伽古屋圭市著〖かすがい食堂〗あらすじ・ネタバレ感想。
無為徒食の日々を送っていた楓子は25歳で駄菓子屋のおばちゃんにおさまる。
楓子は駄菓子屋にやって来る問題を抱える子供達に居場所を提供しようと、かすがい食堂を開くのだが……。
無為徒食の日々を送っていた楓子は25歳で駄菓子屋のおばちゃんにおさまる。
楓子は駄菓子屋にやって来る問題を抱える子供達に居場所を提供しようと、かすがい食堂を開くのだが……。
〖かすがい食堂〗
著者:伽古屋圭市
発行:株式会社小学館(小学館文庫)
発売日:2021年3月5日
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発売日:2021年3月5日
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〖かすがい食堂〗あらすじ・ネタバレ感想
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〖かすがい食堂〗登場人物
<駄菓子屋かすがい/かすがい食堂>
●春日井楓子(かすがい・ふうこ)
元映像制作会社のAD
駄菓子屋かすがいで働き始めた25歳
翔琉をきっかけに駄菓子屋で食堂を始める
元映像制作会社のAD
駄菓子屋かすがいで働き始めた25歳
翔琉をきっかけに駄菓子屋で食堂を始める
●春日井朝日(かすがい・あさひ)
楓子の祖母で駄菓子屋かすがいの店主
楓子の祖母で駄菓子屋かすがいの店主
<かすがい食堂利用者>
●翔琉(かける)
キッチリ300円で駄菓子を購入していた
楓子は心の中で“下町セレブ”と名付ける
小学4年生の9歳
●江平 凛(えひら・りん)
自分の食事を残して何処かへ持っていく
●上村夏蓮(うえむら・かれん)
摂食障害(拒食症)で芸能事務所をクビに
高1とは思えないほど痩せ細っている
●井上亜香音(いのうえ・あかね)
兵庫県から転校して来た小学6年生
いじめにあっているように見えたが……
キッチリ300円で駄菓子を購入していた
楓子は心の中で“下町セレブ”と名付ける
小学4年生の9歳
●江平 凛(えひら・りん)
自分の食事を残して何処かへ持っていく
●上村夏蓮(うえむら・かれん)
摂食障害(拒食症)で芸能事務所をクビに
高1とは思えないほど痩せ細っている
●井上亜香音(いのうえ・あかね)
兵庫県から転校して来た小学6年生
いじめにあっているように見えたが……
<そのほか>
●翔琉の母
介護の仕事をしているシングルマザー
プライドが高い
介護の仕事をしているシングルマザー
プライドが高い
●江平福斗(えひら・ふくと)
凛の兄
凛の兄
●荒木田(あらきだ)
楓子の前の会社の上司
楓子に復職の誘いをかける
楓子の前の会社の上司
楓子に復職の誘いをかける
●佐藤リム(さとう・りむ)
夏蓮と仲良しの子役
本当は夏蓮を追いつめようと目論んだ
夏蓮と仲良しの子役
本当は夏蓮を追いつめようと目論んだ
●亜香音の母
施しを受けたくないと思っている
行政の支援は頼りたくない
施しを受けたくないと思っている
行政の支援は頼りたくない
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〖かすがい食堂〗あらすじ
映像制作会社でブラックな働き方をしていた春日井楓子は、撮影機材を担いで登山中に文字通り真っ逆さまに転落した。
退院後、会社を退職し実家に戻った楓子は無為徒食の日々を過ごす。
そんな時、駄菓子屋を営む母方の祖母から店を手伝わないかと誘われる。
駄菓子屋のおばちゃんにおさまった楓子は、他の子供達とはずれた時間にやって来る男の子が気になって仕方がない。
楓子は心の中で“下町セレブ”とあだ名をつけていた。
下町セレブはいつも必ずキッチリ300円の買い物をしていく。
