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座間事件 12月15日 判決

2020年12月15日 | ヒトゴロシ


座間9人殺害 白石被告「極刑怖いが控訴はしない」 判決前の心境語る

神奈川県座間市のアパートで2017年に男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交等殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)が、15日の東京地裁立川支部での判決言い渡しを前に、立川拘置所(東京都立川市)で毎日新聞の取材に応じた。検察側が死刑を求刑し、厳しい判決も予想される中、「身体的苦痛があるので極刑は怖いが、家族にこれ以上迷惑は掛けたくないので控訴はしない」と心境を語った。
 白石被告は3日と8日に面会に応じた。11月26日の公判で死刑を求刑された際の気持ちを問われ、「予想通りで、動揺も全くなかった」と淡々と振り返った。
 白石被告は公判終盤の被告人質問で、被害者9人のうち4人に「私の起こした行動により命を簡単に奪ってしまい、申し訳ありません」と謝罪した。一部の被害者・遺族にしか謝罪しなかったことには「私はうそをつきたくない。好意を持ってくれたり、同情できるところがあったりするなど、私が思い入れを感じた被害者には申し訳ない気持ちが出てきたが、他の被害者には本当に何も思わなかったので、謝っていない」と独自の理屈を展開し、事件を起こしたことへの反省の言葉はなかった。
 埼玉県春日部市の女性(当時26歳)については、幼い子どもがいるため、「これから育っていく中で、母親がいないのは可哀そうだと思う」と話した。
 法廷には、遺族の姿が傍聴席や被告から見えないよう、ついたてが設置されていたが、埼玉県所沢市の女子大生(当時19歳)の母親は意見陳述の際、白石被告との間のついたてを外し、「反省や後悔が感じられず、今までにない嫌悪感と激しい怒りを感じた」と思いをぶつけた。この場面に記者が触れると、白石被告は頭を抱え、「きつかった。遺族が沈痛な面持ちをしていて、まともに見られなかった」とした。
 遺族の思いがつづられた調書が法廷で読み上げられたことには、「これまで調書は読まなかったが、聞かされて、思うところはあった」と心を動かされたことを明かした。
 「育て方が悪かったのか。ご遺族に謝っても謝りきれない」などとする自身の母親の調書も読み上げられた。「あれはこたえました。精神的な負担になっていたことが改めて分かったので、家族のために、もう波風を立てたくない」と話し、控訴はせず、弁護人が控訴しても取り下げる方針だという。「あの密室(法廷)での気力と体力の消耗は半端じゃない。正直ほっとしています」とも語った。
 死刑が確定すると、面会は原則として親族や弁護士らに限られる。「こうして会いに来てくれる人もいなくなるわけで寂しい」と吐露した。
 東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)で15日に言い渡される判決は、ツイッターで自殺願望をほのめかしていた被害者が、被告に殺害されることに同意していたかどうかが最大の争点だ。検察側は「自己中心的な『単なる殺人』だ」と死刑を求刑し、弁護側は「承諾殺人罪の適用にとどまる」と死刑回避を求める。
 検察側は、被害者全員が被告に首を絞められた際に抵抗したとして「殺されることを明確に拒絶していた。承諾がなかったことに疑問を差し挟む余地はない」と主張。起訴内容を認めた被告の供述について「一貫性があり、客観的事実と符合し、内容も自然、合理的で信用できる」とした。
 対する弁護側は「被害者が被告に会ったのは命を絶つため。自ら被告の部屋に入り、薬や酒を飲み、死のタイミングを委ねた」と述べ、抵抗は「『何らかの反応』に過ぎない」と反論する。被告の供述は「曖昧で変遷もあり、信用できない。裁判を早く終わらせるためのものだ」と主張した。
 責任能力の有無も争点。検察側は、周到な計画に基づく一貫した行動で、徹底した隠蔽(いんぺい)工作をしたとして「責任能力には全く問題がない」とし、弁護側は「凄惨(せいさん)な事件を起こしたのに精神疾患が一切ないとは本当か」と精神鑑定が不十分だとした。
 被告は起訴内容を認め、弁護人の主張と食い違った。主任弁護人は結審後、取材に「苦労したが、(主張を)証明する弁論はできた」と述べた。
 起訴状などによると、被告は17年8~10月、当時15~26歳の男女9人を自室に誘い、女性8人に性的暴行したうえ、9人の首をロープで絞めて殺害したなどとされる。
 ◇白石被告の公判での主な発言
・「いずれの事実についても間違いありません」=9月30日、初公判で起訴内容を認める
・「女性からお金を引っ張り、『ヒモ』になりたかった」=10月7日、ツイッターで自殺願望のある女性を探した理由について
・「方針が全く合わず、裏切られている」=10月8日、承諾殺人罪にとどまると主張する弁護人への不満を述べる
・「すごく迷ったが、部屋に証拠が残っており、観念した」=11月12日、逮捕後に自白した理由について
・「何もありません」=11月26日、死刑の求刑後に裁判長から判決前に述べておきたいことを問われて

(毎日新聞 2020.12.13)


被告供述の信用性焦点 死刑求刑、
15日判決―座間9遺体公判・東京地裁支部

神奈川県座間市のアパートで、10~20代の男女9人の遺体が見つかった事件で、強盗・強制性交殺人罪などに問われた白石隆浩被告(30)の裁判員裁判の判決公判が15日、東京地裁立川支部(矢野直邦裁判長)である。殺害行為に被害者の承諾があったかどうかが主な争点。白石被告は法廷で繰り返し「承諾はなかった」と供述しており、その信用性が焦点となっている。
「胸引き裂かれる」「娘返して」 被害者遺族、極刑求める―座間9遺体公判
     検察側は論告求刑で、「自己の欲望の充足のみが目的」「被害者の人格や尊厳を無視した非人間的犯行」と被告を強く非難し、死刑を求めた。問われた罪の法定刑は死刑か無期懲役のみ。刑が軽い承諾殺人罪が認められなければ、被害者の多さなどから極刑の適用はほぼ確実な状況だが、承諾が無かったことを直接裏付ける証拠は被告の供述だけだ。
 検察側は、首を絞められた際に被害者全員が抵抗したとする供述を基に、「殺害されることを明確に拒絶していた」と強調。供述は捜査段階から一貫性があり、自らに不利な内容も認めるなど虚偽の可能性もないとして、信用できると訴えている。
 これに対し弁護側は「被害者は自らの命が絶たれることを最優先していた」と述べ、承諾殺人罪の成立を主張。「死刑は選択できない」と反論した。
 被告が法廷で明かした被害者の抵抗の内容については、「記憶が曖昧で信用できない」とし、「被告は裁判を最速で終わらせるために話しており、慎重に吟味してほしい」と裁判官らに呼び掛けた。
     被告に刑事責任能力があるとの結果が出た起訴前の精神鑑定についても争いがある。弁護側は再鑑定を求めたが、裁判長は認めなかった。 

(2020年12月13日 JIJI.com)

 
 
 
 
 
 
 
 
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