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きもの雑記帳

大好きなきものについて、日々想うことを綴ります

いのちを纏う 志村ふくみ/鶴見和子

2007-05-07 21:04:14 | きもの本
2004年の5月に行われた紬織の人間国宝、志村ふくみさんと社会学者、鶴見和子さんの対談を纏めたものです。
志村ふくみさんが染織の道に入るきっかけや、伝統工芸展で受賞して民芸運動から破門される話など、本当は言葉に尽くせぬ苦労があったであろう出来事が淡々とした口調で語られています。
特に興味深かったのが、志村さんが語られる植物染料と化学染料に違いについてでした。
今まで、織や染については結構気にしていたのですが、染料そのものについてはあまり気にしていませんでした。
途中、哲学的な難しい話の出てきますが、両氏の着物と染織についての深い造詣と真摯な姿勢は、にわか着物オタクの私など、もう裸足で逃げ出すしかありません。

あとがきにあった志村さんの「日本人が日本の魂であるきものを捨ててはいけない。」という言葉を私も忘れないようにしようと思いました。

株式会社 藤原書店
2,800円(本体)

週刊「人間国宝」週刊朝日百科

2007-03-04 20:06:53 | きもの本
現在、人間国宝(重要無形文化財保持者)に認定されている方は、1955年の最初の認定から、数えて306人だそうです。
この本は306人の人間国宝の方の作品と人となりを毎週何人かづつ紹介していくというものです。
全部で70冊が刊行されることになっているのですが、とりあえず、染織部門を紹介した13冊のみを購入することにしました。
スポット買いが難しいので、どうしようかと思っていたのですが、新宿の「紀伊国屋書店」で全てのバックナンバーが揃っているのを発見し、染織部門だけを買うことが出来ました。

流石に紹介されている作品はどれも技術の粋を凝らした素晴らしいものばかりで、まさに目の保養です。
ただ、この冊子はあくまでも着物を「染織工芸品」と捕らえているので、着こなしやコーディネートの参考には殆どなりません。
私はオタクなので、こういう本でも結構楽しめるのですが、自分の着物ライフに関して、実用的な情報を求めている人にはピンと来ないかも知れません。

朝日新聞社発行 560円(税込)

「着物コモノ」竹蔵龍

2007-02-06 22:51:41 | きもの本
知る人ぞ知るネットショップ「キモノコモノ竹蔵龍」のオーナーが作った、帯留めや簪、根付を中心にした
コーディネートブックです。
アンティークや現代モノ、洋の東西にも拘らない自由なコーディネート、それでいて現代の町並みにもすっきりと溶け込める落ち着きがあります。
紹介されている小物も、西洋アンティークのボタンやイヤリングを利用した帯留め、アジアン雑貨のハンドバッグなど、アイデア満載です。

なにより、著者の「日常的に袖を通すものでも、気持ちは非日常」「よい加減に気を抜きつつ、ちょっとだけ気合い」という「普段着」着物に対するスタンスに共感しました。
コーディネートも本当にセンスがいいので、写真を見ているだけでも楽しいです。
今度、骨董市に行ったら、帯止めになりそうな西洋アンティークのボタンやブローチも見てみようかな。

株式会社メディアファクトリー
1,400円(税別)

「きもの自在」鶴見和子著

2007-01-18 21:53:50 | きもの本
昨日、NHK総合TVの「ゆるナビ」という番組を見ました。
その中に「さよならの風景」というコーナーで、2006年の7月31日に亡くなった社会学者の鶴見和子さんが採りあげられていました。
鶴見和子さんは「きものは魂のよりどころ」として、生涯を通じて着物を着続けた方でした。
特に50代後半から88歳で亡くなるまでは着物一辺倒の暮らしで、登山も着物に草履だったようです。

その、鶴見和子さんの著書である「きもの自在」はきもの好きにはバイブルともいえる本です。
本の中では、世界各国の布から作った帯や着物、お気に入りと思しきコーディネートがカラーで紹介されています。
それも単に組合せを見せるだけではなく、布との出会いからコーディネートが完成するまでの因縁というか「物語」が丁寧に紹介されおり、着物に対する真摯な思いがひしひしと伝わってきます。
未読の方は是非ご一読を!

↓「ゆるナビ」再放送は、1月20日(土)午前1時40~2時09分です。
http://www.nhk.or.jp/yurunavi/

「きもの自在」 鶴見和子著
株式会社晶文社 2900円+税

家庭画報特選「きものサロン」冬号

2006-11-23 23:10:25 | きもの本
きものサロン冬号買いました。
今回の特集は、冬のきもの暮らし88の楽しみということで、暮らしの中に着物を取り入れている人たちの工夫が掲載されています。

バリで買った木綿のガウンをコートに改良したり、裄の合わない長羽織りの袖を取って、陣羽織風にアレンジする、大学教授の清ルミさん、
オリジナルの割烹着を開発したり、アフリカの布を兵児帯風に巻く、料理研究家の濱田美里さんなどの、「働く着物」は本当に参考になります。
また、普段に着物を楽しむ人たちの襦袢や足袋の工夫やお手入れ方法なども掲載されています。
襷のかけかた、割烹着の着方も紹介されていました。

「きものサロン」に対しては、高価な「よそ行き着物」ばかり紹介されているのであまり好きではないという方も多いようですが、今回は普段着物派の方にも参考になりそうな感じでした。

世界文化社 1,950円(税込)

