たた&にせ猫さんの備忘録

―演劇、映画、展覧会、本などなど、思うままに―

2018年マイベスト:『近松心中物語』『地中美術館』『ボヘミアンラプソディー』

2018年12月31日 | 日記
     2018年マイベスト:『近松心中物語』『地中美術館』『ボヘミアンラプソディー』

       大晦日。今年もマイベストを書いてみる。
  今年の観劇はライブを含めて13回、映画館には9回、美術館には27回行くことができた。昨年と同じ回数。

  観劇のマイベストとして『近松心中物語』をあげたが、『1984』もすごくインパクトがあった。『近松心中物語』は堤さんの恋に落ちた瞬間の演技が素晴らしかった。宮沢さんもだけれど、小池栄子さんがかわいい。舞台芸術もとても凝っていた。
  1984』はとても怖い世界。舞台はシンプルなのにとてもスタイリッシュ。『豊饒の海』東出さんが三島の世界に結構はまっておられた。
 
  映画はWOWOWに入ったので、結構新しい映画を放映してくれることもあり、映画館に足を運ぶ回数がより減ってしまった。DVD録画して見たものも感想を書けばよいのに、なかなかできない。
  映画館に足を運んだ作品では、『ボヘミアンラプソディー』が気持ちよく見ることができた。
  『検察側の罪人』も社会派映画としては、良い出来だと思うが、木村さんの主演でいえば昨年の『無限の住人』の方が出色の作品と思う。あれだけの殺陣のある時代劇(ワイヤーアクション中心でない)は、もうできないのでないかと。  
  『カメラを止めるな』は後半おもしろかったが、前半のカメラワークが結構きつかった。我が家人気No1女優の綾瀬はるかさんの『ロマンス劇場』は平均的な出来。

  美術展に関しては、直島の地中美術館のジェームズ・タレルの『アフラム、ベール・ブルー』、ウォルター・デ・マリアは『タイム/タイムレス/ノー・タイム』に圧倒された。直島を電動自転車で走ったのは楽しい思い出。
  『会田誠展:GROUND NO PLAN』はとても面白かったし、『第21回文化庁メディア芸術祭 受賞作品展』国立新美術館も楽しかった。
  ブリューゲル展、プラド美術展、フェルメール展、藤田嗣治展等々、大規模展がたくさんあり、東京は美術館が多く、恵まれているなあと、あらためて実感。 

  昨年に引き続き、腰痛の具合が芳しくなく、調子に波があるので、様子を見ながらの外出になり、当日券に気合を入れて並びに行くというのもなくなってしまった。来年は今年よりリハビリを増やして、もう少し歩けるようになりたいと思う。

  ブログを始めたのが2010年の3月、8年9か月になる。訪問者のごく少ないブログだけれど、今までに16.9万人ぐらいの方が来訪してくださっている。ブログの左横の『最新記事』をクリックすると、記事の下に『このブログの人気記事』というのが10個出るが、ずいぶん前に書いた記事が上がっていたりするので、どういうきっかけでこのブログに来られたのかなあと思ったり、久しぶりに読んで懐かしかったり。いろんなことを忘れやすくなり、自分のための覚書だけれど、楽しんでくださる方がいると思うとやはりうれしい。来年は少しでも健康を回復して、たくさん出かけられますように。
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『藤田嗣治展』東京都美術館

2018年12月30日 | 日記
     『藤田嗣治展』東京都美術館  2018.10.4
         2018.7.31(火)~10.8(月・祝)

  随分前に会期が終わってしまいましたが、備忘録ということで一応記載。

  本屋でたまたま『藤田嗣治が分かれば絵画が分かる』布施英利 NHK出版新書1000円+税を見つけ、これを読み終わってからブログを書こうと思っていたら、ずいぶん時間がたってしまった。

  ―没後50年、フジタの画業の全貌を解き明かす大回顧展―

  会場に入ってすぐに『自画像』と『父の像』。この『自画像』は東京芸大美術館で、卒業制作の自画像展というのがあった時に、見た記憶がある。強いまなざしの印象的な絵。『父の像』は初めて拝見、軍医総監だったということで、胸には勲章がびっしり。フジタの伝記で、父親が医者というのは読んだ記憶があったが、このように勲章が一杯ついている像を見ると、インパクトが違う。このような父親のもと、画家になるというのはどういうことだったのだろうかと。

