よろず戯言

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恋は雨上がりのように

2018-05-29 21:25:16 | 映画

先日の休みに映画を観てきた。

小松菜奈主演のドラマ、“恋は雨上がりのように”だ。

原作は眉月じゅん氏の同タイトルの漫画。

キャッチコピーは、“その人は、どしゃぶりの心に傘をくれた。”

 

 

ちょっと前に、ちらっとだけ予告編を観ていた。

40半ばのさえないバツイチ男に、女子高生が恋するという物語。

これは・・・自分と同じではないか!

40過ぎバツイチで、うだつが上がらずとんでもなくさえない。

それが、小松菜奈ちゃんみたいな女子高生にアタックされるだと?!

 

まあ、現実にはあり得ない物語なのだけど、

主演の小松菜奈ちゃんはもちろん、相手役の大泉洋の演技も期待大。

大人気だけど、二枚目とはいえない、どちらかというと三枚目の大泉洋。

それがまた、さえないけれど好意を寄せられる役。

この組み合わせで、このストーリー、観ないわけにはいかない。

公開されてすぐに鑑賞に臨んだ。

 

 

 

陸上部のエースだった、17歳の橘あきら(小松菜奈)。

アキレス腱断裂という大けがをしてしまい、夢を失ってしまう。

どしゃぶりのある日、あきらは雨宿りがてらファミレスに立ち寄る。

降りしきる雨を見つめて放心していたあきらに、

やさしく接してくれたのは、店長の近藤(大泉洋)だった。

 

怪我によって夢を失ったあきら。

部にも顔を出さなくなり、放課後や休日はアルバイトにいそしむようになる。

アルバイト先は、あのとき店長がやさしく接してくれたファミレス。

その店長、40半ばのバツイチ、店長どまりで出世の見込みなし、

客のクレームにへこへこと頭を下げる。

同僚たちは、そんな姿を見ながら、あれこれと店長を蔑む。

だが、あきらはそんなさえない店長に恋心を抱いていた。

 

 

ふだんは感情を顔に出さず、クールに思われているあきら。

部活仲間からも同僚からも、客からも無愛想にとられる。

そんなあきらが、店長への想いが抑えられなくなってしまい、

とうとう近藤に、告白してしまう。

 

あきらからの突然の告白、その後も続く猛烈なアタックにたじろぐ近藤。

妻に逃げられ、部下からも馬鹿にされ、客に頭を下げる毎日のさえない男。

そんな夢も希望もない初老の自分に、

夢と希望にあふれた女子高生が好意を抱くだなんて思いもしない。

当然、あきらの好意には応えてあげることができない。

 

 

夢をあきらめてしまった さえない男と、夢を断たれてしまった女子高生。

旧友や部活仲間、それぞれ周りの人たちも含めて、

恋を通じて、自身の夢を見つめなおす。

 

 

面白かった。

前半はコメディタッチな部分もあったが、

全体的にしっぽりとした恋愛ドラマ。

陸上競技の描写も多々あり、青春スポ根要素もあり、

恋だけでなく、友情面も色濃く描かれている。

さまざまな要素が織り込まれた、すごくいいストーリーだった。

 

原作にも興味を持ったけれど、漫画で、しかも10巻もある。

せめて5巻くらいならば、帰りに大人買いしたかもしれないが、

10巻はちょっとねえ・・・小説ならば即購入したのだけど。

 

 

大泉洋はやっぱり上手いね。

今回はあんまりアドリブはなかったかな?

ファミレス店員役だった、濱田マリとのやり取りは絶妙だった。

盟友、戸次重幸とのまさかの親友役もニヤリとさせられた。

あきらとの印象的なシーンで、ちょっとした手品を披露するシーンがあるのだが、

あれは前に観た、青天の霹靂でマジックをマスターしたおかげかな?

 

小松菜奈ちゃん!

