セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

竜のパープル・アイ

2017年12月09日 09時42分03秒 | クエスト184以降
結局朝更新か〜い!の追加クエストもどき。ふゆしょうぐんのせいだきっとそうだ。今回は王道に?宝の地図の洞窟の魔物を倒してアイテムを取ってくる話です。アンドレアルがパープルアイを持っているというのはもちろん捏造設定ですが、宝石と言えばドラゴン系な気がします。11の鍛冶の宝石に当たる材料に、ほいほいオーブを使う9主人公は凄いのかもしれません・・・。まあそれだけの装備品ってことなんでしょうが。

 クリスマス前は、冒険者にとって案外ダンジョン巡りが多くなる時期である。クリスマスプレゼントにしたいお宝を代わりに取ってきてくれるよう依頼されるからだ。ミミとイザヤールもその例に漏れず、今日も一人の若者に、高レベルの宝の地図の洞窟を探険してある物を探してくることを依頼された。
 その若者は、富豪だったという祖父を最近亡くしたばかりだが、その遺産が納めてある倉庫の鍵が特殊な物で、どうしても自力では無理そうだということで相談に来たのだった。
「僕の祖父は冒険好きでもあってね」若者は説明した。「強くて賢い、自らの実力だけを頼みとする冒険者のような人々を贔屓していた。だが、僕の母親はそんな祖父に反発してね。真逆とも言える、容貌と話術だけで世渡りする道を選んだ。勉強も努力と名の付くことも一切せず、若いうちは美貌を駆使して散々男たちに貢がせ、適当な頃に祖父以上の富豪を捕まえて結婚して、そうして生まれたそっくりな一人息子が僕というわけ。
よって僕も、顔と女の子を落とす話術には自信があるけど、腕力の方はからきしでね。このままでは祖父の遺産はお預けになっちゃいそうなんだ」
「お父様がお金持ちなのに、お祖父様の遺産も必要なのですか?」素朴な疑問を持ってミミは尋ねた。
「遺産が、というより祖父への挑戦かなあ」若者はにやっと笑った。「楽をして、人任せでアンタの遺産を手に入れてやるぜ、っていう。僕の母は、あんまり口にしたことは無いけど、冒険三昧の祖父がほとんど家に居なくて寂しい子供時代を過ごしたらしい。その仮をちょっと返したい、って気持ちもあるかも、ね。遺産が手に入ったら、全額困ってる人に寄付してもいいよ。人助けに熱心な君たちには悪くない話なんじゃない?」
 確かに、とミミとイザヤールはそのことを認めた。
「それで、その倉庫の鍵とは?」イザヤールが尋ねた。
「そう、それが変わった面倒くさい作りでね。扉にでかい竜の浮き彫りがしてあって、その目に宝玉を嵌め込むことで扉は開くんだ。無理に開けようとしたり、壊そうとしたら、倉庫ごとドカーン!って仕組み。
その宝玉は、竜の彫刻だけあって、宝の地図の洞窟に居るアンドレアルってドラゴンを『竜』もしくは『ドラゴン』が名前に入っている武器でボコボコにするとたまに落とすらしい。竜の目みたいな紫色の宝玉らしいよ。それが二つ必要だってさ」
「武器の名前に竜、もしくはドラゴンと付いていれば、それ以外に指定は無いんですか?」
「そうみたい。だから、その中で強い武器を使えば有利じゃない?君たちなら持ってるでしょ。手間相応のお礼はするからさあ、どう?引き受けてくれない?」
 どうせ宝の地図の洞窟は探険予定だったし、アンドレアルが落とすという宝玉も見てみたかったので、ミミとイザヤールはこの依頼を引き受けることにした。ミミとイザヤールはクエスト「竜のパープル・アイ」を引き受けた!

