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デイドリームをつかまえて

裕樹の日記PART?

チェルフィッチュ&ビーチ・ボーイズ

2004年11月09日 02時12分28秒 | LIFE EXPERIENCE
僕の知り合いが出演している関係で、横浜にチェルフィッチュという劇団の芝居を観に行った。
劇場は僕が過去三回公演したことのある劇場で、でもよく考えてみたら客として観に行くのは初めてだった。
この劇団のすごいところは、劇中に変則的と言ってもいいほど突然に役が変わることだ。二人が話していて、突然役が交代することもある。それで、どうやってその役の一つ一つの性格を現すのかというと、その人の話すときの癖なのである。それがすごく面白い。
話すときのしぐさで人格が変わる瞬間を見ている感覚は、夢を見ているときの感覚と似ている。
まぁ全編を通してそういった調子で進んでいくものだから夢を見ているくらい退屈なのだけど。
ま、前衛的なものって凡そ退屈なものだ。

で、僕は退屈なものってもともと嫌いじゃないんだよね。
映画で言うとリチャード・リンクレーターの作品とか、音楽で言うと後期ビーチ・ボーイズとか。
緻密に構築された現代語による台詞の洪水は、リンクレーターの映画の特徴だし、音にするとブライアン・ウィルソンのクラシックのように細かい音作りの手法にも似ている。
それを裏付けるかのように、客入れの曲はブライアン・ウィルソンの「スマイル」、休憩のときはビーチ・ボーイズの「スマイリー・スマイル」、客出しは「ペット・サウンズ」だった。
もしやと思って、「演出の人ってリンクレーターの『ウェイキング・ライフ』とか知ってるかな?」とその役者に聞いてみたら、案の上好きみたいだった。

ただ、ひとつ気になったのは、こういうのって思いっきり演劇好きな人たち向けなんだよね。
お客さんも「いかにも」って感じの人たちで、僕がクスリとも笑えないようなとこでインテリっぽい笑みを浮かべてる。
はっきり言ってカッコ悪いんだよな、そういうの。そうすると芝居もカッコ悪く見えてくる。
現代語を使って相手を傷つけないようにしゃべる役者の様が泣きたくなるくらいカッコ悪いのだ。
ブライアン・ウィルソンのアルバムを聞いて恍惚とした表情をしている僕みたいにカッコ悪い。

少なくとも、僕は出たくないなあ、そんな芝居。

声でない事件

2004年11月04日 01時40分28秒 | LIFE EXPERIENCE
今日は学校の公演の中日だったのだけれども、最終日には僕は出番の少ない僕にとっては殆ど最終日だった。
朝からゲネプロ二回、公演二回のハードスケジュールだったのだけれども、なんとか問題なくおわった。
はずだった。

しかし、最後の一回、本来ならば月曜日に一度やった役だったし相手の役者もうまいからそつなく終わる思っていたのに、自分の出番になって初めて自分の声が出ないことに気づいた。
久しぶりに舞台上であんなに焦った。
口から声が出ない。変わりに喉からヒューヒューとかすれた音がする。

やばいやばいやばいやばいやばいやばい。

僕の劇団の演出の鈴木君から前に「ヒソヒソ声で舞台上で通る声を作れ。」という課題を出されたことがあったことを思い出した。僕はもともと声が通るほうだったからそれは意外とすぐにできたのだ。それを舞台で使ったことはなかったのだけど。
一か八かで使ってみた。
あ、なんとかなるかもしれない。よかった。なんとか成立する。

結果的になかなか評判良かったのだけど、あとで聞いた話だと仲間うちではかなり皆ヒヤヒヤしていたそうだ。いや、俺が一番ヒヤヒヤだったって。

to be or not to be

2004年10月30日 11時39分31秒 | LIFE EXPERIENCE
この前、稽古のときに先輩の役者に、「最所は5年後、いや10年後にすごい役者になるね。」と言われた。そのときは「そんなに後かよ。」と思ったのだが、良く考えてみるとすごいいい言葉だ。
最近言われた言葉のなかでは一番うれしいものとなった。
30歳を超えて役者としてやっていける人間がどれほどいる?
目指せ未来の大杉漣!

痩せゆく男

2004年10月29日 02時26分38秒 | LIFE EXPERIENCE
最近みんなに「痩せた痩せた」と言われる。
前の公演やったときからだから、6月くらいからずっとみんなに言われ続けてる。
今年の初めくらいまで、「ちょっとは痩せろよ。」なんて言われてたのに、それなのにいざ痩せてみたら(わざとじゃないけど)、「痩せたねぇ…」と可哀相な目で見られるのだ。

続きはまた明日。

Born to run

2004年10月22日 01時32分19秒 | LIFE EXPERIENCE
去年の今頃、相模大野の街をぶらぶら散歩していたら、演出の鈴木君から電話がかかってきた。
「新しい脚本書いたのだけど、また舞台に出ないか?」
彼は僕が大学三年生のときに初めて出た舞台の演出と脚本をしていて、当時まだCMの制作会社に勤めていた。
そう、僕は大学四年生でかろうじて舞台経験はあれど、まだ俳優になるかどうかも決めていなかったのである。

