セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

呪われお姫様願望

2011年12月02日 23時54分30秒 | クエスト184以降
今週も時間ギリギリですがお送り致します捏造クエストシリーズこと追加クエストもどき。偶然呪われヒロインネタですが、先ほどテレビでやっていたル○ン三世とは関係ありません(笑)けっこう呪われお姫様が多いドラクエシリーズ、またこのネタはいずれやってみたいものですw作中の紡錘云々はドラクエじゃなくて眠り姫モチーフですが。

 宝の地図の洞窟で冒険、のブームは、思いがけない副産物ももたらした。冒険中でもおしゃれを忘れたくない、という女子冒険者が増えて、おしゃれな装備品の販売にますます力が入ってきたのである。
「私、冒険を始めてからおしゃれになったみたい」
 今日はプリンセスローブを装備したリッカが、嬉しそうにくるりと回りながら言った。冒険を始めるまでは、宿屋のことばかりで、綺麗なドレスなんて着たことなかったもの、そう呟くリッカを、ミミも嬉しそうに見つめた。
「リッカ、とても似合ってて可愛いの。本当にお姫様みたい」
 綺麗だと思うものを見るのが大好きなミミが、濃い紫の瞳を輝かせて言うと、リッカは照れたように笑ってミミの背中を軽く叩いた。
「やだ、ミミったら褒めすぎだよー!・・・でも、嬉しいな。お姫様って、女の子の憧れだもんね」
「そういうものかな」 グラスを傾けながら、リッカとミミのやりとりを微笑ましく見守っていたイザヤールは呟いて、首を傾げた。
「そういうものよ」 ここで、セクシーなスパンコールドレスに身を包んだルイーダが話に加わった。「綺麗なドレスを着るとか、それだけではなくって、女の子って、お姫様みたいに大切にされるのが好きなのよ」
「なるほどな」
 彼が頷くと、ルイーダは笑って囁いた。
「あなたが、ミミを大切にしてるくらいにね。あれくらい大切にされたら、どんなお姫様もかなわないかもね」
 イザヤールは少し動揺し、グラスの中の氷がチリンと鳴った。ミミも、ルイーダの言葉を聞いて頬を染め、それでもそっとイザヤールに寄り添い、頭を彼の肩に付けた。そして、囁いた。
「本当に、どんなお姫様よりも大切にしてもらっているの・・・」
 参りました。そんな顔で、一同は苦笑したのだった。

 ところが、お姫様への憧れが、度を越している場合もあるようで。
 ミミとイザヤールが、買い物でとある町を訪れた。すると、小型だが石造りの城のような、奇妙な建物が目に入った。何が奇妙かと言うと、イバラのような植物が、壁と言わず屋根と言わず絡み付いているのだ。
 二人が思わず建物を見上げると、窓のひとつが突然ばん、と開いて、中から一人の若い女性が顔を出した。黄金のティアラを被り、それこそ王女のような衣装を身に着けていた。
 彼女は、二人に何か話しかけたそうに口を開いた。すると、彼女の側にスライムが現れた!
 スライムとはいえ、魔物は魔物である。ミミたちは、急いで入口を探し、建物内に駆け込んだ。彼女が居るとおぼしき部屋を見つけ、扉を開けた。すると。
 スライムは未だに窓側に居て、元々平和な顔を更に平和にして、ぷるぷると体を揺らしていた。どうやらここのペットのようだ。そして女性は、武器を構えて緊迫感漂うミミたちに、何故か嬉しそうに言った。
「わあ、冒険者っぽい人たちきたのねー!」
 え?とミミたちが首を傾げると、女性は続けて言った。
「あたしね、お姫様に憧れてるの。そしてね、伝説のお姫様って、必ずさらわれたり呪われたりしてるでしょ?なんかカッコよくない?」
 カッコいいかなあ・・・とミミは思い、また、お姫様たちも好きでさらわれたり呪われたりしているわけじゃないと思うけど、とも思った。
「それでね!あたし、呪われアイテムを集めて、呪われお姫様になりたいの!冒険者なら種類たくさん集められるでしょ、お願い、集めてきてくれない?」
 いわゆる「クエストを依頼されました、引き受けますか?」の場面になった。だが。
「お断りします」ミミは珍しく、優しい顔をせいいっぱい厳しくして、言った。「呪いって怖いんだから。軽々しく呪われたいなんて言わないでください」
「そんなこと言わないで~」女性は哀願の眼差しでミミを見上げた。「あたし・・・呪われても本当に愛してくれる人が現れるのか、知りたいの。・・・あたしに近付いてくる人は、みんな財産狙いじゃないか、そんな思いが捨てきれなくて・・・不安で堪らないのよ」
 彼女の目は、とても悲しげだった。その目に負けたのと、万が一のときは「おはらい」すればいいと考えて、ミミはクエスト「呪われお姫様願望」を引き受けた!