少年の様子を観察しているうちに、楓子はこれら300円のお菓子はひょっとしたら少年の夕食ではないかと考え始める。
少年の食生活が気になった楓子は、300円で食事を提供することを少年に提案する。
ただし、一緒に買い物に行き、一緒に調理することが条件だ。
始めは食事そのものに全く興味を示さず、食事のマナーも身についていなかった少年も少しずつ反応が変わってきた。
そんな少年の様子を密かに喜んでいた楓子だったが、ある日、少年の母親が駄菓子屋に乗り込んできて……。
退院後、会社を退職し実家に戻った楓子は無為徒食の日々を過ごす。
そんな時、駄菓子屋を営む母方の祖母から店を手伝わないかと誘われる。
駄菓子屋のおばちゃんにおさまった楓子は、他の子供達とはずれた時間にやって来る男の子が気になって仕方がない。
楓子は心の中で“下町セレブ”とあだ名をつけていた。
下町セレブはいつも必ずキッチリ300円の買い物をしていく。
少年の様子を観察しているうちに、楓子はこれら300円のお菓子はひょっとしたら少年の夕食ではないかと考え始める。
少年の食生活が気になった楓子は、300円で食事を提供することを少年に提案する。
ただし、一緒に買い物に行き、一緒に調理することが条件だ。
始めは食事そのものに全く興味を示さず、食事のマナーも身についていなかった少年も少しずつ反応が変わってきた。
そんな少年の様子を密かに喜んでいた楓子だったが、ある日、少年の母親が駄菓子屋に乗り込んできて……。
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〖かすがい食堂〗ネタバレ感想
楓子(ふうこ)はまだ20代で結婚もしていないし、子供もいない。
子育てをしている母親からしたら余計なお世話もいいところかもしれない。
それでも、目の前にいる子供を見て見ぬふりはできず、現在駄菓子屋しか営業していないのに食堂だと言い切る。
昔は本当に祖母が食堂をやっていたのでまるまる嘘ではない。
ただ、この[かすがい食堂]は翔琉(かける)専用だというだけのことだ。
翔琉はいつもお菓子を夕食にしており、そのせいか食事そのものに興味が薄い。
おそらく死なない程度に食っていればいいくらいの感覚なのだろう。
母子家庭で母親が忙しいせいか食事のマナーも教えていないようで、翔琉は箸の持ち方も酷ければ「いただきます」も「ごちそうさま」も言わない。
楓子の祖母の朝日(あさひ)は、
「彼といっしょに学べばいいんだ。食育なんて大上段に構えず、間違っても教えてあげるなんて思わないことだよ」(32ページ)
と言って、楓子の背中を押してくれた。
だから楓子は、翔琉に「お箸はこうやって持つんだよ」などと言ったりしない。
でも、楓子や朝日と一緒に夕食を食べているうちに、翔琉は小さい声ながらも「いただきます」を言うようになる。
子供は大人を見て学んでいくのだ。
翔琉の場合、その見本となる大人がそばにいなかった為、学ぶことができなかった。
しかし、楓子が食堂と称して翔琉に夕ご飯を食べさせていることを知った翔琉の母親は面白くない。
しかも、めちゃくちゃプライドが高かった。
楓子が翔琉に夕食を提供することで母親としての面子を潰されたようなものなのだろう、とにかく面倒くさいいちゃもんをつける。
気持ちは分かるけどね。
母一人で頑張ろうって思ってるんだからさ。
楓子は翔琉の母親に文句をつけられたが、条件付きでかすがい食堂を継続する。
そして、最初は翔琉1人だったかすがい食堂に新たに子供達が加わる。
高校生で元子役の上村夏蓮は拒食症だ。
兵庫県から転校して来た小学6年生の井上亜香音は貧しさから夕食を食べることができない。
亜香音は197ページで母親のことをこんなふうに言う。
「母さんにはあんまり期待してへんねん。感謝はしてるし、仲が悪いわけやないけど」
小学生にして親に期待できないことを悟るってのは結構キツイ。
なぜ、親に期待できないのか?
