よろず戯言

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ゴッホ展

2011-02-09 21:09:57 | アート・文化

先日、太宰府市にある九州国立博物館へ、ゴッホ展を観に行った。

昨年の秋頃から、テレビはじめラジオや新聞、情報誌などで大々的に宣伝されていた。

展覧会には異例のテーマ曲(平井堅)まで設けられ、

他の展覧会場では判らないが、こっちではすごいチカラの入れようだ。

 

ゴッホといえば、芸術・美術に疎い人でも、その名前は知っているであろう画家。

オランダ出身の画家、フィンセント(ヴィンセント)=ファン=ゴッホ

代表作は、“じゃがいもを食べる人々”,“ひまわり”,“星月夜”などあり、

なかでも“ひまわり”は、美術の教科書に確実に載っていだろうし、誰もが知っていると思われる。

 

Photo

購入した“ひまわり”のポストカード。

日本の企業が購入したものと同じもの。

 

“ひまわり”は複数存在し、バブル絶頂のとき、日本の企業がそのうちのひとつを、

当時最高値となる、58億円もの金額で落札したのは有名。 

その後、同じく日本人が、別のゴッホの絵画を125億円だったか高値で落札したが、

「自身が死んだら棺に一緒に入れて火葬して欲しい」などと愚かな発言をし、

国内外から大非難を浴びたエピソードもある。

そんな作品の価格が高騰しているゴッホだが、

彼の生前には、たったの一枚しか売れなかったというのも有名な話。

 

職を転々とし、数少ないゴッホの理解者のひとりである弟、テオドルスの薦めで画家となる。

画商時代に触れて感銘を受けた、ミレーなどの絵の模写に熱心に取り組み、ほぼ独学で画家になる。

パリ~アルルなどフランスで居住場所を転々としながら、絵の技術をどんどん高め、

そこで印象派に触れ、日本の浮世絵に影響され、ゴッホの絵は確立される。

この頃から、彼は心の病によりたびたび発作を起こす。自らの耳を切るエピソードも有名。

とうとう精神科の病院へ入院し、その療養中に彼は一心不乱に創作活動を続け、

多数の傑作を産むも、最後は銃で自殺してしまう。

 

Photo_5

 

今回の展覧会、サブタイトルが、“私はこうしてゴッホになった”とある。

作品を年代から順に辿り、彼の習作をメインに、

影響を受けた画家の作品や弟テオドルスに宛てた直筆の手紙なども併展され、

彼の画家として10年にも満たない、とても短い生涯を辿る展覧会でもある。

 

そんなゴッホを実際に観る機会なんて、そうそうないだろう。

昨年は北九州市立美術館でモネ展が開催されたというのに、

けっきょく行けずじまいで、すごく残念な思いをした。

今度は後悔しないよう、行けるときに行く!

意を決して、太宰府まで車を走らせた。

 

Photo_2

参道から逸れた先にあるエスカレータ入口、この山の上に九州国立博物館がある。

 02

正面がどこなのかよく判らなかったので側面(たぶん)から。 とにかくデカい建物だった。

一見すると、ソーラーシステムミラーのような側壁だ。

 

一時間ちょっとで太宰府へ到着。

太宰府天満宮と同じ敷地内といっても過言ではない、

参道から奥へ行き、直通の長いエスカレーターを昇れば、そこはもう九州国立博物館。

デカく波打つ近代的な建物が小高い丘の上に建ち、

眼下に梅の木の並ぶ天満宮の参道を見下ろしている。

 

「ただいまの入場待ち時間、25分」と、

博物館のサイトで刻々と入場までの待ち時間が表示されていた。

なるほど・・平日にも関わらず長蛇の列。

開催されるのが東京,名古屋,福岡の3会場のみ。

九州全域はもとより、中四国からも来場者があるようだ。

それにハングル語や中国語も聞こえてくる。

駐車場にはツアーの観光バスも止まっている。

それだけ広範囲から観覧者が殺到するのだから、この混雑ぶりが納得できる。

 

入場券を購入するのも、博物館内に入るのも、

他の利用者や展覧会とは異なり、すべて別のルートが設けられ、

ポールとテープで、細かくジグザグに誘導される。 

ようやっと展覧会場へ入る。

一転、薄暗いその展示室で、作品がスポットを浴びて展示されている。

  

しかし人だかり・・・。

近くでまじまじと鑑賞などできない。

2メートルくらい離れて、つま先立ちで背伸びして遠目で観るしかない。

背の低いオバハン達は、容赦なくガツガツぶつかって絵の真ん前を占領する。

こういうとき、若者やおっさんより、遙かに強い権力を振るうのがオバハンである。

 

人混みが苦手なので、足早に絵を観て回る。

「立ち止まらず進みながらご覧ください」と書かれたプラカードを持った学芸員が

あちこちに立っているも、誰もそんなもの見やしない。

注釈や解説のプレートなどもあり、いつもならそれらにもじっくりと目を通すが、

あとで画集で確認すればいい、とにかく早くここを出たい・・・。

2月だというのに、じっとり汗ばんでくる。

 

しかしゴッホともなると、ふだん芸術なんかに触れもしないような、

美術館での常識をわきまえていない連中が目立つ。

あちこちで携帯電話の着信音。

入館前に電源オフが当たり前だろうが!

