承を中軸に、質量ともに強大な党をつくる集中期間」とし、全党の力を集めて必ず成功させることを呼びかける。
(1)「集中期間」の目標は、次のとおりとする。
①党員拡大では、全党の力で世代的継承にとりくみ、毎月現勢で前進し、5千人の新しい党員を迎える。
②「しんぶん赤旗」読者拡大では、「紙」と電子版の合計で日刊紙、日曜版とも第29回党大会現勢を回復・突破する。日刊紙は1万人、日曜版は「紙」で2・7万人、電子版で3万人を増やす。
③党大会決定の具体化・実践としてとりくんできた二つの『Q&A』――『いま「資本論」がおもしろい』(赤本)、『共産主義と自由』(青本)を、すべての党機関と支部で学習するとともに、青年・学生、労働者はじめ国民のなかに広げる。
(2)「集中期間」は、日本とわが党の前途にとって、文字通り命運がかかったものとなる。
第一に、日本の政治の歴史的岐路を前向きに打開するためには、自民党政治の「二つのゆがみ」を根本から変える改革を推進し、極右・排外主義とのたたかいを断固としてすすめる――「二重の役割」を果たす日本共産党が、地域・職場・学園に根をはった強大な党へと前進することが、どうしても必要である。
第二に、参議院選挙の悔しい結果、その教訓を踏まえるならば、自力の後退と選挙での後退の悪循環を、ここでどうしても断ち切り、世代的継承を中軸にすえて強く大きな党をつくり、その力で選挙に勝つという好循環に転ずることがどうしても必要である。
第三に、第29回党大会(2024年1月)で決めた党建設の目標――第30回党大会までに、党勢を前進の軌道にのせ、第28回党大会現勢(27万人の党員・100万人の「しんぶん赤旗」読者)の回復・突破をやり遂げるには、いまここで党員拡大でも読者拡大でも、確かな前進に転ずることが不可欠であり、そのことは大会決定に対する全党の責任である。
「集中期間」をどう成功させるか――双方向・循環型で全党の知恵と力を集めて
「集中期間」をどうやって成功させるか。中央委員会として、参院選のたたかいをふまえて、全国の都道府県、地区委員会から寄せられたアンケートを全面的に受け止めて、深く学び、方針を提案したい。
アンケートには、世代的継承の遅れと高齢化にともなう深刻な困難――支部指導部をはじめ党組織の崩れ、配達・集金活動の困難、選挙スタッフ確保や機関財政の困難などがたくさん報告されており、事態の打開は一刻の猶予も許されないと、痛切な思いで受け止めている。同時に、まだ一部であっても、「世代的継承はできる」「強く大きな党はつくれる」という希望を抱かせるたくさんの芽が生まれていることが記されていることも特徴だった。
困難を直視しつつ、生まれつつある発展の芽に確信をもち、それをどうやって広げ、大きな流れにしていくか。目標をいかにしてやりぬくか。双方向・循環型のとりくみを貫き、実践をつうじて、みんなでその回答を見つけ出していきたい。中央委員会は、全党の知恵と力を集めて、探究と開拓をすすめ、「集中期間」を成功させるためにあらゆる力をつくす決意である。この立場で以下、具体的に提案する。
世代的継承を中軸とした党員拡大――生まれている発展の芽を大きくのばそう
世代的継承を中軸とする党員拡大では、「対象者がいない」「若い世代につながりがない」ことが一番の悩みとなっている。全国で生まれている次のような発展の芽をのばしていくことを呼びかけたい。
(1)「要求対話・アンケート」のとりくみが、新しい結びつきを広げ、入党や購読の働きかけにつながる経験が生まれている。シールアンケートを使った対話が、訪問でも、街頭宣伝、大学・職場門前宣伝でも積極果敢にとりくまれ、高校生や大学生、青年労働者、現役世代と次々に対話になり、民青同盟への加盟や「しんぶん赤旗」の購読につながっている。全国1万7千の支部と2200人の地方議員が日常的にとりくめば、若い世代、新しい人々との結びつきを、かつてない規模で広げていくことができる。
「要求対話・アンケート」のとりくみと一体に、さまざまな楽しいイベント、まつり(フェスティバル)にとりくみ、交流と連帯を広げることも、大切な活動である。
参議院選挙をともにたたかったJCPサポーター、選挙ボランティアが、選挙後、「自分も何かしたい」と入党している経験が各地で生まれている。対話や宣伝で、JCPサポーター、選挙ボランティアを日常的に広げていく。