 ミミは最近は呪われた装備品はあまり持っていなかったので、とりあえずセントシュタインに戻り、まずはロクサーヌの店に向かった。
「ロクサーヌさん、今週は呪いフェアとかやってない?」
 ミミが尋ねると、ロクサーヌはいつもの笑顔で答えた。
「呪いとかそんな不吉な名称ではありませんが、只今スペシャルゲストのセティア様にちなんで、『ゴスロリフェア』ですわよ」
「もしかして、『ドクロの指輪』とかある?」
「ええ、もちろん☆『しにがみのくびかざり』もございましてよ」
「ああ、よかった。さすがロクサーヌさん!両方ください」
「いつもありがとうございます♪フェアとはあまり関係ないですけれど、『あくむのころも』もございますわ。如何?」
「ください(ロクサーヌさん、本当にどこから入手してくるのかな・・・)」
 それからミミとイザヤールは、何日もかけて宝の地図の洞窟にいくつも潜り、散々探し回って「はめつの盾」や「ドクロのかぶと」なども手に入れた。また、洞窟のモンスターたちから「あくまのタトゥー」も入手した。
「とりあえず、これくらいあればいいかな・・・」
 ある程度そろったところでミミが呟くと、イザヤールも頷いてから言った。
「もう今日も遅いから、届けに行くのは明日にしよう」
「はい」
 二人と、そしてサンディは、リッカの宿屋に戻ると、それこそ呪われたかのようにぐっすりと眠った。

