2011年6月10日、埼玉医科大学国際医療センター精神腫瘍科 大西秀樹教授をお招きして、
腫瘍内科研究会「精神腫瘍学の目指すもの」を開催しました。
大西先生は、がん患者さんやご家族のメンタルケアを行う外来だけでなく、
ご遺族を対象にした遺族外来を開設なさった第一人者でもあります。
今回は、大西先生が長年診療してこられた患者さん、患者さんのご家族、
ご遺族の方のそれぞれの症例をもとに、ご講演をしてくださいました。
初めに、がん患者さんの症例のお話をして下さいました。患者さんは、
病気や治療のストレスや仕事や家庭等のストレスをかかえて、意欲がなくなる、食欲がない、
めまい等の症状がおき、精神的にも辛い思いで治療を受けているとおっしゃってました。
また、ストレスは、患者さんだけでなく、ご家族やご遺族にも出てくるそうです。
ご家族の場合、介護疲れや治療決定、経済的な事からストレスを感じてしまい、
第2の患者とも呼ばれるそうです。
ご遺族の場合には、遺族外来を訪れて医療的な心身の訴えだけではなく、
人生について先生に相談されることも少なくないようです。
一般的には慰めの言葉であっても、遺族の中には傷ついてしまう場合や周囲からの心ない、
また配慮のない言動に傷ついて悩んでいる人も多くいるそうです。
がん患者さんが、最期まで心おだやかに生きるためには、腫瘍内科医、精神科医、コメディカル等の
医療スタッフ全員がご家族や患者さんを支援する事が大事になってくるそうです。
支援するという事は、基本的な事であるけれども、基本的で当たり前な事を行う事が、
今後の医療をレベル高くするために必要であるとお話して下さいました。
大西先生は、新聞や雑誌等のメディアに取り上げられているご活躍ぶりからも分かるように、
とても気さくな先生でした。
大西先生、貴重なご講演ありがとうございました。
杏林大学医学部腫瘍内科学教室のホームページ
http://www.mokuniv.com