【フォトストーリー】ベータミゼット編・１（2001年3月～2002年5月）

後にアーリータイプと呼ばれる先行量産型人造ミゼットの、ひとまずの成功を受けてベータミゼット計画は次なる段階に進んでいた。

まずは彼らにより自然な自律機能を持たせるため、研究チームは大気中の４つの元素からエレメントを抽出、これを『理知(ロゴス)』、『感覚(センス)』、『情緒(パトス)』に当てはめ数値を定義した仮の人格として素体に付与する。
これによってベータミゼットは人間と変わりない感情を持ち動き出すことができたのである。

次に研究チームが取り組んだのは計画の最終目標である「ミゼットとしての本来の姿の再構築」のためのシステム作りであった。
彼らベータミゼットにその本来の姿を取り戻させるためには、一体どうしたら良いのであろうか？研究チームはその手がかりを『アストラル』と共に回収されたもう一つの粒子『フォルム』に見出していた。フォルムにはアストラルを抜き出された際残ったミゼットの記憶と共に本来の姿に関する記録(母体となる物品の情報)が残されていると考えられたのである。
研究チームは複数の情報が渾然となったフォルムを原子配列に従って数値化し、それを３点座標で再配列したものを具現化して素体の外装部品を製作、これを『ジャケット』と名付けた。
理論上では全てのデータを具現化し、これを素体内のアストラルの持つ情報と照合する組み合わせで装着し付与された仮の人格で起動させることによってベータミゼットは本来の記憶と姿を取り戻すことができると考えられたのである。

ベータミゼットのジャケット…それは彼らの「魂」の鎧である…！
だが計画は程なく大きな壁に突き当たることになる。それは人格が付与された素体の自然覚醒率が極めて低く、そのエレメントに適応した人物の想念による『トリガー』が必要となっていたこと、またその条件が素体によりまちまちであるため研究チームだけでは全ベータミゼットの覚醒が困難であることであった。
更に現段階ではまだ全てのフォルム解析が完了したわけではなく、またあまりに膨大な種類に及ぶであろうジャケットのうち、どれが各素体に対応したジャケットの組み合わせなのかが解明できなかったのである。

そこで研究チームを抱えるβ社はある計画を提案する。それは素体とジャケットを販売し、ジャケット解析を一般の人々に托そうというものであったのだ。
こうして素体とジャケットは生命維持装置を兼ねたカプセルに収められ社会に送り出されることとなったのである…。