連載シナリオ『ハートに火をつけて』
56 同・砂浜
慶次と武彦、砂浜を歩いて来る。
目前に、黒い物体。
慶次と武彦、恐る恐る近付いてみる。
武彦「コレ何だ?」
慶次「鯨だな」
2m50cm位の鯨が打ち上げられている。
武彦「こんなに小さいのに?子供の鯨かよ?」
武彦、納得いかない表情。
慶次「いや、たぶん大人だな、鯨でも色々種
類あるみたいだぜ、おれニュージーランド
でコレ位の見たもん」
慶次、近付いて見る。
慶次「コイツ、生きてるみたいだぜ」
鯨、虫の息をしている。
武彦「チョットまってろ」
武彦、走って丸太の流木を抱えてくる。
武彦「よいっしょ」
武彦、鯨の頭めがけて丸太を叩きつける。
慶次、ビックリして、
慶次「お!おまえ、何やってんだ!」
武彦、合掌のポーズ
鯨、絶命している。
慶次「まだ、生きてたぜ、海に戻してやらな
きゃ」
武彦「どうせ、助からねーよ、ちょっと待っ
てろ」
武彦、走り去る
× × ×
サバイバルナイフで鯨の肉を抉る。
鯨の肉を切り取る
武彦「こんなもんでいいだろ」
慶次、鯨の肉を両手に抱えている。
肉から、血が滴り堕ちている。
慶次「おまえ、鯨食っちゃいけねーんだぜ」
武彦「死んでたんだから、食わなきゃもった
いねーだろ」
慶次「まだ、生きてたぜ」
武彦「ガキの頃、野生の王国みてたか?
怪我したり、歳とったりしたのから食われ
るんだよ弱肉強食、この世の摂理だ」
武彦、とっとと歩いて行く。
慶次、武彦を追いながら、後を振り返り
慶次「おい、アレどうするんだよ」
肉を抉られた鯨の死体。
武彦「大丈夫だろ」
慶次、後を振り返りながら、武彦の後に
続いて歩いて行く。
空に、沢山の海鳥が舞っている。