  藤田の絵は何度か拝見していて、代表作の乳白色の下地による裸婦像、猫、そして子供の絵。油絵を習っていたことがあるが、白の使い方が少量でもすごく難しい、下地の白なんて考えられない。物凄い技術。裸婦とカメラ目線の猫、デッサンがすごい。

  今回印象に残ったのは、「キヤンボシヤ平原」。初めて拝見した。
  フジタの戦争画は戦争に協力したという批判はあるが、「アッツ島玉砕」にしても「サイパン島同胞臣節を全うす」にしても、この2作は国立近代美術館にあり、以前拝見したことがあるが、戦意の高揚を超えているというか。

  1930年代・旅する画家のコーナーでは、「ラマと四人の人物」など、魅力的な作品が、たくさん。

  どうしても裸婦像やカメラ目線の猫を丁寧に見てしまうけれど、今回の展示は幅広くて、いろんな年代の作品を拝見することができた。カトリックへの道行きでは、宗教画もたくさん展示されていた。
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『民衆の敵』 Bunkamuraシアターコクーン

2018年12月29日 | 日記
     『民衆の敵』Bunkamuraシアターコクーン 2018.12.20
        2018.11.29(木)~12.23(日・祝)
   作:ヘンリック・イプセン 翻訳:広田敦郎 演出:ジョナサン・マンビィ 美術・衣装:ポール・ウィリス
   出演:堤真一 安蘭けい 谷原章介 大西礼芳 赤楚衛二 外山誠二 大鷹明良 木場勝巳 段田安則他

  お話は<温泉>の発見に沸くノルウェー南部の港町。医師のトマス・ストックマン(堤さん)は、町の資本となる<温泉>が、工場の排水により汚染されている事実を突き止め、告発を試みる。トマスが告発しようとしている“真実”は市長である実兄のペトル(段田さん)、妻のカトリーネ(安蘭さん)や子供たち、新聞編集者のホヴスタ(谷原さん)、船長のホルステル(木場さん)ら、あらゆる人々、民衆を巻き込んでいく。

        1幕もの、休憩なしでした。

  健康被害が出始め、温泉汚染の影響でないかと水質検査。工場排水による汚染が判明したが、温泉の水質改善のためには、大きな資金が必要で、営業も2,3年と休まなければならない、近隣の別の温泉に客を取られてしまう、町の繁栄が失われてしまう。市長を筆頭に、革命だと気勢を上新聞記者、水質改善は良いことだと言っていた市民も、自分の利害が絡んでくると、真実を告げようとするものは民衆の敵になり、孤立し、礫を投げられる。
  妻の支えや正義感の強い娘の支持はあるものの対外的には孤立無援で、今後の困窮が予想される中、「世界で一番強い人間は何があっても一人で立っている人間なのだ」という、孤立しながらも正義を掲げるところでお話が終わります。

  今も全くありそうな話。正義感を掲げたところで話が終わるのが、話が逆に若干古い感じがしてしまう。

  堤さんは膨大なせりふを熱演。段田さんは相変わらず、声の通りの良いこと良いこと。2人とも好きな役者さん。にせ猫さん、堤さん段田さんともに1回ずつかんだねと。何を数えているの。

  とても芝居らしい芝居。コクーンが改修のために休んでいたので、再開がうれしい。
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『アリー/スター誕生』109シネマズ川崎

2018年12月22日 | 日記
     『アリー/スター誕生』109シネマズ川崎 2018.12.22

  監督:ブラッドリー・クーパー 脚本:エリック・ロス ブラッドリー・クーパー ウィル・フェッターズ
  キャスト:ブラッドリー・クーパー レディー・ガガ アンドリュー・ダイス・クレイ デイヴ・シャペル        サム・エリオット他

  ―『アメリカン・スナイパー』などに出演しアカデミー賞に3年連続でノミネートされた俳優のブラッドリー・クーパーが監督と制作を担当し、数々のヒット曲で知られるレディー・ガガが主演を務めたドラマ。スター歌手に才能を見出された女性が、スターダムへと昇り詰める姿が描かれる―

