セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

ピアスじゃない理由

2013年02月28日 23時58分42秒 | クエスト163以降
ギリギリ更新、あれ?なんかちょっと真夜中テンションっぽいのは気のせい?なイザ女主話。イザヤール様がちょっとイケナイ人化してます(笑)津久井は別にピアスに偏見はなくむしろ憧れてますが、横着者なので一生しないだろうと思います。ところでキラーピアスは絶対なんちゃってピアスだと思う。だって穴に通してたら、戦闘の度にいちいちぶっちぎるようにして両手に持たなきゃいけないし、それじゃヘタすると耳ちぎれの危機だと思います。

 今日は、裏方に徹して踊らないつもりだった。だが。リッカの宿屋を気に入ったカップル客が、ぜひにと願って行われたささやかな婚約の祝いの席。料理を配っていたミミに、彼女が踊れることを知っているそのカップルたちが、ちょっとでいいから踊ってくれないかと頼んできた。もちろん喜んで承知して、祝福の心のありったけを込めて踊った。
 どうやらそのときらしい。大切にしていたイヤリングの片方を、失くしてしまった。イザヤールが選んでくれた、お気に入りだった。祝いの宴も済んで、ロビーが静かになった頃にようやく気付いた。
 また同じような物を探して贈るからとイザヤールは言ってくれ、リッカをはじめスタッフ全員、合間を見つけて探してくれて、ロビーのどこかに必ず落ちている筈だから、見つけたらすぐに教えると約束してくれた。だが、ただでさえも忙しいみんなに、これ以上余計な仕事を増やすのは申し訳ない。気持ちだけでいいとミミはお礼を言って、自室に戻ったのだった。
「ね~ミミ、無くす心配もないし、冒険者なんだから動きやすいし、やっぱピアスの方がいいんじゃない?カワイイデザインもピアスの方がいっぱいあるし~☆」
 自分で普通に買った物を失くしたのだったらここまでしょんぼりしなかったであろうミミを励まそうと、サンディは髪をかきあげて自分のピアスを見せた。コサージュと同じデザインの小さな花が、小麦色の耳たぶに光っている。
「え・・・で、でも・・・」ミミはうろたえ、恥ずかしそうに呟いた。「ピアス穴空けるとき、ちょっと痛そうだし・・・」
「全然大丈夫だって!てゆーか、普段アンタがやってるモンスターと死闘の方が絶対痛いっつーの!」サンディは呆れて言って、ミミの額を綺麗にデコレーションした爪でつん、と突っついた。「この程度の痛みよ、うまくやれば」
「でも・・・」
 その程度の痛みを怖がるのは情けないとミミ本人もよくわかっているから、だから恥ずかしそうにますますうつむいた。それでも、わざわざ痛い思いを自分の身に施すことが、痛みそのものより恐怖感を増幅させる気がして、できない。
 サンディは苦笑してそんなミミを見つめた。おかしな子、昨日だって、子猫を助ける為に荊の薮に平気で飛び込んで、引っ掻き傷だらけになったのに、ちょっとチクッとするだけのピアスを怖がるなんて、彼女は思った。まあミミらしいケドね。
 と、そこへ、酒樽の管理を終えたイザヤールも、部屋に戻ってきた。優しい微笑みを伴って。
「ミミ。ほら、あったぞ」
 大きな力強い手から、白と薔薇色の華奢な指にそっと落とされたのは、紛れもなくミミが失くしたイヤリングの片割れ。もう諦めかけていただけに、嬉しくて、彼女の濃い紫の瞳が輝き、美しいグラデーションを描いた。
「ありがとう、イザヤール様!どこにあったの?」
「ラヴィエルが、まだ宴会の間に落ちていたのを見つけて、後で渡そうと持っていてくれていたそうだ。その後どさくさ紛れに祝酒を何杯か飲んだら眠くなって、空いているロイヤルルームで勝手に寝ていたから、今まで探していたことを知らなかっただと。まったく」
 天使のやることか?とイザヤールは妹の自由すぎる振る舞いに呆れて頭を振ったが、ミミは大切そうに手の中にイヤリングを握りしめ、後でラヴィエルさんに忘れずお礼を言いに行こうと思った。
「やっぱダンスにはイヤリングは不向きよねー。だからアタシ、ミミにピアスデビュー勧めたのに、ミミはイタガリーだから怖がってやんの」
「イタガリー?」
 サンディの珍妙な聞いたこともない言葉にイザヤールは戸惑ったが、やがて、ああ、痛がりということか、と合点がいった。
「それとも、イタガリーなだけじゃなくて、イザヤールさんが、おししょーさん時代にピアス禁止令とかしたワケ?服装の乱れは心の乱れ!とか言って」
「確かに見習い天使たちは、過度な装飾品は禁止されていたが、特に禁じたことはないな」
 イザヤールは答え、ミミが見習い天使だった頃の記憶をたどった。優雅なアクセサリーは上級天使の特権的な意味合いもあったので、見習い天使たちができるおしゃれなど本当にささやかなものだったが、それでも女の子の見習い天使たちは、髪飾りに凝ってみたり、ブローチをケープに留めてみたりとそれなりに楽しんでいたようだ。自分は覚えがないが、もしかしたらお守り代わりにピアスをしていた見習い天使も居たかもしれない。
 だが、あのとき、もしミミがピアスをしたいとねだったら―耳たぶに針を刺すなど、今よりもっと痛いことを怖がったミミがするとはあり得なかったが―自分はどうしただろうと、イザヤールはふと思った。師の権威を盾に、禁じてしまったかもしれない・・・。
 それも、教育上の問題やミミの為ではなく、我欲で、だ。白地に淡い薔薇色を掃いた、綺麗な厚い花びらを思わせる彼女の耳たぶ。触れたらきっと、本当の花びらのように柔らかいに違いないと当時から思っていた、脆く傷つきやすそうなその場所。そんな場所に、ピアスを通す穴が空いたら、美しく咲く花に小さな虫食い穴を見つけたような痛ましさと惜しさを感じてしまうかもしれないから、あれこれ口実を付けて禁じてしまったかもしれない。
 なら、今ねだられたら、どうなのか。本当にそのやわらかさを知り、花びらよりももっときめ細かく滑らかで、心地よい感触だと、知ってしまった今では。
「ねーミミ、ピアスにしなよー。キラーピアスみたいななんちゃってピアスとかじゃなくてさー」
 サンディがなおも勧めたが、ミミは首を振った。
「私、全然痛くなくてもやっぱりまだ怖いから、ピアスはしないと思うの・・・」それから、ちょっと悲しげにイザヤールに視線を向けて尋ねた。「でもイザヤール様は、私がピアスの方が、せっかくの贈り物をなくしたりする心配なくて、嬉しい・・・?」
 そんなこと。イザヤールは苦笑した。アクセサリーのことなど、どうでもいいのに。
「私は」彼はゆっくりと手を伸ばして、彼女の淡い薔薇色の耳たぶにそっと触れながら、言った。「この可愛い耳たぶに穴を空けるのは、どうも可哀想に見えて仕方ない。・・・あくまで私の個人的意見だから、強制はできないがな。とにかく私もそう思っているのだから、おまえも無理をしないで好きにすればいい」
 言われた言葉と思いがけない愛撫で、ミミの頬もたちまち染まった。
「・・・ちょっ!イザヤールさんズルいっ、イザヤールさんがそう言えば、ミミ絶対ピアスするワケないじゃん!しかもアタシの目の前で、何やってんのー!」
 サンディが叱っても、イザヤールの指先は、相変わらず優しくミミの耳たぶをなで続け、可哀想なミミは顔を真っ赤にしてふるふると震えている。なでられて心地いいのだが、サンディの手前、それを堪えているのだ。
「イヤリングのことなら心配するな」イザヤールは優しくミミに囁いた。「戦いでも落ちないように、しかも痛くないように、クリップ部分を補強しよう」
「本当?嬉しい・・・」
 もうイザヤール様からの大切な贈り物をなくさなくていいんだと、ミミは花開くような笑顔になる。
「だからアタシの前でいちゃつくなー!もー帰るー!」
 照れと怒りでサンディは帰ってしまった。それは、イザヤールには思うツボで。指先は、唇に変わって、その滑らかな花を、あま噛みする。その感触を楽しみながら、唇であま噛みするだけでこんなに可愛らしく震えるならピアスは無理だなと、彼は笑った。〈了〉

