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BSCを用いて、目標達成を目指す好循環な組織づくりを目指せ

2016-10-12 07:47:54 | 事業計画書
事業計画書を作成するポイントである、課題整理の仕方の一つとして、バランストスコアカード(以下、BSC)について取り上げたいと思います。

前回の記事からの再掲となりますが、BSCでは、4つの視点と2方向の流れが生まれます。
4つの視点とは、”財務の視点(経営に関する要素)”、”利用者の視点(利用者満足に関する要素)”、”業務プロセスの視点(サービス内容などに関する要素)”、”成長と学習の視点(人財育成に関する要素)”です。

これらの4つの視点間で2方向の関係性(流れ)が生じます。
”財務の視点”の目標を達成するために何をする

”利用者の視点”の目標を達成するために何をする

”業務プロセスの視点”の目標を達成するために何をする

”成長と学習の視点”の目標を達成するために何をする
という計画立案の流れができます。

そしてBSCのポイントの一つは、
”成長と学習の視点”の目標を達成するための取り組み成果がどうなった

”業務プロセスの視点”の目標を達成するための取り組み成果がどうなった

”利用者の視点”の目標を達成するための取り組み成果がどうなった

”財務の視点”の目標を達成するための取り組み成果がどうなった
という評価(目標達成への検証)の流れができます。

計画立案と評価(目標達成への検証)を行い、経営理念の実現を通して、組織の成長を具現化するというマネジメントシステムです。

BSCのもう一つのポイントとして、目標の数値化が挙げられます。
BSCのS(スコア)です。
「取り組み成果がどうなったか」を測る指標として、数値化(定量的)された目標設定が必要になります。
ただし、福祉施設の経営においては、必ずしも数値化できる目標ばかりではありません。
「利用者の笑顔あふれるサービス提供」という重点目標があった場合、そのゴールは普遍的であり、定量化できないゴールといえます。

そのような場合は、①出来るだけ定量的な目標を設定できるような行動内容(アクションプラン)を設定する、または②定性的なあるべき姿(ありたい姿)を具体的に示す、の2つが考えられます。
①であれば、「利用者の笑顔あふれるサービス提供」を例えば利用者向けアンケート調査の満足度で測ったり、外部ケアマネジャーからの紹介件数などで測ることが出来ます。
②であれば、ユニットの利用者同士が楽しく会話を楽しめるような仲介役を務めるや日中活動にできるだけ多く参加してもらえるよう声かけを工夫するなどが挙げられるでしょう。

具体的な目標を設定する目的は、ゴールの共有化です。
目指すべきゴールを明確にすることで、組織の一体感の醸成にもつながります。
BSCを導入している法人様では、目標を数値化する習慣や、目標達成の意識が高く、目標達成に向けた建設的な意見が活発に出るという組織風土の好循環も効果として現れています。
BSCと戦略マップの相乗効果で、戦略的なツールとしての事業計画書の活用を実現しましょう。

管理人

戦略マップを用いて、行動内容を整理する

2016-10-07 08:46:11 | 事業計画書
そろそろ平成29年度の事業計画書の策定に向けて、少しずつ準備を始めた法人・事業所も出てきたのではないでしょうか。
皆さんの法人、事業所の事業計画書はどのような視点で作成されていますか。
経営理念の実現のため、「ヒト・モノ・カネ・情報」の経営資源ごとの視点や「経営満足(CoS)・利用者満足(ES)・職員満足(CS)」のいわゆる三者満足の視点など、さまざまな視点で課題を整理し、それぞれに重点目標を掲げ、行動内容(アクションプラン)を詰めていっていることと思います。
SWOT分析など、法人・施設の強みや弱みから戦略的な視点も盛り込んで作成しているのではないでしょうか。

しかし、「一つ一つの行動内容(アクションプラン)になぜ取り組むのか?」ということがしっかりと現場職員レベルにまで落とし込むことができていますか。
事業計画書を戦略的なツールとするためには、経営理念を浸透させて、目的意識や意義をしっかり押さえる必要があります。
そのための整理の仕方として、「戦略マップ」という考え方をご紹介します。

本来であれば、「戦略マップ」は”バランストスコアカード(以下、BSC)”というマネジメントシステムの補完的なプロセスですが、事業計画書をより戦略的なツールとして活用していただきたいため、それぞれの行動内容(アクションプラン)同士をどのように関係(関連)させればよいかという概念的な内容を中心に解説したいと思います(BSCについては、後日詳しく取り上げたいと思います)。
「戦略マップ」で検索していただければ、イメージ図が出てくると思います。

