goo blog サービス終了のお知らせ 

理念の”実践・実現”のために経営層やリーダー層が”調整弁”となれ

2016-10-03 09:02:01 | 経営理念
経営理念の浸透段階の最後である”実践・実現”について述べていきたいと思います。
”実践・実現”を強力に推し進めるためには、これまでみてきた「周知→浸透→理解・納得」のプロセスを各階層の職員へしっかりと根付かせ、経営層(理事長や施設長)、主任クラスなどのリーダー層も含め、方向性を常に確認し、職員を叱咤激励し続けることです。
理念やビジョンの方向性が誤っていれば、経営層やリーダー層が正す機能を発揮することが必要です(”怒る”のではなく、”叱る”です)。
そして目標を達成したり、”あるべき姿(ありたい姿)”に少しでも近づいたら、しっかりとその気持ちを職員に伝えることです。
いわば、経営層やリーダー層がマネジメント機能を有する”調整弁”となることです。

法人や施設が向かうべき目的地への”地図”が事業計画書である」でも述べたように、事業計画書の運用や人事考課制度による人財育成(後日、紹介します)などとの相乗効果により、経営理念の実現を成し遂げます。
裏を返すと、事業計画書の運用や人財育成をしていかなければ、経営理念の実現は不可能と言っていっても過言ではありません。

これらの仕組みを用いて、経営理念の具体的な姿を可視化し、浸透を図っていくことができます。
経営理念の”実践・実現”の段階では、すでに職員は”考動力(考えて行動する力)”を有しており、法人・事業所の目指すべき理念やビジョンに向かって取り組みを進めています。
しかし、大切なのは経営層やリーダー層の役割です。

海軍大将であった山本五十六の有名な言葉があります。
「やってみせて、言って聞かせて、やらせてみて、 ほめてやらねば人は動かじ。
話し合い、耳を傾け、承認し、任せてやらねば、人は育たず。
やっている、姿を感謝で見守って、信頼せねば、人は実らず。」

この「経営理念」のテーマの最初の記事で、「経営層が語っていますか?」と投げかけました。
経営層やリーダー層が率先して経営理念について語り、経営理念の実現に向けて具体的な行動を起し、職員に示していけば、必ずあなた(リーダー)のフォロワーとして、職員は後ろからついてきます。
そのように成功した法人をいくつも目の当たりにしてきました。
経営理念が浸透し、法人・事業所の目指すべきありたい姿(ありたい姿)を実現するかどうかは、実は経営層やリーダー層に当たる皆さんの働きかけにかかっているのです。

このブログでは、引き続き、社会福祉法人や福祉施設のマネジメントに関する内容を取り上げていきます。
何かのお役に立てれば幸いです。

管理人

職員の成功・失敗体験を通じて、理念の”理解・納得”を促す

2016-09-24 21:18:30 | 経営理念
経営理念の「周知→浸透」と続いて、次の段階が”理解・納得”です。
経営理念を”理解し、納得している”組織の状態とはどういった状態を思い浮かべますか?
ちなみに”理解・納得”を経て、最終段階である”実践・実現”につながる重要な段階です。

”理解・納得”の段階は、前回の記事でいう「フォアグラという食べ物は知っていて、味や香りも自分の言葉で表現できる」状態と例えられるでしょう。
要するに、「経営理念を実現する実践者の一人として、成功・失敗体験を繰り返しながら、職員自身が経営理念を咀嚼して理解し、自信を持って、話せ、伝えられ、行動することが出来る状況」といえます。
経営層による経営理念に関する語り、事業計画書と日々の業務内容との連動性の意識化、そして”理解・納得”を促すためには、職員一人ひとりの「考動力(こうどうりょく)」の醸成が重要です。
「考動力」とは「考えて、自ら行動に移すことが出来る力」であり、職員一人ひとりが自立し、自律することを求めていくことになります。

