ミミとイザヤールは、ビタリ海岸の高台、商人のアジトに来ていた。「げんませき」をそこに居る商人の一人、セコイヤに渡す為だ。
アジトに入る前に、二人は海の方を見つめて、しばらく水平線と、その彼方の空を眺めた。高台に居て空を眺めると、故郷のことを思い出す。
しんみりした雰囲気を明るくしようと、ミミは笑いながら言った。
「げんませきを用意しておきますね」
ミミが道具袋からげんませきを取り出すとほぼ同時に、イザヤールは後ろからそっと彼女を抱きしめた。ミミは、回された腕に自分の手をそっと重ね、瞳を閉じた。
その拍子に、取り出したげんませきがミミの手から転がり落ちて、二人はいささか慌てて、そして照れくさそうに石を拾い上げようと屈んだ。二人の手は同時にげんませきに伸びる。
げんませきを握りしめたミミの手をイザヤールの手が優しく包み込み、そのまま放さなかった。
「イザヤール様・・・」
ミミは瞳を潤ませ、自分の手を握っているイザヤールの手を持ち上げて頬を寄せた。彼はまた彼女を抱きしめてから、これまた照れくさそうに呟いた。
「すまん、用事だったな」
二人はそっと身を離し、足早に商人のアジトのある洞窟に入った。少し慌てていたので、落とした拍子に石の台座に着いた草の切れ端が、そのままだった。
セコイヤはいつものようにほくほくと「げんませき」を受け取り、代わりにミスリル鉱石をくれた。
「セコイヤさん、『げんませき』を誰に売ってるのか、ちょっと気になるの・・・」
帰り道、ミミは箱舟の中で首を傾げた。
「いーじゃん別にー。げんませきはフツーの道具屋に売ると600ゴールドデショ?3000ゴールドで売れるミスリル鉱石と換えてもらえるんだからオイシイじゃん」
マニキュアが乾いてなかったのでずっと箱舟に居たサンディが言った。
「だが、悪用されていないかは気になるな」
イザヤールが呟くと、ミミは心配そうになった。
「だいじょーぶデショ!だいたい、げんませきをどーやって悪用すんのヨ」
サンディは笑って言って、プチタルトをつまもうとしてまだマニキュア乾燥中なことを思い出し、慌てて止めた。
「それもそうだな」
イザヤールもまた笑って肩をすくめ、タルトを一つ取って、ミミの口に運んだ。
「ちょっとー!ミミは別に手を使えるデショー!テンチョー、箱舟内はイチャイチャ禁止って言ってやってよー!」
数日後。ロクサーヌショップで、新たな商品が入荷された。
「ミミ様、イザヤール様、『げんませき』が入荷しましたの☆」
間に合っているので買うつもりはなかったが、ミミは何となく手に取ってみた。
すると、台座のところに、枯れた草のようなものがくっついていることに気が付いた。
(あれ?この草・・・)
ミミが思わずイザヤールを見上げると、同じことを考えているのだろう、彼もおかしそうに目を瞬かせた。ちなみに、ロクサーヌショップでのげんませきの販売価格は6000ゴールド。お礼のミスリル鉱石の倍だ。
セコイヤがどこにげんませきを高く売って儲けているか、何となくわかったような気がするミミとイザヤールだった。〈了〉
アジトに入る前に、二人は海の方を見つめて、しばらく水平線と、その彼方の空を眺めた。高台に居て空を眺めると、故郷のことを思い出す。
しんみりした雰囲気を明るくしようと、ミミは笑いながら言った。
「げんませきを用意しておきますね」
ミミが道具袋からげんませきを取り出すとほぼ同時に、イザヤールは後ろからそっと彼女を抱きしめた。ミミは、回された腕に自分の手をそっと重ね、瞳を閉じた。
その拍子に、取り出したげんませきがミミの手から転がり落ちて、二人はいささか慌てて、そして照れくさそうに石を拾い上げようと屈んだ。二人の手は同時にげんませきに伸びる。
げんませきを握りしめたミミの手をイザヤールの手が優しく包み込み、そのまま放さなかった。
「イザヤール様・・・」
ミミは瞳を潤ませ、自分の手を握っているイザヤールの手を持ち上げて頬を寄せた。彼はまた彼女を抱きしめてから、これまた照れくさそうに呟いた。
「すまん、用事だったな」
二人はそっと身を離し、足早に商人のアジトのある洞窟に入った。少し慌てていたので、落とした拍子に石の台座に着いた草の切れ端が、そのままだった。
セコイヤはいつものようにほくほくと「げんませき」を受け取り、代わりにミスリル鉱石をくれた。
「セコイヤさん、『げんませき』を誰に売ってるのか、ちょっと気になるの・・・」
帰り道、ミミは箱舟の中で首を傾げた。
「いーじゃん別にー。げんませきはフツーの道具屋に売ると600ゴールドデショ?3000ゴールドで売れるミスリル鉱石と換えてもらえるんだからオイシイじゃん」
マニキュアが乾いてなかったのでずっと箱舟に居たサンディが言った。
「だが、悪用されていないかは気になるな」
イザヤールが呟くと、ミミは心配そうになった。
「だいじょーぶデショ!だいたい、げんませきをどーやって悪用すんのヨ」
サンディは笑って言って、プチタルトをつまもうとしてまだマニキュア乾燥中なことを思い出し、慌てて止めた。
「それもそうだな」
イザヤールもまた笑って肩をすくめ、タルトを一つ取って、ミミの口に運んだ。
「ちょっとー!ミミは別に手を使えるデショー!テンチョー、箱舟内はイチャイチャ禁止って言ってやってよー!」
数日後。ロクサーヌショップで、新たな商品が入荷された。
「ミミ様、イザヤール様、『げんませき』が入荷しましたの☆」
間に合っているので買うつもりはなかったが、ミミは何となく手に取ってみた。
すると、台座のところに、枯れた草のようなものがくっついていることに気が付いた。
(あれ?この草・・・)
ミミが思わずイザヤールを見上げると、同じことを考えているのだろう、彼もおかしそうに目を瞬かせた。ちなみに、ロクサーヌショップでのげんませきの販売価格は6000ゴールド。お礼のミスリル鉱石の倍だ。
セコイヤがどこにげんませきを高く売って儲けているか、何となくわかったような気がするミミとイザヤールだった。〈了〉
でもロクサーヌさんなら『げんませき』の本来の価格を知っているはずなのに、なぜセコイヤからわざわざ買い取っているんだろう?うーん、謎だ
こんばんは☆うん、きっとロクサーヌさんのことですから、損はしてないと思いますwきっと複雑な商売上の事情が・・・
げんませき自体は比較的珍しいアイテムですから、普通のルートでは入手しづらいのかもしれませんね。普段は主人公たちから仕入れているとか?
イザヤール「ロクサーヌ、昨日私が君に渡したげんませきを、私にまた売りつけようとするのはさすがにどうかと・・・」
ロクサーヌ「でもこのげんませきは、ミミ様がおまじないのキスをした品ですのよ」
イザヤール「なら買おう・・・などと言うか!」