一年は早いって言われるけど、この一年はすごく長い。
たぶん芝居を生活の中心におくことで新しい生活が始まったからだろう。


今日、荻窪駅の階段を上がっているとき、急に立ち止まりたくなった。
時々、自分のしなければならないこと、身に着けなければならない技術、背負わなきゃならないもののことを考えると立ち止まってしまいたくなる。
ちょうど、炎天下のマラソン選手がその場にうずくまる誘惑にかられるように。
そんなとき、僕は自分に言い聞かせるのだ。
「おい、ちょっと待てよ。まだ1㎞走っただけだぜ。もう止まるのかい?」って。
「何言ってんだよ。止まるわけねーだろ。」

そうだブルース・スプリングスティーン、
tramps like us, baby we are born to run♪

冷気で増幅されたエゴによって。

2004年10月19日 02時45分47秒 | LIFE EXPERIENCE
帰りの電車で、僕は蛇を見た。

紫色の蛇で、尾の部分だけが蝋燭のように赤くてテラテラしている。
向かい側の席でトグロも巻かずにチロチロと舌を出して僕をじっと見ていた。
ガラス球を思わせる目を思わせるその蛇の目を、僕もじっと見つめ返した。

蛇は言った。「まったく、お前は醜い自尊心のかたまりだよ。お前を見ていると悲しくなっちまうね。」
蛇は一度も僕に「情けない」などと言ったことはない。ただ、僕は彼(メスかもしんないけど)が「悲しい」というとなぜかひどく情けない気分になってくる。
たぶん蛇もそんな意味で使ってる気がしてかなり参ってしまうのだ。

いつもは一人で凹んで聞き流すのだが、今日はいつもと違った。
「うるさいな。僕だって悔しいんだ、本当は。」
そう言うが早いか僕は向かい側の席に行儀悪く座っている蛇に飛び掛り、首をひっつかんで思いっきり引っ張った。蛇は僕の手首に噛み付こうとしたが、僕が首を引っこ抜くほうが速かったから蛇の歯は宙ぶらりんの状態になって床にこてっと落ちた。歯の先から黄色い毒がチビチビとケチな噴水を出していた。
「お前がどれほどのもんだっていうんだい。」僕はもう自分の膨れ上がる自尊心とエゴを抑えられない。首の無い蛇の胴体に真っ赤な毒を流し込む。「俺は誰よりも上手い役者になって誰よりも畏れられてやる。お前なんかに邪魔されてたまるか。」

首の無い蛇の胴体は皮膚と同じ紫色の体液を流して僕に許しを請うように見えた。
体液の流れる奥の方から美しい旋律が聴こえる。よく聴けば音楽に聴こえなくもない。でもそれを聴くと僕は落ち着くどころか余計情けなくなってくるのだ。
僕は蛇の胴体を結んで窓の外に投げ捨てた。
10月の後半になると夜の冷気は冬のように冷たい。
窓を開けた僕を、他の乗客は一瞬だけ非難がましい目で見て、また自分の世界に戻った。

僕の右手には、相変わらずガラスのような目をした蛇の頭だけが残った。
弟にあげたら喜ぶだろうな、と思い、帰りにコンビニに寄って袋を貰ってそれに蛇の頭を入れて持って帰った。けれども、帰ってみたら弟は電話で(たぶん)女の子にロックバンドの講釈をするのに忙しいみたいだった。
自分の部屋でぼそぼそと話す弟の声を聞いているとまた僕はうんざりした気分になった。
仕方ないから蛇の頭は冷蔵庫に放り込んでおいた。
明日の朝にでも処置を考えよう。

今日はもう僕は何もしたくないのだ。

ダンス・ダンス・ダンス

2004年10月17日 01時54分52秒 | LIFE EXPERIENCE
昨日は演劇学校のダンスクラスのオーディションだった。
演劇学校は芝居をするだけでなく、日舞やジャズダンスのレッスンもある。
ジャズダンスも日舞も、ちゃんと稽古場発表会のようなものをするらしい。
ひやひや。
なにしろ、僕はダンスがすごく、すごく苦手なのだ。

小さいころから体を動かすことは苦手だった(そんな奴が役者なんてものを目指すのが間違っているとも思うけど)。特にダンスはその中でもまた苦手分野で、自ら避けて通ってきた道である。
今年の初めにやった公演で、ダンスの入った芝居もやったのだが、観に来た母親に、
「あんたはダンスは向かないわね。」
と酷評されたのだった。
そのときは「ヒュー・グラントだってダンスは苦手なんだ」と自分を慰めたのだが、なんの因果か、四月からお金を払ってジャズダンスを習うハメになったのだ。

お金を払おうが払うまいが、僕のダンス下手はどうしようもなく、六月にやった公演(これはダンスが無かった)を観に来た学校の友達は、
「よかったよ。あんたジャズダンス全然できないのにね。」
といいのか悪いのか分からない評価を貰ったのである。