で、慌ててバッグをまさぐり、そそくさと電源を切るのが普通なんだろうが、

あろうことか、そのまま電話に出て通話を始めるババア!!

周りが冷ややかな視線を送ろうが、まったく動じることなく、デカい声で喋りやがる。

 

自分は遭遇していないが、ゴッホ展に行ったひとのツイッターによると、

携帯写メやデジカメで写真撮影していたヤツも居たそうだ。

プラカード持って、つっ立っているだけかい!

学芸員、なにやってんの!?

 

多少イライラしながら、ごったがえした会場をくまなく観て回る。

そして有名な絵の前に来ると、やはりスポットも大きく当てられ、

ひときわ多い人だかりができていた。

なかでも、ゴッホの自画像からは、彼の魂がそれに宿っているかのような錯覚になった。

アルルの寝室(フィンセントの寝室)”では、絵の脇に、実際にその部屋を再現展示していた。

明るい色彩の小さな質素な部屋に引き込まれる。

アイリス”、背景の明るい黄色と青いアイリスのコントラストがまばゆい。

晩年の作品は色彩明るく、力強いタッチが目立つ。

 

Photo_3

購入した“アルルの寝室”のポストカード、3Dだ!

 

展示場を出ると、グッズ売場が設けられていたが、

そこもまた人、人、人!

美術展に行くと、たいてい記念にと、

画集はじめ、クリアファイルや一筆箋、ポストカードなどを購入するが、

人混みのなかでそんなもの見られやしない。

 

もう画集だけでいいや・・・と思い、レジに並んでいると、

“ガシッ”っと、いきなり後頭部になにかぶつかってくる。

何事かと振り向くと、「こっちばい!こっちー!」と叫びながら、

ポスターだろうか、長い筒状のものを振り回しながらババアが寄ってくる。

「こっちのレジが空いちょうばい!」

そうわめきながら、自分の前に割り込んだあげく、

さらに連れの別のババアを呼びそこへ入れる。 

このクソババア! わしが並んどろうがいや!

 

Photo_4

  

どっぷりと疲れて博物館を後にする。

作品が小さめで、展示数も少ないとはいえ、

これだけの混雑が予想できていたのならば、

もうちょっと広くゆったりとした展示場で開催して欲しいものだ。

あと会場内、もっと明るくていいと思った。

 

それから、ゴッホの代名詞、“ひまわり”は保存状態が芳しくなく、

今回出展は取りやめられたとのこと。

作品の劣化は仕方がないことではあるが、

所有している、安田海上火災(現:損保ジャパン)、

損保会社なら、劣化しないようにきちんと保管しとけよ!と言いたい。


2 コメント

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ゴッホですか。すごい人気なんですね\(°□°)/ (れいな)
2011-02-10 13:20:49
ゴッホですか。すごい人気なんですね\(°□°)/
あまり私はよく知らないのですが、ごく稀に絵を見に行くことあります。
博物館の側面、微妙に一枚一枚が角度変わってソロモンを焼くんですね、わかりますm(_ _)m
オバタリアンズに圧倒されましたか☆*:.。. o(≧▽≦)o .。.:*☆
姫路のお菓子博というのに行った時、私もそういうの経験しました。ど厚かましい横入りとか。
また、前に電車マナーというブログにも書きましたが、彼らはケータイをマナーモードにするやり方自体失念してらっしゃるのだと思います。
消すのかと思ったら、出るんかいヽ(°Д°)ノ
しかも大声で。
そのツッコミ入れたくなる気持ち、よくわかります(^◇^;)
将来ああはなりたくないなと思いますね(>_<;)
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“オバタリアン”って言葉、まだ生きてたんですね。 ()
2011-02-11 01:44:32
“オバタリアン”って言葉、まだ生きてたんですね。
すっかり死語かと思っていました、あれ流行ったの自分が小学生だったですからね。
 
今回のすごいオバハンらって、バーゲンやらイベントでみかける、
普通のそこいらのオバハンじゃないんですよ、
なんかショールとか毛皮のコートとか、コサージュとか・・・
髪に紫入ったりして着飾っている、ブルジョア風ただようオバハンばっかで、
それがまた余計にタチ悪く感じました。
 
ゴッホに限らず、やっぱりこういうのって静かに鑑賞したいものです。
筆使いや色彩、構図などをじっくり観ながら、
作者の描く様やその心理、表現したかった思いなんかを想像するんですね。
 
 
ソロモンを焼くなんて、よく覚えてますね。
一回しか観ていないんでしょ? 記憶力がすごいですね。
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