時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
上り坂では見えなかったものが見えてきた。
焦らず、慌てず、少し我儘に人生は後半戦が面白い。

内閣の通信簿

2021年09月02日 | 時のつれづれ・長月 

多摩爺の「時のつれづれ(長月の13)」
内閣の通信簿

9月になったとたん・・・ やけに風が冷たく感じるようになってきた。
衆議院議員の任期も、残すところあと2ヶ月、
秋風に吹かれて首筋に寒さを感じる議員も多いのではなかろうか?

一方で自民党総裁の任期は、こちらは1ヶ月しかないが、総選挙に絡めて延期することも可能らしい。
いずれにしても、今月末には現職か、それとも新しい総裁を看板に掲げて、
総選挙に突入することになるようだ。

現内閣が発足して約1年が経った。
発足当初は高い支持率を得ていたが・・・ いまでは恐ろしいほど下がり、
総理は、気の毒なくらいにやつれ、疲れ果てて見える。

それもこれも、新型コロナウイルス対策に関する不満から来ているわけだが、
感染拡大を阻止して、国民の命と健康を守り抜き・・・ 社会経済活動との両立を目指すと語った、
ウイズコロナ戦略を、客観的に見てみたら、その成果はいったいどうなっていたのだろうか?

コロナ禍で、社会が荒れに荒れたこの1年、
その陣頭指揮を執った内閣の、コロナ対策に関する通信簿を、
「ワクチン接種、有事下の医療体制と出口戦略、ロックダウンの是非」の3項目に絞って、
10点満点で評価してみた。

まずは、ワクチン接種だが・・・
最大限に評価しなければならないのは、先進国のなかでも、ワクチン
接種が一番遅れていたところ、
年明け早々に、ワクチン担当大臣を任命してネジを巻き直すと、
世界がワクチン争奪戦が熾烈を極めるなか、4月に渡米した総理が製造メーカートップと自ら交渉し、
契約数量の確保と納品時期の担保に努めている。

総理自らの交渉が、いかほどのものだったのか・・・ その内容までは分らないが、
G7で同じテーブルに着く先進国の総理から、直接連絡があれば、
影響がなかったとはいえないだろう。

けっして、表舞台にでてくるお金じゃないが、数億円あるという官房機密費から、
契約額に、いくらか上積みされていたとしても・・・ 何ら不思議ではないし、
そういった使い方なら誰も文句を言わない。

そして、ワクチン数量の確保が見込めると、
ゴールデンウィーク明けから、一気に接種を加速し始め、
8月末には、全国民に対して1回接種で56.1%、2回接種で45.1%まで進んだことは、
10点満点に値するし・・・ これに対して、ケチを付ける人はいないのではなかろうか?

しかも8月末の接種完了数は、全国民の2割ぐらいが接種しないと仮定して、
分母(全人口)を80%で再試算すれば、
1回接種の56.1%は70.1%になり、2回接種の45.1%は56.4%となるので、
夏の盛りから蔓延し始めた、デルタ株の猛威があまりに強すぎて、
いまのところは結果がともなってないが、
この成果は、いずれ近いうちに、新規感染者と重症者数の減少という形で表れてくると思われる。

昨年末、欧米から始まったワクチン接種に、懐疑的で様子見を決め込んでいた野党が、
もし政権を担っていたら・・・ 3ヶ月から半年近くは接種が遅れていただろうし、
年内の接種完了は、夢のまた夢だったと思えば、現政権の評価は極めて高いと思うがどうだろう?

また、野党は国会で、ロシア製や中国製のワクチンを契約したらどうかとも提案していたが、
ロシア製や中国製のワクチンを、進んで接種する国民が・・・ いったい、どれほどいただろうか?
さらには北朝鮮へワクチンを持って行き、外交の切っ掛けにすべきと質問したとぼけた議員もいた。

ワンチームを拒むだけじゃ飽き足らず、その程度のことを質問していたにも拘わらず、
臨時国会を開いて、予備費の追加を議論をすべきだと云うのは、調子が良すぎるというもんだろう。

次に医療体制や、国民に対するメッセージが、
いったいどうだったのかという部分にフォーカスしてみると、
1年半あったにも拘わらず、有事下における医療体制の再構築を医師会任せで、
政府主導でできなかったことは、最重要課題となっている病床数の不足に直結しており、
これは全くもって評価に値しない。

また、デジタル化に拘った総理なのに、
数値を使って国民への動機付けが、未だに曖昧なのもいただけないし、
出口戦略を明確にせず、長期に渡って、ストレスを招いたことも・・・ 評価に値しない。

とはいえ・・・ 医師会傘下の町医者の抵抗や、刻々と変わる状況に、
基準値の見直しをせざる得なかったこともあり、
落第点ではあるが、3点ぐらいで評価するのが妥当なところだろう。

総合病院と町医者がしっかりスクラムが組めないうえに、裏付けのある数値で語れなかったことが、
総理が発するメッセージに、大きく影響しているといっても過言ではないだろう。
「これがこうなったら、次はどうする。あれがこうなったら、次はどうする。」といった、
納得できる説明に欠け、
それがそのまま、求心力の低下と、支持率の低下に繋がったといっても、過言ではないだろう。

また、ロックダウンをせよとの声が、日ごとに増してきているが、
もし、ロックダウンをやっていたら、いまごろ・・・ どうなっていただろうか?

