竪琴的試写室 aperto!!

お気に入りの映画、忘れたくない映画をレビューしていきます。

マイ・ライフ・アズ・ア・ドッグ MITT LIV SOM HUND '85 スウェーデン

2000年10月30日 09時18分58秒 | マ行
監督 ラッセ・ハルストレム
DATA NY批評家協会賞・外国映画賞 ゴールデン・グローブ・外国語映画賞
CAST アントン・グランセリウス メリンダ・キンナマン マンフレド・セルネル アンキ・リデン ラフル・カールソン

イングマルはどんな時でも愛犬シッカンと一緒にいる男の子。ママは病気がちで、パパは仕事で遠くへ行ったきり。お兄ちゃんは意地悪だし叔父さんの家に預けられることになってもシッカンといれば平気。人工衛星に乗せられて地球最初の宇宙旅行者になったライカ犬の悲しみに比べれば、どれもこれもたいした悩みじゃないよ・・・と考える哲学者(笑)です。


舞台はスウェーデンの海辺の小さな町から始まって叔父さんの家があるガラス工場で経済力を養う山あいの村へ移ります。そこで友だちになる男の子みたいな女の子がまたカワイイ!イングマルをそそのかしていたずらばっかりやらかします。
ラッセ監督の作品はいつもつらいことに隠れがちな優しさとか幸せを丁寧に描いていてココロが温まります。イングマルもママとの死別やシッカンとのお別れ・・・、人生つらいこともたくさんあるけれど、「つらいことばかりでもない」とちゃんとわかっていて、決して自分の人生を捨ててしまったりしません。


スウェーデンの美しい風景とイングマルの愛くるしい笑顔を見るだけでも価値のある一本です。久しぶりに見て清らかなココロに戻りたい(笑)。いえいえ、今でも清らかですけどっ。秋にぴったりの作品です!

ラッセ・ハルストレム監督のスウェーデン時代というと、中学生のときに初めて認識した商業ドキュメンタリー映画「アバ/ザ・ムービー」や、この「マイライフ・アズ・ア・ドッグ」「やかまし村シリーズ(超カワイイ!!)」などがありますが、これ以降はハリウッドで「ギルバート・グレイプ」「サイダー・ハウス・ルール」「ショコラ」などのヒットかっとばしてます。ジュリア・ロバーツが出ていた「愛に迷った時」、ホリー・ハンターが出ていた「ワンス・アラウンド」、原作がピューリッツァー賞受賞した「シッピング・ニュース」などもお気に入りです。女性の生き方を優しい観点で描くのがうまいなぁーという印象があります◎

わらの中で寝てみたい度 ★★★★★

ミッドナイト・ラン MIDNIGHT RUN '88 米

2000年10月29日 09時20分26秒 | マ行
監督 マーティン・ブレスト
脚本 ジョージ・ギャロ
DATA
音楽/ダニー・エルフマン
CAST
ロバート・デ・ニーロ、チャールズ・グローディン、ヤフェット・コットー、ジョン・アシュトン、デニス・ファリナ、ジョー・パントリアーノ、ロイス・スミス、リチャード・フォロンジー、ロバート・ミランダ、ジャック・キーホー、ウェンディ・フィリップス、ダニエル・デュクロス、フィリップ・ベイカー・ホール

これぞオトコの映画っっ!楽しい、カッコイイ、おもしろい!の三拍子揃ってマス。お見事。本当に何度見てもおもしろい!アクション映画なんですが、プロットとシナリオの完成度が高いんです。子供だまし的、びっくり箱的サプライズではなく、言ってみればヒッチコック的巻き込まれ型なんだけど、その仕掛けは「ニヤリ」となってしまう楽しいもの+理にかなったものばかり。監督はマーティン・ブレスト氏。「ビバリー・ヒルズ・コップ」やアル・パチーノの盲目タンゴ・シーンが忘れられない「セント・オブ・ウーマン」なんかでヒットを飛ばしている方ですが、寡作の人としても有名なんですね。もっともっと彼の軽快なタッチを楽しみたいなぁーと思っているわたしとしては寂しい限りです。最新作は(日本では)お蔵入りになってしまった(wowowでの放映のみ)「ジーリ」ってやつですよね。婚約してアツアツだった頃のベン・アフレックとジェニファー・ロペス主演で・・・たしか公開までに結婚も取りやめになって、この作品もラジー賞(サイアクの映画に贈られる賞(苦笑)ただし、ある意味箔がつくので、受賞者はけっこう授賞式にお茶目に出席しちゃったりする(笑))も受賞したような記憶が。

