竪琴的試写室 aperto!!

お気に入りの映画、忘れたくない映画をレビューしていきます。

リトル・ショップ・オブ・ホラーズ LITTLE SHOP OF HORRORS '86 米

1998年10月29日 09時15分44秒 | ラ行
監督 フランク・オズ
DATA 音楽/アラン・メンケン 脚本&作詞/ハワード・アシュマン
CAST  リック・モラニス エレン・グリーン スティーヴ・マーティン ヴィンセント・ガーディニア ジェームズ・ベルーシ ジョン・キャンディ クリストファー・ゲスト ビル・マーレイ

元々は、いまや伝説の人となりつつあるロジャー・コーマンの大ヒットミュージカルの映画化です。これはもう楽しくてブラッキーでゴージャスでコミカルでカラフルでたまりません!もー、何が豪華ってキャストにクルー。信じられない面々が揃っていますよー。主役のパッとしない花屋の店員シーモアには、冴えない役をやらせたら世界一のリック・モラニス。「ミクロ・キッズ」では子供たちを誤って2センチくらいにしてしまうドジな科学者をやっていたあの人です。メル・ブルックス監督の「スペース・ボール(スター・ウォーズのパロディ映画。傑作です)」は真骨頂と言う感じだったし、「バックマン家の人々」でもインチキ臭い役をやっていました。シーモアの憧れの女性オードリーにエレン・グリーン。甲高い声がチャーミングです。そのダンナさんにしてサディストの歯科医(絶対行きたくないですね!)がスティーブ・マーティン!!1シーンだけ現れるその患者(マゾの患者なんです。需要と供給が一致している!)にビル・マーレイ。花屋の店主はヴィンセント・ガーディニアでちらっとジェームズ・ベルーシにジョン・キャンディも出てきます。そして監督はフランク・オズ。大ヒット作はないんですが、わたしは好きでけっこう見てますね~。「おつむて・ん・て・んクリニック」とか「ペテン師とサギ師」とか(笑)。この人「スター・ウォーズ」には役者として出演しているんですよ。さて何の役でしょう?答えは下に・・・(笑)。そんでもって音楽担当はアラン・メンケン&ハワード・アシュマンの最強コンビです。この2人は後にディズニー作品でアカデミー賞を欲しいままにしますが、作詞担当のH・アシュマンは「アラジン」での授賞時、式直前にエイズで他界、。授賞式には彼の恋人だった若い男の子が現れ、目を真っ赤に腫らして挨拶をしていたのが印象に残っています。


お話は、ニューヨーク(だったと思う)の片隅のお花屋さんで今日もお向かいに住む人妻オードリーに淡い恋心を抱くシーモアのお掃除タイムから始まります。店主にはダメ人間呼ばわりされ、サディストの夫から愛するオードリーを守ってあげることもできない彼ですが、中華街にお使いに行ったときに不思議な鉢植えを見つけます。変わった植物だったのでポケット・マネーで買って店に飾っておくことに。オードリー・ツーと名前までつけて可愛がります(笑)。「変わった花がある店」としてお客を呼び込み始めるオードリー・ツー。ところがこの花、とんでもない秘密を持った宇宙から来た植物だったのです。お水をあげても元気にならないオードリー・ツーを心配したシーモアは優しく話しかけてツンツンします。すると突然オードリー・ツーは「ちゅちゅちゅちゅ~~~~~」とシーモアの指先から「血」を吸ったのでした。まぁ、怖い。どうやらこのオードリー・ツー、生き血を吸うと元気になる吸血植物・・・。さー、どーなるんでしょうねぇ(笑)。


ダンス・ナンバーもイケてます。サディスト歯科医のスティーブ・マーティンとマゾ患者のビル・マーレイは「サタデー・ナイト・ライブ」時代からのスタンダップ・コメディアン仲間で息もばっちり!口を開けさせるのにスティーブ・マーティンが"Say Ah!!"(「アー」と言え!!)とシャウトすれば、診療台の上では恍惚の表情を浮かべたビル・マーレイが"Ah!!!!"と掛け合う歌のシーンはサイコー。何度見てもおかしいです。オードリーは暴力夫に苦しみながらもいつかは幸せになりたい、とサバーヴィアン(郊外に住む人)を夢見ています。その夢見るおうちがなんとも漫画チックで少女チックで笑えます。