 翌日。さっそく二人は、依頼人の所へ、集めた物を届けに行った。依頼人の女性は、喜んでミミたちを出迎えた。一緒に居るスライムは、相変わらず平和な顔でぷるぷるしている。
「ありがとう!あなたたちならばっちり集めてくれると思ったわ~♪あたしも、あなたたちが居ない間に、珍しい呪われアイテムを手に入れたのよ☆」
 そう言って彼女は、何やら先の尖った、短い棒のような物を取り出した。糸巻きの時に紡いだ糸を巻くのに使う紡錘(つむ)らしい。
「これは、紡錘に刺されたら百年眠る呪いをかけられたお姫様を眠らせた、その当の紡錘なんだって!」
 ただの糸巻きの道具にしか見えないけど・・・ミミたちは思った。
「そりゃそうよ!ただの紡錘で、呪いをかけられたお姫様しか眠らないんだから。ロマンチック~。ほら、見てみてよ」
 ロマンチックかなあ・・・ミミは思いながら、それを受け取って眺めてみた。やっぱり普通の糸巻きの道具だ。
 と、そこへ。窓辺でぷるぷるしていたスライムが、急にこっちに向かって跳ねてきた。どうやら、ミミの後ろにあるおやつにまっしぐらしてきたらしい。スライムがミミの頭を踏み台にした拍子に、ミミの手に紡錘が刺さった!
 その途端、ミミはかくりと首を垂れて眠ってしまった。
「え?やだウソ、どーして?!この子、もしかしてお姫様なの?!百年眠っちゃうのー?」
 慌てふためく依頼人。
「どーなってんのヨ、ミミ、ふざけてんの、起きなさいよー!」
 サンディがぺちぺちとミミの頬を叩いたが、起きる気配はない。イザヤールも慌てて「めざめの花」を探したが、想定外のことであいにく持っていなかった。
 まさか、本当に百年眠ってしまうことは、あり得ない・・・!だが・・・。イザヤールは、一瞬とはいえ凍りつくような思いに駆られた。もし、もしも本当にこのまま、目を覚まさなかったら。百年・・・!天使ならば待てるその時間も、人間は・・・。
「ミミ、起きてくれ!」
 イザヤールは必死に叫び、彼女に自らの顔を寄せ、そして・・・。
 イザヤールの会心の「ツッコミ」!ミミは目を覚ました!
「よかった、普通の眠りだったようだな。曲芸スキルが役に立った」
 イザヤールはほっと安堵の息を吐いて、笑った。目を覚ましたばかりのミミは、彼の腕の中できょとんとしている。
「え~!そこは王子様のキスでしょ~」
 やはり安堵しながらも、不満そうに頬をふくらます依頼人と、ついでにサンディ。
「物語の読みすぎだ。だいたい、私は王子でもなんでもない」
 冷静に、今度は言葉の「ツッコミ」を返すイザヤール。
「でも・・・なんで私眠っちゃったのかな?」
 ミミは呟いて、紡錘を調べ、あ、と声を上げた。
「これ、眠り薬塗ってるみたい・・・」
「へ?どういうこと?」
 依頼人が首を傾げると、イザヤールが続けて言った。
「なるほど、それっぽい雰囲気を演出しようとしてやり過ぎた、というところかな。つまり、この紡錘はおそらく本当にただの紡錘ということだ」
「えー!お姫様眠らせた紡錘じゃないの?じゃああたしニセモノつかまされたの?!高かったのに~!」
 依頼人はまた頬をふくらませたが、すぐに機嫌を直して言った。
「でも、あなたたちは、ちゃんとした呪われアイテム集めてくれたわね。ありがとう、これはお礼よ!」
 依頼人の女性は、「きんかい」をくれた!
「そして・・・ね」彼女は、ミミとイザヤールを優しい、羨ましそうな目で見つめた。「あなたが眠ってたとき、すごく心配して、必死に起こそうとしていたあなたの彼氏見て思ったの。王子様でないにしても、真剣にあなたを大切にしてくれる人で、いいな、って。・・・あたしも、こんな恋してみたいな、って」
 彼女は、頭の黄金のティアラをそっと外した。
「ステキな恋を見つけたいなら、助けられるの待つお姫様みたいに、ただじっと待ってちゃダメよね。自分からも動かなきゃね。あたし・・・お姫様ごっこはほどほどにするわ」
 気付かせてくれてありがとう、そう言って依頼人は、外したティアラをミミの頭にそっと載せた。

 帰り道、サンディはニヤニヤしながらイザヤールの頭をつついた。
「イザヤールさん、一瞬、ミミが百年の眠りについちゃった!と思ってマジビビってなかった?」
「・・・まさか。普通に考えたら、そんなことあるわけないだろう」
 彼はそう答えたが、声に僅かに苦笑が残っていた。
「ちらっとビビったんデショ?しょーじきに言いなさいよ!」
 サンディの追及に、渋々頷くイザヤール。
「心配かけてごめんなさい・・・」
 ミミが謝ると、彼はいいや、と首を振ってから、真剣な眼差しで囁いた。
「たとえおまえに本当に呪いが降りかかろうと、必ず助けてみせるさ」
 その眼差しと囁きにぼうっと頬を染めるミミ。
「うわ、またイチャつき来た!」
 サンディがげんなりして背中を向けた隙に、イザヤールはミミに、「お姫様を起こす王子様のすること」をした。〈了〉

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6 コメント

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ラブピュア系でよかったです (ちいはゲーマー)
2011-12-03 00:19:26
タイトルをみたら一瞬「えっ、呪われるのを願望しているって何!?怖っ!!」とビビっていたので
(;´∀`)

そしてイザヤール師匠、女性とサンディの言うとおり、そこはツッコミではなくて普通キスでしょう
まあサンディはともかく、他の人がいる状態でキスするのは非常に恥ずかしいかもしれませんが・・・


ちなみにちょうど今イザ女主で眠り姫パロディの落書きを描いていたので、ある意味すごい偶然に驚いています
返信する
偶然に驚き (津久井大海)
2011-12-03 09:33:45
ちいはゲーマー様

