宮殿の広間でfool君、サムソン、プーケ姫の三人が真剣な表情で話し込んでいます。
サムソン「それは変ね~」
fool「そうだね、名乗りもしない、おまけに顔も姿も見せないなんて、おかしいよ」
プーケ姫「わたしもそう思います」
サムソン「これは何かあるわね」
fool「何かって何だい?」
サムソン「顔や姿を見られたくない理由があるからよ」
プーケ姫「わたしもそう思います」
fool「明かりを点けて顔を見ればいいじゃないか」
ハチ「ワン」
fool「ハチもそう思うだろ」
ハチ「ワンワン」
プーケ姫「でも明かりがないんです」
fool「夜はいつも真っ暗なのかい?」
プーケ姫「違います、ご主人様と寝室にいる時だけです」
サムソン「わたしマッチ持っているから、コレを使いなさい」
サムソンがプーケ姫にマッチを手渡す
fool「夫婦なのに名前も顔も知らないなんておかしいよ」
サムソン「あと、コレも渡しておくわ」
サムソンがプーケ姫に短剣を手渡す
プーケ姫「どうして短剣が必要なのですか?」
サムソン「姫が身を守るためよ」
プーケ姫「ご主人様は優しいかたですよ」
fool「名乗りもしない、顔も見せないなんて、優しいフリをしているだけかもね」
サムソン「そうね、悪魔の中には立派な城に棲んでいるのもいるみたいだし」
fool「そうだね、名乗らないなんておかしいよ、用心に越したことはないから、ハチもそう思うだろ?」
ハチ「ワンワンワン」
プーケ姫は不安な表情を浮かべている
・・・・数日後の夜
情事の後、プーケ姫と主人の二人はベッドで眠っている
プーケ姫がふと目がさめ、引き出しからマッチを取り出す、
ハチ「ワン」
プーケ姫は人指し指を唇にあて
プーケ姫「ハチ!し、ご主人さ目を覚ましてしまうわ」
プーケ姫はマッチをする
主人の背中が見える
プーケ姫「羽が生えてる!やはり人間じゃないんだわ、もしかして悪魔?」
ハチ「ワンワン」
プーケ姫は、ベッドの下から短剣を取り出してから、短剣を握りしめ主人の顔にマッチの明かりをもっていき顔を見る
プーケ姫「クピドさま!」
宮殿の主はクピド(エロス神)だったのです
クピド「どうして、約束を守らない」
プーケ姫は金縛りにあったように、驚きの表情で固まっている
クピド「さよなら」
ハチ「ワンワンワン・・・・」
クピドは寝室から立ち去る
次週へつづく・・・・
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