竪琴的試写室 aperto!!

お気に入りの映画、忘れたくない映画をレビューしていきます。

列車に乗った男 L'HOMME DU TRAIN '02 仏・独・英・スイス

1998年10月28日 09時10分44秒 | ラ行
監督 パトリス・ルコント
DATA 音楽/パスカル・エスティーヴ 脚本クロード・クロッツ
CAST  ジャン・ロシュフォール ジョニー・アリディ ジャン=フランソワ・ステヴナン チャーリー・ネルソン パスカル・バルマンティエ イザベル・プティ=ジャック エディット・スコブ

久々にルコント作品を見ました。よいですねーよいですねー。すっぽり引き込まれてしまいました。静かな静かな作品ですが、力があります。ルコントって確か元々漫画家ではなかったかと思うんですが、映像の美しさは言うまでもなく、今回はセリフまわしにやられました。寡黙な流れ者と、言葉をこよなく愛する詩の元教授。2人のコントラストが絶妙なのです。



主役のお2人、教授がジャン・ロシュフォール。ルコント作品の常連さんで、強烈な印象が残っているのが「髪結いの亭主」。ルコントのものでは「仕立て屋の恋」の方が濃厚で好きですけれども◎ 疲れ果てた流れ者は、わたしは今回始めて知ったのですが、フランスのプレスリーと言われているジョニー・アリディ。ロック歌手とは思えないほどしっくりした演技でした。



2人の偶然の出会いから運命的な別れまで、静かに淡々と物語が進んでいくのですが、引き出される小さなエピソードの一つずつがなんともチャーミングです。小さなエピソードなのですがとても大きな意味を持っていたりして。幻想的なラストシーンでうなってしまいました。お互いに対する憧憬の念を思わず吐露するシーンがそれぞれにあるのですが、それはこのラストシーンまで来ると「なるほど・・・」となります。流れ者は教授に部屋履きを譲り受け、教授は流れ者に銃の撃ち方を教わる。もしも自分にもう一つの人生があるとしたら、偶然に出会ったこの人のように生きていたのかもしれない・・・束の間重なる2人の時間がとっても美しいです。



ジャン・ロシュフォールが流れ者の革ジャンをこっそり拝借して西部劇のヒーローを気取るところがサイコーにかわいいです。もう腰は治ったのかな。元気な姿をこれからもたくさん見たいです。

あったかーいカフェオレをおかわりしたくなる度 ★★★★★