時のつれづれ(北多摩の爺さん)

下り坂を歩き始めたら
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ゆりかごから墓場まで

2023年12月19日 | 時のつれづれ・師走 

多摩爺の「時のつれづれ(師走の45)」
ゆりかごから墓場まで

キックバック問題が話題を集めるなか、
先週末、政府与党は来年度の税制改正大綱を決定するとともに、
来年6月に予定されている、4万円の定額減税について、
年収2,000万円で線引きし、所得制限を設けることなどを盛り込んでいた。

それはそれて良いんだが・・・ なに気に脳裏に浮かんだのは、中学校の時に社会の授業で学んだ、
「ゆりかごから墓場まで」という、だれもが知るキーワードで、
それは最低限度の生活に始まり、教育、医療、介護、出産、葬祭などにおいて、
社会全体で支え合うスキームで、出来る出来ないは別にして、福祉政策の基本となる考え方だった。

先の大戦後に、イギリスが社会保障のあるべき姿として掲げたスローガンだったと思うが、
その言葉の響きが持つ優しさと、その言葉に秘められた高潔さに、
この国もいずれは、こうならなくちゃ・・・ なんて、
丸刈りの中学生の心の琴線が、激しく共鳴したことを思い出す。

この国では、なぜそれが出来ないんだろうか?
その疑問に対する解は、極めて明解で、
「ゆりかごから墓場まで」を支える裏付け(原資)に・・・ 高い消費税率があり、
「それで良い。」と認める国民性があったことだろう。

いま、物価高に喘ぐこの国では、声高に消費税の減税が叫ばれているが、
この国の消費税は10%だが、イギリスでは20%であり、
いまやイギリスの上を行く、社会福祉大国スウェーデンに至っては・・・ 25%である。

もちろんその差には、社会保障内容に差があるので、単純に比較できるものではないが、
この国では、減税で原資が少なくなるにも拘わらず、
その一方では、社会保障の充実も声高に叫ばれているんだから、
なんか・・・ 論理矛盾があるような気がしないでもない。

因みに令和5年度の当初予算の源泉と使途を、国税庁のホームページから調べてみたら、
社会保障関係経費は36.9兆円で、消費税の収入は23.4兆円とあった。

単純に10%÷(23.4兆円÷36.9兆円)で計算しても、
逆から36.9兆円÷23.4兆円×10%で計算しても、その答えは15.8%だから、
消費税を15.8%まで引き上げれば、現行の社会保障経費は賄えるものの、
「ゆりかごから墓場」を漏れなく達成するには、遙かに原資が足りないことが見て取れる。

一部の野党は、足りない部分は法人税で賄えば良いじゃないかと言っている。
国民生活の基となる原資を、景気に左右される企業の利益に求めて良いのだろうか?
全てが国営企業じゃないのに、
民間企業が収める税収に、社会保障を委ねることが正しいとは思わない。

一時的なつなぎや、つぎはぎに法人税を充当することはあったとしても、
お金に色が付いてるわけじゃないとは思うものの、
法人税を社会保障費用の源泉として充当するのは、ちょっと違うんじゃなかろうか?

一般論だが・・・ スウェーデンは消費税は高いので、社会保障は充実している。
一方で法人税が低いことから企業は元気である。
そこだけ見れば「素晴らしい。」ってことになるので、スウェーデンを見習えという声がある。

考え方の一つとして、スウェーデンのような考え方は・・・ あっても良いと思うが、
それが理想的な考え方かと云えば、そうとも思えないから悩ましい。

スウェーデンは、子どもから老人、さらには失業者にとっては、天国のような国かもしれないが、
多くの企業では経済活動の軸足が・・・ コストが安価なEU市場に向いていることから、
国内生産が小さく、失業率が高いことに加えて、
EU各国に流入する移民が、自国民の雇用を奪うような事態もあり、内需も鈍化しているはずだ。

言っちゃ悪いが・・・ 企業が外に出て行き、内需が鈍化するということは、
国力が低下して行くということであり、それで良いわけがない。

長かったコロナ禍から、やっとのことで抜けだし、
経済が上向きつつある現状のなか、国民生活において諸悪の根源になってるのは、
長い時間を掛けて、民間企業をドツボに嵌めてしまった・・・ 経済イップスという、
普通のこと(賃上げ)が、普通にできなくしてしまう難病ではなかろうか?