BSCの基本的な考え方について少しだけ触れておきます。
BSCでは、4つの視点と2方向の流れが生まれます。
4つの視点とは、”財務の視点(経営に関する要素)”、”利用者の視点(利用者満足に関する要素)”、”業務プロセスの視点(サービス内容などに関する要素)”、”成長と学習の視点(人財育成に関する要素)”の4つです。

では、2方向の流れについて説明します。
上記4つの視点において、”財務の視点”の目標を達成するためには”利用者の視点”に関するどのような取組みをすればよいか。
また、”利用者の視点”の目標を達成するためには、”業務プロセスの視点”に関するどのような取組みをすればよいか、というように”財務の視点”→”利用者の視点”→”業務プロセスの視点”→”成長と学習の視点”という流れができます。
そして大事なのは、”成長と学習の視点”→”業務プロセスの視点”→”利用者の視点”→”財務の視点”という逆向きの矢印です。
その取組みを行って、次の視点の目標を達成できるものなのかどうかという評価(検証)を行い、目標を達成するというマネジメントシステムです。

「戦略マップ」は、BSCで設定されている”財務の視点”、”利用者の視点”、”業務プロセスの視点”、”成長と学習の視点”という4つの視点で課題を整理し、それぞれの視点ごとの取り組みがどのように関係(関連)しているかを線や矢印でつなぎ合わせ図式化したものです。
いわば戦略的な”ストーリー”といっても過言ではありません。

一つずつの行動内容(アクションプラン)では全体像がつかみにくいことがありますが、「戦略マップ」で整理すると一つ一つの行動内容(アクションプラン)により深い目的や意義がみえてきます。
それは職員へ行動内容(アクションプラン)を分かりやすく伝えることにもつながりますし、なにより経営層(理事長や施設長)、リーダー層の皆さんが職員に説明しやすくなるという効果も発揮することでしょう。

また、日々の業務とは別に事業計画書の行動内容(アクションプラン)を行うのではなく、できるだけ効率的に取り組みを進めることにもつながります。
例えば、

誤嚥性肺炎を予防するため歯科衛生士を招いた内部研修を実施する
(成長と学習の視点)

利用者の口腔状態に適した口腔ケア用品の充実や口腔ケア加算の算定を可能とする取り組みの促進
(業務プロセスの視点)

経口摂取の維持や栄養状態の改善
(利用者の視点)

誤嚥性肺炎による入院者の減少による空床の抑制、収入増
(財務の視点)

という流れに整理することができます。
内部研修をして口腔ケアについて学ぶことが、実は空床の抑制につながり、法人・施設の経営の安定につながると結び付けられる一般職員はどのくらいいらっしゃるでしょうか。

バラバラになっている課題を「戦略マップ」を用いて見える化することで、計画の着実な実行に向けた行動内容(アクションプラン)を整理しましょう。

管理人

中長期的な視点をもとに、今やるべきことを設定する

2016-09-29 07:29:54 | 事業計画書
前回の記事で3年後、5年後の”ありたい姿(あるべき姿)”を示して、取り組みを積み上げましょうと述べました。
読者の皆さんであれば、もう”ありたい姿(あるべき姿)”が経営理念から通ずる姿であることは百も承知だと思います(しつこいほど繰り返していますから)。
しかし、その姿を目指すために、「1年目、2年目、3年目・・・と何をしていけばよいのか?」と戸惑う方もいるのではないでしょうか。

例えば、こんな事例で考えてみてはどうでしょうか。
あなたはケアマネジャーの資格取得を目指しています。
受験資格には国家資格を取得し、実務経験5年(900日以上)が必要です。
その5年間を通して、1年目にはどのような勉強を行う、2年目は・・・、3年目は・・・とイメージすることができるのではないでしょうか。

同様に、事業計画書で今年度どのようなことをしなければならないかを考えることは、3年後、5年後の”ありたい姿(あるべき姿)”から逆算して検討することが重要です。
1年目にはどのような状態に達していなければ2年、3年経っても、目指すべき姿にはたどり着けません。
だからこそ、それぞれの行動内容に目標を設定し、それを必達するんだという意識付けが欠かせないわけです。

いわば習熟チェックを行いながら新人職員を2年、3年かけて一人前に育て上げるのと同様、法人・施設のサービス水準や組織力を高めていくには同様の年月が必要です(制度改正や職員不足などの外・内部環境の変化により、それ以上の年月が実際には必要ですね)。