まあ、そんなことは置いといて、この「ミッドナイト・ラン」はサイコーです!まずは主演のロバート・デ・ニーロがホントにカッコイイ!この頃がピークなんじゃないかな。渋いのにキレがある~。ちょうどこの一つ前が「アンタッチャブル」のアル・カポネ役だったんで体重増やしてどっちり構えたドンの姿から一変、身体も絞って頭も絞って軽妙に楽しく演ってるって感じがたまらなくイイです。この頃来日していてニュース・ステーションに出演したのを憶えています。ジーパンに革ジャン・サングラスでめちゃかっこよかった(*^^*) 考えてみるとこの人、バイオレンスな「撃つ」「殴る」なアクションものは多いけど「動く」「走る」アクションってこの映画くらいじゃないかしら??相手役のチャールズ・グローディンと交わす茶目っ気たっぷりの表情もたまらなくいいんです~。

そうそう、お相手のチャールズ・グローディンはこういう軽いタッチの映画は超お得意さま。すっとぼけたワンちゃんムービー「ベートーベン」シリーズのパパですね~(笑)「天国から来たチャンピオン」やゴールディ・ホーンの「昔みたい」とか彼の独壇場ですが、意外にも「ローズマリーの赤ちゃん」での背筋も凍る産婦人科医・・・も印象強いです。いつもニコニコしている人が無表情になってるだけで怖かった(笑)

ロバート・デ・ニーロは元警官のバウンティ・ハンター(保釈金目当ての賞金稼ぎ)、その獲物がマフィアのお金を横領したネズミ小僧的会計士チャールズ・グローディン。ニューヨークでひっそりと身を潜めているチャールズ・グローディン演じるデュークを、ジャック(R.D.ニーロ)がロスの賞金稼ぎのピンはねで稼ぐいんちき金融業者の元へと連れてくるまでの珍道中です。元警官のコネを使ってすぐに獲物を見つけ出すものの、この獲物が相当な曲者でして(笑) 飛行機でバビューンとロスに戻ればあっという間なのに、ギャースカと抵抗して陸路による大陸横断を余儀なくされてしまう・・・。賞金稼ぎには時間制限があるから、夜を徹しての大移動、つまり2人のミッドナイト・ランの始まりと言うわけです。ここにデュークにお金をかすめ取られたことをネチネチと恨むマフィアと、そのマフィアを追い回すFBI、さらにジャックのライバル賞金稼ぎがデュークを横取りしようと加わって大変なことになってしまうんです(笑) でも、ドタバタじゃありませんよ。シナリオのよさがキラリ☆と光って会話が楽しい!主人公を取り巻く環境もそれなりに複雑で、ぶっきらぼうだったり、冷めてたり、意外と熱かったり、中年男の悲壮感も見せてくれるので飽きてるヒマがないんですね。何度も拝める両者の「してやったり!」のカオ!その分「やられた~~」の表情もたくさんでてきて楽しさ倍増です(笑)。

マーティン・ブレスト監督、映画終盤に空港のグランド・ホスト役でちら~っと出てきます。チケット売ってた(笑)。家族でも安心して見れます。ポップコーン持ってビール片手に「うわははははは!」と楽しんでいただきたいです。
あ。音楽も素晴らしくよい◎です。

大人のアクション映画度 ★★★★★

ムーラン・ルージュ MOULIN ROUGE '01 米

2000年10月29日 09時18分17秒 | マ行
監督 バズ・ラーマン
DATA アカデミー美術賞、衣装デザイン賞
CAST ニコール・キッドマン、ユアン・マクレガー、ジョン・レグイザモ、ジム・ブロードベント、リチャード・ロクスポロウ、ギャリー・マクドナルド、ジャセック・コマン、マシュー・ウィテット、ケリー・ウォーカー、キャロライン・オコナー、カイリー・ミノーグ

映画デビュー作「ダンシング・ヒーロー」からとても気になっていました。この監督さんの作品ってどれもこれも妙な映画なんです・・・。でも、自分の世界を突き詰める勢いと楽しさがあふれかえっていてそれだけで満足できちゃいます。2作目はあの「ロミオ+ジュリエット」、商業的な大ヒットを収め、この「ムーラン・ルージュ」へと続きました。トゥールーズ役のジョン・レグイザモは「ロミ+ジュリ」ではロミオの従兄弟。大きな信頼を寄せているのかいつも難しい役を任せてます。監督はオーストラリア出身でもともとは舞台を作っていたそうです。そういやセットなんかも舞台っぽいですね。演出やカット割りが独特です。