 若者は、ミミとイザヤールが戻ってくるまでリッカの宿屋で待っているとのことだった。
「ここの宿屋に居るコってみんな可愛いなあ☆待ってる間口説いちゃおっかな〜」若者は楽しげに言った。「もちろん、君もとっても可愛いよ、ミミさん☆でも君のこと口説いたら早死にしそうだけどね」
「早死にしそうとは人聞きの悪い」イザヤールが肩をすくめた。「少なくとも、人間相手に暴力に訴えたことは無いつもりだが」
「君のせいで早死にしそうとはひとことも言ってないのに、自覚あるんだねえ、イザヤールさん☆」
「・・・イヤでもよく言われるからな」
 ミミはイザヤールの後ろに隠れるようにぴとっと寄り添い、にこっと笑って言った。
「私も、みんなも、相当難しいと思いますよ」
 特に私は、と言いたげな甘い表情で、ミミはイザヤールを見上げる。イザヤールも渋面を緩めて、微笑んだ。依頼人は、その様子を見てちょっと残念そうに苦笑する。改めて仕度を調え、ミミとイザヤールは出発した。
 アンドレアルは火山タイプの最強ランクの洞窟に出現するドラゴンである。HPと攻撃力が高いので、手強いが普段は呪文や特技で一掃することができる。ただし、今回は特定の武器で倒すという条件がある分、難航する戦いになりそうだ。
「武器は、『竜神王のツメ』を使うか?」イザヤールが尋ねた。
「うん、それが良さそう」ミミは頷いた。「『せいりゅうのおうぎ』や『ドラゴンテイル』を使ったら、どれくらい時間かかっちゃうやら、だものね」
「『ドラゴンスレイヤー』でギガブレイクを使っても、宝玉を落とすのだろうか?」
「そうか、スキルを使っても落とすか、先に試してみましょうか?『シェンロンロッド』を装備して、天地のかまえをしてカウンターするのもいいかも」
「それこそ、剣とツメで、この前会得した連携技でもいけるかもな」
 いろいろ武器や技の候補を挙げてどことなく高揚している二人を見て、久々に?通常モードの冒険についてきたサンディが、いくらかシラケ顔で呟いた。
「アンタら・・・超楽しそうね・・・。到底バカップルの会話とは思えないんですケド。・・・でもまあこのノリ、帰ってきた〜って感じするわ〜」
 途中で様々なお宝を回収しつつ、アンドレアルの出現するフロアに無事到着した。アンドレアルは、ミミとイザヤールを見かけるやいなや、地響きを立てて駆け寄ってきた。しかも三匹いっぺんにである。
 予め、連携技から試してみようと決めてあったので、イザヤールはドラゴンスレイヤーを、ミミは竜神王のツメを装備して、それぞれタイミングを合わせてドラゴン斬りとタイガークローを繰り出し、れんけい技「竜虎斬」を放った!やはり威力はそれなりに高かったが、アンドレアルのHPが高いのと、通常使っているぎんがのつるぎよりは威力の劣るドラゴンスレイヤーを使っていたことで、残念ながら一撃で仕留めるという訳にはいかなかった。
 そんな訳でアンドレアル三匹分の攻撃を受けて、ミミとイザヤールはなかなかの痛手を被った。今回は攻撃力重視で二人ともバトルマスターで挑んでいるので、回復はアイテム頼みだ。いざとなったらせかいじゅのしずくは惜し気も無く使おうと決めてはあるが、使うタイミングも悩めるところだ。
 次のターンでミミはダメージを受けているアンドレアルにとどめを刺し、イザヤールは武器をシェンロンロッドに変えて天地のかまえをして、アンドレアルの攻撃にカウンターをした。その後、ゴッドスマッシュやギガブレイクを炸裂させて三匹全部倒したが、残念ながらどのアンドレアルも目当ての宝玉を落とさなかった。
 戦闘後にはこまめに回復アイテムの補充をし、ミミとイザヤールはこんな感じの戦闘を三回繰り返した。とりあえず五回の戦闘での特技や連携技を使った攻撃で目当ての物を落とさなければ、通常攻撃のみに切り換えようと決めてあったが、三回目で倒れたアンドレアルから、何かが転がり落ちた。紫色の丸い宝玉で、角度によってキャッツアイのような光が見える。ミミはパープルアイを手に入れた!
 ミミは、この宝玉を見て思わず首を傾げた。
「あれ?この宝玉、この前サンディのピアスを探しに行ったダンジョンで同じようなのを拾ったよね?いろんな色のがあって。でも残念ながら紫色はなかったけれど・・・」
 ミミは道具袋を探してみた。赤や青、緑と色が違うだけで、光沢や丸く磨かれた形状は全く同じ、レッドアイやブルーアイを取り出した。
「この前、カットされたアメジストのような宝石は手に入れたけれど、このタイプの紫色のは拾えなかったものね。惜しいな」ミミは呟いて、再び宝玉を袋にしまった。
「あちゃ〜、残念、ホント惜しいしめんどいよね〜。パープルオーブで代わりになんないかな?」とサンディ。
「無理だろう」ばっさりと無下に言うイザヤール。
「とにかく、このタイプの宝玉、紫色もあったのね。それがわかっただけでもよかった。もうひと頑張りしましょう」
 ミミの言葉にイザヤールは元気よく、サンディはしぶしぶ頷き、三人は再びアンドレアルとのバトルを始めた。とにかく、特技を使っても指定の武器さえ使っていればいいとわかったので、武器でひたすら普通に攻撃よりは気が楽だった。
 アンドレアルが一匹の時は連携技で、複数居る際は片方が棍で天地のかまえをし、片方がツメでゴッドスマッシュをするか剣でギガブレイクをするのが効率的かつ最小限のダメージで済みそうだった。回復ができるミラクルソードも併用しつつ、メタル狩りやゴルスラ狩り並に辛抱強くいわばアンドレアル狩りを続けた。
 しかしなかなか二つめのパープルアイを落とさない。こうして最初のパープルアイ入手から実に三十八匹めのアンドレアルを倒すまで、この膠着状態は続いた。状況に動きが出たのはこの後だった。三十八匹めのアンドレアルは驚き戸惑っている!これは連携技の開発のチャンスとばかりにミミとイザヤールは互いに頷き、イザヤールはギガブレイクの構えを、ミミはゴッドスマッシュの構えをした。
 イザヤールはギガブレイクを宙に向かって放ち、ミミは高く飛び上がってその強烈な光の力を竜神王のツメで受け止め、ギガブレイクの力をまとったゴッドスマッシュを放った!会心の一撃!アンドレアルは声も出さずに倒れた。
「スッゴ〜い、今のなんてワザ?」
 さすがのサンディも興奮気味で尋ねた。
「う〜ん・・・。ギガブレイクとゴッドスマッシュの連携だから、ギガスマッシュ、とか?」
「それ、どっかで聞いたコトあるよーな・・・」
 それはともかく、目を回してのびているアンドレアルから、ころりと何かが転がり出た。ミミはパープルアイを手に入れた!
 これで目的の物は揃ったので、今日は宝の地図の洞窟のボス戦はお預けにすることにして、ミミはリレミトを唱えた。

