質量ともに強大な党をつくる「集中期間」(9~12月)の成功へ
共産党が6中総開く 田村委員長が決議案を提案
日本共産党は3日、党本部で第6回中央委員会総会を開きました。会期は4日までの2日間。田村智子委員長が幹部会を代表して、中央委員会総会決議案を提案し、“反動ブロック”の危険に正面から対決し、暮らし、平和、民主主義を擁護・発展させる“新しい国民的・民主的共同”をつくろうと呼びかけました。第30回党大会を2027年1月に開催することを提案し、これを踏まえた「質量ともに強大な党をつくる集中期間」(今年12月末まで)を提起。志位和夫議長が欧州での極右・排外主義とのたたかいや、党建設で前進をつくるうえで討論を深めるための問題提起の発言を行いました。

(写真)6中総決議案の報告をする田村智子委員長=3日、党本部
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田村氏は、第1章「日本の政治の歴史的岐路と日本共産党のかけがえのない役割」、第2章「参議院選挙の総括と教訓について」、第3章「新たな情勢のもとで、要求実現のたたかいと連帯を広げよう」、第4章「党建設への前進へ―『質量ともに強大な党をつくる集中期間』をよびかける」―の四つの柱で構成される決議案を読み上げて報告しました。
がんばり時の情勢
第1章で決議案は、参院選の結果、一方で自民党と公明党の少数への転落、他方で危険な逆流の台頭という事態が生まれ、「日本の政治は重大な歴史的岐路にある」とし、日本共産党の果たすべき役割はかけがえないものとなっていると指摘しました。
自民党への審判は「政治姿勢と政治路線が国民から拒否された結果だ」とし、反省もないまま醜い権力争いに終始し、政権運営の見通しすら示せない自民党に日本の政治のかじ取りをする資格はないと強調。「この状況を国民の利益にかなう方向で打開する出口は、自民党政治を終わらせること以外にない」として、自公を過半数割れに追い込むうえで大きな役割を果たした日本共産党のがんばり時の情勢だとのべています。
自民党・公明党と日本維新の会、国民民主党、参政党などによる“反動ブロック”が、社会保障など国民生活の破壊、大軍拡の暴走、憲法と民主主義の蹂躙(じゅうりん)、ジェンダー平等への逆流など、日本の政治に深刻な逆行をもたらす危険が生まれていると指摘。この情勢のもと、▽自民党政治の「二つのゆがみ」を根本から変える改革を推進すること▽極右・排外主義とのたたかいを断固としてすすめること―の「二重の役割」を堂々と果たせるのは、日本共産党をおいてほかにないと強調しています。
その上で、日本政治の歴史的岐路にあたって、市民と野党の共闘で力をあわせてきた市民や広範な国民に「思想・信条の違い、政党支持の違いを超えて、自民・公明、補完勢力、極右・排外主義勢力による“反動ブロック”の危険に正面から対決し、暮らし、平和、民主主義を擁護・発展させる“新しい国民的・民主的共同”をつくろう」と呼びかけました。
そして、歴史的岐路を「進歩の方向で打開する条件は大いにある」とし、参院選で補完勢力や極右勢力に投票した人々の多くは、暮らしの苦しさや不安から自民党政治に批判と不満をつのらせ、「自民党政治を変えてほしい」という思いを持っていると指摘。その願いと思いを受け止め、政治を変える希望は「二つのゆがみ」を変える方向にこそあることを伝えれば、事態を前向きに打開することはできると力説しています。

(写真)報告する田村智子委員長=3日、党本部
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三つの角度からの教訓
第2章の参院選の総括と教訓について決議案は、なぜ悔しい後退を喫したのかについて、▽客観的な難しさがある選挙だった▽「比例を軸に」を貫くうえでの弱点▽質量ともの党建設の後退が打開できていない―の三つの角度から参院選のたたかいを振り返り、教訓を引き出しています。
