セントシュタイン三丁目

DQ9の二次創作(主にイザ女主小説)の、全くの個人的趣味なブログです。攻略の役には立ちません。悪しからずご了承ください。

黒胡椒を買いに

2019年01月28日 00時34分51秒 | クエスト184以降
く〜また月曜日更新になっちゃったようしくしくの追加クエストもどき。今回はDQ3の「くろこしょう」イベントモチーフの話です。前にもどこかでやったような気がして追加クエストもどきのカテゴリの調査したんですが、結局見つけられなくて細かい調査は放棄しました(笑)こんなことしてるから更新遅くなる気がする。あのイベントそのままに近いストーリー展開と思いきや、思いがけないどんでん返しが・・・?ご都合主義大いに大好きです(爆)

 今日もセントシュタインの町は平和そのもので、リッカの宿屋は忙しかった。ランチタイムも終わって、夕食の仕込みの時間に差し掛かった頃、リッカが食料品倉庫の扉を開けて言った。
「あれ?黒胡椒もうこれだけだっけ?そろそろ仕入れに行かなきゃなあ」
 最近リッカは、グビアナのバザールの露店で見つけた黒胡椒がお気に入りだった。リッカのお手伝いで一緒に棚を覗き込んでいたミミはさっそく申し出た。
「じゃあ私、グビアナのバザールまで買いに行ってこようか?ルーラを使えばすぐだし」
「ほんとに?ありがとう、ミミ!今日すぐ必要なわけじゃないから、急がなくていいからね」
 ミミはクエスト「黒胡椒を買いに」を引き受けた!

 急がなくていいと言われたミミだが、すぐに済みそうなことなのでさっそくグビアナにルーラで向かうことにした。
「あれミミ出かけんの?」
 グビアナだと暑いので冬服から着替えに自室に戻ったミミにサンディが声をかけた。
「うん。黒胡椒を買いにグビアナへね。すぐ帰るつもり」
 サマードレスに着替えながらミミは答えた。
「ふーん。じゃあアタシもついてこーかなー、ヒマだし」
「サンディもしかして、サンドフルーツジュース飲みたい?」
「バレたか〜」
 エルシオン学院の校外授業の付き添いに行っていて留守にしているイザヤールには、黒胡椒を買いにグビアナに行くと念のため置き手紙をし、ミミはバルコニーでルーラを唱え、あっという間にグビアナに到着した。
 だが、置き手紙もいらないくらいすぐに終わりそうと思ったおつかいは、案外そうはいかなかった。バザールの香辛料販売の露店に行くと、リッカがいつも買う露店は何故か休みだった。
 その露店の主人はいい香辛料をお客に届けるのが使命と燃えているタイプだったので、不思議に思ったミミは、周辺の露店で聞き込みをしてみた。すると、何故か昨日から宿屋の一室に閉じ籠って出てこないということがわかった。彼の露店を手伝っていた青年の姿も全く見られなくなったらしい。何があったか露店仲間たちが口々に尋ねても、全く教えてくれないそうだ。
「なんか、まためんどくさいコトに巻き込まれそうなんですケド・・・。さすがミミだわ」
「サンディ、それ褒めてるの?」
 ミミはさっそく宿屋に行ってみて、彼が泊まっている部屋の前に行き、扉の外から呼びかけてみた。
「いつもお世話になっているリッカの宿屋の者です。ミミと申します。数日お店をお休みしていると伺って、失礼を承知でこちらにお邪魔しました。何かお困りのことはございませんか?」
 中に人が居る気配はするが、返事は無い。ミミはそれでも、更に扉の外から呼びかけた。
「リッカは、あなたのお店の香辛料のおかげで料理がもっとおいしく出せるようになったと言って、いつも喜んで感謝しています。ご主人が何かお困りだったら、とても心配すると思います。お力になれることがあったら、ぜひおっしゃってください」
 すると、扉が開いて、中からやつれた顔の露店の主人が現れた。いつもは元気な老人なのだが、気を落としているようで年齢以上に老けて見える。
「おお、前にリッカさんと一緒にいらしたお嬢さんですな。ご心配をおかけして申し訳ない限りです。・・・実は・・・」
 老人は、内密にしてくれるよう頼んでから、話し始めた。昨日のこと、老人の孫娘が拐われた。店を手伝う若者が、脅迫の手紙を見つけて事態が発覚した。その手紙には、老人が秘密にしている、貴重な香辛料を栽培している場所の地図を渡すよう記されていた。若者は憤り、自分が受け渡しの場所に行って犯人を捕まえると言って、老人が止めるのも聞かずに行ってしまい、未だに戻って来ず今に至るという。
「あいつが朝になっても戻って来なかったので、わしはもちろん受け渡し場所に行ってみました。しかし誰も居らず、手がかりは何も残っていませんでした。わしは、無理にでも一緒に行かなかったことを後悔しました。あいつは、ちょっと武道の心得がありましてな。わしが一緒に行くと思うように戦えないからと、一人で行くと言い張ったのでそうしたのですが、それは間違いだったと・・・」
「どうして今まで誰にも相談なさらなかったんですか?」
「脅迫の手紙には、受け渡しが済むまでに他言したら孫娘の無事は保証しないと書いてありました。ただの脅しとわかっていても、わしとしては、孫が無事戻るまでは誰にも言う気になれなかったのです。もう少ししたらバザールの仲間に相談してみようかと・・・」
 無理もないとミミは頷いた。そして、提案してみた。
「犯人の狙いが貴重な香辛料だとすれば、今頃地図の場所の栽培地に居るかもしれません。護衛を連れて行ってみるといいかもしれません。私でよければご一緒します」
「おお、ご親切に!だが、あなたのようなお嬢さんを危険な目に遭わせるわけには・・・」
「私、こう見えてそこそこ強いんです。それに、女の子なら悪者も油断すると思いません?」
 ミミはにっこり笑って言い、愛用のロトの剣をちらりと見せると、その並々ならぬ輝きに露店の店主は納得し、お願い致しますと深々と頭を下げた。サンディはやっぱりこーなるのねーと呆れ顔をして肩をすくめたが、冒険の記録帳を引っ張り出した。