今年何をやらなければならないかを積み上げて、中長期の計画となる場合もあります。
このプロセスでは、結果として(偶然)”ありたい姿(あるべき姿)”になったという結果になればよいですが、そのほとんどが絵に描いた餅となるケースが少なくありません。
地図の例えでいえば、行き当たりばったりで毎回地図を書き直しているような状態ですから、最短距離で目的地にはたどり着けないでしょうか。

皆さんも出かける前はスマホなどで乗り換え案内アプリを使って下調べをするように、法人・施設経営においても、目的地を明確にした上で、それに必要な工程(中長期的な計画書)を立て、寄り道(単年度の事業計画書)しながら、着実に目的地へたどり着けられるよう想(行動内容に)を練って行きましょう。

管理人

法人や施設が向かうべき目的地への”地図”が事業計画書である

2016-09-28 13:30:56 | 事業計画書
経営理念の浸透段階の最後である”実践・実現”について述べる前に、その要である「事業計画書」について今日は取り上げます。

皆さんの社会福祉法人や株式会社にも事業計画書を毎年策定し、事業経営やサービスの質の向上に日々お取り組みのことと思います。
しかし、皆さんの法人や施設の事業計画書は以下のような状態になっていませんか?

・年度だけ更新し、毎年内容が同じ
・”事業”の計画書ではなく、”行事”の計画書になっている
・単年度の行動内容が中心で、中長期的な視点の行動内容が十分ではない
・達成目標や達成期日、担当責任者等が明確になっていない
・事業計画書を作成したことに満足してしまい、実際に運用できていない
・進捗管理が十分ではなく、達成目標や達成期日の概念があいまい
・経営層で作成しているため、職員が事業計画書を知らない

などなど。
挙げ始めるとキリがありませんが、1つでも該当する場合は、事業計画書をより戦略的なツールとして活用するための改善が必要です。
経営理念が法人や施設が目指す”目的地”であると例えるならば、事業計画書はそこへ向かうための”地図”といえます。

その地図が、世界地図のような全てを見渡せるような縮尺であれば、職員はあっちからも、こっちからも、そっちからも行けてしまう状態(行動の統一を図れない状態)を引き起こしかねません。
その一方、〇〇町△△番地□号のようなピンポイントの縮尺であれば、職員はその先どちらに進んでよいか、先を見据えて進むことができない状態(組織のビジョンや方向性の不透明さに対する不安・不満を抱く状態)となってしまいます。
また、古い地図ばかり見ていては、利用者ニーズに応えるサービス提供が遅れ、結果的に社会資源として地域社会から認められることはないでしょう(古い旅行雑誌を見ながら観光して、行きたいお店がなくなっていた時の気持ちはお分かり頂けると思います)。

そうならないためにも、事業計画書に経営理念を実現するための具体的な行動内容を落とし込むこと、また法人や施設の3年、5年後の”ありたい姿(あるべき姿)”を示し、それに向けて1年目、2年目、3年目・・・と取り組みを積み上げ、目的地に近づいていくことが重要となります。
そのように事業計画書を一般職員も参加しながら作成していけば、おのずと年度だけ変更したり、達成目標が欠けたり、進捗管理が不十分といった状態にはならないでしょう。

なぜならば、事業計画書はいわば法人や施設のケアプランと例えることができます。
ある利用者の抱える生活課題を多職種連携で解決できるよう取り組むための指南書(地図)がケアプランです。
定期的にカンファレンスを開いてモニタリングを行い、長期・短期目標のサービス内容をの達成状況を評価します。
”達成”であれば、新たな生活課題についてサービス内容を追加することになるでしょう。
”未達”であれば、その生活課題をクリアするために、違ったアプローチやサービス内容の見直しが必要になります。
このようなケアマネジメントサイクルは、PDCAサイクルで運用しています。
事業計画書もまたこのPDCAサイクルに沿って運用されています。
事業計画書と聞くと、馴染みのない”言葉”ということで拒否反応を起こす職員もいますが、実はすでにケアマネジメントで実践しているわけです。

法人や施設の3年後、5年後どのくらいのサービス水準を目指すか、どういった組織作りをしていきたいか、地域にはどのような存在感を示すことができるかなど、職員一人ひとりが経営理念を実現するために、社会資源の一つとして、どんな役割を果たしていく必要があるのかを考えることで(経営理念を”理解・納得”している状態が求められます)、優先順位をつけて行動内容が導き出されます。
皆さんの法人や施設の事業計画書が戦略的なツールとして使いものになる”地図”となっているか、改めて確認してみましょう。

管理人