  お話はよくあるスター誕生もので、才能ある女性がスター歌手に偶然見いだされ、愛し合い、励まされ、スターダムに乗っていく。男は孤独な生い立ち、酔っ払いの父親、年の離れた義兄、歌手として成功しているが、酒とドラッグが手放せない。彼女と愛し合い、立ち直ろうと結婚するが、彼女がやり手のマネージャーのもとスターとして変わっていくと、難聴の強まりもあり、再び酒とドラッグにおぼれていく。依存症施設に入り回復を目指すも……。

  成功の陰にある緊張の高い生活、自分だけのものでなくなっていく生活、酒やドラッグが身近なものから、手放せないものに。スターとドラッグ、酒、処方薬、過食。スターが依存症治療をうけたとカミングアウトしたとか、克服したとか、時折記事で見るけれど、実態は大変なんだろうなと。

  よくあるスター誕生もので、話の流れは分かっていたとしても、レディー・ガガの歌が素晴らしく、IMAXで見てよかったなあと。レディー・ガガ、演技も瑞々しく素晴らしかったです。
  ブラッドリー・クーパーは歌も歌っているとのこと、歌もよかった。レディー・ガガよりずいぶん年上に見えていたけれど、ガガが32歳、クーパーが43歳。43歳、結構渋いです。

  レディー・ガガの歌を堪能する映画。
 
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『エキゾチック×モダン アールデコと異境への眼差し』東京都庭園美術館

2018年12月22日 | 日記
     『エキゾチック×モダン アールデコと異境への眼差し』東京都庭園美術館 2018.12.11
         2018.10/6土➤2019.1/14月

  以前の仕事つながり仲間と年1回の散歩とランチの会。昨年は腰痛で参加できなかったが、今年は腰痛はあるものの、昨年程ではないので参加できました。

  今回は白金台のイタリアンでランチ、散歩は東京都庭園美術館。庭園美術館は旧朝香宮邸。旧朝香宮邸は久邇宮朝彦親王の第8王子鳩彦王の自邸。アールデコの全盛期にフランス留学し、その様式美に魅せられ、フランス人芸術家アンリ・ラパンに主要な部屋の設計を依頼、建設にあたった宮内庁の技師権藤要吉も西洋近代建築を研究、日本古来の職人技術も発揮されている建造物で国の重要文化財に指定されている。

  まずはお庭を散策。12月とはいえ紅葉が残っていてなかなかの風情。すぐそばが首都高だけれど、閑静な一角。

  建物に入ると、正面玄関ガラスレリーフ扉はフランスの工芸家ルネ・ラリックの作品(今は扉としては使用されていません)。とても雰囲気のある大きな作品。どの部屋も、照明や壁面が凝っています。

  エキゾチック×モダンのテーマに沿って、各部屋をめぐります。§1モードのエキゾティシズム、§2装飾のエキゾティシズム、新館で、§3パリ国際植民地博覧会と植民地主義の表象、§4異教の再発見に分かれ、特別展示も、1.アールデコ博覧会と旧朝香宮邸、2.ジョセフィン・ベーカーとナンシー・キュナード、3.フランソワ・ボンボンと動物彫刻の流行となっています。

  展示解説には、バレエ・リュス、東洋や中近東、北アフリカの服からの着想、ピカソなどの前衛芸術、アフリカ彫刻や極東の陶磁器、真鍮工芸と漆、アールデコ博、ルヴュ・ネーグル(ジョセフィン・ベーカー)、ナンシー・キュナード、1931年のパリ国際植民地博覧会(未発達の植民地にフランスが平和と秩序、そして教育と産業を与え、文明化と繁栄をもたらす植民地主義政策の啓蒙を目指した)、自動車でのサハラ砂漠横断、アフリカ大陸縦断、コロニカル・アート等のキーワードが。
  
  これらのキーワードだけでも、今日まで解決できない、いろんな問題が思い浮かびます。いろんな文化に触れて、芸術が多様化し、実り豊かだったとしても。

  バレエ・リュス展は見たことはあるけれど、工芸品やアールデコについての知識があまりないので、お庭の紅葉と旧朝香宮邸の内装、照明が印象深く、魅せられた感じ。工芸品はいつも何となく飛ばし見してしまい、知識がないと鑑賞ポイントが深まらないなあと。
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