 店主の秘密の香辛料栽培地は、アユルダーマ島の外れの森の奥にあった。一見道無き道だったが、店主の案内で容易にたどり着くことができた。
 栽培地に着くと、さまようよろいに似た姿の者たちが、せっせと高価な香辛料を収穫していた。
「親分は何考えてんだ、こんな木の皮や実を集めてどーすんだ」
「おまえ知らないのか?ここの植物は高く売れるもんばかりだぜ。大儲けだ!」
「さすが親分だな、アタマいい〜」
 彼らが香辛料の木をそまつに扱っているのを見て、店主は腹を立てた。
「ああっ、あいつら、あんな乱暴に引っこ抜いたら、木が傷ついてダメになってしまう!」
 ミミは木を守ろうと飛び出した。
「おっ、なんだてめえは!」
 彼らは一瞬慌てふためいたが、ミミが一人なのを見て(サンディの姿が見えないということは人間たちらしかった)、明らかにバカにした声をかけてきた。
「なんだ、カワイイお嬢ちゃんじゃないか〜。なあなあお嬢ちゃん、これからオレと遊ばないか?金ならたっぷりできるからさ〜」
「おまえ、何抜け駆けしているんだよ!なあお嬢さん、俺の方がよっぽどイケてるぜ」
「てめえら何抜かしてんだ!親分にバレたら叱られるぞ!ああ見えて硬派なんだからな親分は!人質の女だって丁重に扱っているし・・・おっと」
 最後の一人は言いかけた言葉を慌てて飲み込んだが、ミミは聞き逃さなかった。
「人質?その方、もしかして、香辛料商人さんのお孫さんじゃない?」
 ミミは濃い紫の瞳の陰影を強くして言った。
「なっ・・・何故それを!」
 露店の店主もそこで飛び出してきて、甲冑の男たちに向かって叫んだ。
「おまえらが人拐いか!わしの孫娘を返せ!」
「あっ、てめえは香辛料店のジジイ!ってことは、この女もグルか!なら無事に帰すワケにはいかねえなあ」
 さまようよろいに似た甲冑の男たちは武器を構えてきた。が、そのうちの一人が下卑た声で仲間たちに言った。
「待て待て、ジジイはともかく、女の方は、傷を付けたらやっぱりもったいないぜ。他に連れてって可愛がってやるってのはどうだ?親分には内緒でさ」
「てめえ親分に隠し事をする気か?!この場で成敗してやる!」
「堅いこと言うなよ〜。指一本触れさせてもらえない人質の女よりもっと上玉だぜこの女」
「親分にバレたらどうすんだ!」
 仲間割れを始めそうになった彼らを呆れ顔で眺めながらサンディは呟いた。
「あ〜コイツら、今ここにイザヤールさんが居なくて超命拾いしたワヨね〜。ミミにこんなコト言ったってバレたら、超絶怖い目に遭うっつーの」
 露店の店主は、孫娘が無事らしいことを知って安心したが、従業員の若者の安否がわからなくて気を揉んだ。ミミは、剣を抜いて言った。
「ここの地図を持っていった人は、どうしたの?」
「あーん?あの野郎、生意気にも俺たちに向かってきやがったから、ボコボコにして地下牢に放り込んでおいたぜ。なあお嬢さん、あんたはそんな目に遭いたくないだろ?そんな物騒な剣なんか捨てて、俺たちと楽しく遊ぼう・・・」
 最後まで言い終わる前に、ミミはバックダンサーよびをした!初めはギガスラッシュをしようと思っていたのだが、周辺の木を傷付けるのを懸念したのである。バックダンサーよびの不思議な竜巻の方がまだましそうだと判断したのだ。
 こうして甲冑の男たちは剣を使うことすらなくあっさり撃退され、ぐるぐる巻きに縛り上げられた。
「親分さんのところに案内してもらいます」
 男たちは、すぐにアジトの場所を白状した。

