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ほうれんそう(報告・連絡・相談)から提案型の組織を目指そう

2017-01-14 09:48:59 | 人財育成
職員から建設的な意見があがりやすい組織とそうではない組織の大きな違いは、そういった意見を受け止める組織風土があるかないかということが大きく影響します。

職員から良い意見が挙がっても、「発言した人が責任を持ってやってください」といったような他人任せな組織では、言った職員だけが大変な思いをして、結果として不満を持って退職してしまう。
組織は成熟することなく、同じ水準のサービスを提供し続けることで、地域から選ばれない法人・事業所となり…、といったような悪循環をたどってしまうことでしょう(その悪循環に陥っていることに気づいていない法人・事業所も少なくありません)。

もし読者の中でそういった組織で悩んでいる方がいれば、ぜひとも提案型の組織風土づくりに取り組んでもらいたいと思います。
具体的には、「安心して提案できる風土」と「やってみようと思える風土」をそれぞれ作っていく必要があります。
後者は言わずもがな皆が同じ方向に向く必要がありますので、経営理念のような共通指針を浸透させる必要があります。

では、前者はどうでしょうか。
安心して提案できる、発言できる風土になっていますか。
冒頭に挙げたような組織では、まずは職員同士の関係性を見直すところから始める必要があります。
内部研修でグループディスカッションや一人ひとりが発言する機会を設けるなど、職員がどういう考え方、価値観を持っているのかを知る仕掛けが必要です。
「こんなこと言ったらみんなから嫌われてしまうのではないか」という思考は、一般企業では通用しません。
「発言しない職員は、いてもいなくても一緒」というように揶揄されるほど、「発言しないこと=自分ごととして考えていない=無責任」と映ってしまいます。
ですので、会議の目的や会議に臨む姿勢などを明文化している法人・事業所も増えてきましたが、言い換えると、そうでもしないと職員の意識も変わらないということです。

このような風土ができれば、「ほうれんそう(報告、連絡、相談)」だけで終わっていた受動的な職員から、「こういうふうにしてはどうでしょうか?」といった建設的な提案ができる能動的な職員育成につながります。
「「ほうれんそう」はきちんとできるんだが、自身の意見を持っていない職員が多い」という状態は、まさに上記のような課題を抱えている証拠です。
組織の成熟度を高め、サービスの質の向上を図るためにも、職員一人ひとりが建設的な意見を出せる提案型の組織風土を作っていきましょう。

管理人

処遇改善加算のキャリアパス要件Ⅲを明確にし、キャリア形成の後押しを

2016-12-03 16:28:49 | 人財育成
年の瀬の忙しさにかまけて、更新が滞っておりました。
チェックしていただいている方々には、大変申し訳ありませんでした。

さて、11月16日の社保審–介護給付費分科会で方向性が示された介護職員処遇改善加算の新要件ですが、皆様の施設では新しいキャリアパス要件Ⅲをすでに満たしたキャリアパスを運用していますか?

キャリアパス要件Ⅲでは、「経験若しくは資格等に応じて昇給する仕組み又は一定の基準に基づき定期に昇給を判定する仕組みを設けること」が新たに求められます。
具体的には、リンク先のPDF資料スライドP.4を見ていただければと思いますが、キャリアパスに「経験年数」「資格」「評価」 の要素が求められることになりました。
要するに、「経験年数5〜8年で、介護福祉士または初任者研修終了者の資格を有し、直近の人事考課でB評価以上」であれば「主任」といったように、どのような場合に昇格するかを明確にすることが要件Ⅲの内容です。

現場では、突然の退職により、こういった要件を満たさない職員が、止むを得ず役職につくケースも少なくありません。
このキャリアパス要件Ⅲで求められる要素を明確にすることで、組織的に人材育成を計画的に進める必要があります(育成体系や研修体系がないのに、絵に描いた餅に要件がならないような注意が必要です)。
また、明確になることで、上を目指したい職員にとっては、どういう知識や技術があれば「主任」や「ユニットリーダー」などの役職に就けるかが分かるため、自身のキャリア形式を後押しすることにもつながります。

最近の職員は(最近という表現は適切ではないかもしれませんが)、確かに上昇志向が弱く、無難に仕事をする職員が多いという話を経営層からよく聞きます。
ただし、どのようなキャリア形成が出来るのか(可能性)、どういった知識や技術が必要なのか(目標)が明確でなければ、よっぽど上昇志向が強い職員でなければ、長続きはしないでしょう。
是非とも、来年度の新加算の取得に向けて、また職員のキャリア形成を後押しできるよう、キャリアパス要件Ⅲの明文化と整理に取り掛かりましょう。

