ブッダ の 真理   Buddha Dharma


ブッダ(仏)は、内在する普遍の真理

マハームドラーの詩 (大悟)

2014-09-23 | チベット

ティローパは、ナローパの帰依を認めて
マハームドラー(偉大な悟り)の秘儀を伝えた

マハームドラーは言葉と観念を超えている
しかし ナローパ
真剣に修行し、師に忠実なあなたに
この秘密の教えを伝えよう

マハームドラーは空のように
何かに頼ることがない
くつろいで自然でありなさい
それであなたは束縛から解放される

空をじっと見つめると
思考的ヴィジョンは静まる
同じく、心が心それ自体を見つめると
雑念、観念的思考は止み
至高なる意識に達する

朝霧がゆっくりと空間に消えていくように
どこにいくわけでもなく無くなるように
あなたが心の本性を観たとき
想念の波、すべての心の創造が消える

純粋な空間は色も形もない
それは白や黒で色を付けられない
同じく心の精髄も色と形を超えている
それは白や黒の行為で汚されることがない

千年にわたる暗闇も              
太陽の輝きを覆うこはできない
同じく千年にわたる輪廻転生も
心の精髄の透明な輝きを覆うことはできない

空は「実体がないもの」といわれるが
実際は表現しがたい
心の本性は「光明」といわれるが
それは言葉を超えている

心の本性は空のようだ
それは遍在し、すべてのものを受け容れる

静かにくつろいで
まわりの声は受け流し
心を静かにたもち
現象の起滅をながめる

体はアシの茎のように実体がなく
心の本性は大空のように思考を超越している
放棄したり心を制御しようとせず
心の本性の中でくつろぐこと
対象のない心がマハームドラー
この修行によって至高な覚醒を得る

マハームドラーの光明は
真言行、大乗行、戒定慧行の
経典や形而上学的理論では表現できない
光明は観念、想念によって覆われる

教義に固執することによって
真の信仰が損なわれる
心の活動が止むことによって
すべての固定観念が消える

知的概念、教条主義からの解放によって
すべての学派と経典の真理が明かされる

マハームドラーへの専心によって
輪廻転生の束縛から解放される
マハームドラーにとどまることによって
罪の意識と否定性を焼き尽くす
そしてマハームドラーの師として
あなたは教えの体現者となる

無知におおわれている者は
輪廻転生の中でもがき苦しんでいる
常に不安に苛まれている
これらの者たちに慈悲心を持ちなさい
絶えることのない苦悩から解放されたいと願い
導師の教えを固持し
彼の祝福があなたのハートに触れたとき
心は苦悩から解放される

輪廻の中に幸福を求めるのはむだなこと
それは全ての苦悩のもとだ
世俗的かかわりは無意味だから
リアリティーの精髄を探しなさい

二元性の心を超越して観ることは最高の見解だ
静かに沈黙していることは最高の瞑想だ
自発的であることは最高の活動だ
そしてすべての欲望と恐怖が消えたとき
最高の目的地に達する

すべてのイメージを超えることによって
心は自然に清浄になる
ブッダの道に従うためには
世俗の道に従わないことだ
最高の悟りを得るためには
技巧を使わないことだ

世俗の悲しい境遇を洞察すると
それは夢のような幻で
終りがないことが理解される
意味のない幻は欲求不満をもたらす
それを顧みて、世俗的な追求を棄てなさい

故郷と友人とのかかわりを断ちなさい
森や山で独居しなさい
そこで無為の状態にとどまりなさい
そして無達成を達成することで
マハームドラーを達成する

木の根幹を切れば
葉は枯れていく
心の根幹を切れば
輪廻は止る

どんなランプの光も
永劫の暗闇を瞬時に追い払うように
明知(リクパ)の強烈な光は
無知のベールを瞬時に焼き尽くす

心に執着する者は
心を超えた真理を観ない
ダルマの修行に奮闘する者は
修行を超えた真理を発見しない
心と修行を超えた真理を知るために
人は心の根幹を切り
全てをありのままに見つめなさい
人は全ての分別から離れて
静寂の平和に留まりなさい

無理に与えず取らず
自然に留まるべし
マハームドラーは全ての受容と拒絶を超えている
原初の覚醒は生まれたものではないから
誰もそれを妨げたり、汚したりできない
「生まれてない」領域に留まることによって
全ての現象は法界に解消するだろう
全ての欲望とプライドは無に帰すだろう

最高の悟りは
全てのあれこれを超えている
最高の行為は執着がなく
大いなる創造性を受け入れる
最高の達成は
仏性の内在性を悟ることだ

最初、ヨーギの心は
滝のように転落するように感じる
中間地点、心はガンジス川のように
ゆっくり穏やかに流れる
最終地点では、心が広大な海のようになる
それは、母(仏性)と子(エゴ)の光が一つに合一するところだ



* マハームドラーの系譜

  ティローパ~ナローパ~マルパ~ミラレパ~ガンポパ~カルマパ





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