そしてそして特筆すべきはこのオードリー・ツーなんですが、なんとCGではなくマペットなんですよ!コマ送り撮影するためにオードリー・ツーと絡むシーンは役者の方がスローモーションで演じたそうです。確かセサミ・ストリートのマペットを製作したチームだと聞いたような覚えが・・・。ちがったかなぁ?ちょっとウロ覚えです。舞台ではどんなふうになっていたのかなー。


この作品、1960年には舞台の生みの親ロジャー・コーマン監督、ジャック・ニコルソン出演でも映画化されているそうです。知る人ぞ知る・・・のカルト的作品らしいんですが、見たことないんですよね。見てみたいな。

後日記
このレビューを書いてからどーしてもまた見たくなって、ビデオはあったのですが、お友達に上げちゃったのでDVDを借りてきました。けっこう記憶違いがあるので、訂正しておきます。まず、オードリーは人妻じゃなかった・・・。サドの歯医者さんはボーイ・フレンド。そしてシーモアと同じお花屋さんの店員でした!さらに、歯医者さんと掛け合いで歌を歌うのは別の患者さんで、ビル・マーレイ&スティーブ・マーティンのシーンはけったいなSMプレイ&セリフのみでした(笑)。忘れてるもんですねぇ。


マペットチームの記憶は正しかったです。やはりセサミ・ストリートでおなじみのジム・ヘンソンのチームでした。おそらくニューヨークのダウンタウンという設定で合っていると思うのですが、ロケ地はイギリスのスタジオで、スキッド・ロウの街角をそっくり再現したそうです。オードリーとシーモアが愛を語り合うシーンで流れるSUDDENLY SEYMOURは、後に音楽担当の二人が賞を総なめにする「リトル・マーメイド」の「PART OF YOUR WORLD」にそっくりでした。どちらも盛り上がる曲です。

思わずスウィングしてしまう度 ★★★★

フランク・オズ in スター・ウォーズ as ヨーダ 


リトル・ミス・サンシャイン LITTLE MISS SUNSHINE '06米

1998年10月29日 08時15分36秒 | ラ行
監督 ジョナサン・デイトン ヴァレリー・ファリス
脚本 マイケル・アーント
DATA
音楽=マイケル・ダナ アカデミー賞助演男優賞=A・アーキン、脚本賞=M・アーント LA批評家協会賞ニュー・ジェネレーション賞=J・デイトン V・ファリス M・アーント

CAST
グレッグ・キニア トニ・コレット スティーヴ・カレル アラン・アーキン ポール・ダノ アビゲイル・ブレスリン ブライアン・クランストン マーク・タートルトーブ ベス・グラント ゴードン・トムソン メアリー・リン・ライスカブ マット・ウィンストン ジェフ・ミード ジュリオ・オスカー・メチョソ ウォレス・ランガム

 チョ~~~~~~~~~~おもしろかったです!・・・というか、チョ~~~~~~気持ちよかった(笑) 早くも2008年のベスト10、いえベスト5に入る勢いのお気に入り度。キャストは豪華ですが、お金のかかっていなさそうなところもすごくよいです。インディーなんですね、これって。 監督のジョナサン・デイトンとヴァレリー・ファリスの二人はご夫婦だそうで。

 アリゾナ州に住むある一家のお話です。9歳の末娘がミス・コンテストにチャレンジするのです。確かにチャーミングな女の子ではありますが、正直ミス・コン・タイプではなく(笑) お腹もポッコリ、正真正銘の幼児体型を地で行く眼鏡少女。どういうわけだか彼女が繰り上げ優勝でカリフォルニア州で行われる本大会へ進むことになってしまいます。同行する家族の面々はそれぞれに問題を抱えており、お世辞にも「暖かい」とは言えない崩壊寸前の模様・・・。