管理人

”適正”な自己評価には、自身を測る指標の浸透が必要

2016-11-11 19:30:03 | 人財育成
人事考課制度の一環として、自己評価や育成面談(フィードバック面接)を行っている法人・事業所もあるのではないでしょうか。

以前の記事で、『今後のキャリア形成のために自身の成長を振り返る機会(自身の自己分析)と捉えるA職員と、自己評価をただの作業と位置づけ、オール「B」としてしまうB職員とでは、人事考課の自己評価の目的や意味・意義の捉え方で大きな差が生じています。』と書きました。
最近は、考課者に対する研修の他に、被考課者に対する研修、要するに一般職員に対する自己評価の重要性について話をする機会も増えてきました。
人事考課制度の”How to”的な研修ではなく、自身のキャリア形成を見据えた自己評価(自己分析)の重要性についての話をしています。

そのなかで、職員一人ひとりが自身の取り組みを”適正”に評価できるよう指導育成することが重要です、と話しています。
良い取り組みは自信を持って”良い”と評価し、悪い取り組みはきちんと”悪い”と評価することです。
出来ているようで、実は出来ていないので、”過大評価(オール「A」)”や”過小評価(オール「C」)”を引き起こし、結果的に無難なオール「B」となってしまいます。

では、どうすれば”適正”な評価が出来るのでしょうか。
その解決策の一つに、しっかりと職員に求められる役割(等級や経験年数などを踏まえて)を伝えることが重要です。
しっかりと職員に求められる役割を伝えることは、出来て当たり前の水準、レベルの高い水準など、その職員を評価する指標(ものさし)を明文化し、育成面談などでしっかりと伝えていくことです。
キャリアパスや期待人材像などに明文化されているのであれば、それに基づいて伝えることが必要です。
職員にとって、「出来て当たり前」と思っていたことが、実は上位等級で求められる役割であったということはままありますし、その逆もまた然りです。
「こういうことは出来て当たり前ですよね」といった声が職員から上がってくれば、職員を評価する指標が現場に浸透してきた証といえます。
職員が自身の取り組みを指標に基づいて評価する習慣を身につけることによって、部下育成を行う上での指標も自ずと身につきます。

また、部下育成を行う上で、成功体験や失敗体験を共有することも大切です。
新人職員にとっては自信を持って業務を遂行してもらうために、中堅職員には失敗を恐れず、挑戦してもらいたいという思いを込めて、特に幹部管理職やリーダー層の方々に部下へ語ってもらいたいと思っています。
成功体験を通して、どういうことを感じたか。今にどう影響しているか。
失敗体験を通してて、どういうことを学んだか。仲間にどう助けられたか。
経験年数の長い方から話をしてもらうことで、「良いことは良い」「悪いことは悪い」と職員が認識しやすくなります。
職員一人ひとりのキャリア形成を後押しできるように自身が振り返られる指標をしっかりと伝え、成長を見守っていきましょう。

管理人

「できること」「やりたいこと」「やるべきこと」を整理しましょう

2016-10-29 08:27:07 | 人財育成
職員にキャリア形成を進める上で、法人にはキャリアパスや人事考課制度があります。

これらは経営理念を具現化するための人材育成を図るためのいわば指針であり、決して、給料を上げたり、下げたりするだけの制度ではありません。
人事考課シートなんて、等級ごとに求められる役割が明文化されていますから、乱暴な言い方をすると、答えの書いてある答案用紙通りに日々の業務や役割をこなせば、「法人の求めている人材像通りなので、評価します」として賞与などに反映されるでしょう。

職員のキャリア形成を後押しするためには、職員一人ひとりの「出来ること」、「やりたいこと」、「やるべきこと」をしっかりとキャリアパスや人事考課制度を活用しながら確認していくことが重要です。
いわば、利用者におけるアセスメントと同じプロセスです。

「できること:能力(Can)」
職員一人ひとりの出来ることです。
キャリア形成を進める上で、まずは出来ることを増やすということが大事です。
新人職員に重度要介護者の食事介助いきなりさせることはなく、段階を経ながら進めていきます。
まずは「できること」を最低限まっとうすることがキャリア形成のスタートラインです。

「やりたいこと:欲望(Want To Do)」
「できること」が増えれば、興味のあることやより深掘りしたいことが芽生えます。
職員の成長の伸びしろをいかに伸ばせていけるかは、指導育成に携わる職員にかかっています。
職員の成長は1人では進められません。
しっかりと指導育成に携わる職員がフォローしながら、着実に習熟度を確認しながら進めることが重要です。