 だが、アジトの場所に着いてみると、意外な展開が待ち受けていた。覆面マントにパンツの男が、ぐるぐる巻きに縛り上げられていたのである。そして、人質の筈の娘と従業員の若者が駆け寄ってきた。
「あっ、おじいちゃん!この方たちに、助けてもらったの!」
 現れたその助っ人たちが、エルシオン学院の生徒たちだったので、ミミは驚いた。
「あれ?ミミじゃん、どうしてこんなとこに?イザヤールせんせー、ミミが迎えに来たよー」
「え・・・ええええ?!」
「ミミ?!何故ここがわかった?」
 どうやら校外授業中にものすごい偶然でたまたまこのアジトに遭遇し、悪者を退治してしまったということらしい。
「何なの、やっぱりイザヤールさんて、マジでミミセンサーでも付いてんの?」
 サンディの言葉にイザヤールは苦笑して、本当に偶然だったと言ったが信じてもらえなかった。
「子供たちが、たまには真逆の気候のところで訓練したいと言ったので、グビアナに来たのだが、オアシス近くで見馴れない小屋を見つけたんだ。不審に思ってそっと調べてみたら、この二人が囚われていたというわけだ。子供たちを先に帰して救出しようと思ったが、もう一人の付き添いのガルシス先生が、この救出作戦を急遽校外授業のテーマにしようと無茶を言い出してな・・・」
「でも、ボクたちよくやったでしょ?」生徒の一人が自慢気に言う。
「イザヤール様が一緒だから大丈夫だとは思うけど、みんな無事でよかった」
 ミミが言ってイザヤールの手を握りしめると、彼は笑って答えた。
「ガルシス先生が、この二人を捕らえていた男に、筋肉勝負とやらを挑んで気を引いてくれたからな。まさか相手が本当に乗るとは思わなかったが」
「やっぱ親分もおバカだったんじゃん・・・」サンディが呟く。
 その後捕らえた親分と手下たちをグビアナ兵に引き渡したところ、最近この辺りを荒らしていた盗賊団の一味と判明し、ミミとイザヤールとエルシオン学院のよい子たちは、ユリシス女王に大いに褒められた。そして、香辛料店の店主は、力になってくれたお礼にと、リッカの宿屋とエルシオン学院にたくさん香辛料を送ってくれることを約束して、黒胡椒もくれた。

 一緒に帰ってきたミミとイザヤールに、リッカはにっこり笑って言った。
「おかえりなさい!あれ?二人で一緒に帰ってきたの?」
「うん。はい、黒胡椒」
「ありがとう、ミミ。でも、なんだあ、イザヤールさんと待ち合わせしてたんなら、もっとゆっくりしてきてよかったのに〜」
「待ち合わせしてないの、偶然なの」
「ああ。私も驚いた」
「そうなの?さすが仲良しだと自然に引き寄せ合うんだね☆それにしても、早かったね、さすがミミ!」
「まあね、黒胡椒を買うだけだったもの」
 ミミはいたずらっぽく呟いて、ウインクした。〈了〉
コメント (2)    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« あと少し | トップ | 盟主様・・・ではない »
最新の画像もっと見る