 パパは負け組が許せない。娘のミス・コン参加にも肯定的で「絶対勝つのだ!勝てるんだ!」と、応援も惜しみない。ところが、この家族で唯一まともに見えるこのお嬢さんにとっても、パパの応援はありがたくも、心のどこかでプレッシャーになってしまっているのです。お兄ちゃんは家族を嫌い世の中を憎み、ママのお兄さんにあたる伯父さんは愛する男性に振り向いてもらえず自殺未遂、おじいちゃんはヘロイン中毒で毒舌家。どいつもこいつもバラバラの家族をまとめようとママはまさに必至のパッチ・・・孤軍奮闘なのです。

 本大会の開催地に向かうため、ポンコツ・ミニ・バスはそんな人たちを詰め込んで一路西へと走り始めるのでした まぁ、車中いろいろ起こるわけです(笑) クラッチが壊れて、押し掛けしないと走り出さなくなっちゃったり。このアイディアが素晴らしかったなー。いやでも全員で力を合わせないと動いてくれないのですから。最初はイヤイヤでも次第に当たり前になってゆく。力を合わせたり、息を合わせたりを繰り返していくうちに自然と体と心が動くのですね。いつの間にか誰に指図されるまでもなく車の後ろに立って「せーの!」とスタンバイ済み(笑) 置いてきぼりになったオリーブちゃんが「駆け足ヨーイ」で近付いてくる車を待っているとこなんてサイコー(笑)

 コンテスト前、不安になったオリーブちゃんを励まし、やさしい言葉をかけるのが、一番偏屈で人嫌いに見えるグランパだったりします。偏屈で毒ばかり吐いているおじいちゃんも、だてに歳をとっているわけではないのですね。時々すごくまともで良いことを言うのです(笑) 他にもさまざまな事件が起こります。一人ずつに訪れるその出来事たちは順々に夢を砕いてゆきます。つまりはみんな負け組になってしまう。でも、思い通りに行かないことを受け止めて、受け入れて、これが自分の人生なんだと実感してゆく姿が温かいのです。

 絆って気持ちのつながりだけでも芽生えるものだと思うけど、それを育てるには一緒に過ごす時間が大事なんだなと感じました。何かの目的に向かって力を合わせる経験というのかな。子どもの受験でも、誰かの闘病でも、家業でも。そこの一員として思いを共有することがとても大切なことなんだろうな。家族であれ友達であれ、自分以外の誰かと暮らすってことは、少しずつ譲り合ったり気を遣ったり遠慮したり踏み込んだり・・・そういったことが日常的に起こるということで。それは思いやりになったり犠牲になったり時として姿を変えてわたしたちの前に現れるものなんだなぁと思いました。

 →→ネタバレ注意(読んでもかまわない方はドラッグしてください)

 かっこ悪さを共有して大事な人に寄り添ってあげる・・・というのは『アバウト・ア・ボーイ』を思い出したけれど、やっぱりお兄ちゃんが舞台に飛び上がったところでは泣けてきた。。。コノお兄ちゃん、立ち直れていない段階でも「ママにハグしてやれ」と筆談で妹に命令したり(笑)、優しい心は忘れてないんだろうな・・・と思わせるところもにくかったです。  

←←ネタバレおしまい

 パパ、グランパ、ママは超有名ですね。ママのトニ・コレットは特にお気に入りの女優さんです。ザ・実力派な役者さん。アンクル・フランクは『40歳の童貞男』、最近ノリノリですね。オリーブちゃんのために全力疾走する姿は笑えました。いかにも運動できない人の走り方(笑) そこがまたよいのだけれど。お兄ちゃんは『キング 罪の王』に出ていましたっけね。すごく不思議な雰囲気を持った男の子。アビゲイルちゃんも可愛かったなー。チラッと、本当にチラッと『24』のクロエが出てくるのですが、クルーの誰かの知り合いだったのかしら(笑) インカムつけてミス・コンのスタッフ役。「をを!!!」と思いました。思わず巻き戻しちゃったもん(笑)

 多少の「なんでやねーん」的ツッコミどころはあるものの、ラストもあっさり押し付けがましくなく、この家族の穏やかな未来が想像できて◎です。何度でも観てしまいそう。

ミスコンの女の子たちの不気味度 ★★★★★