「たにぬねの」のブログ

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今月のお薦め_06.2006

2006-08-07 23:02:03 | 今月のお薦め_XX.20XX

ゲーム理論の愉しみ方-得するための生き残り戦術 河出書房新社
THE SURVIVAL GAME:How Game Theory Explains the Biology of Cooperation and Competition
デイウィッド・P・バラシュ著
桃井緑美子訳

おもしろいこと盛りだくさんでした。下手にまとめたり、考えを述べると間違う可能性があるので本のメモという形式で提出します。ほんのメモ代わりに。

























A
裏切り 協調
誘惑(A), お人よし(B) 報酬(A), 報酬(B) 協調 B
懲罰(A), 懲罰(B) お人よし(A), 誘惑(B) 裏切り

2×2ゲーム
(利得;誘惑>報酬>懲罰>お人よし)囚人のジレンマ
(利得;誘惑>報酬>お人よし>懲罰)チキンゲーム
(利得;誘惑>お人よし>報酬>懲罰)先発者ゲーム
(利得;誘惑>お人よし>懲罰>報酬)男と女の戦い

ナッシュ均衡・パレート均衡

アナトール・ラポートの「お返し」;最初は強調し、以降は対戦相手が直前にとった行動と同じ行動をとる戦略。

条件戦略「if-then 文」 ;
 仕返し屋:ハトにあったらハト、タカにあったらタカ
 いばりん坊:ハトにあったらタカ、タカにあったらハト 

最後通牒ゲーム;(利得;誘惑>報酬>お人よし>懲罰)でチキンゲームの一種である。ただし、(二人の)プレーヤが交互に判断するため、パイの分配のような典型的な最後通牒ゲームの利得表は
























提案者
不平な分配 公平な分配
誘惑(提), お人よし(回) 報酬(提), 報酬(回) 提案を受け入れる 回答者
懲罰(提), 懲罰(回) -(提), -(回) 提案を拒否する


ゲーム理論と経済行動(ノイマンとモルゲンシュテルン;1944),あるいはノイマンが,ミニマックス定理を発表したときからを出発点

ビスマルク海戦(第八一号作戦);ケニー将軍と今村均大将。ケニーの任務は日本艦隊の攻撃で,今村の任務は輸送船団を到着させること。ニューブリテン島の北か南か。ケニーが偵察機を北に向かわせた場合,発見に一日,南は相手次第で攻撃日数が一日または三日。

アクセルロッドの囚人のジレンマ・ゲームのプログラム大会

第一次大戦の西部戦線における「共存」作戦。

将来の影が長い;上品な行動,寛容。
自分の利得を増やすことより相手の利得を減らすことに関心を示す傾向。

社会的ジレンマ;個人と集団で2×2化する。

フリーライダー(ただ乗り)問題;
43人に対して,参加者全員から合計250ギルダー以上のお金が集まれば,全員に10ギルダーを渡すアナウンス。ある例では245.59ギルダー。

ガンゲーム;一般市民も強盗も銃を持つか持たないか。武装社会では強盗が押し入る家が武装していることを前提に行動する。

猫に鈴は社会的チキン。

先住優先(ブルジョア)社会

合理性と非合理性;10ドルのチケットを落として再購入は躊躇うのに,チケットを買う直前に10ドルをなくしても,チケットを購入する心理。
リスク回避,フレーミング効果,プロスペクト理論;頑健性,新しいことを進んではじめさせるのは大変。

コンコルドの誤り
ドルオークション;千円札を掲げ,客に値をつけて貰う。ただし,落札した人は勿論,二番目に高い競り値をつけた人も競売人にその額を払わなくてはいけない。
1.オークションへの参加をきめるとき 2.競り値の合計が千円を越えるとき 3.競り値が千円を越えるとき

この本についての最後は抜粋(p359)します。
利得を知ったうえで,これまでとは違う合理性に価値を見出し,自己だけでなく,全体の幸福に熱意を傾ける人々である。略
冷たい合理性を温かい合理性にしようとする熱情からものごとを考える人々が現れなくてはならない。いや,これはまさに急務なのだ。略
ラパートはこんな喩え話を紹介している。二人の息子がぶどう畑に宝物が埋まっていると教えられて掘ってみた。宝物は見つからなかったが,おかげで土地がたいへん肥えたのだった。
↑ここで本を結んでいるのがゲーム理論を愛し,憎み,掲げた急務への切実なおもいが伝わってきた。
統計の分野でもいえると思いますがゲームの理論は状況を説明することに非常に有効です。状況説明の道具を魔法の道具に、都合の良い口実のこじつけに使うことは危険以外の何ものでもなく、この本の結びはそのことを警鐘しながらも見事に学問の目指すべき姿勢を表していると私は思う。

人は信用足るに耐えないと思っているから信用でき、性善説を信じることができると、私は考えている。

ところで今月はゲーム理論について本を読みながら利己的な遺伝子の本を読むこともいとおかしでした。

利己的な遺伝子<増補新装版>
THE SELFISH GENE
リチャード・ドーキンス著
日高敏隆、岸 由二、羽田節子 垂水雄二訳

この時期にこの本を読んだのは、今度、ジャンケンでいう後出しをするつもりだったのですが私の傲慢でした。
上記の浅はかな陰謀はさておき、ゲーム理論の愉しみ方同様、本の最後には人類への愛を感じます。

11章 ミーム 新登場の自己複製子
先見能力や純粋で、私欲のない、本当の利他主義の能力
以下については全くの賛成である。。(p310-311抜粋)!
ここの人間は基本的には利己的な存在なのだと仮定したとしても、
われわれの意識的な先見能力-想像力を駆使して将来の事態を先取りする能力-
には、盲目の自己複製子たちの引きおこす最悪の利己的暴挙から、われわれを救い出す能力があるはずだということである。

おもしろい2冊でした。

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