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軽井沢にオープンした貸ギャラリー「ぎゃらりー御水端」のブログです。

尾崎 三吉 写真展

2018-07-02 17:31:00 | ギャラリー御水端

 

「女性と帽子」

- ポートレート、モードとファッション 


 

写真の分野は幅が広く、戦前は人物、報道と芸術などが知られていたが、戦後になると経済の発展に伴い、商業写真という新しいジャンルが産声をあげはじめた。当初はモード写真家たちがその担い手となった。尾崎三吉もその一人として、戦前、女性ポートレート写真での実績を活かし、戦後、「装苑」その他のモード雑誌、婦人雑誌で活躍を始めたばかりであった。この新しいジャンルについて、尾崎は「日本カメラ」(昭和32年月号)の中で「ファッション写真は、流行の衣装を一般に知らせるため生まれたものである。…中略… 写っているだけでは満足されない風潮が生まれてきつつあるようだ。…中略…例えばアメリカのVOGUE誌では、…中略…部分的なデザインから、全体的なデザインの美を重視したり、動きの中にのみ見られるデザインの美に重点をおくようになったためで、…中略…ひとつの雰囲気の中で、生きた人間が着て、初めて美しいデザインが生きてくるわけであろう。」と捉えていたようである。「日本カメラ」(昭和31年臨時増刊号)の特集「帽子のモード」の序文で、「帽子のモード写真をいろいろ集めてみた。モードとして写す場合と、帽子をかぶった女性のポートレートとして写す場合とでは、撮影目的が違ってくる。帽子のモード写真では、女性の表情もたいせつではあるが、帽子の形態や質感の表現が主体になる。一般のポートレートでは、帽子を強く意識しすぎると、女性のほうが負けて中途はんぱな写真になってしまう。いずれにせよ、帽子はその女性の感じに、ぴったりと似合ったものでなければおかしい。ドレッシーな帽子にはしとやかな女性を、奇抜な帽子にはモダンな女性の強い表情を、といったような基本的なことはもちろん、帽子や服装の流行のことなども、女性写真を志す人は常識としても研究しておくように心がけてほしい」と指摘している。

 

今回の作品展は、「女性と帽子」を主題に、女性の表情を大切にする「ポートレート的写真」と帽子の形態や質感の表現が主体となる「モード的写真」を中心に写真と資料を展示。








クリストファー・J・ラフルアー氏 「グラフィックな風景」

2017-07-25 17:08:48 | ギャラリー御水端

「グラフィックな風景」

展示期間:2017年8月6日 ~ 8月17日

クリストファー・J・ラフルアー氏のコメント

「伝統的な画家は前、中、後ろにあるものを二次元のカンバスに描き、目の錯覚を利用して三次元の奥行きを創った。風景写真家もしばしば同じ尺度の原理を使い、イメージを構成する。

私の今までの多くの作品は、どちらかと言うとグラフィックなイメージを創ることを意識している。奥行きの錯覚を使わず。形と色を使って二次元で表現し、鑑賞する人の知性に訴えるアプローチである。絵画、特にモダンアートのやり方を参考にしている。

この頃はインターネットで息を呑むほど美しい景観に関する情報、そこで撮った画像が簡単に共有できる。ただ、このような場合、新たな魅力を見つけるのは難しい。逆に、グラフィックな景色には新たな発見がある。この度は、グラフィックな手法で撮った写真を多く展示した。

御気に入っていただければ、光栄である。」


ぎゃらりー御水端 企画展 (2)

2017-06-20 16:56:34 | ギャラリー御水端

ぎゃらりー御水端は、三回にわたり金沢美大の同窓生の作品を展示。

第二回 平成29年7月16日(日)~8月5日(土)21日間
喜多謙一さんの回想録出版記念展示、黒澤淳一さんによる登場人物のイラスト似顔絵展と出井保勝さんのデジタルアート

第三回 平成29年9月23日(土)~10月9日(月)17日間
喜多謙一さんの回想録出版記念展示、黒澤淳一さんによる登場人物のイラスト似顔絵展と出井保勝さんのデジタルアート

 


尾崎 三吉 写真展

2017-04-26 16:46:07 | ギャラリー御水端

尾崎三吉写真展 - ポートレート写真、ライティングとポーズ -

 

東京写真専門学校(現東京工芸大学)を卒業後、1940(昭和15)年まで戦前の小西六(現コニカミノルタ)に在籍。感光材料や薬品の研究やテストを繰り返すうちに、もっともデリケートな色彩を持つものは女性の肌であることに気づきました。それらをいかに美しくフィルムと印画紙に表現するかという問題を追求していくなかで写真家尾崎三吉は誕生。女性のさまざまな表情を作品に残し、写真愛好家に向けた多くの入門解説書、そして昭和25年木村伊兵衛を会長に日本写真家協会の創立メンバーとして活躍。

木村伊兵衛、土門拳に代表されるリアリズム写真に対し、ポートレート写真においては写真技術を駆使して、写真の主観的、表現的な側面を重要視したと思われる次の記述がみられます-------『人物写真程、作者の個性がはっきり画面に現れるものはほかにない。(中略)人物写真には写真的の技巧は勿論必要であるが撮影者の感覚即物を見る眼、主観表現力などが前記写真的技巧と完全に融和して初めてよい作品が生まれるのである。(中略)人物写真に於いては光は写真に生気を與へ、ポーズは画面バランスを整え、表情はこれを生命づけ背景は雰囲気描写の助長に役立つものでこれらの完全な統制を如何に取り扱うかは撮影に当って先ず考えなければならぬことである。』-------「ポートレートアルバム」1941年光画荘刊 序文から引用。

戦後の開放感のなか、幅広い写真表現が求められるようになり、ポートレート写真にみられるこの主観表現写真は、裸婦(ヌード)写真作品へと表現の場を拡げ、秋山庄太郎、大竹省二、松島進、早田雄二、稲村隆正、中村立行氏らと女性写真専門の集団ギネ・グルッペを設立。

著作の中から「ポートレート」(1938年三省堂刊)、「ポートレートの写し方」(1939年アルス刊)、「ポートレートアルバム」(1941年光画荘刊)、「ポートレートの採光とポーズ」(1949年小型ポートレート研究会刊)を中心にポートレート写真、ライティングとポージングの図説を展示。