客観的な難しさについては、参政党が公示直前に党首討論への参加資格を獲得し排外主義をあおり立てるもとで、多くのメディアで「外国人問題」が選挙戦の争点であるかのような報道がなされたこと、極右・排外主義勢力を「新興政党」と美化し、「既成政党対新興政党」という偽りの対決構図がつくられたことなど、「突風」が起こったことを指摘し、これが党の前進を妨げる大きな圧力となったと指摘しました。
「比例を軸に」を貫くうえでの弱点について決議案は、選挙後、候補者や党員から、議席を伸ばした党が選挙区選挙でも政党選択を前面に押し出していたことを挙げ「この点で日本共産党のたたかいに弱さがあったのではないか」などの声が率直に寄せられたと指摘。「比例を軸に」とは「政党選択を前面にすえ、日本共産党そのものの支持を広げる」ということであり、指摘されるような弱点があったのは事実であり抜本的改善が必要だとしました。「比例を軸に」の方針を今日の情勢にふさわしく発展させることを選挙戦から導く大きな教訓だとしています。
また、選挙活動での「三つの突破点」がどうだったのかも指摘。戦略的大方針として打ち出した「要求対話・アンケート」活動が大きな力を発揮し、豊かで多面的な党活動の変化をつくりだした一方、SNSの活用では、伸長した政党との力の差は大きいと指摘し、日常的・系統的な取り組みの強化を訴えました。
極右・排外主義とのたたかいの基本姿勢
第3章「新たな情勢のもとで、要求実現のたたかいと連帯を広げよう」では、「要求対話・アンケート」を新しい情勢のもとでさらに発展させ、すべての支部が要求実現の取り組みを進めようと提起。直面するたたかいの課題として、▽消費税減税・インボイス廃止▽賃上げと労働時間短縮―労働者への富の分配をもっと増やせ▽医療・介護の危機打開へ、立場の違いを超えた共同を▽大軍拡ストップ!「東アジア平和提言」を生かした外交で平和を―を挙げ、世論と運動を広げようと訴えています。
また、世界の平和・進歩勢力との国際連帯も呼びかけました。
極右・排外主義とのたたかいの基本姿勢についても解明。極右・排外主義の台頭は、弱肉強食の新自由主義と、それに基づくグローバリゼーションが、ごく一部の超富裕層と大企業に巨額の富を集中しながら、99%の人々を貧しくし、目のくらむような格差を広げ、無残な破綻に直面していることの反動的な現れにほかならないとするとともに、侵略戦争と植民地支配を美化するなど、欧米にはない時代逆行性が際立っているとのべています。そして、日本共産党は三つの基本姿勢を貫いて本腰を入れて極右・排外主義とたたかうとしています。
第一は、極右・排外主義の危険性を事実に基づいて明らかにすることです。
第二は「政治を変えてほしい」という「願いを共有」し、それを実現する「希望を届ける」ことです。極右・排外主義の「産みの親」も「育ての親」も自民党であり、自民党政治と正面からたたかい、この政治を変える展望を示すことにこそ極右・排外主義を克服する最も根本的な道があるとしています。
第三に、幅広い市民的連帯をつくりだし、国民の理性と良識の力を結集して危険な潮流を包囲することです。日本共産党は「運動が、市民的モラルを守り、広い人々に共感される方向で発展するよう、積極的役割を果たす」と表明しました。
全ての力の総結集を
第4章で決議案は、第30回党大会を2027年1月に開催することを提案。それを踏まえ、25年9~12月末までを「世代的継承を中軸に、質量ともに強大な党をつくる集中期間」とし、必ず成功させることを呼びかけています。
「集中期間」の目標は、(1)党員拡大で全党の力で世代的継承に取り組み、毎月現勢で前進し、5千人の新しい党員を迎える(2)「しんぶん赤旗」読者拡大で、「紙」と電子版の合計で日刊紙、日曜版とも第29回党大会現勢を回復・突破する(3)党大会決定の具体化・実践として取り組んできた二つの『Q&A』―『いま「資本論」がおもしろい』(赤本)、『共産主義と自由』(青本)を、すべての党機関と支部で学習するとともに、青年・学生、労働者はじめ国民のなかに広げる―としています。
