たた&にせ猫さんの備忘録

―演劇、映画、展覧会、本などなど、思うままに―

『クレイジー・ハート』 渋谷シネマ・アンジェリカ

2010年10月26日 | 日記
    『クレイジー・ハート』 渋谷シネマ・アンジェリカ 2010.10.22

   監督 スコット・クーパー
   出演 ジェフ・ブリッジス マギー・ジレンホール ロバート・デュヴァル コリン・ファレル

   主人公バッド役で、ジェフ・ブリッジスが第82回アカデミー賞主演男優賞を受賞

  いつも通りかかる本屋で見かけた映画のチラシに魅かれて、初めての映画館に行ってみました。『渋谷シネマ・アンジェリカ』は、マークシティの4階、道玄坂方面出口を出て、すぐ近くにありました。地下一階にある映画館で、チケット売り場はあるけれど、待合がないので、10分前まで、外で時間つぶし。入場に際して、お姉さんが整理番号1,2番の方、ついで、3、4番の方と声をかけて下さるのだけれど、全員で8人ほど。平日昼間の映画館は空いていました。

  ブログを書こうとして、『クレイジー・ハート』の公式ホームページを見たら11月末にはDVD発売とのこと。いつ頃、上映されていたのかしら。

  お話は、中年のアルコール依存症カントリーシンガーの愛と再生の物語。
 
  かつて一世を風靡していたカントリーシンガー、バッド・ブレイク。だが、今では結婚生活は何度も破綻し、アルコールに溺れ、ドサ周りの日々。そんな彼の生活もシングルマザーの地方紙記者ジーンの登場により変化が訪れます。しかしながら、飲酒をやめられないことにより、決定的に信頼を失う場面が。彼は自ら助けを求め、治療施設に入り、愛と信頼を取り戻そうとします。

  アルコールの治療施設、ミーティング場面で、主人公は酒で人生が立ち行かなくなったことを率直に認めます。自然に恵まれた施設の中庭で、屋外でのミーティングは開放的な雰囲気。アメリカの依存症治療は、このような施設で行われているのでしょうか?

  主人公は断酒に成功し、かつての弟子で今はトップスターのトミーから依頼された新曲を完成させ、仕事面でも回復基調。酒の日々から再生できたのは、ミュージシャンとしての才能と仕事だけはどんな時も続けていたという自負。でも、彼女との関係は取り戻すことができません。再会した彼女の薬指には指輪が…。

  カントリーが随所に入っていて、主役も、トミー役の人もすごく歌がうまくて、ライブシーンが楽しい。しかしながら、歌に字幕がつかないので、雰囲気だけしか楽しめなかった感じ。歌にも訳が入っていれば、もっと歌を聴きながら、感情移入できたのでないかと、少し残念なところ。DVDになったらレンタルして確認してみようと思った次第。
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『ドガ展』 横浜美術館

2010年10月17日 | 日記
  『ドガ展』 横浜美術館  2010.10.8(金)
    2010年9月18日(土)―12月31日(金)

  夏にポンペイ展を見て以来の横浜美術館。前回、横浜出張の帰途、金曜日の夕方に美術館に寄ったら、比較的ゆったり見ることができたことに味をしめ、金曜の夜に行ってみました。
  平日は結構混雑していると聞いていたのですが、比較的空いていて、静かな雰囲気の中で、絵を楽しむことができました。久しぶりに清々しい美術鑑賞。金曜の夜がお勧めです。

  絵はやっぱり『エトワール』が素晴らしい。本当に美しく、音楽に同化した動きの、そして、エトワールの恍惚の一瞬。展示も工夫されていて、フットライトを浴びるエトワールにあわせ、下方から照明が当てられています。

  他にもバレーリーナを描いた作品も展示されているのですが、技法のせいか特別に美しいのです。モノタイプという技法の説明もありました。

  デッサン、素描がとても躍動感がある一方で、油絵は幾分非個性的。ドガは視力の問題があり、油絵の具より、色が分かりやすいパステルを使用したとのこと。
  ショップにドガが使ったのと同じ製法で今も作られているパステルが販売されていました。ちょっと欲しかったけど、かなり高額。いつものように絵葉書を1枚とクリアファイルを購入。クリアファイルは表、裏ともに『エトワール』を取り上げたものを選びました。なかなか良い感じです。

  『ドガ展』の後、少し常設展を回り、好きな作品を鑑賞。いつも思うのは、横浜美術館の所蔵品の立派さ。常設展を見ないと、本当にもったいないと思います。
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『ブロンド少女は過激に美しく』 TOHOシネマズ シネシャンテ 

2010年10月17日 | 日記
   『ブロンド少女は過激に美しく』 TOHOシネマズ シネシャンテ 2010.10.16
 
     監督:マノエル・デ・オリヴェイラ 原作:エサ・デ・ケイロス
     出演:リカルド・トレパ カタリナ・ヴァレンシュタイン レオノール・シュヴァイラ他

  ポルトガルの文豪エサ・デ・ケイロスの短編小説(原題『ブロンド少女の特異さ』1873年)を、撮影中に100歳の誕生日を迎えた巨匠マノエル・デ・オリヴェイラが舞台を現代に移して映画化。

  映画を観終わって立ちあがった瞬間、隣の中年紳士が奥様らしきご婦人に「日経で★5つだったんだけど」と、言い訳。ちなみに、日経(夕刊)2010年10月8日のシネマ万華鏡で★5(映画評論家 宇田川幸洋)。めったに★5つはないので、皆さんさぞかしと思われたのではないかしら。

  日経の映画評論に惹き付けられ、また、このタイトルが男性心理をくすぐったのか、中年男性観客率が高い印象。

  映画自体は140年前の原作を現代に移しているせいか、不思議な趣。

  古めかし恋の話で、少女の蠱惑的な外見に魅かれ、結婚しようとすると、叔父や相手の親の許しが必要で、男は一財産を作るべく努力する。せっかく作った財産を友人のために失ったが、職業人として叔父に認められ、結婚の許しにたどり着くと、今度は相手の少女がとんでもない癖を持っていて、主人公の夢が一瞬にして失意に代わるというシニカルな短編。

  恋の盲目、外見のほかにクラスや資産が相手をみる物差しになっているといった背景にある階級意識などを皮肉っている短編小説なのかしら?。

  古めかしい恋で、紳士然とした服装も幾分古めかしいのだけれど、なぜか職場にパソコンがあるし、ユーロが使われている。例えば、明治時代の短編小説を現在の設定でやっている奇妙さ。それを、監督の力技で見せている。

  ポルトガルについておよそ知らないので、今もクラスがはっきりしていて、貴族趣味的な文化が維持されているのか、結婚には叔父や相手の親の許しが必要なのか、少女の癖は一瞬にして、その人を最下層に落としてしまうような価値観があるのか?どんな作家なのか、原作の時代背景は?等々、興味が後を引く映画。

  とはいえ、64分間、映像はきれいで、場面の切り替え、ストーリーの切り取り方など映画らしい映画だけれど、週末で疲れのせいかとても眠い。映画評論にあった少女の特異さの落ちだけでも知っておきたいと、最後まで起きていたけれど。短編で助かりました。
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