多分、親が自分のプライドを優先させたものの考え方をしているせいだろうな。
亜香音の母親は、世間から貧乏に見えないように取り繕っている。
行政を頼ることは施しを受けることだと考え、役場に相談に行ったりしない。
社会のいろんな仕組みや制度をうまく使えば子供に教育を受けさせる方法はあるのだろうが、そんなものを頼るのはプライドが許さないのだ。
亜香音はそんな母親の考えを理解しているから期待することを諦めたのだ。
亜香音は夢は語らない。
高校には行かないと言う。
200ページで楓子に
「周りの大人に反対されるんはわかってる。でも、あたしは一刻も早く稼ぎたい。稼いで、食べたいもんを食べれる生活がしたい。いまから六年も我慢できへんよ。ま、うちの状況やと高校に行きたくても行けるとは思えへんけどね」
と言って小さく笑う。
小6の子にこんなこと言われたら言葉に詰まってしまう。
楓子はお節介かもしれないが、押しつけがましくはない。
最終的には子供本人が道を決める。
問題を抱えている子は亜香音のようになりたい自分だとか未来への希望だとか目標だとかを持っていない。
諦めていたり、興味すらなかったりする。
だから、こうしたい、こうしよう、と本人が決めることに意味があるんだと思う。
25歳で駄菓子屋のおばちゃんと呼ばれる楓子が子供達と一緒に食事を作り見守るストーリー。
1冊では物足りない。
続編を書いていただきたい。
子育てをしている母親からしたら余計なお世話もいいところかもしれない。
それでも、目の前にいる子供を見て見ぬふりはできず、現在駄菓子屋しか営業していないのに食堂だと言い切る。
昔は本当に祖母が食堂をやっていたのでまるまる嘘ではない。
ただ、この[かすがい食堂]は翔琉(かける)専用だというだけのことだ。
翔琉はいつもお菓子を夕食にしており、そのせいか食事そのものに興味が薄い。
おそらく死なない程度に食っていればいいくらいの感覚なのだろう。
母子家庭で母親が忙しいせいか食事のマナーも教えていないようで、翔琉は箸の持ち方も酷ければ「いただきます」も「ごちそうさま」も言わない。
楓子の祖母の朝日(あさひ)は、
「彼といっしょに学べばいいんだ。食育なんて大上段に構えず、間違っても教えてあげるなんて思わないことだよ」(32ページ)
と言って、楓子の背中を押してくれた。
だから楓子は、翔琉に「お箸はこうやって持つんだよ」などと言ったりしない。
でも、楓子や朝日と一緒に夕食を食べているうちに、翔琉は小さい声ながらも「いただきます」を言うようになる。
子供は大人を見て学んでいくのだ。
翔琉の場合、その見本となる大人がそばにいなかった為、学ぶことができなかった。
しかし、楓子が食堂と称して翔琉に夕ご飯を食べさせていることを知った翔琉の母親は面白くない。
しかも、めちゃくちゃプライドが高かった。
楓子が翔琉に夕食を提供することで母親としての面子を潰されたようなものなのだろう、とにかく面倒くさいいちゃもんをつける。
気持ちは分かるけどね。
母一人で頑張ろうって思ってるんだからさ。
楓子は翔琉の母親に文句をつけられたが、条件付きでかすがい食堂を継続する。
そして、最初は翔琉1人だったかすがい食堂に新たに子供達が加わる。
高校生で元子役の上村夏蓮は拒食症だ。
兵庫県から転校して来た小学6年生の井上亜香音は貧しさから夕食を食べることができない。
亜香音は197ページで母親のことをこんなふうに言う。
「母さんにはあんまり期待してへんねん。感謝はしてるし、仲が悪いわけやないけど」
小学生にして親に期待できないことを悟るってのは結構キツイ。
なぜ、親に期待できないのか?
多分、親が自分のプライドを優先させたものの考え方をしているせいだろうな。
亜香音の母親は、世間から貧乏に見えないように取り繕っている。
行政を頼ることは施しを受けることだと考え、役場に相談に行ったりしない。
社会のいろんな仕組みや制度をうまく使えば子供に教育を受けさせる方法はあるのだろうが、そんなものを頼るのはプライドが許さないのだ。
亜香音はそんな母親の考えを理解しているから期待することを諦めたのだ。
亜香音は夢は語らない。
高校には行かないと言う。
200ページで楓子に
「周りの大人に反対されるんはわかってる。でも、あたしは一刻も早く稼ぎたい。稼いで、食べたいもんを食べれる生活がしたい。いまから六年も我慢できへんよ。ま、うちの状況やと高校に行きたくても行けるとは思えへんけどね」
と言って小さく笑う。
小6の子にこんなこと言われたら言葉に詰まってしまう。
楓子はお節介かもしれないが、押しつけがましくはない。
最終的には子供本人が道を決める。
問題を抱えている子は亜香音のようになりたい自分だとか未来への希望だとか目標だとかを持っていない。
諦めていたり、興味すらなかったりする。
だから、こうしたい、こうしよう、と本人が決めることに意味があるんだと思う。
25歳で駄菓子屋のおばちゃんと呼ばれる楓子が子供達と一緒に食事を作り見守るストーリー。
1冊では物足りない。
続編を書いていただきたい。
以上、〖かすがい食堂 (小学館文庫)〗感想でした。
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ご訪問ありがとうございました(人´∀`*)
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