2 コメント

コメント日が  古い順  |   新しい順
イザヤール様のミミセンサー本日も順調に稼働中~♪(こらっ) (ちいはゲーマー)
2019-01-30 18:34:49
それにしてもミミさんに邪な発言をした盗賊達、イザヤール様がその場に居なくてよかったですね(いや本当は良くはないですけど)。居たら絶対ぐるぐる巻きに縛るだけでは済まないですし。


雨の島に訪れたらそこにしか生えないハーブを狙う盗賊団が現れ、こてんぱんにしたあと島から一番近いグビアナに立ち寄り、グビアナ兵に引き渡し中にイザヤール様に遭遇した女主(前説ながっ)
イザヤール「女主!!」
女主「え?イザヤール様、何故ここに?」
イザヤール「それはこちらの台詞だ。リッカに使いを頼まれてグビアナに来たら、最近この辺りを騒がせている盗賊団が現れたと聞いて駆けつければお前がいるし、一体何が…」
※事情説明中
イザヤール「………なるほど、そういうことだったのか。だが何故すぐ応援を呼ばなかった」
女主「応援を呼ぶ間に逃亡される可能性があったのと相手側に手練れもいないと判断して応戦しました」
イザヤール「多勢に無勢というのもあるだろう」
女主「今まで似たようなこともありましたがその時は一人で解決しましたし、今回も大丈夫だとおも………っ!イザヤール様?」(急に抱きしめられ不思議そうに見上げる)
イザヤール「お前がそう簡単にやられる子ではないのは分かっているが何でも一人で解決しようとしないでくれ。
もしそれでお前に何かあれば私は悲しいし、他の仲間も自分では頼るに値しないかと思ってしまう。それがどれ程辛いことなのかお前は痛いほど分かっている筈だ」
女主「………ごめんなさい……」
イザヤール「まあ犯罪者を捕らえたのは悪いことではないからよくやった。だが」(女主の背中に手を回し、両膝の下に腕を差し入れ抱き上げる)
何が起きたかよく分かってない女主「え、…え?」
『きゃあぁぁぁ!!』『おおぉぉ!』
周りの黄色い声とイザヤールとの目線が近くなったことで事態を察し慌てる女主「い、イザヤール様降ろしてください!怪我も一切してませんし、ちゃんと歩けますので!」
イザヤール「駄目だ。心配をかけた罰としてリッカの宿に着くまでこのまま行く」
女主「そんなぁ…っ!サンディ助けて!!」
サンディ「諦めなさい。言っとくけど今回ばかりは一人で応戦するのをアタシは反対したのに無視した女主がワルいんだからねっ!」
女主「ううぅぅ………っ」(耳まで真っ赤になった顔を手で覆う)

その後グビアナでは盗賊団を捕らえた若い娘と恋仲らしき男のやり取りが話題になり、女主は暫くグビアナに行きづらくなったとかそうでないとか。
はい、絶好調稼働中です(笑) (津久井大海)
2019-01-31 12:52:20
ちいはゲーマー様

いらっしゃいませこんにちは☆なんかそのうち翼が無くても空飛んでくるんじゃないかな勢いの当サイトイザヤール様ですwどんどん人間離れしていく・・・。
もしもその場にイザヤール様が居たら、捕まえ方と縛り上げ方に若干の私情が入ったかもしれません(笑)自分への侮辱は流しても仲間とかへの侮辱には容赦しなそうなイメージです。

そちらの女主さん、お淑やか可愛いすぎて、どう頑張って見ても一人で盗賊団を倒せる強さには思えませんものねえ・・・(失礼)。敵が侮り、その分より危険に遭うかもとイザヤール様が心配されるでしょうねえ・・・。無理もありません。
ラブラブな「お仕置き」をされてしまった女主さん、耳まで真っ赤にしちゃって、なんて可愛らしい☆グビアナに行ったらユリシス女王辺りにからかわれそうですね〜。武勇伝よりラブラブぶりが有名になりそうです(爆)

コメントを投稿