「いッ」
肌に爪を立てられ、氷河が覚醒した。
「なにをしている」
思わぬ程、間近にいる一輝に、氷河が険悪な表情を見せた。
「いや、その…猫が――」
自身を見据える冷たい眸から、一輝は視線を反らせた。
自由を奪われている猫に、いたずらをしていたとはさすがに言えない。
「まぁ、いい」
氷河は猫を傍らに置き、立ち上がった。
「おい、どこへ――」
こんなに早く目覚めてしまうのなら、アホ猫など相手にせず、もっとあどけない寝顔を見ているのだったと、一輝は悔いた。
「どこでもいい」
氷河は対面式のキッチンに入り、冷蔵庫を開いた。
一輝は氷河の動きを見守った。
珍しく料理をする気になったのだと思った。それなら、大歓迎であった。
だが、思いのほか早く、氷河はキッチンから出てきた。
「何だそれは?」
分厚いハムをわざわざ細かく切り、皿に盛ってきた氷河に、一輝は呆れ声を出した。
「みれば解るだろう、あまり大きいと、食べづらいだろうからな」
そう口にし猫の前に皿を置いた氷河に、一輝は瞼を見開いた。
「キサマッ、な、なんということを…」
普段、食卓に上るものより何倍も厚さのあるハムを、無造作に猫に与える氷河に、一輝は唖然となった。
「この間、お客さんに貰ったんだ。まだあるから、欲しいなら自分で欲しいだけ切ればいいだろう」
氷河は美味そうにハムを頬張る猫の背中を撫でながら答えた。
「そういう問題ではない。猫にハムなど――」
その猫に与える愛情を、なぜ、自分に向けられないのかと、一輝は物悲しい気分になった。
「猫にハムを与えてはいけないという、法律があるのか?」
猫に向ける笑みの、微塵もない表情を向けられ、一輝はムカッ肚を立てた。
「いいか、人間の食べ物は、動物には良くないのだ、きさま、猫を病気にしたいのか」
「なにをバカな、人が食べて平気な物を、猫が食べられないわけがあるか? 猫は肉食だろうが」
氷河の発言に、一輝は目を見張った。
「バカはお前だ。人間が摂取していい塩分と、猫が摂って良い塩分が同じな訳があるか、ハムには保存料や、添加物も入っているだろうが」
その程度の知識もない人間が、よく猫を飼うなどと言ったものだと、一輝は呆れた。
「そんな…」
氷河は猫に差し出した皿に手を伸ばした、だがハムも猫も、その場から消え失せた後だった。
「――まさか…」
氷河は床で機嫌が良さそうにグルーミングをしている猫を見つめ、呟いた。
「疑うのなら、お前が普段から真摯に向かい合っているPCで調べてみろ」
呆然としている氷河に、一輝は嗤った。
続く。
思わぬトラブルから、やっと開放されました。
ある日、PCが動かなくなる。
そんな悪夢を自分が体験することになろうとは、思ってもいませんでした。
本当に、世の中、なにが起こるかわかりませんね。
なにがあったのか解らないまま、それでも日記を訪問してくださった方々、本当にありがとうございます。そして、ご迷惑をお掛けしました。
本当に、すみませんでした(汗)
肌に爪を立てられ、氷河が覚醒した。
「なにをしている」
思わぬ程、間近にいる一輝に、氷河が険悪な表情を見せた。
「いや、その…猫が――」
自身を見据える冷たい眸から、一輝は視線を反らせた。
自由を奪われている猫に、いたずらをしていたとはさすがに言えない。
「まぁ、いい」
氷河は猫を傍らに置き、立ち上がった。
「おい、どこへ――」
こんなに早く目覚めてしまうのなら、アホ猫など相手にせず、もっとあどけない寝顔を見ているのだったと、一輝は悔いた。
「どこでもいい」
氷河は対面式のキッチンに入り、冷蔵庫を開いた。
一輝は氷河の動きを見守った。
珍しく料理をする気になったのだと思った。それなら、大歓迎であった。
だが、思いのほか早く、氷河はキッチンから出てきた。
「何だそれは?」
分厚いハムをわざわざ細かく切り、皿に盛ってきた氷河に、一輝は呆れ声を出した。
「みれば解るだろう、あまり大きいと、食べづらいだろうからな」
そう口にし猫の前に皿を置いた氷河に、一輝は瞼を見開いた。
「キサマッ、な、なんということを…」
普段、食卓に上るものより何倍も厚さのあるハムを、無造作に猫に与える氷河に、一輝は唖然となった。
「この間、お客さんに貰ったんだ。まだあるから、欲しいなら自分で欲しいだけ切ればいいだろう」
氷河は美味そうにハムを頬張る猫の背中を撫でながら答えた。
「そういう問題ではない。猫にハムなど――」
その猫に与える愛情を、なぜ、自分に向けられないのかと、一輝は物悲しい気分になった。
「猫にハムを与えてはいけないという、法律があるのか?」
猫に向ける笑みの、微塵もない表情を向けられ、一輝はムカッ肚を立てた。
「いいか、人間の食べ物は、動物には良くないのだ、きさま、猫を病気にしたいのか」
「なにをバカな、人が食べて平気な物を、猫が食べられないわけがあるか? 猫は肉食だろうが」
氷河の発言に、一輝は目を見張った。
「バカはお前だ。人間が摂取していい塩分と、猫が摂って良い塩分が同じな訳があるか、ハムには保存料や、添加物も入っているだろうが」
その程度の知識もない人間が、よく猫を飼うなどと言ったものだと、一輝は呆れた。
「そんな…」
氷河は猫に差し出した皿に手を伸ばした、だがハムも猫も、その場から消え失せた後だった。
「――まさか…」
氷河は床で機嫌が良さそうにグルーミングをしている猫を見つめ、呟いた。
「疑うのなら、お前が普段から真摯に向かい合っているPCで調べてみろ」
呆然としている氷河に、一輝は嗤った。
続く。
思わぬトラブルから、やっと開放されました。
ある日、PCが動かなくなる。
そんな悪夢を自分が体験することになろうとは、思ってもいませんでした。
本当に、世の中、なにが起こるかわかりませんね。
なにがあったのか解らないまま、それでも日記を訪問してくださった方々、本当にありがとうございます。そして、ご迷惑をお掛けしました。
本当に、すみませんでした(汗)
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