とにかく、ため息がでそうなニコール・キッドマンの美しさが圧巻です!二コールの妖艶だけど純粋な美しさと、純朴で一途なユアン・マクレガーの誠実さが切ないです。う~~、いいです~~。音楽も◎です。エルトン・ジョンの名曲「ユア・ソング」を軸に、クイーンあり、サウンド・オブ・ミュージックあり、マドンナあり、スタンダードの名曲「ネイチャー・ボーイ」はデビッド・ボウイに歌わせて、ビートルズにフィル・コリンズ、U2、ウィングス、ジョー・コッカー&ジェニファー・ウォーンズらの曲(もちろん「愛と青春の旅立ち」)を素敵なシーンで二人が掛け合います(ホントに歌ってます)。
お話のほうは陳腐なラブ・ストーリー。19世紀初頭のパリなのにこんな演出あり?と思いつつ知らぬ間にモンマルトルの住人になってしまいます。ユアンは同時進行で「スター・ウォーズ」のオビ・ワン役も撮っていて、半日ごとに宇宙とパリを行き来したそうですよ(笑)。二コールもボイトレにダンスレッスンに大変だったみたい。何度も肋骨を折ったとか。支配人でいい味出してるジム・ブロードベントは同じ年に出演した「アイリス」でお見事アカデミー助演男優賞を獲得しました♪


一言で言えば時代設定をまったく無視した不思議なミュージカル。実在した高級クラブ「ムーラン・ルージュ(赤い風車)」で二人の恋がどうなったのか・・・確かめてくださいね。

像さんのお部屋に入ってみたい度 ★★★★★

メンフィス・ベル MENPHIS BELLE '90 米

2000年10月28日 09時17分41秒 | マ行
監督 マイケル・ケイトン・ジョーンズ
DATA アカデミー美術賞、衣装デザイン賞
CAST マシュー・モディーン エリック・ストルツ ジョン・リスゴー テイト・ドノヴァン D・B・スウィーニー ハリー・コニック・Jr ジェーン・ホロックス ビリー・ゼイン ショーン・アスティン リード・ダイアモンド コートニー・ゲインズ ニール・ジュントーリ デヴィッド・ストラザーン

ちょっとメロドラマくさい・・・というか、お説教じみてる部分も無きにしも非ずですが、いいんです、いいんでーす。主人公の中から死人の出ない戦争がらみの映画って珍しくないですか?まあ、はっきり言って戦争物っていうより堂々たる青春群像劇ってやつですね!一番の見所は何と言っても(わたし的に)マシュー・モディーン!抑えの効いたよい演技をしてます(ラストシーンはちょっといや)。第二次大戦中にあと一回の出動で任務完了となる爆撃機がありました。その名も「メンフィス・ベル号」。縁起のいい機で、幾多の戦火の中、無傷で生還し続けていたんです。ベル号に乗り込む10人の気持ちを織り込んだ爽やかなドラマです。


もうひとつ大切な見所として(わたし的に)、エリック・ストルツ演じるダニーがアイリッシュ系らしく、アメイジング・グレイスやダニー・ボーイが随所で歌われるんです~。にやり。エリック・ストルツは「バック・トゥ・ザ・フューチャー」のマーティをやっていたんですが、完成間近で「おとなっぽすぎる」と言う理由で降板になってしまいました(涙)。でもまあ、その後のキャリアがいい感じなので、よかったのではないでしょうか(確かにマイケル・J・フォックスと激似です)。


あとは、派手好きでお調子者だけど汚い犬を溺愛しているルークや、医学生(実はメディカルスクールは1週間でやめている)のヴァル、上官のくせにいくらベル号でもそうそう幸運続かないはず・・・と悲観的なフィル、ケンカっぱやいジャック、生意気なユージーン、故郷に帰ったら全国どこへ行っても同じ味が楽しめるチェーン店式ハンバーガー屋さんをやりたい!と熱く語る「チェリー・ボーイ」ヴァージ(でも出陣前夜、めでたく童貞を捨てますのよ)。


そしてそして、忘れてはいけないのがかのジャズ・ボーカリスト、ハリー・コニック・Jrも乗り組みます。スウィートな歌声も披露してくれます!田舎出身の家具大工の息子という設定でした。もう一人。ショーン・アスティン。彼はヘレン・ケラーの伝記映画「奇跡の人」でヘレン・ケラーをやったパティ・デュークの息子さんで、最近では「ロード・オブ・ザ・リング」で主人公と共に旅をするサム役で有名になりました~。
お話は飛行機に乗り込む前夜から始まっていて、不安や責任感や倦怠感やらなにやらいろいろなものを抱えている青年達の姿がくっきりと描かれています。いざ出動・・・って時に待てがかかったり、編隊を組む隣の機が打ち落とされてしまったり、爆撃開始したときに的が定まらず、とにかく落として帰るのか、いやいや、民間地だったらいけないと道徳心と闘う場面があったり、青年たちの心の機微が描かれている部分は秀逸と言えると思います。終盤近くのクライマックスでは、「ダニー・ボーイ」がみたび効果的に使われていて「じ~~~~ん」としちゃいますよぉ。今夜もまた見ちゃいそうだな・・・(笑)