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2 コメント

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イタガリー (神々麗夜)
2013-03-01 13:23:21
ミミちゃんは他人の為に自分が痛いのは平気だけど他の誰かの為じゃない自分だけ痛みは苦手なんでしょうね。

キラーピアスは確かに耳に装備すると戦闘の時にいちいち外したりしなきゃいけないのが効率悪いですし、何より耳に着けるには重そうですし刃物なので危険極まりない。あ!でも確か以前は装飾品扱いで4のアリーナが装備出来るのは二回行動出来るようになるんですよね。
なんで装飾品から短剣になったんだろ…?
隼の剣×隼斬り×4使用のキラーピアス+バイキルト+フォース+テンションでダメージがとんでもないことになるからでしょうか。

私の所のメンバーは女主と男僧侶さんがピアス付けている設定です。
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姉妹品にサムガリー (津久井大海)
2013-03-02 00:07:24
神々麗夜様

引き続きこんばんは☆おお鋭いご指摘、当サイト女主、逆剥けはがしも怖くてできないタイプです(笑)
イタガリー拾ってくださって嬉しいですw流行らないかな(←おバカ)

4のキラーピアスは装飾品扱いでしたっけ。ファミコン世代津久井、確かファミコン時代の4のキラーピアスは武器だったような気もしましたようですが記憶あやふや。
9の短剣扱い、確かに短剣でいいのか、せめてツメにしようよ、と個人的に思います。もし装飾品で更にコンボになった日には・・・どんな大魔王も即死。

ああ、確かにそちらの女主さんと僧侶さんはピアスですよね~間違いなく☆そちらの女主さんは、可愛い小さなデザインも華やかで大きな飾りが垂れてるデザインも、両方似合いそうですね♪
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