流体機械設計による近未来に役立つエンジニアリング

流体機械設計をベースとして近未来に役立つエンジニアリングを行う株式会社ターボブレードの社長 林 正基の毎日の活動

高圧力比・高効率の遠心ターボ圧縮機羽根形状の設計例

2020年12月18日 | 流体機械設計

高圧力比で高効率の性能と持つ、遠心型ターボ圧縮機の羽根インペラ形状を設計した事例です。

高圧力比を単段の遠心インペラで達成するために、中間羽根を持つインペラブレード枚数は非常に多く設計しています。

多数枚ブレードが高圧力比を出せる仕組みは、空気が羽根に沿って流れ易くなることで、設計通りの入口出口速度三角形関係を作ることが出来て、翼間の均一な流れ状態も確保出来て無駄な渦発生が無く高効率となり、効率が高いと圧力比も上がることとなります。

例えば非常に羽根枚数が少ない場合を考えると分かりますが、もしブレードが4枚しかないとすれば、当然流体は羽根近傍だけが羽根形状に沿って流れて、それから離れた翼間のほとんどの広い領域では勝手な方向に流れてしまい想定した速度三角形関係でのブレード出口絶対速度と圧力を作れないこととなります。

高効率を達成するための羽根形状設計では、

・羽根入口3次元入口角を流れの相対流入角に合わせるようにスパン方向に細かく角度を変更して入口角度分布を生成する

・気体の流入となるので、ブレード入口薄さは相対入口流れを乱さず、後方への発達渦を作らないように、なるべく薄く滑らかにする

・中間翼の始まりブレード縁位置も、入口からの流れが影響を及ぼさない位置を探って流れの乱れを少なくする

・ブレードの巻角は非常に重要であり、入口から出口までの翼間体積部を回転するディフューザー領域として捉えて、その広がり角、相対速度減速割合を大変緩やかな形状として設計する

・ブレードは以上の設計必要条件から3次元形状羽根となり、変化する曲面を持つが、その曲面の変化が局所的に大きく変化しないように曲面の滑らかな繋がりを設計する

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