そんなものだから、そのオーディション、僕は本来まったくやる気はなかった。
早い話、あきらめていたのだけれど、でも先週アシスタントの先生からオーディションの話を聞いたとき、なぜか「どうせやるならセンターでやりたいよなぁ」と思ってしまったのである。
なにが気に食わないかって、オーディションは全員参加であるということなのだ。
僕は本来ものすごき負けず嫌いだ。勝負するからには勝ちたい願望が強いのである。
苦手なジャズダンスならオーディションを受けないという逃げ道もあると思っていたのだが、みんなのモチベーションも上がってきているわけだし、要するに余計その中で一番目立ちたくなってしまったのである。

だからといって練習してすぐにうまくなるわけではない。
だから、せめて気持ちくらいは作ってオーディションに望もうと思ったのだが、やはり壁は厚い。
だってみんな上手いんだもん。
来週結果は出るみたいだけど、どうなっていることやら。

なんだか取り留めのない文章になっちまっただ。

ジョギングと恐怖

2004年10月13日 13時22分56秒 | LIFE EXPERIENCE
僕は深夜にジョギングをするのが好きでよく駅周辺を走っているのだけれど、一度女性の悲鳴を聞いたことがある。
中央林間と南林間のあいだのひっそりとした道で、車もほとんど通らなくなった時間のことだった。
僕は喧嘩が強いわけではないのだけど、「誰かが助けを呼んでいる!」というアンパンマン精神で、悲鳴のした方の道へスピードを速めて走って行った。
すると10mほど先に変な歩き方をした女性が一人。さっきの悲鳴は彼女のものだろうか。妙な感じがしたけれども僕は「大丈夫ですか?」と言おうと思って近づいて行った。彼女が僕を振り返って見た。その目を見た瞬間僕は本能的に「ヤバい」と思った。何がヤバいのか分からなかったけれども、僕はどうやら自分の思っている部分とは違う危険な領域にそれと気づかないうちに足を踏み入れてしまったようだった。

彼女はいきなり「ぎゃーーーーーっ」とそれはそれはすさまじい叫び声をあげて僕のほうに突進してきた。
僕は落ち着いて両手を広げて彼女を受け止めてあげたか。

否。

僕は逃げた。本当に文字通り逃げたのだ。
深夜の誰もいない小道で知らない人に突進されたら誰だって逃げる。

このとき、僕はひとつ悟った。人は知らず知らずのうちに自分では思ってもいなかった恐怖にどっぷり浸かってしまっていることがある。妙だ、と思うかもしれない。何かが歪んでいる気がするけれども、それが何か気づいたときには遅い。そのときにはもう僕は恐怖に身動きできなくなっているかもしれないのだ。

ウィルス

2004年10月13日 02時04分52秒 | LIFE EXPERIENCE
パソコンがまた調子悪くなってきたのでウィルス対策にセキュリティソフト「ウィルスキラー2004」を買った。
インストールしてウィルス検索かけてみたのだが、一件も探知できない。
おかしいなあ、たしかにウィルスに感染しているはずなのだけど。
もしこれでウィルス感染してなかったら2000円の損じゃん(かなりの安物だけど)。
僕はちょっとあせった。

あ、そうだ、アップデートしてないっけ。

ネットワーク上で最新版にアップデートできるのだが、それを忘れていたのだ。
まあ2004年のものだからそんなに変わらないのだろうけど。

そう思ってアップデートしてみたら、なんと67個のウィルスに感染していた。

バルサンまいたあとに密封してたゴミ箱見たらゴキブリの巣になってたような気分だ。
なにより、ウィルスキラー発売から今まで新しいウィルスがそれだけできていたという事実がすごい。おそるべしネットワーク社会。

失望のでんぐり返り。

2004年10月10日 01時19分15秒 | LIFE EXPERIENCE
最近自分の思い通りにいかないことが多い。
もちろん昔から自分の思い通りに物事が進むなんてことはほとんどなかったんだけどね。
近頃の僕は自分の感情を表に出しすぎているのかもしれない。
役者としてそれは必要なんだけど、何かと期待することが多くなるのだ。
それだけ失望指数も増えるってわけ。
ここ一週間くらいで僕は5000回くらい失望しているような気がする。
立ち直ったと思った夜に一本の電話がかかり、僕を失意のどん底に突き落とす。
僕はまた頭を抱えて、なんとか解決策を考える。それで時々思うんだ。
僕はそんなに悩む必要ないんじゃないのかなって。みんなもよくそう言うけど。
100kgの錘を抱えている僕をみんなは不思議そうに見るのだ。
でもやっぱり僕は100kgの頭を抱えなきゃ前に進めないんじゃないか、とも思う。

蜘蛛が綺麗な巣を作るように、
アリクイが蟻を食べるように、
唐辛子が真赤に染まるように、
僕は頭を抱えなきゃ僕は前に進めない。
でんぐり返りして階段から落ちてしまえ。