エクセプト薬剤師Blog:寺島寿樹

薬剤師を目指している寺島寿樹ですが、薬剤関連以外のことについては当ブログにて綴っていきたいと思います

薬剤耐性菌の氾濫

2023年03月29日 | 薬剤

抗菌薬が効かなくなった薬剤耐性菌が、世界で猛威を振るっていて、2014年には英政府から「2050年までに、年1千万人が死亡する」という衝撃的な推計も発表されています。

薬剤耐性菌は人類にとって大きな脅威の1つであり、これを制御するためには薬剤耐性機構の理解が必要で、抗菌薬(抗生物質)が効かない「薬剤耐性菌」による感染症にかかった赤ちゃんに対する国際臨床試験も始まっています。

厚生労働省の報告書によれば、国内での主要な耐性菌による死者は、2015年には推定約1万人、その後は微増し、19~21年には推定1万2千人前後で推移しており、最近はコロナ禍に伴い、個人の感染対策が徹底され、海外からの入国者も大幅に減ったことから、一時的に国内の耐性菌感染症の発生は減ったと言われています。

日本は他国と比べると高度な治療が受けられるうえ、院内感染対策も進んでいるので、耐性菌感染症の発生数は少ないとされていますが、コロナ感染対策や入国者制限が緩和される今後は増加していくのではないかと予測されています。


電子処方箋の運用スタート

2023年03月10日 | 薬剤

処方箋をデジタル化した「電子処方箋」の運用が1月末から始まっているのですが、実際、開始できているのは、全医療機関・薬局の0.1%程度となっているようで、電子処方箋の普及には、その前提となるマイナンバーカードの普及やシステム整備な、課題は山積のようです。

電子処方箋は、対応している医療機関や薬局であれば誰でも選ぶことができ、医療機関で発行される番号を使い、紙の処方箋を持たずに薬局で薬を受け取れるようになり、さらにマイナンバーカードに保険証の機能を持たせた「マイナ保険証」を使えば、管理サーバーに記録された過去の薬の処方歴を照会できるようになります。

メリットとしては、ほかの医療機関で飲み合わせの悪い薬が処方されているのに気づけたり、処方済みの薬の重複を避けたりできることで、飲み合わせによる悪影響を避けたり、本来必要がない医療費を省いたりでき、厚労省によると、モデル事業では約5%の重複処方を検知できたのだとか。

とはいえ、電子処方箋を「受け取る側」である薬局はシステム導入を進める意向が強いようですが、ベンダーの対応が追い付かず、システム導入が進んでいません。


塩野義、中国でコロナ治療薬販促へ

2022年12月30日 | 薬剤

塩野義製薬が、日本で緊急承認を取得した新型コロナウイルス治療薬を、中国での販売促進にむけて現地企業と提携したのだそうです。

提携したのは製薬企業、中国生物製薬公司の子会社で、新型コロナ治療薬が中国で承認された場合、医療機関や薬局向けの販促活動を担ってもらうことになるのだそうで、塩野義の新型コロナ治療薬「ゾコーバ」は日本で11月に厚生労働省から緊急承認を取得していました。

中国での承認取得に向け、今夏から臨床試験(治験)データなど資料の提出を始めているのだそうですよ。

とはいえ、日本国内においては医療現場で広がりを見せていないようで、1日あたり20万人前後の感染者が報告される日が続く中、処方されたのは11月末から12月27日で約7700人にとどまるのだそうで、重症化を予防する効果は確認されていないことなどから使用対象は限られ、医師らの間では慎重な受け止めが多いのだとか。

まぁ、新薬って難しいですよね。特に保守的な日本の場合では。


塩野義のコロナ経口薬

2022年02月08日 | 薬剤

塩野義製薬が開発中の新型コロナウイルスの軽症・中等症向け飲み薬が、早ければ来週にも条件付き早期承認申請を行うのだそうです。

これが承認申請されれば、国内製薬会社の新型コロナの飲み薬としては初めてとなるようで期待したいですね。

新型コロナに感染した軽症や中等症、それに無症状の患者向けの飲み薬の治験を行っていて、その治験では、12歳から60代までの患者69人を対象に、1日1回、5日間、薬を服用するグループと偽の薬を服用するグループで比較しているのだそうで、薬の投与を3回受けたあとでは、感染性のあるウイルスがある人の割合が、薬の用量が多い場合には80%、用量が少ない場合は63%減少したのだそうで、薬を服用したグループではウイルスが陰性になるまでの時間が2日間短く、入院が必要になった人はいなかったのだとか。

さらに、副作用も軽度だったようで、会社では、現在進めているおよそ400人が対象の治験のデータを分析し、高い有効性が認められれば、最終段階の治験の結果を待たずに来週から再来週にも国に承認申請する可能性があるようですよ。