「主婦の友」90年の知恵 きものの花咲くころ

2006-09-21 22:17:29 | きもの本
最近のきもの本の中でも久しぶりのヒットです。
「主婦の友」に掲載された90年分の着物関係の記事を、着物エディターの田中敦子さんが1年間に渡って読み込み、抜粋したものです。大正、昭和、平成の日常着物のグラフィティです。
写真も多く掲載されていて、上村松園さんが着物姿で絵を描いてるものや、北林谷栄さんが着物姿で煙草をくゆらしている(カッコイイ!)ものが印象的でした。
ベテラン女優さんの若かりし頃の写真も沢山載っていて、中でも浴衣姿の岸田今日子さんがキュートでセクシーなのにはビックリします。
今でも使えそうな工夫を始め、大正時代に着付け便利グッズや足袋に仕込んで背を高く見せるタビパッドなど、以外でビックリな記事も沢山載っています。

2千円と少々高いですが、それだけの価値はあると思います。

主婦の友社監修 田中敦子編著
主婦の友社 2,000円(本体)

「あしたも着物日和」 近藤ようこ

2006-08-07 21:44:33 | きもの本
着物好きの漫画家、近藤ようこさんの4冊目の着物本です。
今度の本は、近藤ようこさんが着物と出会った頃から現在にいたる着物遍歴が年代を追った漫画で構成されています。
近藤さんの着物暦は約20年、数年前の着物ブーム以前からずっと着物を愛し続けています。
ポリエステルのプレタから始まって、呉服屋さんでのお誂えまで、失敗もそれなりにしつつ、少しずつ自分のスタイルを確立していくまでが、漫画で楽しく描かれています。
着物好きならではの、失敗・迷い・悩み、そして着物にはまった人にしかわからない「面白さ」などが共感できます。

徳間書店 1200円

「京都の市で遊ぶ」 村松美賀子編著

2006-05-25 22:04:39 | きもの本
様々な視点から京都の「市」の楽しみ方を紹介した本です。
昔キモノや懐かしの玩具、生活雑貨、古本、レコードと人によって楽しみかたは千差万別です。

私も骨董市が大好きで、骨董ジャンボリーや大きな市の開催日を指折り数えて楽しみにしています。
会場に入った時の「これから宝探し!」というワクワク感といったら、もうヤミツキです。
骨董市に行き始めた時は着物のお店を見るだけで精一杯でしたが、最近はちょっと余裕も出てきて、針山を作るための杯を探したり、小物を入れるための小箪笥や普段使いに良さそうな籠バッグなど、着物以外の物意外にも目が行くようになりました。

不思議なことに、着物を着るようになる前は一度も骨董市に行ったことがありませんでした。
本やネットで、骨董市に行けば着物が安く手に入るということを知り、都内で開催されている骨董市を調べてみると以外にも毎週必ずといっていいくらい何処かで市が開かれていることが解りました。
こんなに市があるのに今まで一度も行ったことがなかったのは本当に不思議です。

市に行ったことのある方も、行ったことの無い方もこの本で市を擬似体験してみてください。

別冊太陽 生活を楽しむ6
株式会社平凡社 1,600円+税

「国家の品格」 藤原正彦

2006-04-21 22:42:20 | きもの本
4月13日のブログで、イコイさんから頂いたコメントの中で、紹介していただいた本です。
本当に素晴らしい本だと思ったので、きものとは直接関係はありませんが、あえて紹介させていただきます。
他を出し抜いてお金を儲けることを、過剰に正当化しているような内容の本が多い中、「国家の品格」は一服の清涼剤のようです。

私の勤める小さな会社でも「能力主義」「年功性の廃止」といった、効率を重視した人事給与制度が急速に導入されてきました。
「能力のある人が沢山お金をもらうべき」逆に「能力のない人は給料が下がったり、リストラされても仕方ない」
そして、仕事の成果にランクをつけられてもそれは「競争だから仕方がない」という論理です。

たいへん筋の通った理屈なので、そのとおりだなと思うしかないのですが、会議をはじめ、飲み会の席でもこのような話題が上るたび、頭の殆どがこの理論に賛成はするものの、心のどこかで、「本当にそれだけでいいのかな?」というなんとも説明のしようのないもどかしさを感じていました。
「国家の品格」は私の感じていたこのもどかしさの正体を説明してくれました。
それは、かつて多くの日本人が持っていた「情緒とかたち」だったようです。
そして、論理的に正しい=善、ということが実はそうではないという、実にもっともな事を思い出させてくれました。

この「情緒とかたち」、について詳しく知りたい方は是非ともこの「国家の品格」を読んでいただければと思います。
久しぶりに日本人であることが誇りに思える、そんな素敵な本です。
日本の伝統と文化を愛する人はぜひご一読を!

新潮新書 680円(税別)

「キモノを着こなすコツ」笹島寿美

2006-04-15 22:07:21 | きもの本
着付けを習い始めた頃、初めて自分でお太鼓結びが出来た時、とても嬉しかったのを覚えています。
今見たら、アラだらけの着姿だったと思いますが、とにかく自分で最後まで着ることが出来た嬉しさで、
細かい部分も大して気にならなかったのだと思います。

着物で外出する事にも慣れてくると、だんだんと自分の着付けのアラのようなものが気になってくるようになりました。
特に着物姿の写真を見たりすると、自分ではきちんと着ているつもりでも、裾つぼまりになっていなかったり、襟元が乱れていたり・・・
もっと綺麗に着たいと思うようになり、色々な本を見て試行錯誤を重ねるようになりました。
今でも、今日の気姿はなかなかいいな!とおもえる日と今ひとつだな、と思う日があります。

笹島寿美さんの「キモノを着こなすコツ」は、着物は一応着ることが出来るけど、もっと着こなし上手になりたいと思う人向けの本です。
下着編、着物編、帯編に別れ、それぞれの着付けの疑問を解りやすく解説しています。
例えば、衣紋から肌襦袢の赤い小襟が見えても良いのか?長さの足りない帯の柄合わせはどうしたら?
など、「なるほど!」と思えることがたくさん載っています。

神無書房 1,900円+税