長身でするどいまなざし、今回のあきらのクールな役がぴったりだった。

とはいえ、こないだ観た坂道のアポロンの、屈託のない役もかわいかったし、

なんでもできる、素晴らしい女優さんだ。

陸上のエースということで、美しい走りのフォームを作るため、

撮影前に指導を受け、走りまくってマスターしたという。

序盤のコメディタッチで走るシーンもかっこいい。

 

 

脇役陣も良かった。

なによりも女の子たちが誰もかれもかわいい。

あきらの幼馴染で陸上部の部長?役だった、清野菜名ちゃん。

ちょっとボーイッシュで、透明感のある彼女らしい、芯のとおった素敵な役だった。

TOO YOUNG TO DIE! での過激な役が冗談みたい。

 

あきらのバイト仲間役だった、松本穂香ちゃん。

初めて見た役者さん。

役柄も相まって、すごくキュートで印象的だった。

原作だともっとストーリーに絡んで来るらしく、この子の片想いも深く描かれている模様。

 

 

あきらの陸上ライバル役に、山本舞香ちゃん。

後半に唐突に登場するが、そのインパクトが凄い。

桜ノ雨や、殿、利息でござる!など、

これまで見た彼女の役は、おっとりしていたものばかりだったので、

今作の勝気でアクティブなキャラクターは新鮮だったが、

そういやこの子、リアルで空手有段者だったんで、今回の役の方がしっくりくるのかもしれない。

結果的に、あきらを発奮することになる、キーキャラクター。

 

 

あきらのイケメンバイト先輩役に、磯村勇斗

最初はチャラい雰囲気を放って、あきらに迫ってくるも、

あきらが店長に好意を抱いていると知ってから、

双方を理解しながら、大人としてあきらへ忠告するという、

みてくれだけでなく、心の方もイケメンぶりを発揮する。

ただ、ラストは新しいバイトの子をナンパしていたが、そういうキャラなんだろうな。

この男前の俳優さん、初めてかと思ったが、ガールズ・ステップに出演していたらしい。

何の役だったのかな?

小芝風花ちゃんをはらませたクソの役かな?

 

 

あきらのクラスメートでバイト仲間でもあるチャラ男役に、葉山奨之

あきらに好意を抱き、学校でもバイト先でも積極的にアプローチするも、

かわいそうなくらい、ことごとく冷たくあしらわれる。

料理がヘタで、客からクレームばかり。

焦げついた石焼ビビンバに、真っ黒コゲのまかないサンドイッチ・・・。

ふつうこんなヤツに厨房任せるか?

こんがり焦げたパン、かじったときの音は美味そうだったが。

 

 

あきらの母親役に、吉田羊

出番は少ないけれど、母子家庭で多忙な母親を淡々と演じていた。

あきらとのそっけないやり取りのなかでも、

娘に対する愛情を充分に感じ取ることができるので、やっぱりすごい役者さんだ。

彼女の主演映画、ラブ×ドックも観ようと思っていたのに、

あっという間に公開終了されていた・・・面白そうだったのに人気なかったのかな。

そういや、ロッテのCMでも小松菜奈ちゃんと共演してたの思い出した。

あっちも母娘って設定だろうか?

 

 

当初、大泉洋の役柄を自分に重ねて鑑賞しようと思っていたものの、

いやいや、全然さえない40過ぎの男じゃあなかった。

その辺の40過ぎのリアルなおっさんじゃなく、

スポット浴びて活躍している俳優さんが演じているというのもあるけれど、

ファミレスの店長という立場、仕事にはまじめで一生懸命。

常にお客さんに気を配り、部下思い。

くすぶっていはいても、どこか夢もあきらめない姿。

そりゃ女子高生でも、ひょっとしたらときめく子がいるかもしれませんて。

 

世の40半ばのさえない男たちよ。

この映画を観て、決して幻想を抱くことなかれ。

少なくとも自分には非現実的だと痛感できた。

 

 



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