石川与太読書紀行

ドロップアウト、オーガニック・ブンガク

血まみれの月

2007-10-26 10:34:23 | 海外小説
「血まみれの月」ジェイムズ・エルロイ・著 1984年


<ロイド・ホプキンズ>シリーズ三部作の第一弾。長編としては三作目。

前作「秘密捜査」は力作だったけど、コレはごく平均的なサスペンスに終始って感じ。ちよっと肩透かし。テンポ良いので最後までは読み通せるけど・・・。

エルロイらしいのは刑事と犯人が重なり、自分のトラウマと対峙する設定。犯人がカメラ屋やってたり、カット・バックした展開は「レッド・ドラゴン」をかなり意識してると見た。そこは微笑ましい。
「ブラック・ダリア」前哨戦と受け取るか?

★★

だれが「音楽」を殺すのか?

2007-10-21 17:42:03 | 音楽関連
「だれが「音楽」を殺すのか?」津田大介・著  2004年


タイトルはベストセラー本「だれが「本」を殺すのか」のパロディになっている。
その音楽版という趣だけど、クールにルポした力作本に比べてクオリティの差は辛い。音楽業界側の発言をもっとクローズアップしてほしかった。
CCCD肯定派の意見を取り入れた方がルポ本として成立してたと思う。

佐野眞一は結論として犯人は<ネット通販>ではなく<図書館>と謎解きしてみせたけど、本書にはそのような謎解きはされない。
そもそも著者にルポする技量を求めるのが野暮で、リッピング肯定する世代の等身大のインターネット論と受け取るのが正解か?

★★★