腫瘍内科学教室BLOG

杏林大学医学部腫瘍内科学教室

腫瘍内科研究会「がん医療におけるコミュニケーション」を開催しました

2012年05月30日 | 講演・学会

2012年4月18日、5月16日と2回に渡り、

国立がん研究センター中央病院 精神腫瘍科 藤森麻衣子先生をお招きして、

腫瘍内科医局研究会「がん医療におけるコミュニケーション」を開催しました。

 

第1回目は、がん医療におけるコミュニケーションの概要と医療の現場を座学中心の講義、

第2回目は、DVDやロールプレイングで講義をして下さいました。

 

 

今回は、第2回目の講義を聴講した学生2名に感想を頂きました。

 

今回、藤森先生の講義を聴いて、臨床現場でのコミュニケーションの重要さが

より分かった気がします。がんの告知と患者さんの心理についての話から始まったのですが、

がんの告知をされた患者さんは、生活が出来ないくらいの心理状態になってしまうそうです。

大部分の方は、そこからせん妄うつ病になってしまいます。この分かれ道のどちらに向かうのかは、

医療従事者の影響が大きいと思いました。がんの告知の仕方や、その後の対応で患者さんの

がん・死に対する不安や恐怖が大きくなり、これらの精神症状が出てくるのだと思います。

ここで重要なのがコミュニケーションです。今回は、この手段も講義・体験を行いました。

目線や距離感について実際に体験してみると、その影響力を身で感じる事ができ、簡単なことですが、

とても大切だと思いました。他にも、知識だけでは患者さんに伝えたい事が伝わらない。

心があっての知識なのだと感じました。

今後、臨床の現場で働きたいと思っているのですが、知識が必要なのは当たり前なのですが、

この心というものもしっかり養っていきたいと思いました。

 

 

がんの告知によって、自殺や心疾患で亡くなるリスクが増大することに驚いた。

その為、がんの告知による適応障害や、大うつ病の発症による自殺防止をするために、

患者の気持ちを考えながら言葉を選んで伝えるコミュニケーションスキルを身に付けることが重要で、

さらにその後の精神ケアも大切であることを知った。

診察において距離感(パーソナルスペース)や目線により、患者に圧迫感を与えてしまうことがある。

実際に体を動かし、体感することで、楽しく理解できた。

 

 

藤森麻衣子先生、貴重な講演をありがとうございました。

 

              

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腫瘍内科研究会「緩和ケア概論」を開催しました

2012年05月18日 | 講演・学会

2012年5月15日、山形大学医学部付属病院麻酔科 助教 山川真由美先生をお招きし、

腫瘍内科研究会「緩和ケア概論」を開催しました。

 

山川先生は、麻酔科医としてのお仕事のほか、山形大学 緩和ケアチームの

リーダーとしてもご活躍されています。

 

 

今回は、「がん患者さんの苦痛」、「緩和ケアとは」、「苦痛なく過ごせるためには」という

3つのトピックに分け、基本的な緩和医療の定義などを医学生に問いかけながら、

講義して下さいました。

 

 

              

 

 

 

がん患者さんは身体的や精神的、心理的苦痛など、全人的な苦痛を伴っているため、

苦痛だけではなく、幅広く専門的立場から相談に応じ始動するのが、

緩和チームであるそうです。

 

緩和ケアは病気に関係なく早期から行い、患者さんやご家族のQOLの向上を目指し、

また、WHO方式のがん疼痛治療法を習熟し、適切な評価や治療を

提供することが大事とのことでした。

 

 

              

 

 

 

最後は、山川先生率いる緩和ケアチームが、JPAP(Japan Partners Against Pain)

オレンジサークルアワードを受賞された際のテレビ番組に取り上げられた映像を

見せて頂いたり、質疑応答で終わりました。

 

 

山川真由美先生、貴重な講演をありがとうございました。

 

 

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腫瘍内科研究会「advocacyとは何か。」を開催しました

2012年05月15日 | 講演・学会

2012年5月9日、NPO法人HOPEプロジェクト理事長 桜井なおみ氏をお招きして、

腫瘍内科研究会「advocacyとは何か。」を開催しました。 

 

桜井氏自身もがんを患った経験者であり、今回はご自身が経験した、

様々な転機や活動についてご講演頂きました。

 

 

         

 

 

桜井氏は、がんだと分かった当初、「死ぬんだ」と思っていましたが、

病気には意味があるはずだと、病気に背中を押されたそうです。

 

 

そして、癌を患ったことが可哀想と思われるのを不思議に思う中、

Cancer Survivorship(※)や米国乳がん連合(NBCC)との出会い、

患者さんのためのスカラシップを利用し海外学会への参加、

さらには医療界の問題をもっと世に出していきたいという思いを胸に、

社会問題解決の取り組みを経験して来られたそうです。

 

※ 医療の世界で医師が求める5年健存率、治療効果の評価、

生存期間を重視するものではなく、発病し、がんと診断された時から

その生を全うするまでの過程を、いかにその人らしく生き抜いたかを重視した思想

 

 

 

         

 

 

 

決して病気を患ったからといって、卑屈になることなくご自身と向き合い、

ご自身の事以外に同じがんを患った患者さんの事や、

社会問題を考える桜井氏の前向きな姿勢は、聴講した医学生にとっても、

良い刺激になったのではないでしょうか。

 

桜井なおみ氏、貴重な講演をありがとうございました。 

 

 

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