「集中期間」は、日本と日本共産党の前途にとって文字通り命運がかかったものとなると強調。都道府県・地区委員会のアンケートに示された深刻な困難を受け止めるとともに、生まれつつある発展の芽に確信を持ち、それをどう広げるか、双方向・循環型の取り組みを貫き、実践を通じて目標をいかにしてやりぬくかの回答をみんなで見つけ出すと表明しました。
世代的継承を中軸とした党員拡大で、「要求対話・アンケート」の取り組み、若い世代を対象にした「ミーティング」や「集い」、職場・労働者の分野ごとの「集い」、学費値上げに反対する学生の自主的運動など、全国で生まれている発展の芽をのばそうと呼びかけています。
日本民主青年同盟が青年・学生の民主的結集でかけがえのない役割を発揮しているとし、援助の抜本的強化を提起しました。
読者拡大では、10月開始の「赤旗」日曜版電子版の発行と電子版読者システム導入は、「赤旗」中心の党活動を発展させ、読者拡大と世代的継承にとって「まったく新しい条件をもたらす」とのべ、日曜版電子版を10月に2万人、年内に3万人、早期に5万人とすることを呼びかけました。
学習を中心とした党の質的強化では、参院選の結果を受け「もっと党を語る力をつけたい」など、かつてなく高まっている「学びたい」との思いに応え、綱領的確信、世界観的確信の重要性を強調。二つの『Q&A』を読み、学習し、国民のなかに広げる大運動に取り組もうとし、この取り組みは「日本共産党の前途を開くうえでも、日本の革命の事業の将来を展望しても大きな意義を持つ」としています。
「党は高齢化しているということですが、生きているんです。生きている限りはつながりはきれない」などとつづられた82歳党員の手紙を紹介。ベテラン党員、高齢党員の一人ひとりをすべて宝のように大切にして、若い世代、真ん中世代の党員と力をあわせれば、世代的継承の活路は必ず開けると強調しています。
「集中期間」を党のすべての力を総結集して必ず成功させ、日本社会の希望ある未来をつくるうえで、日本共産党がその力強い推進者として新たな力をえて前進することができるように、ともに力をあわせて奮闘しようと結んでいます。
志位議長が発言

(写真)発言する志位和夫議長=3日、党本部
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日本共産党の志位和夫議長は3日、第6回中央委員会総会で発言し、今回の総会について、「文字通り日本の進路、わが党の命運がかかった重要な総会になっている」と強調し、決議案の核心にかかわる二つの問題について発言しました。
“反動ブロック”の危険に対決する“新しい国民的・民主的共同”―欧州の経験に学ぶ
一つは、決議案が、日本の政治の歴史的岐路にあたって、“反動ブロック”の危険に正面から対決し、暮らし・平和・民主主義を擁護・発展させる“新しい国民的・民主的共同”を呼び掛けていることについてです。
志位氏は、この提唱は、まず何よりも参院選後生まれた情勢―危険性とともに新たな条件―を分析して打ち出したものだと強調。選挙後、他の野党のみなさん、市民運動のみなさんともさまざまな形で意見交換を行い、新しいたたかいにも取り組むなかで、こうした共同をつくりあげていく条件は大いにあると判断し、共同の呼び掛けを行うことは日本共産党の責任と考えたと述べました。
同時に、志位氏は、「この方針を打ち出すにあたっては、欧州における極右・排外主義とのたたかいを参考にした」と述べ、8月に行った英労働党前党首のジェレミー・コービン氏、ベルギー労働党欧州議会議員のマルク・ボテンガ氏、ドイツ左翼党(リンケ)前共同議長のマルティン・シルデワン氏との会談について、「多くの学ぶべき教訓があると感じた」として詳しく報告しました。