(2)若い世代を対象にした「ミーティング」や「集い」の開催をきっかけにして「つながり名簿」づくりにとりくみ、世代的継承への系統的な働きかけが始まっている。「つながり名簿」をつくる努力をしているところでは、党が持つ若い世代との結びつきが可視化され、要求対話で結びつき、後援会やサポーターへのお誘い、綱領・科学的社会主義の学習など、系統的に入党を働きかける推進力になっている。
若い世代を対象にした「ミーティング」や「集い」が、支部の入党の働きかけへの挑戦を励ます大きな力となるとともに、党組織あげたとりくみの節目となっている。若い世代、真ん中世代の党員の活動参加に努力し、「ミーティング」の企画・運営について、みんなで知恵を出し合い、実態と要求を共有し、楽しい企画となるよう主体的にとりくんでいることは、とても重要である。そのことを通じて、同世代への働きかけに踏み出し、同世代から信頼されるリーダー集団がつくられているのは大きな希望である。
(3)職場・労働者の分野ごとの「集い」が、職場でのたたかいと労働者の中での党づくりに新たな息吹をもたらしている。この間の建設労働者、教職員、保育関係者などの「集い」では、各分野ごとに、職場の苦難や要求にこたえた労働運動の発展方向を明らかにし、日本共産党の役割を語り合ったことによって、労働者党員と職場支部の誇りを深いところから励まし、選挙への決起や入党への決意を後押ししている。
このとりくみを、医療・介護・福祉などケア労働者、自治体労働者、民間経営など、労働運動の他の分野に広げ、労働者階級の多数を結集することを視野にいれて発展させることは、世代的継承のみならず、日本社会の民主的改革にとってきわめて大きな意義をもつ。都道府県単位だけでなく、地区単位、職場・地域単位(支部単位)での開催にも踏み出すならば、さらに大きな可能性が開かれる。女性、業者、農業、文化・スポーツ・知識人など、国民運動の各分野ごとに「集い」を開いていくことも重要である。
職場・労働者、国民運動の各分野の「集い」を推進していくさいには、党大会決定が強調した、切実な要求の実現、運動を担う組織の前進・強化、結びつきを生かした党勢拡大、市民的モラルを大切にするという、国民運動に参加するさいの原則を重視することが大切となっていることを強調したい。
(4)学費値上げに反対する学生の自主的運動がさらに発展している。「学生オンラインゼミ」に、チラシや看板を見て自ら参加するなど、資本主義の矛盾の深まりへの関心、『資本論』への注目が高まっている。
すべての都道府県、大学のある地区委員会が、学生党支部を建設・強化するために力を尽くすことを呼びかける。学生支部・党員は、学費値上げ反対など学生の切実な要求にこたえる運動を起こすとともに、社会科学研究会や『資本論』読書会をつくることに挑戦しよう。学生党組織は、毎年必ず卒業生を送り出すことが大切な任務のひとつであり、毎年、毎年の系統的な援助と、そのための体制確立が欠かせない。党機関は、学生支部・学生党員への党活動と学生生活の相談・援助を強めよう。
どの地区委員会の活動地域にも高校はある。平和・核兵器廃絶をめざす活動の広がりなど、高校生のエネルギーも高まっている。党として、高校生の結集と援助の方針をもち、民青の高校生班づくりと党員拡大にとりくもう。
(5)党員拡大運動を、すべての支部・グループが参加する全党運動に発展させることは、この分野で前進への画期をつくりだすうえで、どうしても必要である。前述の(1)から(4)のすべての活動において、党機関と党支部が協力・共同してとりくみを推進し、「支部が主役」の活動に発展させよう。
すべての支部が、「要求対話・アンケート」、「集い」や「つながり名簿」など、発展の芽に学んだ活動を具体化し、「党員拡大・入党の働きかけの日常化」をはかり、「集中期間」で新しい党員を増やそう。青年・学生むけ、労働者むけの二つの「入党のよびかけ」を大いに活用しよう。
党規約どおりの入党の働きかけを重視し、新入党員の支部活動への確実な参加、新入党員教育をはじめ学習と成長を援助しよう。週1回の支部会議の開催をはじめ、「党生活確立の3原則」を実践する努力を強め、迎え入れた新しい同志が初心を生かしてともに成長できる党へと発展する努力を行おう。党内でハラスメントを根絶し、ジェンダー平等を前進させる自己改革は途上である。引き続きこの努力を強めよう。
民青同盟への援助を抜本的に強めよう