貧乏比べと言っちゃ・・・ 言葉使いに、著しく品格を欠いてしまうし、
我慢と節約までが難病だとは思わないものの、いつのまにか巷に溢れる万病として受け入れてしまい、
けっして悪いことではないが、慣れすぎてしまった感が否めない。

別に「贅沢しろっ!」て、言ってるわけじゃないが・・・ そういった店舗の乱立が、
昔ながらの人情味溢れる商店街を、殺風景なシャッター商店街に変えてしまった現実も見逃せない。

話しが横道に逸れてしまったが、
各論は、少子化対策や、教育の無償化など子育て対策に関する議論になるが、
総論は、「ゆりかごから墓場まで」の原資に関する議論だと思う。

いま、こういった変化のタイミングにあるからこそ、
この国が目指すべき社会保障について、福祉に関する原資(消費税)のあり方について、
真面目に、真剣な議論をしていただきたいと願うが・・・ 如何なものだろうか?

社会保障は、個人も企業も含めて、社会全体が負担して支えるものである。
だからこそ・・・ 消費税ではなかろうか?
税金は少ないに越したことはないが、
食料品に限って税率を下げることも含めて、議論することを避けてはならないと思う。

追伸
とりとめのない長文を・・・ グダグダ、ダラダラ綴ってしまったが、
ここで述べたことは、あくまでも個人的な思いであって、
コメントを頂戴しても、議論するつもりはないので、大変申し訳ないがご容赦願いたい。


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6 コメント

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多摩爺様 (ゆめと(ttm21))
2023-12-19 06:36:07
初めまして、いつも貴ブログを興味深く拝見しております。今回のご意見も卓見であり、全面的に賛同です。これからも木鐸としてのご活躍を期待いたします。
Unknown (多摩爺)
2023-12-19 09:04:52
ゆめと(ttm21)さん、おはようございます。

恐れ多いコメントを頂戴し驚いています。
さまざまなことが起こる昨今ですが、一度立ち止まって振り返り、
ちょっとで良いので、偏った視点を排除して、客観的な視点で思いを巡らすことが、
ボケ防止につながるって、この歳になって、やっと分かってきたような気がしています。
ありがとうございました。
Unknown (なおとも)
2023-12-19 14:13:09
こんにちは
「ゆりかごから墓場まで」にはきちんとした体制があっての事と後に知りました。難しい事は分かりませんが、ご意見拝読して、なるほどと同感致します。住み良い希望の持てる国になって欲しいものです。先日のマイナンバーカードのご意見もよく理解出来ました。難しい問題も分かり易く拝読出来て、助かります。有り難うございます。なおとも
Unknown (forever-green)
2023-12-19 14:15:32
こんにちは。
フランスも20%でしたが、食品類は持ち帰り用も含め5.5%に軽減されていました。
物価が上がる中で賃金上昇のメリットが無い人には、食料品減税して欲しいと思います。
Unknown (多摩爺)
2023-12-19 14:48:45
なおともさん、こんにちは

小難しい爺さんだと、女房からは嫌みを言われますが、分かっていただいて、とても嬉しく思います。
所詮は爺さんの戯言ですが、ボケ防止になにか考えてみようと思うと、けっこう話題が多くて、楽しくぼやかせてもらっています。
Unknown (多摩爺)
2023-12-19 14:53:33
forever-greenさんこんにちは

食料品の軽減税率を、もう少し下げてもというご意見には私も大賛成です。
あまり評価はありませんでしたが、消費税を8%から10%に引き上げるとき、
連立与党を組む公明党の主張で、軽減税率の適用が決まったのは、いまから思えば凄い実績であり、
もっと、もっと評価されても良いと思っています。

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