また、習熟期間などを区切って指導育成を進めると思いますが、「できること」のレベルは職員によって異なります。
利用者も同じで、全く同じ対応やケアの方はいらっしゃいません。
ですので、「A君は3ヶ月で独り立ちできたのに、あなたはどうして出来ないの?」なんていう指導はNGです。
3ヶ月で出来なかっただけで、4ヶ月目には出来るようになるかもしれません。
能力や人間性だけで評価していては、人材育成はできません。
しっかりと指導育成に携わる職員がフォローしながら、大事なのは、成長したいという意思があるかないかをしっかりと把握した上で、判断すること必要があります(成長意欲がなければ何を言っても無駄です)。

「やるべきこと:使命(Must To Do)」
「できること」が増え、「やりたいこと」が芽生えれば、必然的に経験年数や役職・立場も高くなります。
ですので、それに見合う「やるべきこと」を課していくことで、組織の一員としての意識の醸成と、マネジメントについての学びを深めていくことが必要になります。

「やるべきこと」を明示するためにも、キャリアパスや期待人材像などを明文化しておくことで、職員へ説明しやすくなる(施設長の押し付けではなく、法人・施設で求める人材が明確になる)とともに、職員にとってもキャリア形成の見通しを持つことができるメリットがあります。

「できること」「やりたいこと」「やるべきこと」を3つの円とすると、三角形をなすように、それぞれが重なり合うように構成されます。
「できること」の円が大きくなれば、「やりたいこと」の円が大きくなり、「やるべきこと」の円も大きくなる。
この循環を繰り返すことで、職員の育成が図られます。

人材不足の中、即戦力となるよう職員育成を急いでしまうことも少なくないと思います。
しかし、そのような場合の多くは、現場から不満の声が上がったり、新人職員がバーンアウトしてしまうでしょう。
まずは職員の「できること」を見極めながら、やりがいとしての「やりたいこと」や役割としての「やるべきこと」をしっかりと伝え、自覚させていくことが職員育成において重要です。







聞き手にとって「わかりやすい言葉」で伝えましょう

2016-10-22 11:08:22 | 人財育成
仕事柄、経営層や現場職員の方向けの研修の講師をさせていただくことがあります。

手前味噌な話ですが、受講者の方から、「管理人さんの話はとてもわかりやすいですね」「もやもやしていたことがスッキリしました」と言った感想をいただくことが少なくありません。
私に比べ、立場も上、現場経験も長い方々からそのような感想をいただくことは、講師としては非常にありがたく、うまく伝えられてよかったなと思うのですが、先日、職場の後輩からも、「管理人さんの説明を聞いてわかりました」なんて言ってもらうことがありました。

改めて「なんでそう思ったの?」と尋ねてみたところ、「わかりやすい(平易な)言葉で、順序立てて話してくれるので、何がわからないかも整理できました」ということ。
後輩には、私自身、特に「わかりやすい(平易な)言葉」というのは、非常に気をつけている部分かなという話をしました。

よく、頭のいい人は、難しいことを「わかりやすい(平易な)言葉」で説明できる人と例えられることがあります(私が頭がいいとはいいません)。
ようするに、「わかりやすい(平易な)言葉」で伝えられる人は、それだけ自分自身がそのことに理解・納得し、自分自身の言葉で表現できる領域まで達している人といえます
経営理念の浸透段階の「理解・納得」、そして「実践・実現」と同じロジックです。

研修レジュメもそうです。
例えば、「経営理念」は重要な考え方だという事実情報を箇条書きでまとめるより、「経営理念」と「事業計画書」「人事制度(人財育成の仕組み)」の関係を三角形を見立てた図で示したほうが、受講者もそれぞれの関係性が視覚的に理解でき、なおかつ私自身も説明しやすくなります。

また、物事を突き詰めて自分自身が「理解・納得」し、自身の言葉で表現できる領域まで達することとは、結果的に物事を多様な視点で捉えることにもつながります。
例えば、人事考課で自己評価をするケースを想像してみてください。
今後のキャリア形成のために自身の成長を振り返る機会(自身の自己分析)と捉えるA職員と、自己評価をただの作業と位置づけ、オール「B」としてしまうB職員とでは、人事考課の自己評価の目的や意味・意義の捉え方で大きな差が生じています。

「わかりやすい(平易な)言葉」で伝えられるということは、物事の本質を理解し、原理原則を抑えながら、他者に説くことがということです。
経営層やリーダー層が部下や現場職員に物事を伝える際も、できるだけ伝える職員のレベル感などを意識しながら、「わかりやすい(平易な)言葉」にできるだけ置き換えながら、伝えてみてはどうでしょうか。
職員の反応やその後の行動にも大きな変化が現れることでしょう。

管理人