まだ見ぬ後輩たちへ

最近人から「指圧師になろうと考えてるのですが
自分の存在意義を見出したい、人のために働きたい！」
と相談された。
続けて
「田守さんは指圧師の道を選ばれたことを今はどう思いますか？」
と聞かれた。

そういう大義名分で働くのはいいと思う。
俺も最初このような気持ちだった。
でも、現実を正直話したよ。
現状、そしてこれからこの業界がどうなっていくか。
力の弱いあはき協会、何も変わらない現実、TPPに怯える同業者…
結局政治力なんかなと思ったり悩んだりした。

でも患者さんからしたらそんなこと関係ないんよね。
職人肌で頭固いと思われるかもしれないが、自分たちは患者さんに対しひたむきに施術し、向かい合い信頼関係を作っていくしかない。

「漁師以外が漁をしたら密漁なのに、なんで指圧師以外が指圧をしたら密指圧じゃないんだよ！
職業差別だ！」

とか昔考えてたり、不満ばかりでした。
しかし変わらない日常、変わらない現実、変わらない世界…なんです。
綺麗事じゃ済まされません。

自分は指圧師の道を選んだことは後悔してないし楽しんでいる。
まだまだ自分は未熟だと思うし、知らないこともたくさんある。
訪れる患者さんに、ツラい顔した患者さんがよくなるために自分のできることを無心に施術する。
そのために学ぶし時間もお金もいとわない。
よくなるために引き出しをたくさんもつことで試し、それで救われることもある。
勿論失敗することもある。
それを楽しめるかどうか。効率化、流行り、経費削減などいろんな方法はあるが、結局自分は指圧師としてどのように人間と向き合っていくかだと思う。
その中で愛情を持ち相手の言葉に耳を傾け信頼関係を築いていくのが人間らしいのではないか。

指圧師だからと指圧だけやっていく人もいれば他の仕事しながら指圧もしてる人もいる。

それを続けられる環境だから今自分は続いているだけ。
指圧師として、心の持ち方がひとりの人間としての職業へと繋がるのだと思う。