(1)民青同盟は、この間、4回におよぶ「学生オンラインゼミ」を成功させて、青年・学生の中に科学的社会主義や党綱領を学ぶ喜びを広げるとともに、学費問題や平和問題などの要求実現にとりくみ、積極的な対話によって次々と同盟員を増やし、参議院選挙でも青年・学生の願いをかかげて生きいきとたたかうなど、青年・学生の民主的結集でかけがえのない役割を発揮している。
現在、同盟員現勢は7000人となっており、「数万の民青」を展望し、まず今年11月に予定される第49回大会までに年間拡大目標4000人を達成し、現勢1万人をめざして奮闘している。この目標の達成を、民青と党の共同の事業として必ずやり抜こう。
(2)民青同盟の奮闘にこたえ、現勢1万人の峰を達成するために、いま最も求められている援助は、民青のなかで党員を増やし、民青の発展の中心になるリーダーをつくることである。党として、民青同盟員への学習の援助を最重点課題にすえ、知的・政治的・人間的な信頼関係をつちかい、青年・学生を党に迎えることに特別の力を注ごう。全国311の党地区委員会のすべてが、対応する民青班をつくり、地区党内の知恵と力を結集して民青を援助し、青年・学生党員を迎えよう。
日曜版電子版の発行と、電子版読者システム導入を、読者拡大の画期に
(1)10月から始まる日曜版電子版の発行と電子版読者システム導入は、「しんぶん赤旗」中心の党活動を発展させ、読者拡大と世代的継承にとって、まったく新しい条件をもたらすものとなる。
一つは、この間の「しんぶん赤旗」への社会的評価の高まりのなかで、党と「赤旗」に注目をよせてきた広範な国民――とりわけ「電子版なら読みたい、読める」という人が多くいる若い世代や労働者に、思い切って読者を広げることができる。配達体制の確保の心配がなく、全国どこでもつながりを生かして増やすことができるのも、電子版の利点である。
二つは、電子版読者システムによって、地区と支部が、日刊紙電子版もふくめ、電子版読者と結びつくことが可能となる。読者の希望にそくして、集金活動などで結びつき、ニュースやメール、LINEで地域の情報やイベント、「集い」や「ミーティング」、演説会などを知らせ、要求にもとづく協力・共同・連帯の関係をきずけるようになる。これによって地区と支部は、世代的継承の新しい可能性を広げていくこともできる。電子版読者を増やし日常的に結びつく活動が、地区や支部の党づくりに太く位置付けられるならば、他紙の電子版にはない、わが党ならではの組織的な力を発揮した読者拡大ができる。
これらの条件を生かし、日曜版電子版がスタートする10月に2万人、年内に3万人、そして早期に5万人にすることを目標に、全国すべての支部、党員が結びつきを生かして、一気に読者を増やそう。
(2)「紙」の「しんぶん赤旗」の事業を守り、発行危機を打開することは、「日刊紙電子版」「日曜版電子版」を発行し発展させていく土台である。「100万人読者」の回復へ、「紙」の日曜版を後退させることなく、「紙」と「電子版」の双方の前進をかちとる見地で、必ず前進させよう。4中総決定が呼びかけた「しんぶん赤旗」発行危機打開の「10億円募金」を達成しよう。
「しんぶん赤旗」の発行とともに、党と「赤旗」の発展に欠かすことのできない配達・集金活動の危機を打開するため、全党と読者・後援会員のみなさんのご協力を心から訴える。
学習を中心とした党の質的強化――「学びたい」という思いにこたえて
(1)参院選の結果をうけて、「もっと党を語る力をつけたい」などと、かつてなく「学びたい」という思いが高まっている。この思いにこたえて、支部での学習を大いに強化し、県・地区党学校などを積極的に開催し、綱領、規約、党史、科学的社会主義の4分野での学習を抜本的に強めよう。すべての党員が、どんな情勢のもとでも、揺るがない綱領的確信、世界観的確信をもって活動できる党員に成長することをめざそう。
(2)昨年、今年と、連続して行われた民青同盟主催の「学生オンラインゼミ」と、それをまとめた『Q&A いま「資本論」がおもしろい』(赤本)、『Q&A 共産主義と自由』(青本)は、党綱領の未来社会論を発展させた第29回党大会決定の具体化・実践としてとりくまれてきたものである。二つの『Q&A』を読み、学習し、国民のなかに広げる大運動にとりくもう。これらの文献を活用して、“日本でも『資本論』を読むムーブメントをつくり出す”“党綱領のめざす未来社会の魅力を広く国民に伝えていく”という壮大な事業に挑戦することを呼びかける。
このとりくみは、日本共産党の前途を開くうえでも、日本の革命の事業の将来を展望しても大きな意義を持つ。