 リッカの宿屋の依頼人のところに戻ると、彼は爽やかな笑顔で出迎えた。
「やあ、おかえり。あはは、ミミさんの言う通り、リッカさんをはじめみんなにフラれちゃったよ。やんわりとだけどね」
 ミミはパープルアイを依頼人に渡した。
「へえ、これが祖父さんの言ってた鍵になる宝玉か。確かに大きさもぴったりそうだな。ミミさん、ついでに倉庫を開けるのに立ち会わない?・・・仕方ないから、もちろんイザヤールさんも一緒にね」
「仕方ない扱いか」イザヤールは苦笑した。
 依頼人の若者に連れられて彼の祖父が遺したという倉庫まで行ってみると、確かに扉には竜の浮き彫りがあって、目のところだけ窪んでいた。若者はパープルアイを取り出し、窪みに嵌めた。すると、かすかな振動音がして、扉はゆっくりと開いた。
 中には、袋や高価な品らしいツボや道具が壁際に無造作に積み上げられていたが、真ん中には宝箱が二つ置いてあった。若者は、宝箱を開けた。
 宝箱の中にはそれぞれ、ほしくずのつるぎと、しょうりのよろいが入っていた。それを見て、若者は少し寂しげな、呆れたような笑みを浮かべ、小さく溜息をついた。
「やれやれ、祖父さん、最後まで冒険することが諦めきれなかったんだな・・・。一番大事そうに剣と鎧を遺していくとはね」若者はミミとイザヤールを振り返り、続けて言った。「・・・この剣と鎧以外は、好きな物を持って行ってもらって構わないよ。・・・この剣と鎧も、僕は、いつか売り飛ばすかもしれないけれど・・・とりあえずは使って、冒険ちょっとだけしてみようかな、なんて。そのときは、護衛よろしくね」
 ミミとイザヤールは微笑んで頷き、ほしのかけらを幾つかとせかいじゅのはをもらっていくことにした。
「冒険って・・・楽しいかい?」若者が尋ねる。
「とっても」
 ミミとイザヤールは思わず声を揃えて言い、三人は声を立てて笑った。〈了〉
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