最終段階の”実践・実現”を担う幹部管理職(幹部管理職だからと言って、必ずしも”実践・実現”の一翼を担っているとは言い切れませんが)、そのフォロワーとしての上級職員(リーダー職員)に求めらる組織のあるべき状態と言えます。
言い換えると、法人・施設の次世代を担う職員であり、それを具現化するための「考動力」が必要になるということです。
この段階に近づけるためには、前回の記事でお伝えしたように、日々の業務内容と経営理念の結びつきが、職員にとって意識化され、目的意識や組織の帰属意識を高めていくアプローチが重要です。

最近、現場からはこの「考動力」を持たない、また「考動力」が弱い職員が多くという声をよく耳にします。
そのような場合、職員自身に「考動力」がないのか、または「考動力」をうまく引き出せていない場合のどちらかが考えられます。

特に後者の場合では、コーチングの手法を用いた育成指導を実践してみてはいかがでしょうか。
指導する立場として、自らの意見や指導内容を伝えることをぐっとこらえ、意図的に考えさせる投げかけを職員に行ってみましょう。
職員はすでに答え(いわば意見)を持っています。
職員の持つ答えをいかに引き出し、その答えに対して、方向性があっていればその答えを尊重し、誤っていれば緩やかに答えの軌道修正を行います。

そして行動に移すわけですが、ここで重要なのがほったらかしにしないことです。
行動に移しどのような成果をあげられたか、どういうところが難しかったかなど、職員をフォローし、保育でいう「共育て」を実践してみてはいかがでしょうか。
冒頭に「成功・失敗体験を繰り返しながら〜」と書きましたが、是非ともよい形で職員が成功体験を味わえ、失敗体験を次の成功に結び付けられるよう、コーチングも参考にしながら、経営理念の”理解・納得”を進めていきましょう。

管理人

経営理念を浸透させるために、事業計画書を活用しましょう

2016-09-21 17:27:15 | 経営理念
経営理念を"周知(知っている)"という状態から、さらに組織へ"浸透"させるためにはどうすればよいでしょうか?
スポンジにじわっと水分がしみ込むように、職員への経営理念の浸透を促進させるためには、経営理念がより身近な存在であると感じことが出来る状態づくりが重要だ、と私は考えます。
例えて言うならば、「フォアグラという食べ物は知ってるけど、食べたことないから分からない」と同じです。
「経営理念は知っているけど、どのような取組みがその実現に関連するのか分からない」、経験がないから実感がわかない(自信がない)という状態です。

しかし、経験がないわけではありません。
経営理念と日々の業務内容と経営理念がどのように連動(関係)しているかを職員が考える(整理する)習慣をつける(=意識化させる)ことで、「もうやっている」という実感(自信)を持たせることが出来ます。
そうすることで日々"作業"として行っていたことについても"目的"意識が芽生え、たとえ嫌々行っていたことに対しても意義や役割を見出すことにつながります。
このように、日々の"作業"や"業務"が事業計画書の行動計画(アクションプラン)にも結びついていることを職員が気づけば、経営理念のさらなる"浸透"は加速します。
なぜならば、「経営理念→事業計画書→日々の"作業”や”業務”」というロジックで成り立っており、事業計画書は経営理念を実現させるための行動計画(アクションプラン)がまとめられているからです。

現場では、計画を立てた(作った)ことに満足してしまい、事業計画書のPDCAサイクルごとに十分機能しない課題を抱えているケースが少なくありません(このテーマについては、後日、深掘りしましょう)。

そこで、この経営理念と関連付けて事業計画書の運用についても一緒に見直してはいかがでしょうか。
「なぜこの取組みが必要なのか」、「この取組みを通して経営理念をどのように実現することができるか」について考える研修や勉強会を通して、日々の"作業"や"業務"が経営理念と結びついていることを再確認することが職員にとってはわかりやすい取組みと言えます。
裏を返すと、経営理念を実現させるために、この取り組みが必要なんだというロジックが成り立つわけです。
事業計画書の活用を通して、漠然としていた経営理念が、より身近に感じられ組織の状態、"浸透"を進めていきましょう。

管理人




経営層が経営理念について語っていますか?

