セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

いけない部屋着

2014年01月27日 23時52分36秒 | クエスト163以降
モーモン部屋着ラクガキから派生した短めイザ女主話・・・ですが、あのデザインなのに何故かまさかのきょーふの真夜中テンション話っぽくなってしまいました~。たぶんよい子もだいじょーぶな筈ですがドキドキ。色気とは露出じゃないんですねたぶん、うん。もしもスライムスーツで悩殺できたら世界最強のお色気スキルの持ち主ということになるんでしょうか。でもそれは何かイヤだ。

 今日のクエストも日常雑事も全て無事に済ませた一日の終わり。浴室からもじもじしながら出てきたミミを見て、イザヤールは一瞬絶句した。恥ずかしげにうつむく彼女の頭に、動物耳が生えていたからだ。
 落ち着いて見つめると、それは彼女が着ている服のフードのデザインなのだとわかって、彼は自分のばかばかしい錯覚に苦笑した。違和感無くミミに似合っていたから、と言うのは言い訳にもならない。
 白地に斑のあるその部屋着は、ふんわりと暖かそうで、フードにはよくよく見れば、耳だけではなく愛嬌のあるウォルロ地方でお馴染みのあの顔も刺繍してあった。それで、どうやらモーモンをモチーフにデザインされた部屋着なのだとわかった。
「ミミ、それはロクサーヌの店の新商品か?」
 イザヤールが当てずっぽうで尋ねてみると、ミミはこくりと頷いて答えた。
「はい。みんなで試着してみて、改善点とかがあったら教えてほしいってロクサーヌさんに頼まれたの。問題なければ商品化するって」
「そうか」
 なるほど、商品開発に協力という訳か。その「みんな」の中に自分が入っていなくてよかったと彼はしみじみと思った。女性ならこのような遊び心のある部屋着も可愛らしいだろうが、厳つい戦士系の男にこれを試着させるのは、ある意味ばくだんいわのメガンテにも匹敵する破壊力だろう。
「着心地はとってもいいの。でも・・・私が着ると・・・変?リッカにはとっても似合っていたし、ルイーダさんもカッコよく着こなしていたんだけれど・・・」
 ミミがそう尋ねて心配そうにイザヤールを見上げると、フードの下から覗く濃い紫の瞳が、よけいに濃く潤んで見えて、庇護欲を掻き立てる愛玩動物を思わせた。
「いいや、おまえにも似合っている。とても可愛いぞ」
 心からそう言って、彼はミミの頭をフード越しになでた。起毛素材らしく、ふわふわした布地がなでる手にも心地いい。言わば着ぐるみに近いこの服をとっても似合うと言われるのもどうかと考える者も居るかもしれないが、ミミは褒められて素直に喜んでいるらしく、頬を薔薇色に染めて微笑んだ。
「嬉しい・・・ありがとう、イザヤール様♪ね、見て、ちゃんと羽としっぽも付いてるの」
 ちょっとはしゃいでミミはくるりと背中を向けて、モーモンらしく小さなこうもり羽と悪魔しっぽの付いた後ろ姿を見せた。半回転した勢いで、しっぽが可愛らしくふるりと揺れる。
 後ろ姿を見て、この部屋着が上着とズボンがひと続きになったいわゆるつなぎの服なのだと、イザヤールは気付いたが、そんなことより、柔らかな伸縮素材の布地な為に、案外体にぴったりしたデザインであることの方が気にかかった。揺れるしっぽに視線を留めると、綺麗にくびれた腰と、その下の可愛い丸みも否応なしに目に入ってしまう。
「ポケットも付いてるのか。便利そうだな。しかし、上下続きでは、着脱がたいへんではないのか?」
 不埒な考えから気を逸らそうと、イザヤールは軽く咳払いして尋ねた。
「あ、いえ、前側は紐で留めるようになっていて。ほら、ビスチェの紐とかみたいな」
 せっかく可愛いと言ってもらった服、イザヤール様にもっと気に入ってもらいたいと、ミミは慌てて振り返り、説明しようと、前側をどのように留めているか見せた。湯上がりリラックスモードでゆるめにかけられた紐は、ふっくらした胸元でリボン結びされている。少し引いたら簡単に解けてしまいそうだ・・・。
「だから前が大きく開くから、着るのも脱ぐのも簡単なの」
 説明して微笑むミミの笑顔は無垢そのもので、全く他意が無いのはわかっている。わかってはいるが・・・それだけに、あまりにも罪作りだ・・・。イザヤールは心の中で呻いた。
「着脱が簡単、か」と呟いてから、彼の僅かに張り詰めたような顔が、ふっと和んで、瞳に艶かしい色を隠さず浮かべ、笑った。「・・・こんな結び方では、簡単にほどかれてしまうぞ・・・」
 そう囁くと同時に熱い手が伸びて、フードを優しく払いのける。布地よりももっと滑らかでなで心地がいい髪が露になると彼は、指を直接その絹のような髪にくぐらせ、手に劣らず熱い瞳で、濃い紫の瞳を覗き込む。
 そうして見つめられることで、彼のその言葉と笑みの意味にようやく気付いて、ミミは小さく息を吸い込んで目を見開いた。熱い瞳に覗き込まれる濃い紫の瞳は、その熱に溶かされるように潤んで、グラデーションを描いていく。
 やがて、ほう、と甘い吐息をして、ミミは囁いた。
「イザヤール様が結び直して・・・ね?」
「・・・ああ」
 ほんの少しかすれた声で返答して、彼は紐の端に指をかけた。

 翌日。モーモン部屋着について、試着した宿屋スタッフたちがそれぞれ意見を述べていた。
「ピンクモーモンカラーやマポレーナカラーがあってもいいんじゃない?」
「紐じゃなくてボタン留めもいいかも」
 様々な意見が出る中、ミミだけ何故か頬を淡い薔薇色に染めて少しうつむいていた。
「ミミ様はどう思いまして?」
 ロクサーヌに意見を求められて、ミミは物思いから覚めたようにがばっと顔を上げて、ますます顔を赤くしながらしどろもどろに答えた。
「えっ・・・と、私はあの部屋着、あのままでも充分いいと思うの・・・」
 そんな彼女の様子に、ロクサーヌは不思議そうに首を傾げた。ミミの傍に立っているイザヤールも、いくらか照れくさそうに少し視線を逸らしている。
「私も、あのままで充分いいな」
 ミミにだけ聞こえる声で囁いて、イザヤールは優しく、だが色気を含んだちょっとイケナイ顔で、笑った。〈了〉
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