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板倉雄一郎『社長失格』

2005年01月29日 18時49分31秒 | 読んだ本
板倉雄一郎氏の『社長失格』を読みました。

板倉さんの本を読むのは、これが初めてです。
板倉雄一郎事務所にスタッフとして応募したら、一冊ぐらい著書を読んでから応募して下さいと、返信が来たので読みました。

この本の存在は知っていたのですが、失敗の原因を並び挙げただけの本だろうと思って、今まで手にしませんでした。

実際に読んでみると、板倉さんの企業から破産までを描いた、ノンフィクション小説という作りになっていました。

数年間で板倉さんが経験した事自体が、凄まじかったのだと思いますが、展開のスピードが速く、飽きる事なく一気に読むことができました。

ベンチャー企業に関する、金字塔的な作品だなと思いました。

板倉さんの発明したハイパーシステムは、インターネット接続中に、ディスプレイに広告が表示されて、インターネットの接続料が無料になると言う物です。

昔、アスキーが無料プロバイダーをやっていたのを覚えている人もいるかと思いますが、あれです。

ハイパーシステムの優れている点は、ただ広告を流すだけでなく、アンケートによってユーザーの属性を調べ、それにより、ターゲットを絞って広告をだせる点です。

ちょっとインターネットと広告の事情が分かれば理解できると思いますが、インターネットでは、東京の分譲マンションとか、地域を限定した広告を出すのが難しいです。

今、ハイパーネットに近いのが、アマゾンのお薦めかなぁと思います。

アマゾンは購入履歴によって、トップページにお薦めの本が表示されます。

自分の興味あるものが、宣伝されれば広告の効果が高いですし、ユーザー側も便利です。
しかも、インターネット接続料は無料です。

ユーザー側にも、広告主もメリットがあるシステムだったのです。

ハイパーシステムが、上手く軌道に乗れば、全ての人が無料でインターネットが使える社会が実現したかも知れないと思うと、「もったいないなぁ」という気分になりました。

これほど将来性のある、日本発の事業を、まわりの人が育ててあげられなかった事が残念でなりません。

板倉さんの会社(ハイパーネット)が、ハイパーネットを始めた時は、すでにIMS(Interactive Marketing Service)という事業が利益を上げていて、ハイパーシステムも営業的にはプラスのようだったので、ハイパーネットの倒産理由は、ハイパーネット開発時に借り入れた資金の返済が滞り、キャッシュがショートしたためです。

僕はこの本を読んだ限りでは、板倉さんに小さなミスはあったかも知れませんが、それは仕方の無いことで、板倉さんには十二分に経営者の資質があると思いました。

やはり敗因は、その頃はまだ、日本にベンチャーを育てる文化が無かった事だと思います。

ハイパーネットが倒産した時期は、山一證券などが倒産したのと同時期で、将来性の無い会社も、将来性のある会社も一様に貸しハガシをしました。

銀行が事業の将来性を見て、返済時期の先延ばしなど判断が出来ない事が分かります。

よく「銀行は晴れた時に傘を差し出して、雨の時に傘を取り上げる」と言いますが、板倉さんや、ハイパーネットの社員が経験したことは、それ以上の厳しい状況だったと思います。

この本は、銀行の体質などが知れて、起業などに興味がある人に、とても参考になると思います。

また、板倉さんの文章は、処女作とは思えないほど、描写力に優れているので、普通の読み物としても楽しめると思います。

僕も将来、自分で何か出来ればと思っているので、この本に出会えた事を感謝しています。

その他の日記も読む。

第五の巻物を読んだ回数 3回
ジョギング 30分

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