2016-09-13 09:19:34 | 経営理念
全ては経営理念に通ずる」でもふれましたが、経営理念について”知らない”という組織の状態から、周知→浸透→理解・納得→実践・実現のプロセスを、職層ごとに段階を経て進めていくことが重要です。

では、"知らない"という状態から”周知(知っている)”という段階に進むためには、どうすればよいでしょうか。
朝礼での唱和などを例として挙げましたが、まずは経営理念について、経営層(理事長や施設長クラス)が職員に対して語っていますか?
言い換えるならば、雲の上の存在のように崇高な概念である経営理念というものを、できるだけ分かりやすい言葉に嚙み砕き、より身近な存在に思わせられるプロセスが、「経営層が語る」という取り組みです。

「経営理念とは〜」という堅苦しい、難しい伝え方をするのではなく、理事長や施設長のこれまでの職業人としての体験談の中で、振り返ってみると経営理念につながっていた、といった感じで伝えてみてください。
職員に「理事長や施設長はやっぱりスゴい!」と思わせるのが目的ではなく、「日々の業務や体験の中で、自ずと経営理念につながる取り組みをしているんだよ」、とった伝え方をすることで、新たな気づきが職員に芽生えます。
このようなメッセージの中には、経営層の法人や施設に対する思いやビジョン・方針などの今後の展望などの内容もおのずと含まれ、職員にとっては理事長や施設長との距離もぐっと縮めることにつながるでしょう。

そのためには、経営層は経営理念について自分の言葉で表現できる(伝えられる)よう、日々考え、メッセージを発信していくことが役割として求められます。
”知らない”状態から”周知(知っている)”という段階に進むためには、経営層はの経営理念に対する向き合い方を振り返ってもよいのではないでしょうか。

管理人

全ては経営理念に通ずる

2016-09-09 07:41:49 | 経営理念
社会福祉法人のクライアントのご支援をさせていただく際、初回訪問でのヒアリングで経営改善や人財育成、事業計画書策定など、さまざまな課題をクライアントの担当者(特に理事長や施設長などの経営層)が口にします。

しかし、その課題を整理していくと、結論的に、「法人の経営理念が十分に浸透していないがために生じている」ということがままあります。
第三者である我々が法人や施設の課題を聞き、客観的に整理することで、いわゆる新たな”気づき”を感じ取っていただくことにつながるわけです。

例えば、経営理念の実現のための職員の行動計画(アクションプラン)に該当するものが事業計画書であり、経営理念の実現のための人財育成の指針が人事考課制度といえます。
その2つに課題があるとすれば、まずは経営理念をどのように捉えており、事業計画書や人事考課制度にどのように反映されているかを振り返る必要があります。

そこからズレていれば、事業計画書の策定支援や人事考課制度の見直しなどのご支援をさせていただいたとしても、結果的に法人や施設が期待する結果(成果)にはつながりません

ただし、法人や施設の規模や職員の成長度、予算などもあり、いきなり全ての改善に着手することはできません。
まずは、職員一人ひとりが法人の経営理念を実現するための実践者であり、組織の一員であるという意識を持てるようなアクションを起こすことが必要です。
例えば、毎日の朝礼時に唱和をしたり、経営理念と日々の取り組みがどのように関連しているのかを研修を行うなどが挙げられますが、取り組んですぐに成果が出る”特効薬”的な取り組みはありません。
だからこそ、できるだけ早い段階でアクションを起こすことが重要です(最低でも3年はかかるでしょう)。

経営理念について”知らない”という状態から、周知→浸透→理解・納得→実践・実現のプロセスを、職層ごとに段階を経て進めていくことが重要です。
具体的な取り組み事例として、”毎朝の朝礼時の唱和”を挙げましたが、職員が経営理念を暗記してスラスラいえる状態を作ることが目的ではありません(歴史上の出来事を暗記するばかりで、その背景を理解していないことと同じ状態といえます)。

日々の業務や取り組みが経営理念とどのように結びついているかを意識しながら、職員一人ひとりが経営理念を実現するための実践者であるという自己覚知を促し、組織への帰属意識を醸成していくための共通目標としての経営理念が真に浸透した組織を作っていくことを目標に取り組んでいただきたいと思います。

管理人