K馬日記

映画や美術、小説などの作品鑑賞の感想を徒然なるままに綴っていきます。

第31回東京国際映画祭まとめ

2018年12月04日 | 映画
ご無沙汰しております。忙しくもないのになぜか筆不精となっておりました。
仕事は閑散期のため秋は芸術の秋!ということで映画祭に参戦しまくりましたのでそのレポートをいたします。



今年は12本鑑賞。去年は有給取り消しや休日出勤等でほとんど観られなかった悔しさもあり、今年はがんばりました。

今年観たラインナップは以下の通り。

フルーツ・チャン『三人の夫』
リウ・ハオ『詩人』
アディルハン・イェルジャノフ『世界の優しき無関心』
ラミン・マタン『シレンズ・コール』
ラージーヴ・メーナン『世界はリズムで満ちている』
ヤコブ・ゴールドワッサー『靴ひも』
パオロ・ソレンティーノ『彼ら』
ツィビア・バルカイ・ヤコブ『赤い子牛』
ミカエル・アース『アマンダ』
ミハル・アヴィアド『ワーキング・ウーマン』
パールフィ・ジョルジ『ヒズ・マスターズ・ボイス』
ファイト・ヘルマー『ブラ物語』

※鑑賞順に記載

グランプリはテロからの再生を静かに描いた『アマンダ』が獲ったようですが、個人的にはそこまで感情移入できませんでした。
それだけテロという世界的な問題を意識していない生活をしているということで、それはそれで個人的な問題だなと感じました。

因みに個人的に好みだった順は以下の通り。
申し訳程度に一言添えておきます。

パールフィ・ジョルジ『ヒズ・マスターズ・ボイス』

ハンガリー発の近未来SF映画。スタニスワフ・レムの原作『主の声(Głos Pana)』を大幅に改変した脚本で、とにかく面白く哲学的なテーマもある。そしてクレジットがめちゃめちゃカッコいい。

アディルハン・イェルジャノフ『世界の優しき無関心』

カザフスタンの悲恋話。家計のために売られた娘を追いかける幼馴染の純朴な青年の純粋な愛に心が震える。とにかく純なのに救われない結末と無関心な世界に悲しみを禁じ得ない。

ミハル・アヴィアド『ワーキング・ウーマン』

今年の"#metoo"運動を象徴するような話。働きたいのに男性上司のセクハラのせいで働けない。世の中のサラリーマンは全員漏れなく観ろ!な作品。

ファイト・ヘルマー『ブラ物語』

セリフなしで展開される、おじさんが拾ったブラの持ち主を探すという変態シンデレラストーリー。にも関わらず、全くいやらしくなく、何故か侘しくなる奇妙な作品。

フルーツ・チャン『三人の夫』

性欲が強く頭のたりない女性が三人の夫を持ちながら、満たされない性欲を娼婦として満たす話。愛とは何か、欲を満たすことなのか、深く考えさせられる。

リウ・ハオ『詩人』

炭鉱で働く男が憧れの詩人となるも、時代の変遷によりその実態は理想とは乖離し…な作品。詩人としての夫を支える献身的な妻の姿が愛しい。舞台となった炭鉱の佗しき美しさ。

ラージーヴ・メーナン『世界はリズムで満ちている』
超エンタメインド映画。当然ながら歌って踊る!伝統楽器の作り手と奏者というカーストの垣根を越えて、才能ある若者が奏者として飛躍するまでを描く。

ラミン・マタン『シレンズ・コール』

急成長を続ける都市イスタンブールを魔都のように描いたブラックコメディ。急速に資本主義化が進んだ国にありがちな支配構造の普遍性を訴えるような作品。ってかイスタンブールって地獄のような都市なの!?(Q&Aにおける監督談)

ヤコブ・ゴールドワッサー『靴ひも』

障害を持った息子と過去に家族を捨てた父親の関係性の再開を描いた作品。息子の剥き出しの感情と父親の不器用な愛情がとにかく泣ける!

パオロ・ソレンティーノ『彼ら』

金融系実録映画を思わせる華美な世界とそこでのの仕上がりを描いた作品。ベルルスコーニの化物感を演じ切ったトニ・セルヴィッロに拍手。「彼ら」が誰か判明した瞬間の感動たるや!

ミカエル・アース『アマンダ』

テロで母を失った娘が叔父と悲しみを乗り越えていく再生物語。モンテクレールの丘でのダイアローグが好き。親身に鑑賞できなかった自分を恥ずかしく感じた。反省。

ツィビア・バルカイ・ヤコブ『赤い子牛』

イスラエルの敬虔なユダヤ教牧師の家で生まれた女性ベニーの教義と矛盾する葛藤を描いた映画。クラシカルで保守的なベニーが現代女性を象徴するヤエルに惹かれる百合展開も。

次回以降は、上位3作品をご紹介していきます。


最新の画像もっと見る

post a comment