おはようございます☆タイトルが確かになんじゃそりゃな感じですよね~wお騒がせ致しました~w

よほどのことがない限り、イチャつきはともかく、サンディ含め人前では(v)はしません。ご安心ください(笑)私は朝から何言ってんでしょうねえ・・・。

わあ、眠り姫ラクガキをされていたなんてびっくりです!そういう偶然てあるもんですね☆それにしても、どんなラクガキか気になります~♪
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眠り姫… (オディール)
2011-12-03 13:46:03

やっぱり女子にとってお姫様は憧れなんですねぇ…

確かにそこはお目覚めのキスだろーが!
ツッコミか…
イザヤール様がツッコミしてるとこ…むっちゃ笑えます(笑)
(そっちかい)

イザヤール様が王子様と聞いて一番はじめに想像したのが…ハゲの王子様かぁ…(笑)(しつこい…)
でも誰だってあんなに愛されたらたまりませんよね(o・v・o)

うらやましい…

どうでもいい話なんですが(ほんっとにどうでもいい)眠り姫って生まれたときに数人の妖精に
賢い姫にな~れ
美しい姫にな~れ
てきなのをやってるときになんか悪魔(?)がやってきて呪いをかけちゃうんですよね。それで悪魔がさったあとに、まだ○○にな~れをやってなかった1人の妖精が死の呪いではなく眠りの呪いに和らげたんですよね。
で。その悪魔の名前はカラボスで一番最後の妖精はリラの精っていう名前って言う…
あああああ!!
こんだけ長い文、打っといてほんっとにどうでもいい話だった(泣)
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お勉強になりました♪ (津久井大海)
2011-12-03 17:59:47
オディール様

こんばんは☆皆様もまたツッコミ、しかも同じことを~w
イザヤール「いや、だから私は王子でもなんでもないと言っている。・・・それに、『ハゲの王子ぃ~?』というツッコミが入るのもわかりきっていたしな・・・」
津久井のメインロムイザヤール様は、仲間が眠りや混乱の度にいつも真顔でツッコミ入れてますw

おお~、眠り姫への死の贈り物を眠りに変えてくれた精霊の名前までは知りませんでした~☆お勉強になりました♪
姫は、美貌などの、あらゆるいい特性を贈ってもらったんですよね?
津久井こそどうでもいいことですが、何故誰も「姫は紡錘に刺されたらヤバいことになるから、触っちゃダメ」と言わなかったのかと気になっております。糸車焼くより効果的な筈。
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呪われたい姫君願望者 (神々麗夜)
2011-12-03 19:39:31
やっぱり、女の子は誰かのお姫様になりたいですよね。
素敵な王子様に出会って素敵な恋をして…
でもだからって呪われたいって…
かっこいいかなぁ…?
私は遠慮します…はい。
なんだか危険な依頼人ですね。
そしてロクサーヌさん、どう見ても『呪いフェア』です。三つも…

私がついこの前になんとなく読んだ絵本ではお姫様が紡錘に触ったのはその呪いをかけた悪魔が操っていたと表記されてましたけど原作ではどうなんだろ?派生作品によっては王子様のキスでなく100年後に自然と目が覚めるのもあるみたいですし…

イザヤール様はミミちゃんにとって王子様ですよ♪

グダグダな長文すみません。
失礼します

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お姫様もたいへん (津久井大海)
2011-12-03 22:38:33
神々麗夜様

こんばんは☆そうですよね、普通は呪われるのは遠慮しますよね~w
さらわれてドラゴンに見張られたり呪われて犬にされたり鏡に閉じ込められたり馬にされたりエトセトラ・・・お姫様もたいへんですw

眠り姫も、いろんなバージョンがあるようですね。津久井が知ってたのは実は自然お目覚めの方です。キスはディ○ニー版とかのイメージなんでしょうか。

ミミ「イザヤール様は私の王子様・・・照れちゃう言葉だけど嬉しいな・・・v」
サンディ「イザヤールさんも忙しいよね~、騎士やったり盾やったり守護天使やったりオオカミやったり」
イザヤール「最後のは何だ?(汗)」

なんだろこの会話wこちらこそ失礼しました~☆
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