おそらく、感染拡大は・・・ かなり抑えられ、医療従事者への負担は格段に減っていたと思うが、
一方で、その他の業界は、壊滅的なダメージを受けていただろうし、
多くの人々が、職を失っていた可能性は極めて高くなっていたのではなかろうか?
それこそ、コロナで亡くなる人は少なくなるが、
職を失って自ら命を絶つ人が増えていた可能性もあっただろう。

そうすると、十分な補償をすればなんとかなる・・・ といった声が必ずでてくる。
10万円なり、20万円の特別給付金を支給すれば、なんとかなりそうだと思いもするが、
それは生活費であって、会社や事業を継続するために必要な補償は、
飲食業だけじゃなく全業種に広がることは必至で、
いまでも様々な申請があって、お役所は支給までに数ヶ月かかっているのに、
全業種になると処理待ちの列は長蛇となり、お金が振り込まれるまでに1年近くかかり、
援助が間に合わないことは、火を見るより明らかだろう。

デジタル化が遅れて、マイナンバーと銀行口座のひも付けに、
絶対反対だとする人々が多数いるのが現状である。
この国には、個人情報の漏洩を恐れすぎて、なにもしたくないという人が多すぎるのである。

私なんかは、個人情報は漏れるものだと思っていて、
漏れても補償してくれる企業だったら安心して任せることにしている。

お上の仕事が遅いのは、いまに始まったことじゃないが、
お上や大企業なら補償してくれるし、安心して任せるしかないと思って、
考えを切り替えるしかないのである。

特別定額給付金を振り込むことですら・・・ 半年近くかかり、簡単ではなかったことを踏まえれば、
ロックダウンを議論しなかったことは、後々のことまで考えてのことだと捉えられるし、
対策としては・・・ 若干苦しいが、合格点の8点が妥当なところだと思う。 

以上が、新型コロナウイルス対策の通信簿だが、
ワクチン接種=10点、有事下の医療体制と出口戦略=3点、ロックダウン=8点となり、
3項目の合計点は(10点+3点+8点=21点)となり、その平均は7点になることから、
ギリギリ合格点といって良いと思うがどうだろう?

客観的に見て、現内閣の政策は・・・ ウサギじゃなく、カメの歩みかもしれないが、
着実に前に向かっている。

G7に属する他の先進国と比較しても、けっして悪くない上に、
世界と約束した東京2020(オリンピック・パラリンピック)まで、
なんとか、かんとかやり遂げている。

これは、私の思い込みだが・・・ この国で頻繁に行われている、政局に関する世論調査の大半は、
メディアによる印象操作が、かなり影響していると思っている。

問いに偏りを持たせるわけにはいかないので、
平日にたっぷりコロナ対策の不満を拾った偏向報道を繰り返し、
週末にアンケートを取れば、必然的にネガティブな方向に誘引されるだろう。
これがメディアの常套手段で・・・ 誘引された調査結果だけを一人歩きさせているのである。

大事なことは、コロナ対策に対する思いは、ひとそれぞれあるので賛否が分かれるのは致し方ないが、
ケータイ電話料金が下がったことや、不妊治療が保険適応になったことに加え、
コロナ禍で経済的に厳しいなかでも、最低賃金を引き上げたりしているし、
賛否はあったが、学術会議のあるべき姿をオープンにしたし、
福島原発の処理水問題も先送りすることはなかった。

徴用工や慰安婦などの、半島の理不尽な対応にも、厳しい姿勢を崩すこともないし、
大陸にも決して甘い顔はみせず、自由で開かれたインド太平洋戦略にも積極的に取り組んでいる。

思いや考えは、人それぞれだから、それをどうのこうのと言うつもりはないが、
一部の政策だけにフォーカスして、その他の政策が世論調査の問いから抜け落ちているとしたら、
やっぱり、印象操作されていると言わざる得ないのではなかろう?

為政者ならば・・・ 良くも悪くも、引責辞任や更迭といった責任の取り方があるが、
メディアに関しては、偏向報道を繰り返して、印象操作をしていたとしても、
報道の自由という名目をかざして・・・ 後始末をすることはない。

また、総理がいう・・・ 自助・共助・公助の絆に対して、野党は順番が違うと指摘するが、
自助・共助・公助の順番だから、この国がいま民主主義(自由主義)なのであって、
地震や台風、豪雨などの自然災害を除いて、自助と公助の順番が逆になっていたら、
それは社会主義(全体主義)的な発想に近くなると思うが・・・ 間違っているだろうか?

もちろん・・・ こういった捉え方には、さまざまな意見があると思われるが、
次の総選挙の焦点は、まさにそこのところであって、
いまのまま、民主主義であり続けるのか・・・ それとも、社会主義に近づこうとするのか?
それが問われていることを肝に銘じて、1票を投じなければならないだろう。

総理に発信力や訴求力(自信に溢れた、力強い口調と目力)が足りないのは確かにその通りだが、
政策の進捗は、ウサギのスピードを求める国民に対し、カメの歩みだから、
そこに不満が溜まるのは理解するとしても、
政策のベクトルは、けっして間違ってないと思うがどうだろうか?

私は幇間でもないし、提灯持ちでもないが、口下手というだけで、
世論調査が異常に低くなるのには・・・ おかしいと思うがどんなものだろうか?


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