第一に、世代的継承を中軸にした党づくりを推進する大きな力となる。党大会決定は、長期にわたる党勢後退の要因を分析し、主体的要因とともに、「客観的要因の最大のものとしては社会主義・共産主義の問題がある」ことを明らかにした。この問題でのマイナスを巨大なプラスに変え、資本主義の矛盾とその打開の法則、党綱領の未来社会論の真の魅力を広い国民に伝えることは、党建設を後退から前進に転ずる大きな力になる。
第二に、社会変革の主体である労働者階級に、労働者としての階級的自覚と誇りを広げることは、民主主義革命を実現し、さらに社会主義的変革にすすむうえで、不可欠である。そしてこの仕事を推進することは、科学的社会主義を理論的基礎とする労働者階級の党――日本共産党の重大な責務である。このとりくみを、そうした大きな展望のなかに位置づけ、日本を変える一大プロジェクトとしてとりくむことを訴える。
支部と党機関での学習とともに、国民の中に二つの『Q&A』を広げるダイナミックな運動に挑戦しよう。青年・学生、労働者の中で『Q&A』の読書会を開き、『資本論』を読むとりくみを広げよう。労働組合や労働者教育運動と協力し、労働学校などのとりくみを発展させよう。講師資格試験も大いに力にしよう。
一人ひとりの党員を宝のように大切にし、世代間の協力をすすめれば必ず活路は開ける
(1)都道府県・地区委員長アンケートでは、高齢化による困難が報告される一方、ベテラン党員、高齢党員が党を支えるうえでかけがえのない役割を発揮していること、党の世代的継承にとっても素晴らしい潜在的な可能性をもっていることが、これらの同志への強いリスペクトとともに報告された。
多くのベテラン党員、高齢党員が、民青同盟の食料支援への援助、シールアンケート対話や署名活動、自らのつながりへの働きかけなど、さまざまに工夫して若い世代との結びつきをつくり、広げている。若い世代、真ん中世代の党員の悩みを聞き、仕事や子育ての苦労に親身に寄り添いながら、党員としての生き方を支え、励ましている。1960年代から70年代に入党し、多くの試練にたえて、党の発展を支えてきた同志のみなさんが、自らの党員人生をかけて、また、それぞれの同志の置かれている条件にそくして、力をあわせて世代的継承という大事業をやりとげることを心から訴える。
(2)中央委員会に、「支部活動の手引き」を読み返したという82歳の党員から次の手紙が届いた。
「党は高齢化しているということですが、生きているんです。家族、ご近所、友人、町内会、ボランティア、趣味の会、等でつながっています。生きている限りはつながりはきれない。……高齢化するほど共産党が弱くなる。おかしいです。今こそ、支部の一人ひとりを宝のように見ることが大切なことではありませんか」
ベテラン党員、高齢党員、若い世代、真ん中世代の党員の一人ひとりをすべて宝のように大切にして、みんなで力をあわせるならば、世代的継承の活路は必ず開ける――これが、私たちの強い実感である。
世代の違いを超えて、全党のすべての力を結集し、世代的継承を中軸とする党づくりの前進を必ず切り開こうではないか。
党機関――「三つのスローガン」での活動強化をすすめよう
機関体制の弱まりや議員活動との両立など、困難が少なくないなかでも、世代的継承と党づくりで党機関がイニシアチブを発揮し、着実に前向きの変化をつくっているところでは、共通の教訓がある。
それは、第29回党大会決議が明らかにした党機関活動を改善・強化する「三つのスローガン」――「双方向・循環型で支部を援助する党機関になろう」「政治的・思想的に強い党機関になろう」「若い世代、女性役員が生き生き活動し成長する党機関になろう」にもとづく努力を貫いて、党機関の指導力量の向上をはかりながら党活動を推進していることである。
一回一回の機関会議を全員出席で成功させることはもちろん、学習と政治討議を最優先課題として大切にし、目標や方針について納得のゆくところまで時間をとって丁寧に議論し、互いの実践に学び励まし合える機関会議にしよう。昨年9月の「全国地区役員講座」の内容を改めて学び、「集中期間」の目標達成にふさわしいイニシアチブを発揮できる党機関になることを強く訴える。中央委員会は地方党機関のみなさんと苦楽をともにし、ともに学びあいながら前進をかちとる決意である。
「質量ともに強大な党をつくる集中期間」を、党のすべての力を総結集して必ず成功させ、日本社会の希望ある未来をつくるうえで、日本共産党がその力強い推進者として新たな力をえて前進することができるように、ともに力をあわせて奮闘しよう。