指揮官たちのシーンいらない度(→ちょっと甘めの採点なのは指揮官がデビッド・ストラザーンだから。でへへ) ★★★☆☆

モンスーン・ウェディング MONSOON WEDDING '01 印・仏・米・伊

2000年10月27日 09時17分08秒 | マ行
監督 ミーラー・ナーイル
DATA ヴェネチア国際映画祭・金獅師賞
CAST ナセールディン・シャー リレット・デュベイ ヴァンソンダラ・ダス イシャール・ナイール シェファン・シェティ ヴィジェー・ラーズ ディロタス・ショーム

インド出身ハーバード卒のミーラー・ナーイル女史による、群像劇です。舞台は超インド式婚礼の儀、伝統にのっとってモンスーンの時期に娘の結婚式をあげようとする父親と娘、結婚式のために世界各地から集まった親戚たちのゴタゴタ。娘のアディティはTV局に勤めていて、勤務先の男と不倫関係にあります。そろそろ潮時・・・と、父が探してきた顔も見たことのないアメリカに住むインド人男性と結婚することを決意。2人の結婚式を中心にさまざまな家族の問題や、恋愛が描かれてゆきます。


前半はたくさんの登場人物が次々と出てきて、さながらロバート・アルトマンの映画を見ているような感じです。お話の筋の合間合間に現代的なインドと、混沌とした街の風景が交互にはさまれていてとても興味深いです。舞台となるアディティの家では結婚式の準備が着々と進められ、雇われたウェディング・コーディネイターとメイドも忙しさが募るイライラの中でお互いの優しさに触れて恋の気配・・・。久しぶりに会ったイトコ同士もちょっといい感じになっちゃうし、花嫁の末の弟ヴァルンはテレビのお料理番組に夢中。このコがなんともいい味を出しています。ふとっちょで甘えん坊(笑)。可愛いんです。次の年からは寄宿舎学校に入れられそうでヒヤヒヤしています。イトコのリアは美しくて芸術の才能もあり、しっかりものの素敵な女性なのになぜか浮いたウワサもなく、花嫁に「結婚とは・・・」とお説教をしても「(恋愛もしないあなたに言われても)説得力が足りない」とそっぽ向かれる始末です。当の花嫁(太目の乙葉ちゃんみたい!)は不倫相手をすっかり忘れられるはずもなく、ココロには迷いがあります。このほかにもいろんな親戚連中がわんさかやってきて、アディティの家がモンスーン状態!


・・・とまあ、こんな具合でお話は進んでいきます。前半、好感が持てつつもよくあるお話・・・という感をぬぐいきれないのですが、中盤から後半にかけてぐぐっとドラマが進んでいきます。全編通じて生粋のインド映画!という感じを排除してあるのですが、「婚礼の踊り」あたりのインドっぽさがでてくる頃からすごーく濃密度を増しててよいいです。


花嫁アディティの結婚式は「ハデ婚」なのですが、メイドとコーディネイターは慎ましやかに「ジミ婚」をあげます。同時進行で描かれる二つの結婚式が嫌味なくインドの階級の違いを見せますよ。このコーディネイター、物思いにふけると飾り付けに使うマリーゴールドの花をむしゃむしゃと食べちゃうんですよね。マリーゴールドって食べられるのかな?また、恋をしないイトコは、実は過去にある苦しみを抱えているのですが、花嫁の父が一家の汚点と引き換えに彼女を救ってあげます。パパの英断に心から拍手!でした。


とても印象に残ったセリフがありました。「転ぶためには座っていてはムリ。馬に乗ったものだけが落馬できる」というもの・・・。痛みを知らねば人生ではなく、痛みを知るためには渦中に飛び込むべし・・・ということですね。とてもよいシーンでした。
監督のミーラー・ナーイルさんは他に「サラーム・ボンベイ!」「太陽に抱かれて」「ミシシッピー・マサラ」など見ましたがけっこう好きな作品が多いです。結婚式のシーンも女性らしい細やかなところがよく出ていて◎でした~~。

雨の結婚式もよいなぁ度 ★★★★☆