欧州のたたかいに共通する教訓として、「極右の伸長はたしかに深刻な危機だ。それに押される場面もある。ジグザグもある。しかし古い保守政治への正面からの批判と民主的対案を語りながら、極右・排外主義との断固たるたたかいを貫けば、危機はチャンスにもし得る」ことをあげ、日本でも、決議案を生かして、「この仕事をやり抜けば、日本の情勢は前向きに変えられるし、日本共産党の新しい前進をつくれる。欧州に負けないたたかいを展開しよう」と訴えました。
「集中期間」をどうやったら成功させることができるか―「三つの角度」から
もう一つは、「質量ともに強大な党をつくる集中期間」をどうやったら成功させることができるかという問題です。
志位氏は、全国からの感想で、「大切なことはわかるが、やりきる自信がない」という受け止めも出されていることについて、「これは、当然、出て来てしかるべき意見だと思う。大会決定にもとづいて、全党のみなさんは、強く大きな党づくりのための努力をやってきたが、なお後退から前進に転ずることができていない。どうやったら成功させることができるか、率直な議論をお願いしたい」とのべ、討論の方向性として、「成功のカギを考えるうえで三つの角度があると思う」と語りました。
第一の角度は、情勢の変化です。志位氏は、討論のなかで、現在の情勢の中に生まれている危険を目の前にして、日本共産党への新たな期待と注目が寄せられ、入党にむすびついた経験も生まれていることが報告されたことについて、「これらはまだごく部分的で萌芽(ほうが)的な変化だと思うが、やはり新しい情勢がつくっている変化だと思う」と強調し、次のようにのべました。
「“反動ブロック”の危険のもとで、受動的対応をするなら、致命的な後退につながっていくが、本当に攻勢的な対応をするならば、わが党にとってのチャンスになりうる。危機とチャンスは表裏一体の関係にある。“新しい国民的・民主的共同”をつくりだすことと一体に『集中期間』にとりくむならば、これをやりきる可能性が開けてくるのではないか。ここに挑戦しよう」
第二の角度は、双方向・循環型の活動を貫くということです。志位氏は、参院選をうけて都道府県・地区委員長から寄せられたアンケートを繰り返し読んだとのべ、「そこには高齢化をはじめ党組織の困難がつづられており、胸がつぶれるような報告も少なくなかった」とのべ、そういうもとで、どうやって党建設を成功させるかについて、決議案の次の箇所に中央の思いを込めたとのべました。
「困難を直視しつつ、生まれつつある発展の芽に確信をもち、それをどうやって広げ、大きな流れにしていくか。目標をいかにしてやりぬくか。双方向・循環型のとりくみを貫き、その実践をつうじて、みんなでその回答を見つけ出していきたい」
志位氏は、決議案の「集中期間」についての訴えの「構成」と「語り方」に注目してほしいとのべ、「ねばならぬ」式ではなく、「現に生まれている発展の芽」に光をあてて広げていくという訴えにしたと強調しました。そして、「率直な議論で心を通わせる。双方向・循環型で知恵と力を集めて、開拓、探究、実践をすすめていきたい」と、率直な議論でふかめてほしいと語りました。
第三の角度は、「集中期間」が、党員拡大と読者拡大――量の発展とともに、学習とくに科学的社会主義の学習――質の発展を一体的にとりくむものとして呼びかけられていることについてです。
志位氏は、「学習、とくに科学的社会主義の学習をここまで正面から位置づけた『集中期間』というのは、党の歴史でもはじめてのこと」と強調。これが党大会決定の具体化・実践にもとづく提案だとのべました。
とくに、党大会決定が、党勢に長期の後退をもたらした客観的要因の最大のものとして「社会主義・共産主義の問題がある」と分析し、この問題を前向きに打開するものとして、党大会決議第4章で「『人間の自由』こそ社会主義・共産主義の目的であり特質」であることを三つの角度から打ち出し、その具体化・実践として、2回の「オンラインゼミ」とそれをまとめた「Q&A」をつくったこと、この成果を学び、広げていくことにこそ、党が歴史的後退から前進に転ずるための理論的なカナメの問題があると強調しました。