K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

ハート・ロッカー

2011年10月19日 | 映画
こんばんはー。

また映画ですよほいほい。

今回はキャスリン・ビグロー監督の「ハート・ロッカー」の感想でも。

タイム誌が「完璧に近い映画。最高傑作。」と絶賛し。
82回アカデミー賞で最多6部門を受賞し。
全世界の映画賞総計104冠を達成した。

まさに、超一級品の作品です。

公式HPの受け売り←


どんなもんじゃい!


と思って、ぼくもようやく観てみました。
映画好きの割にめちゃめちゃ遅いですね。


こういう賞たくさん獲りましたどやぁー!
な作品って個人的にはあんまり好きくないんですよね。
大衆迎合的なのだろ!とか思ってしまう。


けど、全然そんなことはなく、本当にただの最高傑作でした。


【以下ネタばれ注意!】


バグダッドで爆弾処理をする男の話です。

テロリズムのスリルが映像を介しても如実に伝わってきます。
テロって正直すごい遠い世界のことのようで、テロと聞いてもただの情報以上の価値を持っていなかったんですが。
この映画を観て、テロの本当の恐ろしさを擬似体感しました。

地雷で体がふっとぶとか、
人間を殺してその体内に爆弾を入れるとか、

全然想像もつかない現実を擬似体験した感じ。

"war is a drug"

冒頭のこの一文がとても印象的。

主人公は何とか任期を終えるも、再び戦場へ戻ってしまう。
戦争は繰り返す、ということへの批判なのか。
麻薬の作用さえ果たしてしまう戦争の異常性への言及なのか。
その真意は定かではありませんが、とにかくこのフレーズがこの映画全体の根幹になります。

反戦争・テロを掲げているようにも考えられますが、
それよりはドキュメンタリー性がかなり強いんじゃないかな、というのが個人的な意見。
カメラワークも実際にそこにいるかのように錯覚してしまう撮り方で、
少しダニー・ボイル監督の「スラム・ドッグミリオネア」を思わせるようなところがありますね。
そういえばこの映画も一応ノンフィクションっていうのが話題になってたっけ。
結構脚色されてるみたいだけど・・・

テロの圧倒的リアルを模倣することで、
本物のスリルを獲得した、あるいは新しいタイプのスリルを獲得したとも考えられます。

従来のホラー映画、スリラー映画というものの多くは創造されたもの。
人の想像の中だけで展開される分、内容の恐ろしさに関しては上限がないように考えられます。
しかし、忘れてはいけないのが、それが創作された話であって、決して現実ではないということです。

そしてそういった事実がそのホラー、スリルに限界を与えているといっても過言ではありません。
前回引き合いに出した「悲劇の快」という問題に顕著ですね。

自分には絶対に起こり得ない。
だからこそ安心して観れる。
こんなこと「あったら」怖いなというレベルのホラー・スリラーを楽しんでいるだけ。

そしてこの作品は、はっきり言って新感覚のスリルだと思います。
現実に起こっていることを、若干の脚色を交えながら忠実に再現。
こんなこと「起きてる」んだというスリル。
これは、ホラー、スリラーでは括れない恐怖だと思います。
自分の身に及ぶかもしれない、自らを脅かすテラーの恐怖とでも言えるでしょうか。

テラー映画の先駆。

多分それがくせになるんだろうなあ。
"war is a drug"
という冒頭でのセリフがそれを感じさせます。


我ながらうまいまとめ(笑)


hona-☆

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